政治講座ⅴ1908「偏向報道に踊らされる日本国民」
「誤報」以外に「意図した事実の隠蔽」で真実が捻じ曲げられることを高校の社会授業で事例として教えられた。
たとえ話であるが「或る学校の男性教師が教え子の女生徒を助手席に乗せていて事故を起こした」という新聞記事が掲載された。これは事実をであるが、一つの事実が隠されていた。後部座席に教師の奥様が搭乗していた事実が隠されていた。このような事実を隠すことで真実が捻じ曲げられるのである。この最初の事実を隠した報道とその隠された事実が分かった真実を知った時の感想はいかがであろうか。
この手法を、報道陣は意図的に使う可能性がある。同じような報道でも着眼点が違うと報道内容のイメージが180度変わるのである。政治家の言動を切り抜いて報道することがこれに近い。そして「報道しない事の自由」と言いながら事実の隠蔽に近いことをしている場合が多い。
今回はそのような事例が包含されたような報道記事を紹介する。
皇紀2684年8月26日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
佐藤優「ニッポン有事!」鈴木宗男議員の訪ロ批判する報道の全体主義化が危ない
アサ芸biz によるストーリー
鈴木宗男参議院議員(無所属)が、7月28~31日、モスクワを訪問し、プーチン大統領側近のコサチョフ連邦院(上院)副議長ら要人と会談した。
議員外交は、政府とは異なる立場で日本の国益を推進することだ。2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻後、日ロ政府間の高いレベルでの交流は途絶えている。国会議員でも鈴木氏以外にロシアを訪れた人はいない。鈴木氏というチャネルが存在しなくなると、日ロ外交はマスメディアや会見を通じて行うという不正常な状態になる。こうなると誤解から日ロ間に深刻な軋轢が生じることになる。
しかし、日本の新聞は議員外交の意味を理解できていないようだ。特に酷いのが「朝日新聞」だ。
〈ロシアを訪問中の鈴木宗男参院議員が(7月)29日、モスクワで日本の報道陣の取材に応じた。「領土問題の解決、平和条約の締結が日本の一番の国益だ」と訪ロの理由を説明し、ウクライナ侵攻をめぐり米欧とともにロシアと対立する日本政府の姿勢を批判した。際立ったロシア寄りの姿勢を示す鈴木氏は昨年10月にもロシアを訪問して外務次官らと会談していた。〉(7月30日「朝日新聞デジタル」)
この記事を匿名で書いた記者は、〈際立ったロシア寄りの姿勢を示す鈴木氏〉というレッテルを貼っている。しかし、鈴木氏は、「領土問題の解決、平和条約の締結が日本の一番の国益だ」と述べている。これは日本政府の方針そのものだ。矛盾した内容の記事を書いていることをこの記者は自覚していない。
〈鈴木氏は同日、ロシアのヤコブレフ漁業庁副長官と会談。東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出の安全性を説明。北方四島周辺での日本漁船の安全操業の早期再開などについて議論した。(中略)
鈴木氏は「ヤコブレフ氏がクレムリン(ロシア大統領府)の判断が重いと述べた」として、「日本政府は国益に沿った対応をしなくてはならない」と、プーチン大統領の意向を踏まえた対応を政府に求めた。〉(同上)
処理水の安全性の説明、北方四島周辺での安全操業再開は、いずれも日本政府の方針に沿ったものだ。また、ヤコブレフ氏が言った内容を記者に伝えたからと言って、それがロシアの立場に鈴木氏が立っているということの証左にはならない。
〈(鈴木氏は)「G7(主要7カ国)の連携での一方的な肩入れは、本当に日本のためになるのか」「米国に引きずられるだけで日本が生きていけるのか」などとも持論を展開。占領地からのロシアの撤退を条件にしない中国などの和平提案を評価し、日本も協力するべきだと主張した。
また、侵攻の根本原因はウクライナのゼレンスキー大統領や北大西洋条約機構(NATO)にあるとも主張〉(同上)
国会議員が政府と異なる見解を述べるのは、民主主義国ではごく普通の現象だ。外交に関して国会議員に政府の立場から離れた発言を禁止するのは全体主義国の特徴だ。
佐藤優(さとう・まさる)著書に『外務省ハレンチ物語』『私の「情報分析術」超入門』『第3次世界大戦の罠』(山内昌之氏共著)他多数。『ウクライナ「情報」戦争 ロシア発のシグナルはなぜ見落とされるのか』が絶賛発売中。
「軍国主義」「死ね」と原稿を改変 NHK中国籍外部スタッフの尖閣発言問題
NHKのラジオ国際放送で中国籍の外部スタッフが尖閣諸島(沖縄県石垣市)について「中国の領土」と主張し「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」と発言していた問題で、NHKは25日、このスタッフが靖国神社で中国語とみられる落書きが見つかったニュースを伝えた際、原稿にはない「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」との文言を一方的に付け加えていたと明らかにした。
問題の放送はNHK短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送で19日午後1時過ぎから放送した中国語ニュースの番組。靖国神社で落書きが見つかり警視庁が器物損壊事件として捜査しているというニュースを伝えた際、原稿は「落書きにはトイレを意味する言葉が書かれていた」だったが、外部スタッフは「落書きにはトイレ、軍国主義、死ねなどの抗議の言葉が書かれていた」と発言していた。
また、NHKは22日に明らかにした外部スタッフの発言内容に漏れがあったことも公表した。発言内容として「NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルでない業務に抗議します」と発表していたが、実際には「NHKの歴史修正主義宣伝」と述べていた。視聴者から指摘があり改めて発言内容を精査したところ、原稿を付け加えていたことを含めて判明したという。NHK広報局の担当者は「確認が徹底されていなかった」と説明した。
NHKニュースで尖閣諸島を「中国の領土」発言のスタッフ、靖国神社落書き事件でも勝手に文言
読売新聞 によるストーリー
NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、外部スタッフだった中国籍の男性が沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題で、男性が発言前に読み上げた靖国神社での落書き事件のニュースでも、「『軍国主義』『死ね』などの抗議の言葉が書かれていた」と、原稿にない文言を加えていたことがわかった。NHKが25日発表した。
靖国神社では石柱などにトイレを意味する中国語やアルファベットなどが落書きされていたとされ、NHKによると男性は実際の落書きと異なる言葉を一方的に加えていた。 またNHKは22日の発表で、男性の不適切な発言中、「NHKの歴史修正主義」などに抗議する、としていた部分は「NHKの歴史修正主義宣伝」などへの抗議だったと修正した。視聴者から指摘があり、確認した結果判明した。
自民・青山繁晴参院議員 総裁選巡りNHKに抗議へ「わたしの存在を無いことにしているまま」
東スポWEB によるストーリー
自民党の青山繁晴参院議員が25日、X(旧ツイッター)を更新。自民党総裁選についてNHKに抗議の意志を示した。
青山氏は「主権者のみなさんも、わたしを含めNHKに受信料を支払っているみなさんも、目を疑いませんでしたか」とのタイトルのブログ記事を紹介した。
青山氏は23日に記者会見を行い、総裁選の政策骨子の発表を行っていた。ブログは24日に書かれたもので、石破茂元幹事長の出馬会見を受けてNHKが総裁選の報道をした際に「そのスタジオ解説の際に画面に出した、候補者/候補予定者一覧で、依然として、わたしの存在を無いことにしているままです」と指摘していた。
総裁選候補予定者は11人とされることが多いが、青山氏を入れれば12人になる。青山氏は「放送法の『政治的公平を保つ』、『報道は事実を曲げてはならない』という根幹の定めに深刻に違反している疑いがあります」と疑問を呈し、「週明けに、NHK、日本放送協会に公式に抗議します」と訴えた。
場合によっては「法的措置をとります」ともいい、バトルの気配が漂っている。
参考文献・参考資料
佐藤優「ニッポン有事!」鈴木宗男議員の訪ロ批判する報道の全体主義化が危ない (msn.com)
「軍国主義」「死ね」と原稿を改変 NHK中国籍外部スタッフの尖閣発言問題 (msn.com)
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?