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政治講座ⅴ1921「経済効率の悪い中国、これが社会主義国家」

 通常、資本主義では需要と供給、しかも、需要は欲しい・必要などの理由だけではなく、購入資金の裏付けがあるかで「有効需要」という概念で決まる。旧ソ連が経済破綻を起こしたのは軍需産業や国家威信としての宇宙開発や核開発など国の自然資源(石油・石炭・天然ガス)や人財資源の無駄遣いである。同様に中国共産党も旧ソ連同様に資本家や資産家やらの土地・財産の略奪で国家の財産を取得した経過から財産を大事にしない風潮である。汗と涙の国民の財産を略奪して、つまり、革命と称して国民から財産を暴力の略奪で巻き上げたのである。そして、そのような国家が運用する経済は上手く行く訳がなかったのである。毛沢東の大躍進政策は4000万人餓死の犠牲者を出したのは、大躍進政策は戦後の中国経済を復興させるために始められた、第一次五カ年計画の成功を受けて、第二次五カ年計画として構想されたものでした。

ソ連型の第一次五カ年計画の問題点を修正し、毛沢東思想による大衆路線の経済復興を目指したこの政策において、重要な役割を果たしたのが、人民公社である。

しかし、人民公社にも問題点はあり、地方ごとの経済格差が広がっただけでなく、鉄鋼生産運動や四害駆除運動によって農村は荒廃し、大飢饉を引き起こします。結果的に、この政策は失敗とされ、政策を推進した毛沢東の失脚を招くことになったのである。その後に民主化運動を鄧小平が弾圧した天安門事件で世界から孤立化する中国に手を指しのべたのが日本である。鄧小平の改革開放路線への経済協力に日本企業は三顧の礼で迎えられたが、その後GDP世界2位まで経済繁栄したが、習近平政権になってから毛沢東政権時代に祖先返りして共産主義経済に回帰したのが、経済不振の要因の一つである。意図的に中国が資源・食料品の在庫を積み上げているならば、西側との経済のデカップリングを意図して独自の経済圏を作ろうとしているともとれる。過剰マンションなどもそのような構想の一環とも考えられるのである。そして、米国債を売却して金塊を買い占めているのもその一環であると考えることができるのである。国民の生活の消費や雇用を犠牲にしての資源の在庫というその構想は「一帯一路」の失敗と同様に杞憂に終わるのかもしれない。呵々!
今回は現在の中国の経済破綻の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年9月4日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国で爆発的に膨らむ商品在庫、景気不振の深刻さ表す

Bloomberg News

2024年9月2日 15:35 JST

  • 世界の銅在庫の9割強原油の25%近く、主食用作物の半分余り保有

  • 好況期も在庫は膨大、品不足回避を政府が重視している証し

中国で石炭や原油など主要商品の在庫が積み上がっている。経済活動がなお弱く鉄鋼や大豆などさまざまな商品価格を押し下げている余剰の解消に至っていないことが浮き彫りになっている。

  中国政府の成長率目標は達成がますます難しくなっているように見受けられ、世界最大の商品輸入国である中国向けに供給している掘削企業や鉱山会社農家にとっては歓迎できない事態だ。

  在庫急増は、コロナ禍後の景気不振によって一部トレーダーが窮地に陥ったことを示唆している可能性がある。中国経済が従来型から新しい形に移行する度合いを過小評価していたトレーダーもいるとも考えられる。

  もっとも、こうした在庫国内の工場や市民を品不足から守ることを中国政府が重視している証しでもある。好況期でも中国の在庫は膨大だ。JPモルガン・チェースの調査によれば、中国は世界の銅在庫の9割強原油の25%近くトウモロコシや小麦などの主食用作物の半分余りを保有する。

  中国の消費と産業活動が低迷しているのは間違いない。だが、どんな状況でも国家として十分な在庫を確保する使命がある中国の国有輸入業者は、購入のタイミングを間違えてもさほど悩まない可能性がある

  2021年と22年の電力不足をきっかけに、中国のエネルギー安全保障にあらためて目が向けられた。これに対応するため政府は主要な燃料である石炭の生産を拡大し、輸入を記録的な水準を押し上げた。

習近平の中国で「消費崩壊」の驚くべき実態…!上海、北京ですら、外食産業利益9割減の衝撃!

石 平(評論家) によるストーリー

引き続き低落、「繁栄の」上海の消費

中国の各地方のなかで、上海と北京が域内GDPの国内第一位と第二位を占めている。この二つの直轄市は深圳や広州を抜いて、中国きっての経済大都会であり、そして、かつての「中国の繁栄」の象徴である。しかし今、中国を代表するこの二大都市では、「消費崩壊」とも言うべき深刻な事態が起きている。

by Gettyimages© 現代ビジネス

まず上海の場合、7月23日の上海市統計局が公表によると、6月の上海市全体の小売総額は前年同期比では9%減であるという。そのうち、宿泊・外食関係売上総額は6.5%減、食料品売上総額は1.7%減、衣料品売上総額は5.0%減。そして日用品の売上総額となると、それは何と13.5%減となっているのである。

つまり今年6月、中国一の繁栄大都市である上海では、人々が外食を減らしているだけでなく、普段の日常生活においても文字通りの縮衣節食の生活に入り、文字通りの消費崩壊が現実に起きているのである。

北京の激烈な外食価格競争

そして上海だけではない。上海に次ぐ経済大都会である北京でも同じような現象が起きている。8月16日、北京統計局が発表したところでは、今年上半期の北京市全体の小売上総額は前年同期比0.8%減の微減となっている。だが、8月26日、同じ北京統計局が発表した外食産業に関する数字の一つは、人々に衝撃を与える全国的大ニュースとなった。

それによると、今年上半期、北京市内の外食産業では、一定規模以上(年商1000万元=2億円以上)の飲食店の利益総額は1.8億元(約367億円)であって、それは前年同期比では何と、88.8%減であるという。「利益約9割減」というはまさに驚異的な数字である。

7月に北京市統計局が発表した数字では、今年上半期において北京市外食産業全体の売上総額は637.1億元で前年同期比3.5%減となっている。外食産業全体の売上はそれほど減っていないが、その中で、一定規模以上飲食店の利益総額は約9割減であることが意味するのは、要するに、消費が沈没していく中で、北京市の外食産業は激しい価格競争に巻き込まれて、最低限の売上を維持するためには価格を無理やりに抑えて利益を徹底的に削るしかないところに追い込まれている、ということである。

これこそ未曾有の大不況の証拠

ここで示した「一定規模」、つまり年商1000万元という目安以上の規模の飲食店といえば、個人飲食店以外のちょっとした客収容数のあるレストランや居酒屋、そしてある程度の高級店がその中に含まれている。こうした飲食店が利益無視の「低価格路線」に走っていることは、要するに政府関係者・経営者・富裕層を含めた北京市民全体は金欠となって、「激安店」以外のちゃんとしたところでの外食を極力控えていることを示している。

中央官庁や大企業の本社が密集する北京でこのような現象が起きていること、そして昔から飲み食い第一主義の北京っ子はここまでに節約に走っていることはまさに驚きであるが、それはどう考えても、首都の北京でさえ、未曾有の大不況に陥っていることの証拠であろう。

そして上海と北京に起きている消費崩壊は、この二大都市の経済に大きな打撃を与えているだけでなく、中国経済全体にとってもかなり痛手となろう。上海と北京でさえ消費崩壊が現実に起きているのであれば、全国の消費市場がどれほどの大不況に陥っているかは推して知るべきである。

しかし、バブルの崩壊に伴って中国経済を支えてきた不動産開発という「支柱産業」がすでに崩れている中で、消費の崩壊が現実となっていれば、中国経済は文字通りの地獄へ落ちていくしかないのである。

中国は不動産バブル崩壊で「未完成ビル」と「売れ残り住宅」の山→政府当局が打ち出した“支援策”の裏にひそむ「重大な懸念点」【現地駐在員が解説】

7/15(月) 8:01配信

(※写真はイメージです/PIXTA)

2019年ころから始まった「中国不動産バブルの崩壊」は、2024年に入ったいまもなお深刻化しているといいます。いったいこの状況はいつまで続くのか、追い込まれた中国政府当局の打開策とは……東洋証券の上海駐在員事務所で所長を務める奥山要一郎氏が詳しく解説します。

中国にあふれる無数の未完成ビル

先日訪れた貴州省。省都の貴陽郊外で見かけたのは「爤尾楼(ランウェイロウ)」と呼ばれる無数の未完成ビルだった。建物の体を成しているものの、コンクリートがむき出しで、ふきっ晒しの窓枠が虚しい。マンションになるはずだった構造物が中途半端な状態で放置されている。これはいったい……。 中国で不動産の販売不振や在庫増加が社会問題化て久しい。政府当局は需要喚起や販売促進策を相次いで打ち出し、局面を打開しようとしている。

どうする「売れ残り住宅」…公表された「3つ」の市場支援策

4月30日開催の中国共産党の中央政治局会議では、不動産市場について「在庫の消化と供給の最適化に向けた措置を研究する必要がある」と強調された。
これを受け、中国人民銀行(中央銀行)が5月17日に市場支援策を公表。
(1)売れ残り住宅の買い上げ支援
(2)住宅ローンの頭金比率の引き下げ
(3)住宅ローン金利の下限廃止 の3点が中心となる。
(1)の買い上げ支援は、中国人民銀行による国有商業銀行など向けの再融資3,000億元が“原資”となる(実質的に5,000億元規模となる見通し)。 そして銀行から融資を受けた地方国有企業が合理的な価格で住宅を買い取り低・中所得層向けの保障性住宅に転換する方針だ
何立峰副首相は「経営難に直面する不動産デベロッパーの難局を助ける」と強調。「国による開発業者の救済策」と捉えられよう。
(2)は、住宅ローン金利の最低頭金比率を1軒目購入時で20→15%、2軒目で30→25%に引き下げる。23年9月に続く措置で、購入ハードルを低くした。
(3)の住宅ローン金利は、これまでの「1軒目は5年物ローンプライムレート(LPR)より0.2%低い水準」「2軒目は5年物LPRより0.2%高い水準」という規定を廃止する(5年物LPRは足元で3.95%)。 これについて中国人民銀行は、「商業銀行は顧客のリスク状況に応じて自主的に金利水準を決定することができ、住宅ローン金利の市場化が実現する」とした。

「リーマンより厳しい」中国不動産バブル崩壊の惨状、習近平政権の「ズレてる」政策で不況悪化か

真壁昭夫:多摩大学特別招聘教授

2024.9.3 7:00

写真はイメージです Photo:PIXTA

中国の不動産価格下落に歯止めがかからない。かつて中国の不動産投資はGDPの約29%に達した。
鉄鋼やセメント、建設機械や家電、自動車などの関連需要が増え、小売りや飲食、宿泊、交通などのサービス業も成長した。
地方政府も潤い、まさに不動産を中心に経済が好循環していた。
しかし、今はそれが逆回転している状況だ。
政府は国有・国営企業に補助金を出し、低価格のモノを大量生産して景気回復を試みている。が、中国宝武鋼鉄集団のトップは、「リーマンショック時よりも状況は厳しい」という。中国にまず必要な政策とは何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

中国の不動産バブル崩壊は
過去30年間で世界最大

 2020年8月、中国政府の不動産開発会社の借り入れ規制(3つのレッドライン)をきっかけに、中国の不動産市場に変調が発生した。そこから4年が経過したが、不動産価格の下落になかなか歯止めがかからない。7月にも新築の住宅価格が下落し、地方政府の財政悪化に対する懸念が高まっている。

 最近、国際通貨基金(IMF)は、「中国の不動産バブル崩壊は、過去30年間で世界最大レベル」と指摘した。
中国の大手デベロッパー恒大集団(エバーグランデ・グループ)の粉飾決算問題もあり、今のところ、不動産関連の債務規模の実体すらよく見えない。中国経済の停滞への懸念から、中国から脱出する個人や企業が増えている

 中国政府の政策も、人々の安心感を取り戻すには至っていない。不動産価格の下落に歯止めがかからないため、家計の節約志向は高まり個人消費は伸び悩み気味だ。また、政府が国有・国営企業の業容拡大を優先する結果鉄鋼業界などの主要分野で価格下落に拍車がかかっている。

 中長期的に、中国の人口は減少する。民間企業の生産性が向上しないと、中国経済の実力=潜在成長率は低下する。不良債権処理の先送り、国有企業重視の政策方針が変わらないと、不動産市況の悪化は鮮明化しデフレ圧力が高まることも考えられる。

中国地方政府、負債返済のため子供たちの給食費を横領…453億円に上る不正が明らかに

佐藤美穂 によるストーリー

中国地方政府、負債返済のため子供たちの給食費を横領…453億円に上る不正が明らかに

重大な負債危機に直面している中国の地方政府が、子供たちの給食費を横領し、借金の返済に使っていたことが確認された。

6月、香港のサウスチャイナモーニングポスト(SCMP)によると、中国全土の地方公務員たちが2021年から昨年まで、地方都市の学生向け給食補助金を最低でも22億元(約453億円)を横領したという。

全国人民代表大会常務委員会の会議で先週公開された国務院の監査報告によれば、100以上の地方小都市が不正行為に関与し、そのうち66地域が政府の負債と基本的な社会保障問題を解決するため約20億元(約411億円)を直接横領した。

他の41地方都市は、合計1533校の学校の給食基準を下げたり、購入履歴を操作したりして、合計で2億7000万元(約56億円)を横領した。

リベートまたは「寄付金」を受け取るため、基準未満の材料を提供した供給業者と共謀した事例も発覚した。

監査報告はまた、2600以上の学校に指定された52の供給業者を例に挙げ、一部の地方政府が供給業者の入札時に手続きを守らなかったと明らかにし、監督部門と教職員が個人的な利益のために法を犯したと説明した。

中国は2011年、都市で働いてお金を稼ぐ「農民工」の子供たちの栄養状態を改善するために、学生1人当たり3元(約60円)の補助金を支給しようと、毎年160億元(約3291億円)の予算を設定した。これは2021年に1人当たり5元(約100円)に引き上げられた。報告書によると、この制度は現在、28省と地域の約1570の地方都市に適用され、数億人の学生に恩恵をもたらしていた。研究によれば、貧困地域の学校に給食を提供することは、子供の栄養失調を減らし、認知能力、学業成績、学生出席率を向上させる重要な役割を果たした。他の多くの開発途上国でも同様の計画が採用されている。

今年2月、中国は、税収減少と土地売却収入減少により困難に直面している地方政府に対し、過度な手数料と罰金の課税を抑制するよう命じた。地方政府の負債は昨年末までに40兆7000億元(約837兆円)に達したが、これは2008年から始まった国有金融機関、国有企業、銀行の資金支援による建設ブームの弊害とも言える。中国は中央および地方政府機関に対して、生計、年金、建設プロジェクトの支援のために資金を優先的に使用するようにした。

「空き家は30億人分」中国、地方で過剰開発 暗すぎるマンション群

崩れた不動産神話 変調の中国経済

 「不動産は供給過剰で、空き家は30億人分あるとの推計もある。14億人では住みきれない

 中国政府の統計担当の元幹部が9月、国内での討論会でそんな衝撃的な発言をして注目を集めた

 中国では不動産大手が次々と経営危機に陥っている。要因の一つが地方での過剰開発だ。

住人「3分の1も住んでいない」

 遼寧省の省都・瀋陽市から高速鉄道で1時間弱の阜新市には、ネット上などで「鬼城」と呼ばれる一帯がある人が少ないゴーストタウン、といった意味だ。

中国の空き家は30億人分? …元政府高官が言及「14億人の国民では埋められない」

山東省青州市で建設中の商業用不動産。2023年9月15日撮影。

NurPhotoCostfoto/NurPhoto via Getty Images

  • 中国には非常に多くの住宅が余っている。30億人がそこに住むことができるという試算もある。

  • 9月23日に開催された経済フォーラムで、中国政府の元高官がこの驚くべき数値に言及した。

  • 彼は、この試算は極端だとしながらも、中国の14億人の人口でさえ、そのすべてを埋めることはできないと述べた。

中国には30億人が住めるほどの空き家があるかもしれないと、中国政府の元高官が語った。

30億人と言えばアメリカの人口の10倍、西ヨーロッパの人口の15倍、首都北京の人口の140倍に相当する。

この驚きの数値は、中国内の空き物件数に関する専門家による試算値の中でも、大きく見積もった数値だという。

中国の国家統計局元副局長、賀鏗(ホー・クン)は、2023年9月23日に広東省東莞市で開催された「中国実体経済発展大会」で、苦境にある中国の住宅市場について語った。

恒大、碧桂園の債務整理はどの程度進んでいるのか? 危機に揺れる中国不動産業界の現状

「今、空き家はどれくらいあるのだろうか。専門家は実にさまざまな数値を発表している。最も極端な説によると、その数は30億人が十分に暮らせるほどだという。だが中国の人口は14億人でしかない。この試算値は少し大きすぎるかもしれないが、少なくとも14億人では埋まらないだろう」

この天文学的な数値は、中国では何年も前から議論されてきた。一般的に、都市部の平均的な家の広さとされる39平方メートル(公式発表)と中国全体の世帯平均人数(2021年に実施された第7回国勢調査では2.62人)に基づき試算される。しかし、空き家の総床面積の推計値が公式に発表されたことは、未だにない。

8月の政府統計によると、中国における売れ残った住宅の総面積は約6億5000平方メートルだとロイター通信が伝えている。

平均的な住宅の広さを約90平方メートルとすると、これは約720万戸に相当するとロイターは試算している。なお、この試算値には、販売済みだが未完成の住宅や、投資用として購入された住宅の数はカウントされていないという。

30億人という試算値は大きすぎるとしても、やはり賀の発言や大量の住宅が余っているという問題認識は、中央政府のスタンスと乖離している

中国の中央銀行は3月、国内の不動産セクターは立ち直りつつあり、「市場の信頼回復は加速している」と述べた。

中国の住宅市場は近年、大量の住宅供給過剰に直面していることが明らかになっている。長年にわたって中国の急速な経済成長の柱となってきた不動産セクターでは、建築熱が熱狂的に高まったものの、そうやって建てられた高層住宅ビル群に住む人は誰もいないという状況も見られる。

買い手は付いたものの、建設会社の資金不足のために完成できない住宅で埋め尽くされている地域もある。

中国第2位の不動産デベロッパーである恒大集団(エバーグランデ)は、2021年に世界で最も負債を抱えた企業となり、デフォルト(債務不履行)に陥った。その影響でアメリカ国内の企業まで破産に追い込まれるのではないかという恐怖を呼び起こした。

一方、中国最大の不動産会社である碧桂園控股(カントリー・ガーデン)は9月初め、危うくデフォルトに陥るところだった。同社は8月に2つの米国債の利払いを怠っていたが、30日間の猶予期間内になんとか取引を履行した。

Insiderは、賀が顧問を務める中国の戦略的研究所である人事科学研究院にコメントを求めたが、回答は得られていない。

なぜ中国は各地にゴーストタウンを作り続けるか

2016.8.5「34億人収容」の住宅群、止まらぬ無駄遣いの不可解  By 北村 豊

パリの街並みを真似た浙江省・天都城は有名なゴーストタウンの1つ(写真:ロイター/アフロ)

 広西チワン族自治区の中部に位置する“来賓市”は、日本の長野県(1万3562km2)とほぼ同じ1万3411km2の面積を有し、218万人(2015年末)の常住人口を擁する。その来賓市に属する“忻城(きんじょう)県”は、日本の佐賀県(2441km2)より若干大きい2541km2の面積に32万人(2015年末の常住人口)が暮らしている。

住宅団地が放牧場に?

 さて、中国のポータルサイト“網易(NetEase)”は7月24日付で「広西チワン族自治区で100棟余りの“別墅(一戸建て住宅)”が荒廃し、村民の牛放牧場になっている」と題する記者の探訪記事を報じた。記事が報じたのは忻城県の“城関鎮”にある一戸建ての住宅団地の現状である。記事の概要は以下の通り。

【1】2011年5月、忻城県に所在する“隆達投資有限公司”(以下「隆達公司」)は、総投資額3億5000万元(約54億円)で近代的な一戸建て住宅団地を建設する“山水福城項目(山水ラッキータウンプロジェクト)”(以下「山水福城」)を立ち上げた。隆達公司は大々的に広告を打って住宅の販売を行い、2015年5月の住宅引き渡し予定を条件として、2013年から2014年にかけてほぼ全ての住宅を販売した。

【2】ところが、住宅引き渡し予定時期の2015年5月が近づいても、建屋の建設は遅々として進まず、竣工の目途が立たなかった。住宅を購入した買主は不動産販売所に押しかけて住宅の引き渡し時期を問い合わせたが、一向に要領を得ず、ビルの完成時期は何度も先延ばしとなった。そのうちに、不動産販売所は門を閉ざし、隆達公司も買主を避けるようになった。その後、関係部門が調査を行った結果、山水福城では住宅の重複販売が行われていたことが判明した。それは、隆達公司の資金繰り悪化によるものであり、そればかりか建屋の大部分や一部の土地は担保会社の抵当に入っていたのだった。

【3】2016年5月15日、山水福城の正門前には住宅の買主が100人近く集まり、横断幕を掲げて住宅の引き渡しを要求したが、そこには要求を突き付けるべき相手はいなかった。それは正に「のれんに腕押し」であり、「隔靴掻痒」の感を否めない、むなしく切ない光景だった。彼らはなけなしのカネを隆達公司に支払った挙句、完成した住宅を引き渡してもらえないばかりか、住宅の重複販売や抵当入りという厄介な問題にも直面しているのである。

【4】それでは、肝心の山水福城の現状はどうなっているのか。山水福城の住宅団地には4階建ての一戸建て住宅が100棟余りあり、すでに建屋と外壁の工事は完成していた。しかし、これらの住宅団地は誰にも管理されぬまま放置され、人が自由に出入りできる状態となっていたため、“流浪漢(ホームレス)”の住処と化し、屋内にはごみが堆積し、ホームレスの物と思われる衣類が散らばっていた。また、住宅の横を流れる水路はよどみ、汚染により茶色く濁っていた。住宅団地の周囲には雑草が生い茂っているが、その雑草を目当てに、付近の村民が住宅団地内で牛の放牧を行っていた。山水福城は風水の“宝地(地相が良い土地)”に建設されたものだが、今や一戸建て住宅団地は“鬼城(ゴーストタウン)”と化し、買主たちが夢見た住宅は見る影もない無残な姿を晒している。

山水福城の一戸建て住宅100棟余りのほぼ全量が販売済みであったのであれば、隆達公司には一定額が支払われていたはずであり、山水福城の建設費用は恐らく賄えていたものと思われるが、網易の記事には隆達公司が資金繰りを悪化させた原因については何も述べられていない。隆達公司は住宅を重複販売することにより巨額を手にし、建設会社に対する建設費用の支払いも中途半端にして、経営者がカネを持ち逃げした可能性も否定できない。さもなければ、別の事業で失敗して資金繰りに行き詰まった可能性もあるだろう。一方、記事には住宅の買主たちによる住宅の引き渡しを求める抗議集会について述べてはいるが、彼らが今後どうなるのかについては何も言及していない。状況から判断して、買主たちは泣き寝入りするしかないのかも知れない

増え続ける大小の“鬼城”

 上述した忻城県の山水福城は一戸建て住宅100棟あまりの小規模な“鬼城”だが、筆者が2011年7月下旬に現状視察のために訪れた内モンゴル自治区“顎爾多斯(オルドス)市”の“カンバシ新区”は巨大な“鬼城”だった<注1>。
カンバシ新区は米誌「タイム」が2010年4月5日号でゴーストタウンと報じたことで、その名を世界に知られることになった。カンバシ新区は将来の100万都市を目指して、高層住宅群を次々と建設していた。そこには竣工済みおよび建設中の高層住宅群が見渡す限り立ち並んでいたが、そのほとんどは無人であり、夜間には高層住宅群からほのかな灯火がちらほら見えるだけで、名実ともに巨大な“鬼城”であった。カンバシ新区はオルドス市の砂漠の中に突如出現した蜃気楼を思わせる巨大な“鬼城”であるが、同市を代表する鉱物資源である石炭の価格低迷が続いていることから、現在では2011年7月の訪問時期よりも”鬼城“の深刻さは増大しているのではないかろうか。

<注1>オルドス視察の詳細は、2011年8月19日付の本リポート『現地リポ:「中国のドバイ」はゴーストタウン』参照。

 すでに述べたように、中国国内にはオルドス市カンバシ新区のような大規模な“鬼城”もあれば、広西チワン族自治区忻城県の山水福城のような小規模な“鬼城”もある。それでは一体全体、中国全土にはどれだけの“鬼城”が存在し、無人の住宅がどれ程あるのか。中国国営の「新華社通信」は7月13日付で「全国の新都市計画人口は34億人、誰がそこに住むのか」と題する記事を配信した。その概要は以下の通り。

新城・新区の計画人口は34億人

(1)“特大城市(人口100万人以上の都市)”が人口を制限し、“中小城鎮(中小規模の都市と農村部にある町)”が人口増を図っている状況下で、一部の“中小城鎮”は発展の加速を切望し、次々と2020年および2030年の人口倍増目標を打ち出している。“国務院(日本の内閣に相当)”の関係データが示すところでは、不完全な統計によれば、2016年5月までの時点で、全国の県レベル以上の“新城(新都市)”・新区は3500か所を上回り、その計画人口は34億人に達しているという。

(2)この「県レベル以上の新都市・新区3500か所」の内訳は、国家レベルの新区:17カ所、国家レベルの経済技術開発区、ハイテク産業開発区、総合保税区、輸出加工区および旅行休暇区など:約500か所、省レベルの産業団地:1600か所以上、比較的大きな市の産業団地:1000か所などであり、県レベル以下の各種産業団地は1万カ所以上に上っている。

(3)一方、2015年の我が国の“城鎮化率(都市化率)”は56.1%であったが、「第13次5か年計画(2016~2020年)」では2020年までに我が国の常住人口と戸籍人口の都市化率をそれぞれ60%と45%に引き上げることが提起された<注2>。“国務院発展研究中心”の研究員である“李佐軍”は、「現在、我が国では戸籍人口の都市化率は39.9%であるから、今後さらに5%引き上げねばならないとすれば、1億人の戸籍を農村部から都市部へ移して定住させることが必要になるが、この任務は極めて困難である」と述べている。

<注2>「常住人口」とは、ある土地に6か月以上居住する人の数。「戸籍人口」とは、ある土地に戸籍を持つ人の数。農村部から都市部へ出稼ぎに来る農民は都市の戸籍を持たないで都市に6か月以上居住する場合が多いので、常住人口に数えられる。

(4)“華南城市規劃学会(華南都市計画学会)”会長で“暨南大学管理学院”教授の“胡剛”は、「34億人という計画人口は、中国の現在の人口規模<注3>の2.5倍であり、全世界の人口の半分を収容するに足る規模である」と述べている。また、“国家行政学院”教授の“汪玉凱”は、「中国では出産による人口増のピークはすでに過ぎており、たとえ全面的に“二胎(子供2人までの出産を認める政策)”を認めるとしても、人口増加の速度が大幅に上昇することはなく、都市化の主たる要素は農村部から都市部へ移住する人口である。しかし、農村部の人々の都市への移住願望や都市に定住する能力などを考慮すれば、どんなに計算しても、34億人分の“大坑(大きな穴)”をふさぐことはできない」と語った。

<注3>中国政府“国家統計局”のデータによれば、2015年末時点における中国の人口は13.75億人。上記の記事が述べていることを分かりやすく説明すると以下の通りになる。

【a】中国では都市化率を上げることが既定の方針であり、中国各地の都市や町では人口増を推進するために新都市や新区を次々と建設している。その数は2016年5月時点で3500か所であり、そこに建設されている住宅群の収容可能人口の合計は34億人に上る。

【b】人口増を図ると言っても、出産による人口増はすでにピークを過ぎており、農村部から都市部への移住者による人口増に頼るしかないが、彼らを都市に定住させて都市戸籍を持たせることは容易なことではない。戸籍人口の都市化率を5%上げるには1億人の農村部人口を都市部へ移動させる必要があるが、これは極めて困難なことである。

【c】そうした前提に立てば、計画人口34億人を収容するために新都市や新区で建設されている住宅群を農村部からの移住者で埋めることは荒唐無稽な話である。なぜなら、34億人という人口は現在の中国人口の2.5倍であり、全世界の人口の半分を意味するから

“二胎”政策でも住宅は埋まらず

 台湾紙「自由時報」は、“二胎”政策に基づき、中国の全ての夫婦が子供を2人生んで新都市や新区へ移り住んだとしても、34億人を収容するために建設された住宅群を埋める可能性は永遠にないと報じた。そればかりか、それらの住宅が農村部からの移住者でも埋まらないとすれば、その結果はどうなるのか。建設された住宅群に住む人がいなければ、その地域は“鬼城”、すなわちゴーストタウンとなることは自明の理である。それだけではない、住宅を購入する人や賃借する人がいなければ、住宅の建設費を賄うことは困難で、借入金の返済もできなくなるから、不動産開発業者や不動産投資者は債務を負うことになり、“鬼城”は変じて“債務之城(債務の町)”になる。

 たとえ上述した新都市・新区の建設計画がなかったとしても、中国に現有している住宅の数量はすでに需要量を上回っており、“鬼城”はますます増大しているのが実情である。香港のテレビ局「鳳凰衛視(フェニックステレビ)」の国際チャンネルは、米情報サービス大手「ブルームバーグ(Bloomberg)」アジアの主席エコノミストの「トム・オーリック(Tom Orlik)」と“陳世淵”の分析を引用して、「過去5年間、中国では年平均の新築住宅戸数が1000万戸を超えたが、実際の需要は800万戸にも及ばなかった」と述べている。住宅が供給過剰になっているのに、新都市・新区の建設計画は住宅の供給過剰をより深刻なものにしているということになる。ところで、新華社通信が7月13日付で報じた「新都市・新区の計画人口34億人」という数字はどこから出て来たものなのか。この数字が最初に提起されたのは、2013年10月19日に、中国政府“国家発展改革委員会”の「都市と小都市・町改革発展中心」副主任の“喬潤令”が「中国新型都市化市長フォーラム」で講演した時であった。彼は「新都市の規模と人口は現有の体制を上回っており、新都市の計画人口を合計すると34億人になる。しかし、我々の調査によれば、144の“地級市(省に次ぐ第二行政区分)”のうち、133の都市が合計200か所の新都市・新区の建設を計画しているが、新都市・新区の面積と人口は普遍的に実際の数字を上回っている」と述べたのだった。

無駄で不可解な計画を止めよ

 すなわち、喬潤令が述べたかったのは、新都市の計画人口を合計すると34億人になるが、調査を通じて分かったことは、計画面積と計画人口はどこの都市も実際の数字を上回っており、決して34億人が正しい数字ではないということだった。しかしながら、この喬潤令が述べた34億人という数字がいつの間にか一人歩きを始め、あたかも確認された数字であるかのように誤解され、メディアや都市化研究の専門家や学者によって引用されたのだった。

 従って、34億人という計画人口は単なる表面的な数字で、実際の数字ではないというのだが、中国全土に散らばる“鬼城”は枚挙にいとまがないほどである。“鬼城”の数およびそこに建設済みおよび建設中の住宅数を示す公式統計はないので、具体的な数字は不詳である。但し、「全国の県レベル以上の“新都市・新区は3500か所を上回り、その計画人口は34億人」を誇張された数字として、話半分で考えても、その数は1750か所、17億人となり、中国の全人口を新都市・新区へ移動させたとしても全て埋めることはできない。ということは、相当数の新都市・新区が“鬼城”になることは否定できない事実である。

 これは小学生でも分かる算数の問題だと思うのだが、それでも地方政府が新都市・新区を建設する理由は何なのか。それは、地方政府は新都市・新区の建設および住宅群の建設により「域内総生産(GRP)」を増大させるためであると同時に、中央政府の指示に従って都市化率を上昇させて点数を稼ぐためである。これに加えて、地方政府は広大な土地の使用権を販売することで利益を得ることが可能になる。しかし、この理想通りに行くのは限られた“中小城鎮”であり、大多数の“中小城鎮”は新都市・新区の建設に失敗して“鬼城”を創出し、後に“鬼城”は変じて“債務の町”となるのである。

 筆者は中国の各地で上述したオルドス市のカンバシ新区を代表とする“鬼城”を多数見て来たが、住宅群に閑古鳥が鳴く様はうすら寒さを感じさせるものであり、特に夜間は暗闇の中に浮かび上がる無人の住宅群が不気味に思えたものだった。2010年4月に米誌「タイム」が中国の“鬼城”を報じてからすでに6年の歳月が経過しているが、今なお新たな“鬼城”が次々と生まれている人類の歴史の中でこれほどの財と資源の無駄遣いはないと思うのだが、中国政府はこの事態をどのように考えているのだろうか
筆者の“鬼城”に対する思いは「不可解」の一語に尽きる。


参考文献・参考資料

中国で爆発的に膨らむ商品在庫、景気不振の深刻さ表す - Bloomberg

習近平の中国で「消費崩壊」の驚くべき実態…!上海、北京ですら、外食産業利益9割減の衝撃! (msn.com)

中国は不動産バブル崩壊で「未完成ビル」と「売れ残り住宅」の山→政府当局が打ち出した“支援策”の裏にひそむ「重大な懸念点」【現地駐在員が解説】(THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)) - Yahoo!ニュース

「リーマンより厳しい」中国不動産バブル崩壊の惨状、習近平政権の「ズレてる」政策で不況悪化か | 今週のキーワード 真壁昭夫 | ダイヤモンド・オンライン (diamond.jp)

中国地方政府、負債返済のため子供たちの給食費を横領…453億円に上る不正が明らかに (msn.com)

「空き家は30億人分」中国、地方で過剰開発 暗すぎるマンション群:朝日新聞デジタル (asahi.com)

中国の空き家は30億人分? …元政府高官が言及「14億人の国民では埋められない」 | Business Insider Japan

なぜ中国は各地にゴーストタウンを作り続けるか:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)

【大躍進政策】大躍進政策とは?わかりやすく解説・毛沢東の大躍進政策はなぜ失敗したのか? - ヒストリーゴー (history-go.com)

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