政治講座ⅴ1046「嘘、これが中国の姿、投資先として期待外れ、盛者必衰」
一度の嘘にはその嘘を隠すためにまた嘘をつかなければならなくなる。それがどんどん広がると嘘をついた本人も真実が分からなくなり、自分自身も嘘が真実と錯覚するようになる。
政府が発表する報道が嘘であることを隠すためにその情報を知った者をスパイ容疑で拘束して情報を隠蔽するのである。嘘で固められた情報で判断するのでまともな政策が期待できるわけがない。今回はその嘘を解説する報道記事を紹介する。「砂上の楼閣」これが中国である。
皇紀2683年4月26日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
中国政府発表「成長率4.5%」は真っ赤な嘘、数字偽造の証拠がこれだ ごまかすにしても杜撰すぎる
石 平 によるストーリー •
「景気回復鮮明」、本当ならそうだが
中国国家統計局は4月18日、2023年1〜3月(第1四半期)の国内総生産(GDP)は前年同期比で4.5%増と発表した。それは当初の予測を大きく上回った成長率であるから、日本では一般的に、「中国経済の再開・回復」の良い兆しだと受け止められている。例えばNHKが「景気回復鮮明」との表現を用いてそれを報じたのが一例である。
しかし、中国の経済動向を継続的に観測している筆者は最初から「成長率4.5%」という数字の信憑性を疑っており、同じ国家統計局が発表した他の経済数字を比較・分析したことの結果、統計局によるあからさまな数字偽造の証拠を掴み、「成長率4.5%」は真っ赤な嘘であることを突き止めた。
嘘を見破る鍵となるのは、国家統計局が同時に発表した、2023年1〜3月(第1四半期)の全国固定資産投資の伸び率である。それは「5.1%増」という程よい高い伸び率であるが、中国の場合、消費・輸出と並んで固定資産投資の伸びは経済成長の「3大牽引力」の1つであるから、「固定資産投資5.1%増」となればそれは当然経済全体の成長を支え、「経済成長率4.5%増」という数字の大きな根拠の1つであると思われる。
しかし、この肝心の「固定資産投資5.1%増」というのは、かなりの水増しのある嘘の数字であることが筆者の調べで分かった。
2.3%増を5.1%増に偽造!?
「固定資産投資5.1%増」とは当然、今年第1四半期の固定資産投資は去年(2022年)同時期のそれより5.1%が伸びた、ということになる。ならば、昨年同時期の固定資産投資がどうであったかを調べてみる必要がある。
筆者が過去の公開情報を調べたことの結果、国家統計局よりも上位の中央官庁である中国国家発展と改革委員会の公式サイトは昨年4月28日から「国家統計局数字」として、2022年1〜3月(第1四半期)の全国固定資産投資総額を掲載しているところを見つかった。それは、「10兆4872億元」という数字である。それ以外にも、いつくかの経済情報誌の公式サイトでも同じ数字を確認することはできた。
そして、国家統計局が発表した今年第1四半期の全国固定資産投資の「5.1%増」は当然、この「10兆4872億元」からの「5.1%増」であるから、下記の算式で簡単に計算すれば、10兆4872億元×5.1%=5348億元+10兆4872億元=11兆220億元で、今年第1四半期の全国固定資産投資総額は約11兆220億元となっているはずである。
しかし、国家統計局が4月18日に発表した今年1〜3月(第1四半期)の全国固定資産投資総額が10兆7282億元である。それは明らかに、「5.1%増」であった場合の「11兆220億元」よりは断然と少ない。こうであるはずはない。
そこで、前述の国家発展と改革委員会公式サイトが掲載している、去年第1四半期の固定資産投資総額と、国家統計局が発表したて今年同時期の数字で計算すれば、今年1〜3月(第1四半期)の固定資産投資の伸び率は「2.3%」程度であることはすぐに分かる。
そこから導いた結論とはすなわち、中国の国家統計局が本来ならば「2.3%増」であるはずの今年第1四半期の全国固定資産投資伸び率を、大幅に水増して「5.1%増」だと偽造した、ということである。
統計数字偽造まで「世の末」レベル
国家統計局が同時に発表した「4.5%」という経済全体の成長率は当然、上述の「固定資産投資5.1%増」を根拠の1つにして算出しているはずだから、この「5.1%増」が嘘であれば、「4.5%増」という経済全体の成長率は結局、水増しによる偽造の結果であると言って良い。
今年1〜3月(第1四半期)の中国経済の成長率は決して、政府発表の「4.5%増」ではないことはもはや明々白々である。
しかし、ここではまず驚くべきことが1つある。今まで中国政府が成長率の偽造・粉飾を行う時には、関連する一連の数字に手入れして辻褄が合うように工夫するのは普通であるが、今回の場合、関連数字の矛盾に全く気付かず(あるいは気にせず)にして、簡単に計算すれば誰でもその間違いを見つかるような嘘の数字を公然と出した訳である。
中央政府の数字偽造までがそれほどお粗末なものとなれば、中国という国はいよいよ「世の末」を迎えているのではないかと思う次第である。
参考文献・参考資料
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