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政治講座ⅴ1978「中国は戦争突入懸念増大、平和外交は望めない」

 福沢諭吉の脱亜論を思い出した。
今の中国との現状を俯瞰すると福沢諭吉の『脱亜論』が思い出される。1885年の脱亜論から139年を経過した。明治時代の先人の先見には驚かされる。ちょっとその『脱亜論』を覗きながら現在の中国を俯瞰しよう。
国際情勢は『脱亜論』ならぬ『脱中国』である。
 
天安門事件で民主化を要求する学生を戦車でひき殺す様子は世界に報道された。これを指導したのが鄧小平である。そして、日本の政治家や企業経営者は、鄧小平に抱き付かれて、三顧の礼で中国に進出した企業は今や人質にされ、いじめの対象とされているのである。恩を仇で返す中国共産党なのである。
 中華人民共和国を支配する超法規的存在として「中国共産党」がある。そして中国解放軍は「中華人民共和国」の軍隊ではなく、「中国共産党」の軍隊が解放軍と言われるものの存在である。中国の13億人を弾圧統治支配する組織が「中国共産党」である。鄧小平は中国には民主化には時期尚早であり、政治知識がないのでしばらく中国共産党が国家を指導すると言っていた。習近平氏になってから国内の引き締め・弾圧がさらに強まった。
 中国の民主化を期待して経済支援をして来たことは、中国共産党という怪物を育ててきたことに他ならない。米国が中国共産党を敵視する理由に一理あるのである。いまこそ、中国から脱する必要がある。今こそ脱中国論を実行する時期である。米国もやっと中国の本性に気が付いて、二分割論(国民と共産党分離)の方向の政策に舵を切ってきたのであるが、中国やロシアなどが経済を武器に、他国への威圧行為を繰り返している。最近は軍事力による威圧をも表に出して威嚇を始めた。
 
巻末に『脱亜論』の現代語訳を掲載しておく。140年前の洞察力は現代にも通じるので是非お読みください。

     皇紀2684年10月20日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国海警局、日本漁船を「追放」 尖閣諸島周辺の「領海に不法侵入」で

AFPBB News によるストーリー

中国海警局、日本漁船を「追放」 尖閣諸島周辺の「領海に不法侵入」で© ADEK BERRY / AFP

【AFP=時事】中国の海警局は17日、同国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺の「中国領海に不法侵入」した日本漁船1隻を「追放」したと発表した。

 海警局の報道官は、日本漁船が15~16日にかけて尖閣諸島周辺の「中国領海に不法侵入」したと主張。「法に従って必要な管理措置を講じ、同船に警告した上で追放した」としている。

 さらに「釣魚島および付属島しょは中国固有の領土だ。これらの海域での違法活動を直ちに中止するよう日本側に強く求める」「中国海警局は、国家主権と安全保障、海洋権益を守るため、引き続き海洋権益保護および法執行活動を行っていく」と続けた。

 日本の海上保安庁も17日、尖閣諸島近海で中国海警船4隻を監視していると発表した。

 海保によると、日本漁船は16日午前9時ごろ、尖閣諸島最大の魚釣島から西に約10キロの海域で操業していた。(c)AFP

中国・習近平が広東省1500社を四川省に強制大移転?沿岸部から内陸へ重要産業の工場を移し戦争準備か

福島 香織 によるストーリー

習近平国家主席は毛沢東の真似をして重要産業を内陸部へ強制移動させようとしている?(写真:AP/アフロ)


中国で、習近平政権が広東省から四川省に工場などを大移動させる計画を進めているとの噂がネットで駆け巡っている。その数、1500社あまり。沿岸部から内陸部への基幹産業の大移動は毛沢東時代にもあった。当時は旧ソ連や米国の核の脅威から守る、という名目だったという。その再来ならば、戦争の準備ということか?
(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国のネット上で最近話題になっているのは、広東省の1500社余りの工場が内陸の四川省に移転させる計画が進行中だ、という噂話だ。もし本当なら、広東省40年以来の大産業移転計画ということになる。
 あながち単なる噂と笑い飛ばせないのは、毛沢東時代も、沿海部の国家基幹産業を旧ソ連の核の脅威から守るという名目で強引に雲南など内陸部に移転する三線建設政策をとったことがあり、毛沢東の政策を模倣してきた習近平ならばやりかねない、という見方があるからだ。
 9月下旬に人民銀行が発表した大規模金融緩和政策、10月12日に財政部が発表した推計6兆元規模の財政出動、さらに現在パブリックコメントが募集されている民営経済促進法案の立法の動きなど、「経済軽視でこの10年あまり政権を運営してきた習近平らしからぬ」景気浮揚政策パッケージが立て続けに打ち出されており、その結果、外資による中国株ETF乱高下現象が引き起こされている。
 この動きから、ひょっとすると改革開放逆走路線をとってきた習近平が温家宝ら長老の叱責を受けて、心を入れ替えて経済政策の軌道を元の改革開放路線に回帰させるつもりではないか、という期待をいう人もいる。だが、もし三線建設のようなことをまたやり始めるのだとしたら、やはり習近平の目標は計画経済時代への回帰ではないだろうか、と人々が疑心暗鬼になったので、この噂は大きく拡散している。
 10月15日に、中国のSNS上で、沿海部広東1500企業が内陸の西南地域の四川に移転する、という情報が流れはじめた。アカウントネーム「木心」の投稿によると、「広東省1500社の工場が四川に移転するらしい。この措置は巨大な意思を静かな湖に投げ入れるような激しい波紋をひきおこすだろう」という。
 1500社の中には具体的に恵州TCL、聯想、小米、格力電器、長虹電子、海爾、華為といった有名ハイテク企業の名前が挙げられていた。
 これが単なる噂と言い切れないのは、9月25日、上海の金融ハイテク関連のネットニュース・財聯社が、「国家は企業を東部から中西部に移転させるよう主導している」と報じていたからだ。「四川省は、党中央が国土空間計画に名を連ねる唯一の戦略的後背地とみなしている」とも。
 新京報の10月13日付報道によれば、9月25日に党中央、政府が打ち出したハイクオリティ促進産業政策についての解説の中に、資金、技術、労働密集型産業を東部から中西部に、中心都市部から後背地に徐々に移転させていく、という描写があり、この意味について様々な憶測が飛んでいた。
 中国の官製メディアはこの件については報道していないし、また公に否定もしていない
 ラジオフリーアジアがこの件について、かつて毛沢東の「三線建設」に参与した学者の鄺錦利を取材しており、この動きが、1964年から70年代にかけて毛沢東の号令で行われた工業化戦略『三線建設』と似ているというコメントを引き出している。

毛沢東の大失敗プロジェクト「三線建設」の再来か

 三線建設とは旧ソ連米国との核戦争を想定して東北部にあった軍需工業や沿海部、東部の製造業の工業基盤を中国内陸部の雲南や四川などに移転させたプロジェクトだ。
 戦争の被害を受けるリスクの高い沿海部、東北地域を第一線、戦争の危険性が低い地域を第三線、その中間地域を第二線と地域分けし、中国が全面核戦争に突入することを想定して沿海部・東北が壊滅しても、内陸で抗戦できるように沿海部の工場、技術者を第三線地域に移転させ、後方基地建設を進めようとした。
 だが毛沢東の三線建設は、大躍進政策に続く失策の代表だ。例えば四川省の奥地の谷間を切り開いて攀枝花鋼鉄公司を建設したり、第二汽車製造廠を湖北省西部の山奥に建設したり、特殊な軍需産業というわけでもない一般製造業まで、消費地から遠い交通インフラが未発達のへき地に移転させてしまい、結局機能しないまま挫折した。
 四川省の山奥には、当時の工場廃墟が今も残っている。この三線建設を実行するために巨額の財政と人民の労働が費やされ、大躍進で疲弊し、文革で混乱した中国社会・経済はさらなる追い打ちにあったのだった。

習近平国家主席は本当に基幹産業の内陸への大移転を考えている?(写真:AP/アフロ)


 複数の中国の公式アカウントによれば、今回の広東産業移転は、より低コストの開発環境を求める企業の経済的な決断であると同時に、複雑な世界情勢における中国の戦略的配慮を反映したもの、という。つまり、米国、台湾との対立先鋭化、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、中東戦争の激化などきな臭い国際社会の動きに対応した、習近平なりの戦争準備の可能性がある。

広東省をよりハイエンドな産業の集積地に、という見方も

 この産業・都市移転を促進するために、国家として税制優遇措置、優先的な土地供給、インフラ投資など一連の政策を導入し、中部・西部地域がこれらの企業を受け入れることができるよう保証することを目的としている、らしい。
 こうした動きについて、「東部地域の資源を内陸に解放し、広東省はハイエンドの製造業、現代的なサービス産業、情報産業の発展に集中することができ、世界の産業チェーンにおける地位を高めることができる」「四川省などの中西部に多くの雇用機会をもたらし、地域経済のさらなる上昇につながる可能性がある」「中西部地域の若者は、沿海部に出稼ぎに出て来なくとも地元で就職でき、地方は大きな発展のチャンスを得ることもできる」といったポジティブな見方もある。
 必ずしも戦争を想定した準備ではなく、「この企業移転は、将来起こりうる国際的な変化に備えるためだろう」「生産能力の一部を内陸に移すことで、将来不確実な出来事が起こった場合でも、自国の産業チェーンに頼ることができるようにするためだ」という指摘もある。
 実はこうした三線建設的プロジェクトのような産業移転の動きはこれが初めてではない。

「新疆大開発」の号令も

 今年3月11日、北京で新疆産業支援就業工作会議が開催され、2024年から2026年の3年間に総額7000億元(約14兆7000億円)を新疆地域に集中投資することが中央企業に対して呼びかけられていた。これに先立って中国国務院は2023年10月、新彊を新たに自由貿易試験区に指定したうえで、投資の自由化・利便性向上の推進、貿易の利便性の水準向上、デジタル経済の推進、人民元決済の拡大、上海協力機構(SCO)や「中国・中央アジア5カ国」協力枠組みなどを通じた周辺国との協力強化など、8分野25項目にわたる措置を発表していた。
 当時、この「新疆大開発」の号令も、「三線建設」の再来だと噂された。この新疆大開発の狙いは、中国の経済、貿易が米国、日本からデカップリングされ、主要経済パートナーを中央アジアや東欧にシフトしていく動きの中で、製造拠点や産業チェーンの中心を広東や上海から新疆に移転していこうという狙いがある、といった見方があった。また、実質頓挫しかけている一帯一路戦略を立て直すためのプロジェクトという分析もあった。カナダの華人評論家、文昭はこの動きを三線建設に例えて解説していた。
 また、習近平は旧ソ連式の工業植民モデルの復活を考えているかもしれない、という見方もある。
 毛沢東時代の中国は、国有工場を建てると、労働者(ワーカー)を集め、宿舎から学校、幼稚園、病院、火葬場まで、ワーカーのためにすべての国有施設を建設・運営し、工場自体が一つの街を形成していた。
 市場経済化に伴いこうした工業植民モデルは消滅したが、習近平の政策は計画経済方向へと逆走する路線をとっていると思われている。
 実際、各地方政府には、コミュニティ(社区)の共産党支部が運営する安価な国営食堂(人民食堂モデル)の復活や、保障性住宅(住宅分配)など、社会主義的政策が指示されている。こうした工業殖民モデルは、重要産業とそれに付随する人民の暮し、コミュニティを、国有企業を通じて共産党が管理しやすいという側面がある。
 毛沢東の三線建設は失敗しており、また工業植民モデルも結果的に淘汰されてきた。習近平が同様の発想で、広東産業移転や新彊大開発を打ち出したとしたら、これらも挫折するのではないか、机上の空論の可能性がある、というのが大方の予測だ。

資金、技術、産業、労働力の地方移転を狙う

 前出の鄺錦利は「ひと昔前と違って、今や前方だとか後方とかない時代だ。イーロン・マスクが5000トンものスターシップ『スーパーヘビー』を正確に箸(メカゴジラチョップスティックス)でキャッチする時代に、洞穴を掘削して三線建設をして意味があるのか。未だ脳内は第二次世界大戦時代のそろばんをはじいているのか」と批判していた。
 
 ただ「(仮想敵から)万が一攻撃された場合、沿岸の都市部の重要なハイテクパワーは打撃をうけ、致命傷を負うことを当局はずっと心配している」とも、鄺錦利は指摘していた。
 広東の1500社が四川に一斉移転、というのはフェイクニュースかもしれない。だが、習近平が現在の中心都市、大都市から資金、技術、産業、労働力を地方都市に移転しようという方針を持っているのは事実だろう。
 それが、西側社会との経済デカップリングに対応した新型内陸都市の形成を目的としているのか、経済的に落ち込む地方の地位を引きあげ地域間格差をなくすためなのか、管理しやすい社会主義的工業殖民都市を復活させようという魂胆なのか、あるいは大都市を嫌い、素朴な田園風景を愛する習近平の単なる趣味なのか。
 いずれにしろ、国際社会の中国に対する敵意や対立意識の先鋭化が背景にあり、その根底には戦争を念頭においた都市資源の再配置という考えがあろうと思われる。
 こうした戦争に備えた大規模な産業移転は、毛沢東以前もたびたびあった
 清朝の康熙帝時代、沿海部の住民を一斉に内陸に50キロ移動させる海防政策があり、1928年の南京国民政府時代も大三線建設があった。

「鄧小平的な改革開放路線に転換」は幻想

 これは中国の伝統的な「戦時思考」といえる。
中国の伝統的戦時思考から80年代に脱却して平和思考に転換しようとしたのが鄧小平であり、改革開放路線といえる。つまり、国際社会に溶け込もうという方向性で、対外開放のために沿海部、東部を発展させ、国際化させていった。
 こののち、毛沢東時代につくられた大量の三線時代の内陸国有企業が閉鎖され、主な企業、経済が東部、沿海部に回帰。90年代には三線地域に拠点を置く大企業はほとんど存在しなくなった。
 その後、胡錦涛時代に東北振興や西部大開発といった地域振興策が打ち出されたことがあるが、これは三線建設とはまた違う。東北振興などは日本など外国企業も積極的に協力した。結果的にこうしたプロジェクトも大成功とはいかなかった。へき地や内陸部への産業移転というのは、そんなに簡単なものではないのだ。
 そうだとすると、習近平が今後打ち出すとみられるこの種の都市・産業の移転政策は、なおさらうまくいくとは思えない。
 企業や消費者の利益度外視の強制的、恫喝的移転となり、少なくとも市場経済原理にのっとった発展、経済的成功は望めない。ひょっとすると新たなゴーストタウン都市を生み出すことになるかもしれない。
 そういうわけで、9月、10月と珍しくまともな経済金融政策だと注目されている大規模景気刺激政策を、習近平が毛沢東回帰路線から鄧小平的改革開放路線に転換したシグナルと見るのは危うい。習近平は毛沢東的戦時思考に沿った計画経済回帰色の強い政策を手放してはいない
 先日、中国が3年で6兆元規模の特別国債発行を準備しているとの報道が出て、中国経済回復へのシグナルか、と期待する声が高まっている。だが、こうした資金も、戦時思考の社会主義経済建設プロジェクトに振り分けられる可能性があるかもしれない。
福島 香織(ふくしま・かおり):ジャーナリスト
大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002~08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。主な著書に『なぜ中国は台湾を併合できないのか』(PHP研究所、2023)、『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房、2023)など。

「台湾侵攻すれば、中国への関税200%に」 トランプ氏言及

毎日新聞 によるストーリー

選挙集会で演説する米共和党のトランプ前大統領=米中西部ミシガン州で2024年10月18日、AP

 11月の米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は18日に報じられた米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、中国が台湾を封鎖した場合の対応について「『台湾に侵攻すれば、(中国製品にかける)関税を150~200%に引き上げる』と中国側に伝える」と述べた。

 中国は、台湾を包囲する形での軍事演習を繰り返している。海上や空中の交通を遮断して台湾を封鎖し、「統一」を迫る可能性が指摘されている。

 トランプ氏は台湾封鎖への対応を問われ「非常に簡単だ。習近平国家主席とはとても強固な関係がある」と説明した。関税の大幅引き上げを警告することだけで、侵攻を抑止し、封鎖を解除できるとの見方を示した。

 「台湾封鎖時に軍事力を使うか」との質問に対しては「使う必要はないだろう。習氏は私に敬意を示しており、私が変わり者であることも知っているからだ」と述べた。

 トランプ氏は自らが当選した場合、外国から米国への輸出品に10~20%の関税を課すと公約しているが、中国からの輸出品の関税率は60%にする考えを示している。【ワシントン秋山信一】

中国の経済威圧に対抗して 中国依存を日本は減らし、早く脱出すべきである。


参考『脱亜論』の現代語訳

世界の交通の道は便利になり、西洋文明の風は東に進み、至るところ、草も木もこの風になびかないことはない。西洋の人物は古代と現在に大した違いはないのだが、その活動が古代は遅鈍、今は活発なのは、ただ交通の機関を利用し、勢いに乗じるがためである。ゆえに最近、東洋に国がある民のために考えると、この文明が東に進んでくる勢いに抵抗して、これを防ぎきる覚悟であれば、それもよい。しかし、いやしくも世界中の現状を観察し、事実上それが不可能なことを知る者は、世の移りにあわせ、共に文明の海に浮き沈み、文明の波に乗り、文明の苦楽をともにする以外にはないのである。文明とは全く、麻疹はしかの流行のようなものだ。目下、東京の麻疹は西国の長崎地方より東に進み、春の暖気と共に次第に蔓延するもののようである。この時、流行病の害をにくみ、これを防ごうとするにしても、果してその手段はあるだろうか?筆者はその手段は断じてないことを保証する。有害一辺倒の流行病も、その勢いにはなお抵抗できない。いわんや利益と害悪がともない、常に利益の多い文明はなおさらである。これを防がないばかりではなく、つとめてその普及を助け、国民を早くその気風に染ませることが知識人の課題である。

近代西洋文明がわが日本に入ったのは、嘉永の開国を発端とする。国民はようやくそれを採用するべきことを知り、しだいに活発の気風が生じたものの、進歩の道に横たわる老害の幕府というものがあり、これはいかんともできなかった。幕府を保存しようとすると、文明は決して入ってくることができない。なぜかといえば近代文明は日本の旧体制と両立するものではなく旧体制を改革すれば、同時に幕府も滅亡してしまうからである。だからといって、文明をふせいてその侵入を止めようとすれば、日本国の独立は維持できなかった。なぜならば、世界文明の慌しい情勢は、東洋の孤島の眠りを許すものではなかったからだ。ここにおいて、わが日本の人士は、国を重く、幕府を軽いとする大義に基づき、また、さいわいに神聖なる皇室の尊厳によって、断固として旧幕府を倒し、新政府を立てた。政府も民間も区別なく、国中がいっさい万事、西洋近代文明を採り、ただ日本の旧法を改革したばかりではない。アジア全域の中にあって、一つの新機軸を確立し、主義とするのはただ、脱亜の二字にあるのみである。

わが日本の国土はアジアの東端に位置するのであるが、国民の精神は既にアジアの旧習を脱し、西洋の文明に移っている。しかしここに不幸なのは、隣国があり、その一を支那といい、一を朝鮮という。この二国の人民も古来、アジア流の政治・宗教・風俗に養われてきたことは、わが日本国民と異ならないのである。だが人種の由来が特別なのか、または同様の政治・宗教・風俗のなかにいながら、遺伝した教育に違うものがあるためか、日・支・韓の三国を並べれば、日本に比べれば支那・韓国はよほど似ているのである。この二国の者たちは、自分の身の上についても、また自分の国に関しても、改革や進歩の道を知らない。交通便利な世の中にあっては、文明の物ごとを見聞きしないわけではないが、耳や目の見聞は心を動かすことにならず、その古くさい慣習にしがみつくありさまは、百千年の昔とおなじである。現在の、文明日に日に新たな活劇の場に、教育を論じれば儒教主義といい、学校で教えるべきは仁義礼智といい、一から十まで外見の虚飾ばかりにこだわり、実際においては真理や原則をわきまえることがない。そればかりか、道徳さえ地を掃いたように消えはてて残酷破廉恥を極め、なお傲然として自省の念など持たない者のようだ。筆者からこの二国をみれば、今の文明東進の情勢の中にあっては、とても独立を維持する道はない。幸い国の中に志士が現れ、国の開明進歩の手始めに、われらの明治維新のような政府の大改革を企て、政治を改めるとともに人心を一新するような活動があれば、それはまた別である。もしそうならない場合は、今より数年たたぬうちに亡国となり、その国土は世界の文明諸国に分割されることは、一点の疑いもない。なぜならば、麻疹と同じ文明開化の流行に遭いながら、支那・韓国の両国は伝染の自然法則に背き、無理にこれを避けようとして室内に閉じこもり、空気の流通を遮断して、窒息しているからだ。「輔車唇歯」とは隣国が相互に援助しあう喩えであるが、今の支那朝鮮はわが日本のために髪一本ほどの役にも立たない。のみならず、西洋文明人の眼から見れば、三国が地理的に近接しているため、時には三国を同一視し、支那・韓国の評価で、わが日本を判断するということもありえるのだ。
例えば、支那、朝鮮の政府が昔どおり専制で、法律は信頼できなければ、西洋の人は、日本もまた無法律の国かと疑うだろう
支那、朝鮮の人が迷信深く、科学の何かを知らなければ、西洋の学者は日本もまた陰陽五行の国かと思うに違いない
支那人が卑屈で恥を知らなければ、日本人の義侠もその影に隠れ、朝鮮国に残酷な刑罰があれば、日本人もまた無情と推量されるのだ。
事例をかぞえれば、枚挙にいとまがない。喩えるならば、軒を並べたある村や町内の者たちが、愚かで無法、しかも残忍で無情なときは、たまたまその町村内の、ある家の人が正当に振るまおうと注意しても、他人の悪行に隠れて埋没するようなものだ。その影響が現実にあらわれ、間接にわが外交上の障害となっていることは実に少なくなく、わが日本国の一大不幸というべきである。

そうであるから、現在の戦略を考えるに、わが国は隣国の開明を待ち、共にアジアを発展させる猶予はないのである。むしろ、その仲間から脱出し、西洋の文明国と進退をともにし、その支那、朝鮮に接する方法も、隣国だからと特別の配慮をすることなく、まさに西洋人がこれに接するように処置すべきである悪友と親しく交わる者も、また悪名を免れない。筆者は心の中で、東アジアの悪友を謝絶するものである。

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