政治講座ⅴ1421「碧桂園の事業検証」
これらの事業の失敗は最終的には誰が被害を被るのであろうか?
素人目から見ても費用対効果の事業として成り立たないことが一目瞭然である。
最終的には投資家や金融機関、そして金融機関の破綻で預金者まで広がる可能性を秘めている。
地方の銀行には取りつき騒ぎが発生しているようであるが、情報隠蔽で混乱を鎮めようとしているが、簡単に収まるのであろうか。否。
今回は、当初、健全経営と言われた碧桂園の経営悪化の報道記事を紹介する。
併せて「恒大集団」に融資をしている銀行への取つけ騒ぎの報道も紹介する。
これらは、銀行、家計、そしてもちろん経済全体も、何年にもわたってツケを払わされることになるだろう。
皇紀2683年10月14日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
中国不動産バブル崩壊の余波「15兆円投資計画→ゴーストタウン」潜入ルポ【写真多数】
竹谷栄哉 によるストーリー •4 時間
中国の不動産開発大手である碧桂園(カントリー・ガーデン)の経営悪化により、同社が手がけるマレーシアの巨大開発計画「フォレストシティー」の先行きが危ぶまれている。その規模なんと15兆円もの開発計画だが、現地を取材して分かったのは、地元住民や不動産関係者が「ゴーストタウン」と口をそろえる恐ろしい実態だった。(ジャーナリスト 竹谷栄弥)
中国の碧桂園とマレーシア地方政府による15兆円規模の超巨大開発計画とは
フォレストシティーはマレーシア最南端のジョホール州南西部、シンガポールと海峡を挟んだ向かい側に位置する。碧桂園が2015年からジョホール王室や同州政府の支援を受ける地場企業と共同で開発を進めており、マレーシアとシンガポールにまたがる4つの人工島を埋め立てて造成し、住宅やオフィスビル、商業施設などを建設する巨大開発計画だ。開発規模は15兆円規模(1000億ドル)で、最終的には70万人が住むと計画されている。
計画当初はシンガポールと目と鼻の先という好立地に加え、好調な中国経済にも支えられ、「低価格帯のアパートでも1部屋2000万円以上した。中国富裕層に飛ぶように売れていった」(地元の不動産業者)という。単なる投資物件としてだけでなく、中国本土の政情不安への危惧から「避難先」としてのニーズや、シンガポールに近いセカンドハウスとしての魅力が販売を後押しした。
中国政府の海外投資規制とコロナ禍が直撃不動産サイトでは「投げ売り」状態
しかし、中国の習近平政権による海外投資規制の強化や、コロナ禍の影響もあり販売は不調で、開発計画は頓挫している。現状の住民数は9000人程度とみられ、当初計画の70万人には程遠い。
地元不動産業者などによると、17年の時点での販売最低価格は約74万リンギット(当時のレートで約2000万円)だったが、筆者が不動産仲介サイトを調べたところ、最も安価で投機用に買われたと思われる1ベッドルームのコンドミニアムが今では26万リンギット台で販売されていた。また、2ベッドルーム以上の高価格帯物件でも同程度の値段で売りに出されているケースも散見された。
不動産業者によっては、1ベッドルームの1フィート(0.09平方メートル)当たりの販売価格が、19年の約1180リンギットから22年には約540リンギットと、半値以下に下落したところもあるという。
先の地元不動産業者によると、「投機用に買ったオーナーは6掛け程度で売りに出している印象」とのこと。中国で不動産バブルが崩壊し経済が低迷する中で、所有者は可能な限り早く処分したい意図があると推測される。
さて、実際のフォレストシティーの様子はどうか。9月某日、シンガポールから直線距離でわずか2キロメートルほどのフォレストシティーへ車を走らせてみると、衝撃の光景が広がっていた。
シンガポール側から30分の好立地でも人影はなく商業テナントの入居も少ない
20棟は超えるであろう高級コンドミニアムが立ち並ぶ敷地に入ると、ポツポツ目に入る警備員を除いて人影はない。建屋に近づくと壁から草が生い茂り、人が暮らしている感じがしない。敷地内を車で移動すると、商業テナントがほとんど入っていないことに気付く。
テナントに大手民泊・サブリースの「OYO」が入居していた。しかし、物件オーナーは経営に四苦八苦していることだろう。OYOとは別の、ある業者は1泊6000円程度で民泊に出しているという。以下はこの不動産業者の談。
「もともと投資用マンションとして買う中国本土の人が多かったから、今の(生活感のない)状態は驚くことではない。ただ、やはり中国政府の規制の影響とコロナのダメージはひどかった。今はゼロコロナ政策も終わって、少しずつだが問い合わせも増えている。この前、約60万リンギット(約1800万円)の物件を10件まとめ買いする中国本土の人がいました。あとはベトナム人の購入もあります。今が底値なので投資用に買っておこうという人が多い」
次に、敷地内の販売展示場をのぞいてみた。週末だというのに客は少なく、警備員の方が多いくらいだ。販売員が数人カウンターにいるものの、仕事のやる気は全く感じられなかった。
広い展示場にはフォレストシティー全体の“完成予想模型”が置かれていた。人工島の上にタワーマンションやコンドミニアム、インターナショナルスクールなどが立ち並んでいる。見ている分には楽しいが、実際は2割程度しか開発が進んでおらず、現段階では「絵に描いた餅」でしかない。
唯一にぎわう免税店酒が半額と激安だが…
フォレストシティーで唯一、にぎわっていたのが免税店だ。ここは免税特区に指定されているため、イスラム教が国教のマレーシアでは高額な税金がかかる酒類を半額程度で買うことができる。恐らく観光客だろう、ビールやウイスキーをまとめ買いしていた。先の不動産業者によると、この免税店こそ民泊の目玉であるという。
とはいえ、酒を安く買える程度では、集客のアピールポイントとしては弱い。この商業棟では約30店舗が掲載されているが、免税店や数軒のレストランなどを除き大半が開店しておらず、にぎわいからは程遠かった。
碧桂園もデフォルト危機フォレストシティー計画は完全頓挫か
中国の不動産開発大手である恒大集団は実質的にデフォルト(債務不履行)に陥った。碧桂園は恒大の4倍に匹敵するプロジェクトを抱えているともいわれる。碧桂園の経営危機がさらに深刻化すれば、フォレストシティー計画の息の根を止めてしまうかもしれない。
マレーシア政府は特区構想を強化することで挽回したがっているが、中国本土の富裕層が習政権から規制をかけられたままでは、思うようにはいかないだろう。中国の景気低迷が長期化すれば、物件オーナーの投げ売りは加速し、フォレストシティーのゴーストタウン化はさらに進むことになるはずだ。
「債務不履行の可能性」 中国不動産大手、外貨建て
共同通信社 によるストーリー •1 日
【北京共同】経営危機に陥っている中国の不動産大手、碧桂園は10日、外貨建て債務の支払いに関し「期限内に履行できない可能性がある」と発表した。一部の香港ドル建て債務の返済ができていないとも明らかにした。
碧桂園は「手元資金が減少を続けている」と表明。「現在の市場環境では短期間に十分な額の現金を補充することは困難だ」とした。
返済期限を過ぎた4億7千万香港ドル(約90億円)の債務については、返済が遅れていると説明。「債権者が義務の早期履行を要求したり、強制執行に出たりする可能性がある」との懸念も示した。
中国不動産最大手の碧桂園、外貨建て債務「期限内に返済できない」
朝日新聞社 によるストーリー •1 日
経営危機に陥っている中国不動産最大手の碧桂園は10日、全ての外貨建て債務について期限内に返済できない見通しだと明らかにした。「業界の事業環境に明らかな改善が見られない中、短期的な資金の流動性は厳しい状況が続いている」と説明。今後は「債権者には最も良い解決方法を定めるための時間をいただきたい」とし、支払い延期などの協議を進めたい考えを示した。
碧桂園、全てのオフショア債支払いは履行できない見込み-販売減
Pearl Liu、Wei Zhou によるストーリー •1 日
(ブルームバーグ): 中国不動産開発大手の碧桂園は10日、ドル建て債を含めたオフショア債務について、期限までに、または猶予期間内に支払い義務の全てに応じることはできない見通しだと発表した。同社初のデフォルト(債務不履行)につながる恐れがあるとの警告を強めるとともに、財務アドバイザーらを起用。同社が債務再編に向かっていることを最も強く示唆する形となった。実際に再編となれば、中国で最大級となる。
碧桂園は上場先の香港取引所への届け出で、「不払いとなった場合、当グループの債権者による関連債務の早期返済要求や強制措置の追求につながる恐れがある」と説明した。
中国の不動産債務危機の象徴となった同社は、「特定の負債下で」期限が到来した元本残高4億7000万香港ドル(約89億円)相当の支払いができていないことも明らかにした。
碧桂園は先月、ドル建て債2本の利払いを当初の期限までに履行できず、猶予期間はそれぞれ10月17-18日、今月27日に終了する。ブルームバーグの集計データによれば、同社のオフショア債発行残高は110億米ドル(約1兆6300億円)に上る。
碧桂園のドル建て債保有者、まだ利払い受けず-30日間の猶予あり
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアクレジットストラテジスト、ティン・モン氏は碧桂園の今回の届け出について、「オフショア債保有者に対して今後の再編案を承認する圧力になるかもしれない」と指摘。「多くの未完工プロジェクトが残り、新たな資金調達アクセスも限られており、同社はなお明らかに資金繰り難にある」と話す。
碧桂園は10日、9月の契約販売が前年同月比81%減少したと発表。同社の債務問題が潜在的な住宅購入者の信頼感に影響を及ぼしていることを示唆している。販売の落ち込みは大きくなっており、6、7両月に50%超の減少となった後、8月は72%減とさらにマイナス幅が広がった。
碧桂園のドル建て債は額面1ドルに対して5-7セントの気配となっており、最終的に債務再編となった場合、ほとんど回収が見込めないと債権者が考えていることを示している。
ANZのモン氏は、先月が当初期限だったドル建て債利払いについては猶予期間内に実行されることが基本シナリオだと説明。ブルームバーグがまとめたデータによると、9月27日が期日だった2024年償還債の利息が4000万ドル、先月18日が事実上の期限だった25年償還債の利払いは1540万ドルに上る。
碧桂園はグループの資本構造や流動性を検証し、包括的な解決策を策定するため、中国国際金融(CICC)香港証券とフーリハン・ローキー(チャイナ)を共同財務アドバイザーに、シドリーオースティンを法務アドバイザーにそれぞれ起用すると公表した。
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原題:Country Garden Signals Default, Hires Advisers as Sales Plunge(抜粋)--取材協力:Felix Tam、Alfred Liu.
(市場関係者のコメントなどを追加し更新します)
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©2023 Bloomberg L.P.
中国碧桂園の債務問題、潜む不動産不況リスク
Jacky Wong によるストーリー •3 時間
まだ倒れていない中国の民間不動産開発最大手も、間もなくひざまずくことになりそうだ。
それだけで中国の債務危機に発展することはないだろう。しかし、住宅市場の底入れを狙う政府の一貫しない取り組みをむしばむ可能性があるのは確かだ。不動産業界の急降下によって銀行のバランスシートにダメージが蓄積すれば、経済の他の部門の安定化も困難になる恐れがある。
昨年の成約額が中国1位だった碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は10日、4億7000万香港ドル(約89億6000万円)の融資を返済できなかったことを受け、ドル建てその他の海外債務を期限内にすべて返済できない見込みだと明らかにした。同社は数カ月前から流動性の問題を指摘していたが、9月には期限を過ぎたドル建て債務の返済を30日間の猶予期間内になんとか完了していた。
今回の声明により、同じことが繰り返される可能性ははるかに低くなったように見える。ファクトセットによると、来年1月に満期を迎える碧桂園のドル建て社債は、額面のわずか7.7%で取引されている。また、以前の中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)のケースと同様、財務上の問題は悪循環に陥っている。住宅購入者の足が遠のき、債務返済に必要な現金がさらに流出するという構図だ。碧桂園の9月の成約額は、前年同月比81%減という衝撃的な数字だった。
碧桂園は少し前まで財務が比較的健全な不動産開発業者の一つと考えられていただけに、その衰退の持つ意味は大きい。2019年の売上高は中国恒大と同程度だったが、負債ははるかに少ない。6月時点の純負債(債券、銀行融資を含む)は碧桂園が1460億元(約2兆9800億円)、中国恒大が6180億元だった(S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス調べ)。
中国恒大が先月、海外債務の再編計画を破棄したばかりのタイミングでもあり、このことは債券市場を神経質にさせるかもしれない。しかしより重大なのは、一見堅実だった不動産開発大手が破綻の様相を示していることにより、すでに弱い住宅市場の信頼感がまた打撃を受け、他の民間不動産業者が抱える負債の問題が解決しにくくなることだ。
8月下旬以降、中国の多くの都市が支援策を打ち出しているにもかかわらず、不動産販売は低迷が続いている。また、碧桂園には約6030億元の契約負債がある。大半は販売済みだがまだ購入者に引き渡されていないマンション物件だ。
碧桂園に特殊な脆弱(ぜいじゃく)性があるのも事実だ。中でも、市場低迷が深刻な比較的小規模の都市で積極的に事業を拡大してきたことは大きく、2023年1-6月期の成約額の約63%がいわゆる第3、4級都市でのものだった。
中国銀行システム内の碧桂園への直接的なエクスポージャーも、対応可能な範囲に見える。しかし、中国国内の金融機関による不動産開発業界に対する融資残高は、6月時点で5兆3000億元と、全体の約6%に上っている。中国恒大の破綻に加え、碧桂園の見通しが悪化したことで、この貸出債権の相当部分が最終的に貸倒損失となる可能性が大幅に高まっている。これは商業銀行の純金利マージンが過去最低水準に近づいている中での出来事でもある。
AFPBB News
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さらにサプライヤーへの波及効果も考えられる。販売が枯渇するにつれ、不動産開発業者は建設、資材会社への支払いが難しくなっている。調査会社ガベカルによると、碧桂園の買掛金は6月時点で約2020億元。中国の上場不動産開発業者が抱えるサプライヤーへの買掛金は合計3兆4000億元に上っている。
ガベカルによると、鉄鋼やセメント会社などへの支払いがすでに遅れており、これら業界の運転資金約1兆元に制約がかかっている。今のところ重工業部門はまだ何とかやっていけているようだ。不動産に関係する主要重工業部門の利益は、2023年半ばには利払いの約6倍あった。しかし、碧桂園など不動産開発大手の財務問題が深刻化すれば、それも細る可能性がある。
碧桂園の混乱は、中国の住宅市場の急降下がまだ終わりには程遠いことを改めて認識させる。銀行、家計、そしてもちろん経済全体も、何年にもわたってツケを払わされることになるだろう。
中国の地銀で取り付け騒ぎ、「札束タワー」で沈静化図る…きっかけはSNSの偽情報
2023/10/13 11:22
【滄州(中国河北省)=山下福太郎】中国の不動産開発大手・中国恒大集団の経営危機を受けて、河北省滄州市の地方銀行「滄州銀行」で取り付け騒ぎが起きた。同行が恒大に34億元(約690億円)を融資しているとの偽情報がSNS上で拡散したことが原因とみられ、8日以降、恒大が破綻すれば自分の預金が引き出せなくなると懸念する預金者が店舗に殺到した。
SNSには恒大に融資する他行のリストも投稿されている。滄州銀行は、実際の融資額は10分の1の3・46億元だと発表し、沈静化を図っている。
13日午前、滄州市中心部の支店では、資金繰りに不安がないことを強調するため、窓口の内側には100元札が1メートルほどの高さに積み上げられていた。
来店客はまばらだったが、警備員が10人近く配置され、入り口には「滄州銀行は健全な経営を堅持している。預金はすべて保護される」とする9日付の当局の文書も掲示されていた。地元政府も騒ぎの拡大を強く警戒しているとみられる。
支店を訪れた50歳代の男性は「銀行も政府も信用できない。自分で身を守るしかない」と不安げに話した。
中国の地方銀行で取り付け騒ぎ 顧客の不安解消のため店内に「現金の壁」
2023年10月12日(木) 17:13
経営危機に陥っている中国の不動産大手「恒大集団」に融資をしている銀行のリストとされる情報がインターネット上で拡散し、名前が掲載された河北省の地方銀行で、取り付け騒ぎが起きました。
中国メディアによりますと、今月7日、河北省の地方銀行に預金の引き出しを求めて、顧客がおしかける取り付け騒ぎが起きたということです。原因は、ネット上で拡散した「恒大集団」への“融資銀行リスト”にこの銀行名が掲載されていたためです。
この銀行からの融資額が、およそ30億元、日本円でおよそ600億円とされていたことから、不安に感じた預金者らがおしかけたものとみられます。
しかし、銀行側は「ネット上の情報は著しく不正確で、実際の融資額はわずか3億4600万元だ」とするコメントを発表。顧客の不安を解消するため店内に人民元の札束の山を築いて見せるなどしたということです。
公安当局が情報を流した人を拘束しているといい、中国メディアは「銀行が破綻しても預金の返済は保証される。預金者はまずは落ち着いて考えるべきだ」と呼びかけています。
参考文献・参考資料
中国不動産バブル崩壊の余波「15兆円投資計画→ゴーストタウン」潜入ルポ【写真多数】 (msn.com)
「債務不履行の可能性」 中国不動産大手、外貨建て (msn.com)
中国不動産最大手の碧桂園、外貨建て債務「期限内に返済できない」 (msn.com)
碧桂園、全てのオフショア債支払いは履行できない見込み-販売減 (msn.com)
中国碧桂園の債務問題、潜む不動産不況リスク (msn.com)
中国の地銀で取り付け騒ぎ、「札束タワー」で沈静化図る…きっかけはSNSの偽情報 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
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