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政治(防衛)講座ⅴ542「中国は台湾・尖閣・沖縄を狙い、ロシアは北海道を狙っている。」

この事件は「氷山の一角」である。無法国家へ突き進んでいる事件であろう。カントリーリスク最大の国であろう。日本の国民の財産・生命・領土・領海を守る体制を早く整えなければ、「泥棒が入ってから縄を編む」ことになる。報道記事から日本の防衛を考えよう。大手メデアは中国の闇の部分を報道でずに中国のプロパガンダに乗った報道に終始している、嘆かわしい。中国は着々と台湾・尖閣・沖縄へ侵攻準備をしている。日本は今何をすべきかを平和ボケした国民に問う。

         皇紀2682年11月3日
         さいたま市桜区
         政治研究者 田村 司

中国漁船が急旋回して米沿岸警備隊の船に突進=「筆舌に尽くしがたい行為」も―台湾メディア

Record China 2022/11/02 16:45

© Record China


台湾メディアの中央社は1日、今年8月にナンシー・ペロシ米下院議長が訪台したことに中国が反発してミサイルで威嚇するに至ったが、その時、太平洋のもう一方の片隅では中国漁船と米沿岸警備隊がにらみ合う事件が起きていたと報じた。

記事はAP通信の報道を引用し、「エクアドルのガラパゴス諸島にほど近い公海上でイカを捕獲していた数百隻の中国漁船に対し、米沿岸警備隊が違法性がないか検査するために近づいた」とした上で、「これは合法的な行為だったが、数隻の中国漁船は思わぬ行動を取った。3隻が急発進し、1隻は急旋回して沿岸警備隊の船に突進してきた」と説明した。

そして、「このような対抗行為は国際海洋法条約に違反するもので、非常に危険なものだ」と批判。「米国はこのほど中国漁船への懸念が日増しに高まる南米各国と協力、沿岸警備隊が太平洋東部で違法漁業を取り締まるのは初めてだった。米国側はこの件が不穏な先例になったとみている」と伝えた。

記事によると、同海域では中国国旗を掲げた漁船が数カ月にわたって漁を行っており、その数は2009年以降、8倍に増えている。また、これらの漁船によるイカの漁獲量は7万トンから42万2000トンに増えた。一部の専門家は、例え繁殖力の強い種類であってもこのペースでは漁獲量を保てなくなるかもしれないと懸念しているという。

記事はこのほか、AP通信などの調査で中国漁船には違法操業や海洋法条約違反、船員への虐待など「筆舌に尽くしがたい行為」が行われていることが明らかになったと指摘。「中国漁船は中国近海の資源を取り尽くし、今では米国大陸周辺の開けた海域で漁を行うようになっている」と伝えた。(翻訳・編集/北田)


事件から10年、尖閣沖「特攻漁船」船長の末路突撃取材で明らかになった意外すぎる真実

青沼 陽一郎 : 作家・ジャーナリスト 著者フォロー

2020/09/07 11:30

沖縄・尖閣諸島沖で海上保安庁巡視船に中国漁船が衝突する状況を記録した映像(写真:時事 国会に提出された動画より)

「日本の船から俺の船にぶつかってきたんだ! 俺の船からぶつかったのではない。それなのに、日本側はこっちからぶつかっていったと言い張って。日本の取調官の2人のいばり腐った態度はひどすぎた。威圧的で、怖かった」

沖縄県の尖閣諸島沖で、中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に体当たりした事件から、9月7日でちょうど10年になる。

事件発生の3カ月後、私は帰国した船長を追いかけ、彼の自宅で話を聞いている。その場でも、体当たりを仕掛けてきたのは日本の巡視船だった、と強く主張していた

この事件を契機に、日中の国交が正常化してもずっと棚上げされていた尖閣諸島をめぐる領土問題が顕在化。2012年に日本が国有化してからは、中国の反発は一層激しくなった。

船長は何を語ったのか

習近平政権に移行してから海洋進出を強化してきた中国は、今年4月、かねて埋め立て、軍事拠点化してきた南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島、西沙(パラセル)諸島に、新たな行政区「南沙区」「西沙区」を設置。尖閣諸島周辺海域には、同月14日から8月2日まで111日連続で中国公船が現れ、日本の領海に繰り返し侵入している。

しかも5月8日には、領海に侵入した4隻の中国公船のうち2隻が、日本の漁船を追いかけ回す“事件”も発生している

緊張の続く尖閣諸島。そこに火をつけた10年前の事件。中国漁船の船長は逮捕・送検されたが、中国側の圧力もあって、拘留期間延期中の9月24日に那覇地検は処分保留で急遽、釈放している。「取調官の2人」とは、那覇地検の検事のことだ。
「とにかく、取り調べにあたったあの2人ときたら……」

当時の船長はトラウマを背負ったように、取り調べの話にこだわり、あからさまに嫌な顔をして、不機嫌になった。相当、気に食わなかったらしい。

「あの2人は、日本でもそのうち殴り殺されるんじゃないか。あの2人がひどいことをするから、中国と日本の関係も悪くなったんだ。両国の損失だよ」

そこまで言っていた。

ガラリと変わった船長の暮らし

船長が暮らすのは、経済特区として知られる厦門(アモイ)から、車で北に2時間ほど行った福建省の港町だった。車も通れなくなるほどに建物が密集した路地を入った、石造りの3階建ての家。分厚い眼鏡に杖をついて歩く船長の母と、ショッキングピンクのスウェット上下を着込んだ妻に出迎えられて、2階の部屋に通された。

そこは20畳ほどのリビングスペースになっていて、隅にソファーセットが置かれていた。そこですぐに目についたのは、大型の薄型テレビの脇に飾られた大きな旗だった。

臙脂色の下地に金文字が書き込まれている。その右肩に「贈」とあって船長の名前が見え、そして中央に大きくこうあった。

中華民族英雄」

送り主と日付は「一中国百姓 二〇一〇年十月一日」とある。「百姓」とは庶民のこと。10月1日は国慶節にあたり、中華人民共和国の建国式典が行われる。船長が航空機で本国に戻ったのは、9月27日だった。打ち上げ花火とブラスバンドの出迎えがあり、まさに英雄としての待遇だった。

ほどなく階段を上って、黒いジャンパーに濃いグレーのセーター、黒い細みデニムに真っ白なスポーツシューズの船長が現れた。

彼はL字に組み合わさったソファーの角に、私と膝を突き合わせるように座った。茶の産地として知られる福建省では、茶碗で煎れたお茶をおちょこのような小さな器に分けてたしなむ習慣がある。彼は手慣れた手つきで私に茶を振る舞い、ポケットからタバコを出して勧めてきた。

こんな昼間に家にいる。だから尋ねた。仕事はどうしているのか。
「仕事には、出ていない」

ぶっきらぼうに答えた。そして、すぐに言った。

「政府の人がすぐに来る。私はそれまでお茶を煎れているだけだ」

どうやら、政府の人間に気兼ねして、私との会話には乗り気ではないようだった。ところが、そのあとに日本での取り調べについて聞くと、そこでスイッチが入ったように、怒気を込めて話し始めた。

「もともとは小さいことだったのに、それがこんなに大きくなった」

そして、冒頭の話につながる。ぶつかってきたのは日本の船だ。そして、火をつけようとしていたタバコとライターを左右の手に持って、「このように向こうが曲がってきたんだ」と、熱く状況を説明する。

「もっと言わせてもらえば、私の船には魚を捕るために必要な許可証からあらゆる書類が全部あった。それなのに解放しようとしない。でも、共産党は強いから、最後には釈放されたんだ」

10年前から漁をしていたと主張

そこまで言うので、私はこう尋ねた。あそこは、中国の領土だと思っているのですか?

「もちろんだ!」

即答だった。そして続ける。

「ただ、俺たちは魚を捕るだけの漁師。政治や時事のことに関心はない。だから、向こうの船が叫べば、すぐに引き返す。それなのに、周りをぐるぐる回って、わざと阻止するんだから。この村の人は昔から役人が嫌いなんだ。警告されただけですぐに引き返すよ」

当時の日本は民主党政権下。それまでの自民党政権では、領海に入った中国漁船は違法操業だろうと、とにかく追い返せ、という指示が出ていた。それが民主党政権になって曖昧になった。そう政府関係者から聞いたのは、これよりもっとあとのことだった。

「どっちにしても、俺たちはあそこから離れたんだ。あんな場所で撃たれたくはないから。向こうの船は大きいし、銃に大砲もある。威圧感もあるし、スピードも速い。こっちはただの魚を捕る船なんだ。あんなに近いと、ぶつかることが心配。例えば、小型乗用車と大型トラックのように。俺たちは潰されちゃうよ」

10年も前から、毎年8月と9月には、あの海域で漁を続けていた、という。いったい、なにが捕れるのか尋ねると、

「剥皮魚」

と、言った。カワハギのことらしい。
そこへ黒のスリムパンツ姿の若い女性が階段を上って入ってきた。東京にもいそうな小柄な女の子で、笑顔が可愛らしい。思わず、娘さんですか、と船長に尋ねると、厳しい顔で「違う。政府の役人だ」と言った。共産党の地元の役員であると知ったのは、私が解放されてからだ。

彼女は椅子を持ってきて、船長の向かいに座ると、親しそうに話を始めた。それから私にパスポートの提示を求めた。彼女はパスポート番号を紙に写し始める。

そこへ緑色の制服をまとった男が2人、階段を上ってやってきた。武装警察官だ。一人は、女性の隣に椅子を並べて座ると、やはりパスポートの提示を求めた。笑みはない。そして、あれやこれや厳しい口調で尋問してきた。

緊張が走る。その間に、私の隣にいた船長は席を立ってどこかへ行ってしまった。もう一人の警官は家族と話をしている。

ひととおりの尋問を終えて、警官は立ち上がってこちらに近づき、急に笑顔をつくって言うのだった。

「彼に接触する人はみんなパスポート番号をチェックする。あなただけ特別なことではないですよ。さあ、これであなたは自由です。話をしてもらってかまいません。ですが、奥さんがこう言っています」

その言葉を受けて、芝居じみたように船長の妻が言った。

「夫はもうどこかへ行ってしまいました。もう、話したくないと言っています」

筆者も受けた取り調べの不条理

日本の巡視船に体当たりをして、中国の領有権を主張した中国の英雄。彼は帰国して3カ月が経っても、仕事にも出してもらえず、政府の監視下に置かれた、事実上の軟禁状態にあった。

その後の中国はもっと取り締まりが厳しくなった。私もあれから5年後に中国国内で拘束され、取り調べを受ける経験をした。同情するつもりはないが、船長が取り調べの鬱憤を語りたくなる気持ちが、今ではわかる気がする。今年も8月16日に中国の禁漁期間が明けると、尖閣諸島周辺に膨大な数の中国漁船が現れて操業を行っているという。だが、そこにカワハギを獲るあの船長の姿があるかどうかは、不明である。

尖閣「中国漁船衝突」から10年 映像を投稿した元海保「一色正春氏」に訊く

国内 社会

2020年09月21日

尖閣諸島で最大の島、魚釣島「国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省」(他の写真を見る)

日中関係を語る

 尖閣諸島周辺で「中国漁船衝突事件」が発生したのは2010年9月7日。あれからちょうど10年が経過した。事件から約2か月後の11月、衝突動画をYouTubeに投稿した一色正春氏(53)に、デイリー新潮はインタビューを申し込み、この10年を振り返ってもらった。

 早速、インタビューの内容をお伝えしたいのだが、まずは改めて事件を振り返ろう。

 10年9月7日、尖閣諸島付近の日本領海内で海上保安庁の巡視船が、違法操業中の中国漁船に退去勧告を行ったところ漁船は故意に衝突。2隻の巡視船を損傷させた。

 海保は船長を公務執行妨害で逮捕し、那覇地検石垣支部に送検。船長以外の船員と漁船を石垣港に回航させ、事情聴取を行った。

 これに中国政府は激しく反発、船長と船員の即時釈放を要求した。日本政府は重要参考人の船員を帰国させ、重要証拠であり法令上は没収も可能だった漁船も引き渡した。

 その一方で、船長は起訴の方針を固め勾留延長を決定。これに中国はレアアースの輸出制限や在中日本人を拘束するなどの報復措置を行った。

 すると突然、那覇地検は船長を処分保留で釈放すると発表。9月25日に船長は石垣空港からチャーター機で帰国した。

 11月4日、漁船が故意に衝突する場面などを収めた44分間の動画がYouTubeに投稿された。瞬く間にインターネット上を情報が駆け巡った

今も中国は“挑発”

 翌5日からテレビニュースなどが大きく報道する中、海保は国家公務員法守秘義務違反などの容疑で警視庁と東京地検に刑事告発を行った。

 11月10日、海上保安官だった一色氏が「自分が映像を流出させた」と上司に報告。12月に辞職届が受理され、国家公務員法違反容疑で書類送検された。翌11年1月に起訴猶予処分となった。

 一色氏に「改めて、この10年を振り返ってみて下さい」と依頼したのは、今も中国側の“挑発”が全く止まらないからだ。

 共同通信の電子版が8月2日に配信した「尖閣周辺で中国船一時航行 111日連続、最長更新」の記事を引用させていただこう。

《沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。4隻とも同日朝に域外へ出た。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは111日連続で、2012年9月の尖閣諸島国有化以降で最長の連続日数を更新した》

ネットの恩恵

 一色氏は、「この10年間、私たちは中国の実情について、以前より比較的正確な情報を把握できるようになったはずです」と振り返る。

「『中国』と言うよりは、一党独裁で国の上に党があるのですから『中国共産党』の実情と言うべきかもしれません。中共は第二次世界大戦後、他国を侵略して領土を拡大してきた唯一の国です」

国共内戦に勝利した彼らは、南モンゴル、チベット、東トルキスタンを侵略併合しただけではなく、朝鮮戦争、中印国境紛争、中ソ国境紛争、中越戦争、南シナ海での勢力拡大など、一貫して隣国への武力行使を続けてきました。しかし、日本のメディアがそうした中共の実態を報じてきたのかというと、否としか言えません」(同・一色氏)

 1964年、朝日新聞、共同通信、NHKなど日本の大手メディアは、中国と記者交換協定を結んだ。これに一色氏は注目している。

 協定によって各社は北京特派員の“枠”を手に入れたが、交換条件として遵守を求められたのは【1】中国を敵視しない、【2】2つの中国を作る陰謀に加担しない、【3】両国の関係正常化を妨げない──の3項目だった。

 この協定に基づいたものかは不明だが、日本人記者が国外退去処分を受けたケースは複数、存在する

弱腰の大手メディア

 2006年になって枠は消滅し、日中記者交換協定も存在しなくなったと報じたメディアもある。だが一色氏は日本における大手メディアの報道姿勢を疑問視する。

「当時も今も、日本の大手メディアが好んで報じるのは基本的に日中友好という文脈の提灯記事が大半で、その傾向は概ね変わっていないと感じています。しかし我々は今、インターネットというツールによって中国共産党が何をしているか把握できます」

ウィグルで100万人以上の罪のない人々が収容所に入れられ、女性に対して強制的に不妊手術を行っていることも日本のメディアを通さず知ることができるようになりました」(同)

 同様にして、南モンゴルやチベットなどで、どれだけ中国共産党が人権を抑圧しているかも知ることが可能だ。

その事実を知ってしまうと、大手メディアの欺瞞が良くわかります。彼らは日ごろ『国民の知る権利に応えなければいけない』と言いますが、それに相応しい報道を行っているかと言えば、はなはだ疑問に感じざるを得ません」(同)

中国は逆説の“法治国家”

 今も尖閣諸島の状況は大手メディアが報じているわけだが、様々な問題が指摘できるという。一色氏が言う。

「例えば共同通信やNHKという大手メディアは『111日連続で接続水域を航行した』という記事を配信するわけですが、イチローが連続ヒットの記録を更新したという報道とあまり変わらないように思えます」

「少なくとも私は『111日』という日数を報じるより、大手メディアは航空機や船を使って現場に行き、尖閣諸島でどんな船が航行しているか、映像や写真で見せることのほうがよほど報じる価値のあるニュースだと思います」(同)

 一色氏は「皮肉なことですが、尖閣を巡る政策に関しては、日本より中共のほうが“法治国家”の名にふさわしいと思います」と苦笑する。

中国共産党は1992年、尖閣諸島は自国の領土だと明記した『中華人民共和国領海および接続水域法』を採択公布しました。それに対して日本政府は抗議しないどころか、同年10月に現在の上皇上皇后両陛下が初めて中共をご訪問されるという形で応えました

グランドデザインなき日本

 一色氏の指摘を続けよう。

「更に2009年12月、中共は離島の管理強化などを定めた『海島保護法』を公布しました。無人島の所有権は国家にあると規定し、その管理は軍が行うことを明文化したのです。ちなみに、この時も日本政府は抗議を行わず、大手マスコミも大きく報じることはありませんでした」(同)

 中国共産党は尖閣諸島に中国人民解放軍が占領、駐留する法的根拠を整備したことになる。そして諸島付近の海域を航行する武装巡視船も、この法令に従って行動している。

ひるがえって、わが国はどうでしょうか。尖閣諸島が日本国の領土であると定めた国内法はなく、維持管理を誰が行うのかも法令で明確に定めていません。まして、わが国の領海を脅かしている武装巡視船や海軍艦船に対し、明確に対応する法律は、最後の手段である『防衛出動』しか存在しないのが現実です」(同)

 接続水域に武装巡視船などが出現すれば、海上保安庁の巡視船が対応しているが、国内法には他国の公船に対応する規定はない

日本は対処療法

 海保は抽象的な任務規定の解釈で運用しているのが実態で、基本は国際法が根拠だ。

防衛出動も様々な制約があります。そもそも、わが国は他国が侵略してくることを想定していません。最高法規である日本国憲法前文には『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と謳われており、自分の国は自分で守るという、ごく当たり前のことが否定されているのです」(同)

 ならば、この10年間、日本政府は無為無策だったのかと言えば、そんなことはないという。

石垣や宮古の巡視船艇の数を増やしたり、沖縄県警に国境離島警備隊を発足させたり、南西諸島の自衛隊を強化したり、と様々な対応策を講じています。とはいえ、これらは付け焼き刃的というか、対処療法でしかないのも事実です」(同)

中共が強硬手段を講じたらどうするのか、軍拡を続ける中共の海軍力にどう対峙するのか、最終的にこの問題をどう解決するのか、といったグランドデザインが描けているのか疑問です」(同)

 中国共産党が何十年もかけ、じわじわと“尖閣諸島の実効支配”を目指しているのと比較すれば、日本の対応は「お粗末としか言いようがない」と一色氏は指摘する。

日本人の覚悟

 日本人にとって重要なのは、第二次世界大戦の“戦訓”だという。

「なぜ日本は第二次世界大戦に敗れたのでしょうか。例えば大陸の戦線は終戦時まで、決して劣勢に立たされませんでした。一方、太平洋ではサイパン、硫黄島、沖縄といった要衝が次々に奪われました。つまり日本はシーレーンを壊滅的に破壊されたことで、原油や鉱物といった戦略物資の輸送が不可能となり、ポツダム宣言を受諾したのです

 一色氏によると、現在の日本海運の担い手は外国人船員が大半を占める有事の際、外国人船員が日本のため、命をかけて物資を運んでくれるのか、真剣に考えなければいけない問題だという。だが、多くの日本人は問題自体の存在を知らない

 その一方で、中国共産党は着々と法整備を進め、海軍力を増強し、外洋の膨張主義を公言してはばからない。端的に言えば、中共は台湾と沖縄を常に軍事的な視線で見つめている

「日本人に必要なのは覚悟です。他国の侵略を跳ね返すためには、自らが血を流してでも他国に屈しないという覚悟です。そのためには憲法9条の改正や核武装という十数年前には議論することすらはばかられていた問題に対し、逃げずに立ち向かわなければなりません

イージスアショア

 日本に隣接する核保有国はアメリカ、ロシア、そして中国と北朝鮮だ。そのうち、アメリカを除く3か国との外交関係は決して安定していない。

「原水爆の禁止が崇高な理念であることは否定しませんが、何よりも大事なことは、日本国内で核兵器が二度と使用されないことです。そのためには核保有も含めて国民の広範な議論が必要なのですが、肝心の政治家がこの問題から逃げていることが残念でなりません」(同)

 一色氏は、そもそも“核の傘”や“国際世論”という言葉に疑問を持つと言う。

北朝鮮や中共が日本に核ミサイルを発射したとします。自国に甚大な被害が生じるとしても、アメリカは果たして日本のために核ミサイルで報復してくれるのでしょうか。普通に考えれば、他国のために自国を危機にさらす国などありません」

 日米安保に依然として信頼を置く有権者を、一色氏は「ナイーブ」と指摘する。

ウイグルやチベット、南モンゴルや香港で中国共産党は凄まじい人権侵害を行っていますが、被害者を救うためにアメリカが中共と戦争を始めるとは思えません

侵略に屈しない日本

 一色氏の指摘を続ける。

「また国際世論を考えれば、中共が核ミサイルを発射するなどあり得ない主張する人もいます。しかしながら、香港の問題で国際世論がどれだけ中共を批判しても、彼らは馬耳東風、核心的利益に関しては国際世論を聞く耳を持ちません

 現在の国際社会は、力のある国家による支配が横行している。

「その事実を冷静に直視すれば、日本が核ミサイルを撃たれないためには、我々も核ミサイルを持つというのが現実的な考え方ではないでしょうか

 今年6月、河野太郎防衛大臣(57)は、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の停止を表明した。

 一色氏は、この決定を「国を防衛するということを、どのように考えているのでしょうか」と憤る。

「計画を停止する理由として挙げられたのは、ブースターが住宅街に落下する危険性を除去できなかったというものでしたが、率直に言って、全く信じられません」

私は楽観的な人間

 一色氏は「核ミサイルが日本に発射されたという状況ほど、緊急を要する事態はないはずです」と言う。

「核弾頭が日本国内で爆発すれば、どれだけの人命が失われるかは言うまでもありません。一方、迎撃ミサイルの1段目ブースターが住宅街に落下しても、被害がない可能性のほうが高く、たとえ被害があっても核爆発の被害に比べるとごく僅かでしょう

「ひょっとする本当は別の理由で中止したのかもしれませんが、いずれにしても、あまりにも些末な問題にこだわっているとしか思えません」(同)

 だが、一色氏は「国会の論戦に絶望することもありますが、基本的に私は楽観的な人間です」とも言う。

「国会の議論は聞いて呆れる内容が多く、安倍政権の方針に疑問を抱いたこともあります。国民の大半が平和ボケ、マスコミや政官財の各所に反日勢力が浸透していると思われる現状に鑑みれば絶望したくなりますが、それでも私は日本という祖国を信じます

我が国の2000年以上の歴史の中には、今以上の危機もあったでしょう。江戸末期、アジア諸国が次々と欧米に侵略されていった時や、世界最大の陸軍国との戦争、とりわけ先の大戦に破れた直後は国家存亡の危機と言っても過言ではありませんでした。それでも立ち上がった日本という国と日本人を私は信じています」(同)

週刊新潮WEB取材班 2020年9月21日掲載

参考文献・参考資料

中国漁船が急旋回して米沿岸警備隊の船に突進=「筆舌に尽くしがたい行為」も―台湾メディア (msn.com)

日本青年社 巡視船と中国漁船の衝突事件(9月7日)に関する経緯 (seinensya.org)

事件から10年、尖閣沖「特攻漁船」船長の末路 | 中国・台湾 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

日中対峙の尖閣海域:「海警船」に立ち向かう海保巡視船 | nippon.com

尖閣「中国漁船衝突」から10年 映像を投稿した元海保「一色正春氏」に訊く | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

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