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政治講座ⅴ1866「一帯一路構想の象徴の末路」

 需要と供給を考えない社会主義の計画経済の末路であろうか。GDP世界2位の実績はこのような無駄な計画に費やされたのであるが、その原資や運転資金は理財商品や融資平台や前受金等でやり繰りされているようである。もう、資金の回収が不能となる不良債権となる運命にあると思われる。GDP世界2位でもう少しで米国を追い抜くと豪語していたが、今や、公表されるGDPの信憑性が疑われ始末である。まだまだ中国は伸びしろがあると新華社のプロパガンダに踊らされている日本企業もあるが、反日教育と反日政策で「処理水」を科学的根拠を示すことなく「汚染水」と中国人民を洗脳し、魚介類を輸入禁止するなどの政治リスクがあるので撤退を考える必要がある。
今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2684年7月25日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司 

中国の一帯一路構想の象徴だった「フォレストシティー」の末路

ニューズウィーク日本版 によるストーリー

中国の一帯一路構想の象徴だった「フォレストシティー」の末路© ニューズウィーク日本版

荒れ果てたフォレストシティーのショッピングセンター APARNA NORIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<かつて壮大な未来都市を目指した「フォレストシティー」が、今やゴーストタウンと化している>


中国の一帯一路構想の象徴だった「フォレストシティー」の末路© ニューズウィーク日本版

マレーシア南部ジョホール州沖合の人工島で開発が進む都市は、その名も「フォレストシティー」。総事業費1000億ドルをかけ、居住者数70万人を予定して2014年に華々しくスタートした。その現在の姿は? さながらゴーストタウンだ。

中国の一帯一路構想の一環で、中国の不動産開発大手、碧桂園(カントリーガーデン)が着手したこのプロジェクトは、中国不動産バブルの崩壊とコロナ禍、政治に翻弄されて計画倒れに。今では居住者たったの9000人、空き店舗と人影のない道路と荒れ果てた建物が広がる街と化し、碧桂園は倒産寸前まで追い込まれている。

15年に販売が開始された当初は、中国からの投機的な買い手が殺到した。バスが列をなして中国人の内見者を運んでいたという。だが17年に中国が突如、資本規制を導入して巨額資産の海外持ち出しを禁止。さらにコロナ禍で渡航が途絶え、中国の不動産市場低迷に伴いフォレストシティーの売れ行きも完全に停滞した。

加えて、マレーシア政府からも冷遇を受けた。中国の影響増大を懸念したかつてのマハティール政権が、この地での外国人の不動産購入を厳しく攻撃。投資熱はさらに冷え切った。

壮大な未来都市計画は、いまだ未来が見えないままだ。

高木由美子(本誌記者)

ゴーストタウンか理想郷か-碧桂園の1000億ドル事業、先行き見えず

Anders Melin

2023年8月30日 9:26 JST

  • 「フォレストシティー」、10年足らずの歴史の中で多くの困難に直面

  • 最終的には70万人を呼び込みたい、約9000人居住-碧桂園

マレーシア南部の沖合にある「フォレストシティー」に行くには、郊外を縫うような道路を走り、ヤシの木が生い茂る農園を通り抜ける。

  やがてこずえの向こうに見えてくるのは、淡いブルーの海と高層ビルが立ち並ぶ人工島だ。「フォレストシティーへようこそ」と書かれた看板が立っている。

  中国の不動産ブームに賭けた大胆なギャンブルの産物がこの奇妙な都市で、中国の不動産開発大手、碧桂園が手がけている。ここはまだ1000億ドル(約14兆6000億円)が投じられるとみられる開発プロジェクトの第1弾に過ぎない。ただ、住宅市況が大きく悪化する中で、中国の不動産市場は危機的な状況に陥っている。

  さらに数分走ると、ほとんど人通りのない通りに白いタワーが立ち並ぶ。つばの広い帽子をかぶった管理人が誰もいない歩道を歩き回り、手入れの行き届いた植物の手入れをしている。赤いベレー帽をかぶった警備員らは詰め所でくつろぎながら、車の流れを監視している。

  住民9000人の姿はほとんど見えない。多くの人々が午後の暑い時間帯に屋外を避けるマレーシアでは必ずしも珍しいことではない。しかし、フォレストシティーはその10倍以上の居住者を想定して建設された。

最終的に70万人をフォレストシティーに呼び込む計画

Photographer: Amrita Chandradas for Bloomberg Businessweek

  わずか10年足らずの歴史の中で、シンガポールの対岸に位置するこのプライベートタウンは規制や政治、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)など多くの困難を乗り越えてきた。フォレストシティーに最終的には70万人を呼び込みたいと考えている碧桂園によれば、これまでに10万人ほどが住める高層住宅と戸建ての小規模住宅を建設し、約9000人が居住しているという。

  同社はこのプロジェクトが危うい状況にあるとの見方を否定し、ようやく準備が整ったところだと主張。しかし、碧桂園をはじめ多額の負債を抱える中国のデベロッパーが直面している資金繰り難が、世界2位の経済大国を大きく巻き込むような広範な危機を招くとの懸念が強まっており、フォレストシティーの先行きは不透明だ。

4つの人工島

  東南アジアの海岸線には無数の高級不動産が点在しているが、フォレストシティーはその規模と大胆さで際立っている。

  碧桂園の構想は、マレーシアとシンガポールの間の狭い海峡に4つの人工島を建設し、国際的で裕福な市民が集まる環境に優しい都市を開発するというものだ。建設には巨額の費用と数十年の歳月がかかり、最終的には70万人の住民が住むことになるとしている。同社のこの計画が実現すれば、フォレストシティーは面積と人口の両面でニューヨーク市マンハッタンの約半分の規模になる。

  フォレストシティーの住人は、セカンドハウス投資先、あるいはその両方を求めているというのがコンセプトだ。この人工都市の魅力は1年中気候に恵まれていることや比較的安価な生活費だ。シンガポールに近いこともあり、アジアの他の大都市へはすぐに飛べる

午後になると小鳥のさえずりや葉っぱが海風にそよぐ音がよく聞こえる。一般的な都市部とは全く違う

Photographer: Amrita Chandradas for Bloomberg Businessweek

  碧桂園は2014年前半に埋め立てを開始した。ほどなく同社は主に中国から見込み客を連れてきた。その多くが建設途中の高層住宅を購入。中国の不動産ブーム絶頂期には、完成前の物件を購入するのが一般的だった。2ベッドルームの物件は16万5000ドルほどで売られている。一般的なマレーシア人世帯の年間所得が1万6400ドル程度であることを考えるとかなり高いが、上海や北京に比べれば割安だ。

  碧桂園は、マレーシアの規制当局がプロジェクトが環境に与える影響を同社が適切に調査していないと指摘したため、わずか6カ月で人工島の建設を一時中断。その後、シンガポール政府はマレーシア当局に報告を受けていないと苦情を申し立て、フォレストシティーがシンガポールに及ぼし得る影響について懸念を表明した。

  18年にはマレーシアのマハティール首相(当時)がフォレストシティーは「外国人のために建設された」ものであり、ほとんどのマレーシア国民には手が届かないと批判。現地の報道によると、マハティール氏は「不動産を購入することはできるが、ここに来て住むためのビザ(査証)は与えない」と当時発言。このため、碧桂園はマレーシア人向けの住宅を建設する方法について政府と協議を開始した。

  碧桂園の計画は、中国政府が海外不動産を購入しようとする自国民を締め付けたことからさらに難しくなった。すでにフォレストシティーの物件を買った一部の人々の間に、中国人顧客を見込んだこのプロジェクトが失敗に終わるのではないかという懸念が浮上した。

利払いできず

  その後、新型コロナで全てがストップした。碧桂園は労働者を引き揚げ、フォレストシティーの外国人居住者はほとんど退去した。

  パンデミックによる渡航制限が解除された今年、フォレストシティーを巡る状況がようやく落ち着くとも思われた。だが、碧桂園は8月前半にドル建て債2本の利払いを怠った。

  中国経済多額の債務に苦しむデベロッパーによってすでに動揺しており、中国ウオッチャーは不動産業界でより広範なメルトダウンが起こり得るのではと神経をとがらせている。碧桂園はかつて中国最大の不動産デベロッパーで、3000件の住宅プロジェクトを抱えていた

ビーチフロントの彫刻。観光客にとってインスタ映えする目的地となっているが、訪れる人は多くない

Photographer: Amrita Chandradas for Bloomberg Businessweek

  碧桂園はフォレストシティーについて、問題ないとしている。「このプロジェクトが成功しないとは考えていない」と同社幹部スヤルル・イザム・サリフディン氏は説明。これまでのところ、計画している4つの人工島のうちの1つと、約10万人分の高層ビルと戸建てを建設。「700エーカー(約2.8平方キロメートル)の広大な開発を7年で完成させるなんて、他にどこができる」と同氏は言う。

  碧桂園の地域副社長であるチウ・リポン氏は、人工島の居住用物件2万6000戸のうち80%が売却され、地域に多くの雇用を生み「成功には多くの意味がある」と話す。

  ニューヨーク大学ビジネススクール元教授で、現在は機関投資家のコンサルタントをしているエドワード・グリックマン氏によると、売却率80%は中間的な成果としては堅調だが、フォレストシティーの場合、類似の開発プロジェクトにはほぼない大きな埋め立てコストも考慮しなければならない。

  チウ氏はフォレストシティーの財務に関する具体的な言及を避けており、その業績を独自に評価できるような公開情報もない。

名門校

  フォレストシティーはまた、実際に人々が住むコミュニティーになり得ることをまだ証明していない。スヤルル氏によれば、38カ国の人々がここで物件を所有しており、そのほとんどが中国人だ。しかし、どこかに不動産を所有することと、そこに住むことは別だ。海外にコンドミニアムを購入する十分な資金を持つ人々は、主たる住居のみを所有する人々よりも非居住者になる可能性が高いだろう。

  米ミネソタ州に本校がある全寮制の名門校シャタック・セントメリーズの分校が18年に開校したことは大きな魅力の一つだ。

  シンガポール国立大学で環境政治学を教え、フォレストシティーで市民科学センターを運営するセリーナ・ラーマン氏は、今のところこの学校が町の心臓部で「新しい住民を呼び込む上で大きな力となっている」と言う。生徒約200人が通い、年間授業料は3万6000ドルにもなる。

  近い将来、碧桂園はフォレストシティーのすぐ北にあるマレーシア本土に建設した工業団地に企業を誘致することに力を注ぐとチウ氏は述べる。同社が車で少し内陸に入ったところに建設した18ホールの2コースを持つゴルフリゾートの成功に触れ、年約7万5000人が訪れるとも話した。

ショッピングモールの店先はほとんど空っぽ。最も繁盛しているのは免税の酒屋

Photographer: Amrita Chandradas for Bloomberg Businessweek

  マレーシア工科大学で不動産を専門に研究するムハマド・ナジブ・ラザリ准教授は、海外からの買い手がいなくなったとしても、地元の人々が代わりに物件を購入する可能性は低いと予想している。

  22年のマレーシアの平均的な物件取引額は約45万リンギット(約1410万円)で、フォレストシティーで現在販売されている一番小さな住宅物件しか買えない。値下がりすれば、碧桂園の投資回収能力にさらなる疑問が投げかけられることになる。

  フォレストシティーにはシンガポールから安い家賃を求める人々が徐々に集まってくると見込む不動産業者もいる。パンデミック規制が解除されて以来、フォレストシティーにはシンガポール人や地元の観光客が増え続けている。

  マレーシアのアンワル首相は8月、フォレストシティーを金融特区に指定し、シンガポールへ通勤する熟練労働者のための数次有効入国ビザや優先アクセス、知識労働者のための一律15%の所得税率など、住民に多くの特典を与えると発表した。

  6月のある日、フォレストシティーで283室を擁するマリーナ・ホテルのポーターが、コンシェルジュのブースにもたれかかっていた。数日間、誰をも忙しくさせていた中国人の団体観光客がその日の朝に出発し、重厚なエントランスホールは静まり返った。この日はこれまでに20人ほどのゲストを迎えたという。

  通り沿いのショッピングモールで人影もほとんどない店先を通り過ぎると、唯一繁盛している小売店、免税の酒屋にたどり着く。これはフォレストシティーが得ている数少ない優遇税制措置の一つで、世界最高水準の酒税を課しているマレーシアでは大きな魅力だ。

フォレストシティーの人工島

Photographer: Amrita Chandradas for Bloomberg Businessweek

  フォレストシティーに夕闇が訪れると、海沿いの遊歩道は活気に満ち始めた。警備員や管理人、建設作業員ら出稼ぎ労働者の幾つかのグループがベンチでくつろぎながら、湾の向こうにきらめくシンガポールのイルミネーションを眺め、酒瓶を回している。たばこの火が暗闇に光り、ベンガル語やヒンディー語、インドネシア語の会話が聞こえてくる。

  海水浴客の中には、フォレストシティーに住んでいるという人もいた。インドネシア人の女性は、緑とコンクリートに囲まれた自宅の写真を見せてくれた。インド人のレンガ職人2人は、近くの高層住宅に住んでいると話す。その日の午後、免税店からギネスビールを3ケース抱えてきたバングラデシュ人は、彼らの数軒隣に住んでいると言う。

  かつての碧桂園会長が「希望に満ちたパラダイス」と呼んだフォレストシティーに命を吹き込んでいるのは、さまざまな国からやって来て、パンデミックを乗り越え何年もここに住み、働いている彼らだ。

  この地域の平均的な給料を考えると、その晩ビーチにいた誰もが分譲物件を所有していたとは思えないし、彼らの大家が誰なのかも分からない。恐らく物件を購入した人たちだろう。うわさによると、多くの住宅購入者はまだ鍵を受け取りに来ていないという。

Source: Bloomberg

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

原題:Country Garden’s $100 Billion City in Malaysia Is Mostly Empty(抜粋)

参考文献・参考資料

中国の一帯一路構想の象徴だった「フォレストシティー」の末路 (msn.com)

ゴーストタウンか理想郷か-碧桂園の1000億ドル事業、先行き見えず - Bloomberg

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