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政治講座ⅴ1387「中国発金融恐慌の到来懸念」

日本のバブル経済の崩壊は日本だけで被害を被った。今般、騒がれている中国の不動産バブル崩壊は中国だけで済むかという疑問がある。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年9月25日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

はじめに

 中国は世界からの投資と企業誘致で世界の工場と言われる程になりGDP世界2位にまで経済が膨張した。
 日本の不動産バブル崩壊の場合は日本の金融機関の信用創造と不動産の担保価値を背景に更なる融資をして、不動産(経済)膨張を繰り広げたのである。
 国内で足りない資金は国内の融資に外貨建て(ドル建て)融資を実施したり、ユーロ円融資などで経済を膨らませたのである。
 海外からの投資資金が主体の中国とは違うのである。
 中国は毛沢東時代から経済政策の失敗を繰り返し、政治闘争に明け暮れて経済基盤が存在しなかった。最貧国の部類であり、これを立て直したのが鄧小平である。
 そして、鄧小平のときから改革開放路線で海外企業、海外投資資金を活用して世界GDP2位の国になった。
しかし、これはほとんどは海外投資資金で膨張した経済である。中国企業を米国の株式上場に株式公開を認めたために、米国の株式市場から大量の資金調達ができて、その株式公開資金で事業展開をすすめたのが中国経済を膨らませた要因でもある。潮目が変わったのはトランプ政権のときからである。中国企業の粉飾決算による実態を知り米国株式市場を利用して資金を吸い上げている実態を知り、デカップリング構想を打ち出したのである。米国からの資金の流入が途絶えたことによる中国経済は決済資金の流動資金が枯渇して今の中国の経済破綻状態が浮き彫りになったのである。問題は海外から引っ張り込んだ資金がどれほどのものなのかは今のところ皆目見当がつかないのである。そこがリーマンショックと似ているところである。そのような観点から中国経済と米国経済を俯瞰すると米国経済も無傷ではすまないのである。当然、中国へ進出している日本企業の損害も計り知れない要素が十分ある。故に中国発の世界恐慌が到来することは想像に難くない。

もはや避けられない米経済の景気後退、消費を支えた過剰貯蓄ももうじき枯渇へ

大崎 明子 によるストーリー •3 時間

FRB(連邦準備制度理事会)は9月20日のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いたが、パウエル議長の会見は年内の追加利上げの必要性を強くにじませる内容となった。会見では、来年の政策金利が高止まりする見通しも示している。

 金融市場は来年の利下げと米国景気のソフトランディングに期待しているが、そのシナリオは実現するのか。FRBウォッチャーで、長年にわたって米国経済の分析を行ってきたみずほリサーチ&テクノロジーズの小野亮プリンシパルに、この先の米国経済の見通し、リスクについて話を聞いた。(聞き手、大崎 明子:ジャーナリスト)

家計の「過剰貯蓄」が枯渇へ、2024年は景気後退

──米国はかつてない急速な金利の引き上げを進め、ようやくインフレ率が下がり始めました。ただ、経済は依然として好調で、パウエル議長の9月20日の会見は年内の追加の利上げの必要性を強く示唆するものとなりました。こうした状態はいつまで続くのでしょうか。

小野亮氏(以下、小野):刈り込み平均値(※)やメディアン(中央値)などの「基調的なインフレ率」の指標は低下ペースが加速しており、2~3%台半ばです。8月のコアCPIも4.3%に下がりました(図表1)。引き締め効果がようやく出てきたというところだと思います。

※変動の大きな品目を取り除いた平均値


【図表1】もはや避けられない米経済の景気後退、消費を支えた過剰貯蓄ももうじき枯渇へ© JBpress 提供

 米銀の貸出態度は厳格化が続いており、企業の利払い費は増大しています。借り入れの大半が変動金利であり、今後、借り換えを通じてますます厳しくなるとみています。

 これまでは、消費の堅調が続いてきました。特に財消費(モノの消費)が急増しましたが、賃金の上昇もあって、サービス消費も回復し、過去のトレンドを超え始めています。これを支えたのが、家計の良好な財務基盤です。

 リーマンショック当時とは異なり、家計はコロナ前でも無理な借り入れをせず健全な財務状態にありました。しかも、コロナ対策の給付金で貯蓄が潤沢になった。それが、家計が良好な財務基盤を維持した理由です。

 家計が抱えるローンやリースなどの債務を見ると、可処分所得に占める返済負担の比率は2019年を下回る水準です。

 住宅ローンは2019~21年に低利での固定への借り換えが進みました。自動車ローンやクレジットカードのローンの延滞率は2022年以降上昇していますが、2019年当時並みの低さにとどまっています。

 このように旺盛な消費を支えてきた家計ですが、高インフレや高金利の「盾」となってきた過剰貯蓄を推計すると、10~12月期には枯渇する公算が大きい。7~9月期にすでになくなっている可能性もあります。

 したがって、2024年にはFRBが進めてきた大幅利上げの影響が消費にダイレクトに効いてくるとみています。家計・消費が最良だった時期は過ぎつつあるということです。

山積みのジーンズの前で思案する男性。コロナ対策の給付金などで過剰となった貯蓄もそろそろ枯渇しつつある(写真:新華社/共同通信イメージズ)© JBpress 提供

超過剰貯蓄の解消を契機に悪循環に突入する米国経済

小野:また、企業を取り巻く金融環境は既に厳しくなっています。

 このところ人材獲得熱も沈静化してきており、求人倍率が低下していることはよく知られていますが、注目しているのが採用数の落ち込み(図表2)です。

【図表2】もはや避けられない米経済の景気後退、消費を支えた過剰貯蓄ももうじき枯渇へ© JBpress 提供

 年末にかけて早期リタイアを含む労働者の離職数の縮小ペースを上回っていくとみられます。その結果、雇用の伸びはプラスからマイナスに転じ、雇用統計の悪化として大きなニュースになるでしょう。

 つまり、超過剰貯蓄の解消を契機に米国経済は悪循環に入り、景気後退入りする。これが2024年前半に起きると、私は予想しています。

 過剰貯蓄がなくなれば、消費を支えるためには借り入れが必要です。でも、すでに金利はかなり高く、借入負担に耐えられず、消費が落ち込む

 雇用が悪化し、それがクレジットクランチ(信用収縮)を惹起する。弱い企業の倒産や中小金融機関の経営不安なども予想されます。


小野 亮(おの まこと)/みずほリサーチ&テクノロジーズ プリンシパル。 1990年東京大学工学部卒、富士総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社。1998年10月から2003年2月までニューヨーク事務所駐在。帰国後は経済調査部、市場調査部で米国経済・金融政策を担当。その後、欧米経済・金融総括。2021年4月から調査部プリンシパル。FRB(米国連邦準備制度理事会)ウォッチャー、共著に『サブプライム金融危機』(日本経済新聞社、2007年)『やっぱりアメリカ経済を学びなさい』(東洋経済新報社、2013年)など。日経CNBCコメンテーター。© JBpress 提供

──労働市場の旺盛な需要と供給不足から、雇用がいつまでも堅調と思われましたが、これも落ち着いていくだけではなく悪化するということでしょうか。

小野:物価高に労働需給の逼迫が重なり、賃上げが続いてサービス分野を中心にインフレを押し上げるというのがこれまでの状況でしたが、前述したように、求人倍率は下がってきました。

 注目しているのは採用数と離職数の動向です。図表2の採用数と離職数の差が非農業部門雇用者数の増加ですが、私の仮説は、8月分の増加は採用数の増加ではなく、離職の減少ではないかというものです。

 9月に発表された8月分の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が18.7万人増加と堅調でした。トラック運送会社イエローの破綻で3万人分のレイオフがあったにもかかわらずです。

しかしこれは、企業が採用を増やしたのではなく、労働者側が転職よりも今の仕事を維持することを優先し始め、離職数が大幅に減少したためではないかとみています。

 また、あまり報道されませんが、2023年に入ってから、雇用者数の統計は1次推計から3次推計までの改定で、すべて下方修正されています。8月分の発表時には、6月分と7月分を合わせて11万人分も下方修正されています。

 なので、18.7万人という8月実績値もおそらく、下方修正されていくとみられます。今後は、採用数が一気に落ちていき、その結果として非農業部門雇用者数が減少に転じるだろうと予測しています。

バブル崩壊や金融危機にまで至らない理由

──金融緩和政策が長く続いたため、景気後退入りはITバブル崩壊やリーマンショック後のようなバブル崩壊や金融危機につながると警戒する声も多いようです。注目されていた商業用不動産と中堅銀行のリスクはどうでしょうか。

小野:どこかに不良な資産・不良債権が溜まっているという状態ではないので、大きなクラッシュはないと思っています。

 リーマンショックの時には2004年からの政策金利引き上げに伴い、サブプライム層への貸し付けが増大しましたが、今回は学習効果が効いていて、融資のプライム層への絞り込みが行われています。

 また、証券化商品の組成に、発行体が5%の保有を義務づけられるなどの規制強化が効いています。

 昨年は暗号資産のバブルが崩壊し、金融を通じた実物経済への影響が懸念されました。ところが、意外にバーチャルとリアルの世界は分断されていて、シルバーゲートの破綻、清算にとどまりました。

 商業用不動産市場も警戒されていますが、ショッピングセンターや倉庫は堅調で、リモートワークという社会的な変化に直面したオフィス向け市場が厳しいという状況です。

 また、そのCMBS(商業用モーゲージ証券化商品)を保有するモーゲージREITなどもリスクの所在が分かっています。リーマンショックのときのように、得体の知れない金融商品が蔓延しているという状況ではありません。

 過去の金融危機を紐解くと、1990年代のS&L(貯蓄貸付組合)危機では過度なリスクが取られていたし、ITバブルではエンロン事件などによる企業会計不信があり、リーマンショックではサブプライムローンの問題がありました。

 つまり、債務が積み上がっていた上に、不透明感による疑心暗鬼から売りが売りを呼ぶ展開になった。これが深い景気後退を招き、ジョブレスリカバリーや、ジョブロスリカバリーなど、景気回復に時間がかかることになった。

 そういう過去3回に起きたことは2024年に予想される景気後退とその後の回復局面では起きないとみています。不況は浅くとどまり、その回復は1980年代前半のような雇用回復を伴うものになるとみています。

 また、大手の金融機関は金利上昇で調達コストが上がりますが、運用収益も上がるので、高い収益力を維持すると思います。

 ブラックロック、アポロ、KKR、カーライルなどの大手投資ファンドの財務内容をみても、投資家への返済義務がない「永久資本」の割合が高く、おおむね取り付けのリスクには耐えられる状態とみています。

米国経済に大きなリスクがないことがリスク

──そうすると、米国経済にはあまり大きなリスクはないことになりますか。

小野:実はそのこと自体がリスクだとみています。米国経済の一番の問題は「インフレが収束するのか」ということですが、それがハッキリしないのです。

 わかりやすいので、景気後退に陥らずにソフトランディングするという状態を考えてみましょう。

 この状態は、非常に米国経済が強いということであり、その場合、労働需給の緩和も止まってしまいます。労働需要が供給に対して強いままだと、賃金・インフレ圧力も下がらないので利下げできない。それどころか、利上げという声が再燃するかもしれません。

 浅い景気後退で、すぐに景気が回復してしまうと、同じことになるのではないでしょうか。

 今のところ、2024年からのインフレ鈍化と景気後退入りを受けてFRBは利下げをするとみていますが、早い段階で労働需給の緩和が止まったり、成長が急回復したりすれば、追加利上げもありえます。

 そうすると、2025年まで高金利が続き、今まで借り換えをせずに済んでいた企業も高い金利での借り換えを強いられる。家計も同様の流れで資金を借りて消費せざるをえなくなるが、金利が高いので、延滞率が高まってしまう。

 こういう流れになると、2025年に深い景気後退に見舞われるリスクがあります。

──不況の先送りになってしまう。ある程度まで景気が悪くならないと困るという状況ですね。

予断を許さないインフレと金利を巡る状況

小野:「基調的なインフレ率」という指標を見ると、2~3%台半ばまで落ち着いてきたのが今の状況ですが、それがそのままうまく下がっていくという保証がありません。

 求人倍率は1.5倍まで下がってきましたが、持続的に下がっていかないと、また、賃金とインフレのスパイラル的な上昇に転じる可能性があります。全米自動車労組(UAW)によるストのようなことが多発すれば、インフレは収まりません。

 図表3は、ブランシャール(オリヴィエ・ブランシャール、MIT教授、元IMFチーフエコノミスト)とバーナンキ(元FRB議長)のシミュレーションモデルを使ったものですが、求人倍率が下がっている間は、この図が示すように、インフレの予想に幅があって、インフレ率の見通し(終着点の目途)が立たないのです。

【図表3】もはや避けられない米経済の景気後退、消費を支えた過剰貯蓄ももうじき枯渇へ© JBpress 提供

 求人倍率が下がり続けて安定すると、そこではじめてインフレ率の落ち着きどころが見えてくる。求人倍率が高い水準に留まれば、3%のインフレ率というFRBとしては許容できない水準に定着してしまう可能性がある。むろん、FRBはそれを防ぐために引き締めを継続するので、金利は高止まりします。

 基調的なインフレ率が下がっているのは好材料ですが、足元では原油価格が上昇するなど変動があります。雇用も減速しているから大丈夫と市場参加者が思って、株価が上がり、マインドが好転したりしたら求人倍率も下げ止まってしまうかもしれない。インフレと金利をめぐってはまだまだ予断を許さない状況です。

中国経済の動向注視=金融システムへの影響警戒―米当局


 【ワシントン時事】米財務省や連邦準備制度理事会(FRB)などの金融規制当局で構成する金融安定監視評議会(FSOC)は22日の会合で、深刻な不動産不況に陥っている中国経済を巡って協議した。米当局が中国景気の減速を警戒していることが明らかになった。
 会合にはイエレン財務長官やパウエルFRB議長らが参加。財務省の声明によると、中国の経済や金融の動向が、米国の金融システムに波及する可能性に関して話し合われた。
 参加者は「海外のリスクに対し、米金融システムは強靱(きょうじん)だ」との認識を示した。その上で「中国発」のリスクに目配りする必要性を確認したとみられる。 

中国恒大集団、国外債務の再編案で条件見直し

Lin Cheng によるストーリー •11 時間

(ブルームバーグ): 中国不動産危機の発端となった中国恒大集団は、国外債務の再編案について条件を見直す必要があることを香港証券取引所に文書で提出した。「グループの売り上げが予想通りではない」ことが理由だという。
原題:Evergrande Reassessing Terms of Proposed Offshore Restructuring(抜粋)
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参考文献・参考資料

もはや避けられない米経済の景気後退、消費を支えた過剰貯蓄ももうじき枯渇へ (msn.com)

中国経済の動向注視=金融システムへの影響警戒―米当局 (msn.com)

中国恒大集団、国外債務の再編案で条件見直し (msn.com)

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