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政治講座ⅴ870「日米同盟の本質に迫る」

「韓信の股くぐり」と言う故事があります。
陸軍の一部には徹底抗戦を唱える勢力があり、日本各地に上陸する米軍を迎え撃つために、兵士を配置する動きがあったようだ。

そのような不穏な日本国内情勢から、その後に解体された従順な軍隊に対して、またいつか米軍に反撃してくるという懐疑心を米軍は持っていた。あまりにも従順な日本国民の姿に今でも警戒を怠らないのが米国政府なのである。それが、今日まで続く日米地位協定なのであると考える。もう一つ、日本には「長いものには巻かれろ」という処世術の言葉がある。工業生産力の強さを見せつけられた日本は疲弊した戦後の日本は「韓信の股くぐり」をしなければならなっかった。日本は戦後、強かに切り抜けてきたのは「韓信の股くぐり」の屈辱に耐えうる「臥薪嘗胆」の精神力によるものだと考える。もう一つ、米国の軍人は米国の政治家を信頼しているかというと、民主党・共和党の政権交代により一貫した政策がなされないという不満がある。極論をいうと日米軍事関係は日米地位協定における「日米合同委員会」の存在が逆説的な「同盟強化」の基盤になっていると思われる。日米同盟が政治的思惑に流されることなく、強固に存続するのは、アンタッチャブルな「日米合同委員会」の効果であると考える。ソ連も中国からも侵攻されなかった理由は「従属国家」と揶揄されながら、日米同盟を維持できたのも「長い物には巻かれろ」の処世術が奏功したためであろう。

そして、特筆すべきことに、戦後の日本の天皇のお言葉に「終戦の詔書」にある。
一部抜粋「今後わが国の受ける苦難は、もとより尋常なものではない
あなた方国民が真実どんな思いであるかも私はよくわかる。
しかし私は、時の運命の赴くところにより、堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍んで永き将来のために平和をもたらしたいと思う。
私は、今ここに国体を護持し得て、忠義心厚く、善良なあなたがた国民の皇室に対する真心に信頼し、常にあなた方と共に存在するのである。
もし感情にまかせてさまざまな事件を起こし、あるいは日本人同士いがみ合い混乱が生じ、そのため人としての道から外れ世に信義を失うようなことは、私の最も戒めるところである。
国を挙げて、一つの家族の様にこの思いを子孫に伝えて、神国日本の不滅を強く信じ、これからの責任重く先の長い復興の道を思い、総力を将来のわが国の建設に傾注して、強固な道義心と、不動の信念をもって、わが国が古来伝えてきた国体の精華を発揮して、世界の進歩・向上に遅れない様にしなければならない。
あなたがた国民は、天皇である私が今述べた思いを、どうかしっかりと受け止めて、行動してもらいたい。」

この様な時代背景を考慮に入れて依然の次のブログをお読みください。
政治講座v48「日米地位協定」|tsukasa_tamura|note

そして、日米地位協定における日米合同委員会の報道記事を後述・紹介する。

       皇紀2683年2月22日
       さいたま市桜区
       政治研究者 田村 司

日米地位協定

抜粋 日米合同委員会



〔第二十五条〕
第二十五条は、合同委員会の設置につき定める。

1 合同委員会は、地位協定の実施に関して日米相互間の協議を必要とするすべての事項に関する両政府間の協議機関として設置される。合同委員会は、特に、安保条約の目的の遂行に当って米国が使用するため必要とされる施設・区域を決定する協議機関として任務を行なう(1項)。合同委員会は、右に規定されるとおり、協議機関であるので、特に施設・区域に関する協定のように「合同委員会を通じて両政府が締結」(第二条1項a)すべきものについては、協議機関としての合同委員会が決定したものを更に両政府の代表者が政府間の合意として確定する行為を必要とする。(注127)

(注127) 施設・区域に関する政府間協定は、通常合同委員会において同委員会に対する日米双方の政府代表者の署名により締結されるが、この署名には、理論的には、合同委員会としての意思決定の意味通常の政府の代表者としての署名という二重の意味があると考えられる。この場合、通常の政府の代表者としての署名が合同委員会において行なわれるのは事柄の性質上便宜的に同委員会の場を借りているだけであって、それ以上の意味はない。なお、日本側においては、合同委員会代表者たるアメリカ局長は、外務公務員法に基づく政府代表に任命されており、委員会における行動が政府間の合意をも意味する場合(通常は、施設・区域に関する協定への署名の場合)には、しかるべく閣議決定を行なっている(第二条に関する注13参照。)

2 施設・区域に関する協定の場合は別として、地位協定の通常の運用に関連する事項に関する合同委員会の決定(いわゆる「合同委員会の合意事項」)は、いわば実施細則として、日米両政府を拘束するものと解される。合同委員会は、当然のことながら地位協定又は日本法令に抵触する合意を行なうことはできない。同様に、合同委員会の合意の実施が予算の執行を伴う場合には、特にこの点での条件が付されていない限り、予算成立後にかつ予算の範囲内で、右の合意が行なわれるべきものである。

3 なお、第二条に関する項で既に述べたとおり、合同委員会の合意文書は、原則として非公表扱いとすることが日米間で合意されているので公表されないことになっている。各施設・区域に関する協定の主要点は官報で告示されている。通常の合同委員会の合意については、安保国会当時以来、数回にわたってその要旨が要求により随時資料として国会に提出されて来ている(これら国会提出資料の大部分は、「日米合同委員会合意書に関連し実施されている主要事項」として一冊にとりまとめられている。)。

4 合同委員会は、日米両放府の代表者各一人で組織し、各代表者は、一人又は二人以上の代理及び職員団を有するものとする。委員会は、その手続規則を定め、並びに必要な補助機関及び事務機関を設ける。委員会は、日米両政府のいずれか一方の代表者の要請があるときは、いつでも直ちに会合することができるように組織する(2項)。委負会は、問題を解決することができないときは、適当な経路を通じて、その問題をそれぞれの政府に更に考慮されるように移すものとする(3項)

なぜ日本はこれほど歪んだのか…ぜったいに「米軍」にさからえない「日本の悲劇」 『知ってはいけない』

矢部 宏治 の意見 • 5 時間前

日本には、国民はもちろん、首相や官僚でさえもよくわかっていない「ウラの掟」が存在し、社会全体の構造を歪めている。そうした「ウラの掟」のほとんどは、アメリカ政府そのものと日本とのあいだではなく、じつは米軍と日本のエリート官僚とのあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としている。最高裁・検察・外務省の「裏マニュアル」を参照しながら、日米合同委員会の実態に迫り、日本の権力構造を徹底解明する。

*本記事は矢部 宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)から抜粋・再編集したものです。


PHOTO by iStock© 現代ビジネス

「リアル陰謀論」

本というのは不思議なもので、書き手としては、自分が大切だと思ったことをいろいろと並べて書いているわけですが、読者の方の興味というのは、かなり特定の問題にピンポイントで集中することが多い。

そうした読者からの反応を聞いてはじめて、

「ああ、自分が書いた本の核心はここにあったのか」

と気づかされることが多いのです。

私がこれまでに書いた本でいうと、第一章でお話しした「横田空域」と、本章で扱う「日米合同委員会」の問題が、圧倒的にみなさんの関心をひくようです。

しかし、よく考えてみるとそれも当然の話で、もしも私が数年前に誰かから、

「日本の超エリート官僚というのはね、実は月に二度ほど、都内にある米軍基地などで在日米軍のトップたちと秘密の会議をしているんだ。それで、そこで決まったことは国会に報告する義務も、外部に公表する義務もなく、事実上ノーチェックで実行することができる。つまりその秘密会議は、日本の国会よりも憲法よりも、上位の存在というわけさ

などといわれたら、確実に、「コイツはおかしいから、つきあうのはやめよう」と思ったはずです。「これが陰謀論者というやつか」とも思ったことでしょう。けれどもそういう「リアル陰謀論」とでもいうべき世界が本当に実在することが、いまでは広く認知されるようになりました。

それが日米合同委員会です。

米軍の「リモコン装置」

日米合同委員会というのは、その研究の第一人者であるジャーナリストの吉田敏浩氏の表現を借りれば、

米軍が「戦後日本」において、占領期の特権をそのまま持ち続けるためのリモコン装置」ということになります。

占領時代、米軍の権力はまさにオールマイティ。日本の国内法など、何も関係なく行動することができました。どこでも基地にして、いつでも軍事演習をして、たとえ日本人を殺したりケガをさせても罪に問われない。

そうした圧倒的な特権を、日本が独立したあとも、「見かけ」だけを改善するかたちで以前と変わらず持ち続けたい──そうしたアメリカの軍部の要望を実現するために、「戦後日本」に残されたリモコン装置が日米合同委員会だというわけです。

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この組織のトップに位置する本会議には、日本側六人、アメリカ側七人が出席します。月にだいたい二回隔週木曜日の午前一一時から、日本側代表が議長のときは外務省の施設内で、アメリカ側代表が議長のときは米軍基地内の会議室で開かれています。

おそらく横田基地からなのでしょう。木曜日の午前一一時前に、軍用ヘリで六本木にある米軍基地(「六本木ヘリポート」)に降り立ち、そこから会議室がある南麻布の米軍施設(「ニューサンノー米軍センター」)に続々と到着する米軍関係者の姿を、二〇一六年一二月六日に放映された「報道ステーション」が捉えていました。

日米合同委員会に激怒していた駐日首席公使

この日米合同委員会でもっともおかしなことは、本会議と三〇以上の分科会の、日本側メンバーがすべて各省のエリート官僚であるのに対し、アメリカ側メンバーは、たった一人をのぞいて全員が軍人だということです。

アメリカ側で、たった一人だけ軍人でない人物というのは、アメリカ大使館の公使、つまり外交官なのですが、おもしろいことにその公使が、日米合同委員会という組織について、激しく批判している例が過去に何度もあるのです。

有名なのは、沖縄返還交渉を担当したスナイダーという駐日首席公使ですが、彼は、米軍の軍人たちが日本の官僚と直接協議して指示を与えるという、日米合同委員会のありかたは、「きわめて異常なものです

上司の駐日大使に報告しています。

それは当たり前で、どんな国でも、相手国の政府と最初に話し合うのは大使や公使といった外交官に決まっている。そして、そこで決定した内容を軍人に伝える。それが「シヴィリアン・コントロール(文民統制)」と呼ばれる民主国家の原則です。

ですから、スナイダーが次のように激怒しているのは当然なのです。

本来なら、ほかのすべての国のように、米軍に関する問題は、まず駐留国〔=日本〕の官僚と、アメリカ大使館の外交官によって処理されなければなりません

ところが日本における日米合同委員会がそうなっていないのは、ようするに日本では、アメリカ大使館がまだ存在しない占領中にできあがった米軍と日本の官僚とのあいだの異常な直接的関係が、いまだに続いているということなのです」(「アメリカ外交文書(Foreign Relations of the United States)」(以下、FRUS)1972年4月6日)

日本という「半分主権国家」

このように当のアメリカの外交官にさえ、「占領中にできあがった異常な関係」といわれてしまう、この米軍と日本のエリート官僚の協議機関、日米合同委員会とは、いったいなぜ生まれたのでしょう。

詳しくは本書の後半でお話ししますが、歴史をさかのぼれば、もともと占領が終わる二年前、一九五〇年初頭の段階で、アメリカの軍部は日本を独立させることに絶対反対の立場をとっていました。すでにソ連や中国とのあいだで冷戦が始まりつつあったからです。

しかし、それでもアメリカ政府がどうしても日本を独立させるというなら、それは、「在日米軍の法的地位は変えない半分平和条約を結ぶ」(陸軍次官ヴォーヒーズ)

あるいは、「政治と経済については、日本とのあいだに「正常化協定」を結ぶが、軍事面では占領体制をそのまま継続する」(軍部を説得するためのバターワース極東担当国務次官補の案)というかたちでなければならない、と考えていたのです(「アメリカ外交文書(FRUS)」1950年1月18日)。

この右のふたつの米軍の基本方針を、もう一度じっくりと読んでみてください。

私は七年前から、沖縄と本土でいくつもの米軍基地の取材をしてきましたが、調べれば調べるほど、いまの日本の現実をあらわす言葉として、これほど的確な表現はないと思います。

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つまり「戦後日本」という国は、「在日米軍の法的地位は変えず」「軍事面での占領体制がそのまま継続した」「半分主権国家」として国際社会に復帰したということです。
その「本当の姿」を日本国民に隠しながら、しかもその体制を長く続けていくための政治的装置が、一九五二年に発足した日米合同委員会なのです。

ですからそこで合意された内容は、国会の承認も必要としないし、公開する必要もない。ときには憲法の規定を超えることもある。その点について日米間の合意が存在することは、すでにアメリカ側の公文書(→72ページ「安保法体系の構造」の日米合同委員会の項を参照)によって明らかにされているのです。

「対米従属」の根幹

こうして日米合同委員会の研究が進んだことで、「日本の対米従属」という戦後最大の問題についても、そのメカニズムが、かなり解明されることになりました。もちろん「軍事」の世界だけでなく、「政治」の世界にも「経済」の世界にも、アメリカ優位の状況は存在します。

しかし「政治」と「経済」の世界における対米従属は、さきほどの軍部の方針を見てもわかるように、「あくまで法的関係は正常化されたうえでの上下関係」であって、「占領体制が法的に継続した軍事面での関係」とは、まったくレベルが違う話なのです。

私たち日本人がこれから克服しなければならない最大の課題である「対米従属」の根幹には、軍事面での法的な従属関係がある。

つまり、「アメリカへの従属」というよりも、それは「米軍への従属」であり、しかもその本質は精神的なものではなく、法的にガッチリと押さえこまれているものだということです。そこのところを、はっきりとおさえておく必要があるのです。私自身、いろいろ調べた末にこの日米合同委員会の存在にたどりついたとき、「ああ、これだったのか」と目からウロコが落ちるような気持ちがしました。それまで見えなかった日米関係の本質が、はっきり理解できるようになったからです。



終戦の詔書の原本

朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現狀トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ收拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク
朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

抑ゝ帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所
曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庻幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス
然ルニ交戰已ニ四歳ヲ閲シ朕カ陸海將兵ノ勇戰朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庻ノ奉公各ゝ最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス
世界ノ大勢亦我ニ利アラス
加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル
而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ
斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ
是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ
朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス
帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク
且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ
惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス
爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル
然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス
朕ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ
若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム
宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力ヲ將來ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ
爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ

 御 名 御 璽

  昭和二十年八月十四日

※内閣総理大臣以下、大日本帝国政府の大臣の連名があるが省略

終戦の詔書(現代文)

私は、世界の大勢と我が国の現状とを深く考え合せ、非常の方法をもって現在の状況を収拾したいと思い、ここに忠義心に厚く善良なあなたがた国民に対して、これから私の考えを伝える。
私は、わが帝国政府に米国、英国、中華民国、ソ連の四ヶ国に対して、彼らの共同宣言(ポツダム宣言)を受諾する旨を通告せよと命じた。

そもそもわが国民の安らかな生活を思い、あらゆる国と繁栄の楽しみを共にするということは、皇室の祖先が神代の昔から代々伝えてきた定めであり、私が大切にしてきたことである。
先に米英二国に宣戦した理由もまた、わが国の自存と東亜の安定を請い願ったからであり、他国の主権を排除したり、領土を侵略したりすることは、もとより私の志ではない。
しかし交戦はすでに四年に及び、わが陸海軍の将兵の勇戦、我が多くの諸官庁に勤務する多くの役人達の精励、全ての国民の奉公、それぞれが最善を尽くしてくれているにもかかわらず、戦局は必ずしも好転していない。
世界の大勢も見ると、これもまたわが国に利がない。
これに加えて、敵は新たに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用して、何の罪もない国民をしきりに殺傷し、いったいどれだけ被害が生じたのかわからないほどである。
(このような状況で)なおも交戦を継続することは、わが民族が滅亡するだけではなく、ひいては人類の文明をも破壊させることになるであろう。
このようになってしまったら、私はどのようにして愛するわが国民を保持し、我が祖先の神々に謝罪することができようか。
これが私が帝国政府に命じ(四ヶ国が求めた)共同宣言(ポツダム宣言)を受諾させた理由である。
私は、帝国と共に終始東亜の解放に協力してくれた同じ志をもつ諸国に対し、(東亜の開放という願いが達成できず)残念だという気持ちを伝えねばならない。
帝国国民で戦場に倒れ、仕事のために命を犠牲にし、心ならずも死んでいった者、およびその遺族のことを考えると、我が五臓は張り裂けそうだ。
さらに戦傷を負い、災禍をこうむり、家業を失った者にどのように豊かな生活を取り戻させることができるかということに至っては、私は深く心を痛めている。
思うに、今後わが国の受ける苦難は、もとより尋常なものではない。
あなた方国民が真実どんな思いであるかも私はよくわかる。
しかし私は、時の運命の赴くところにより、堪えがたきを堪え、忍びがたきを忍んで、永き将来のために平和をもたらしたいと思う。
私は、今ここに国体を護持し得て、忠義心厚く、善良なあなたがた国民の皇室に対する真心に信頼し、常にあなた方と共に存在するのである。
もし感情にまかせてさまざまな事件を起こし、あるいは日本人同士いがみ合い、混乱が生じ、そのため人としての道から外れ、世に信義を失うようなことは、私の最も戒めるところである。
国を挙げて、一つの家族の様にこの思いを子孫に伝えて、神国日本の不滅を強く信じ、これからの責任重く、先の長い復興の道を思い、総力を将来のわが国の建設に傾注して、強固な道義心と、不動の信念をもって、わが国が古来伝えてきた国体の精華を発揮して、世界の進歩・向上に遅れない様にしなければならない。
あなたがた国民は、天皇である私が今述べた思いを、どうかしっかりと受け止めて、行動してもらいたい。

 御 名 御 璽(ぎょめいぎょじ=天皇陛下のお名前とその印章のこと)

  昭和二十年八月十四日


今こそちゃんと読んで知りたい【終戦の詔書】全文・現代語訳 | SEの良心 (dajya-ranger.com) より以下抜粋

目から汗を吹き出しながらも、私が現代文に直しながらこの詔書で重要だと思うのは、次の部分だ。

  1. 帝國臣民ノ康寧(こうねい)ヲ圖(はか)リ萬邦共榮(ばんぽうきょうえい)ノ樂(たのしみ)ヲ偕(とも)ニスルハ皇祖皇宗(こうそこうそう)ノ遺範(いはん)ニシテ朕(ちん=天皇陛下)ノ拳々措(けんけんお)カサル所

  2. 帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庻幾(しょき)スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固(もと)ヨリ朕カ志ニアラス

  3. 朕何ヲ以(もっ)テカ億兆(おくちょう)ノ赤子(せきし)ヲ保(ほ)シ皇祖皇宗(こうそこうそう)ノ神靈(しんれい)ニ謝セムヤ

  4. 朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦(しょめいほう)ニ對(たい)シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス

  5. 帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃(たお)レタル者及(および)其(そ)ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲(ごないため)ニ裂(さ)ク

  6. 朕ハ茲(ここ)ニ國體(こくたい)ヲ護持(ごじ)シ得テ忠良(ちゅうりょう)ナル爾臣民(なんじしんみん)ノ赤誠(せきせい)ニ信倚(しんい)シ常ニ爾臣民ト共ニ在(あ)リ

1. に関して「八紘一宇(はっこういちう)」が戦時日本のスローガンだと言われ、この言葉を使うと即座に「右翼認定」を食らうようだが、そもそも天皇陛下は「神」(一般的な宗教でのGODの意味の「神」ではない)であり、日本のためだけにおわす神ではないのだ。
こんなことを書くと、「頭がイカレ過ぎて右に振り切れた極右」だと誤解されそうだが、そもそも考え方の前提が違う。この辺については別に稿を改めて書きたいと思うが、当時の
昭和天皇が日本の最高権威者として述べている前提がこの1. の部分で、非常に重要なポイントだと言えるだろう。
2. については「開戦の詔書」にある通り、そもそも日本の自存自衛のための戦争であり、日本には今も昔も当時の欧米列強がやったような植民地支配をしたことがない。よって、詔書にある通り「他国の主権を排除して領土を侵す(侵略する)志」を明確に否定している。
3. については1. の前提を理解していないと本当の意味が分からないだろうと思う。ここで述べている「億兆(おくちょう)ノ赤子(せきし)」は、日本人ならびに朝鮮人(当時は日本人と同じ大日本帝国の臣民であった)だけを指すのではなく、世界の全人類を指した言葉なのだ。このまま徹底抗戦を続けたなら、日本民族は滅亡するだろう。それだけではなく、さらなる原爆投下により、人類の文明をも破壊させることになるだろう。
もしそんなことになってしまったら、
昭和天皇としては、国民と2000年以上続く歴代の天皇(神々)に、どうやって謝罪することが出来ようか、と嘆いている。
4. は 2. に関連するが、
大東亜戦争は欧米列強の植民地支配からの「東亜(東アジア)の開放」という目的があったが、日本が敗戦することでその目的が達せられず、申し訳ないと言わざるを得ない、と言っている。
日本は多大な犠牲を払って敗戦の汚辱にまみれたが、日本が
大東亜戦争によって立ち上がったからこそ、結果的にアジアの植民地が次々と開放されて行ったのは事実だ。それでもなお、「日本は侵略戦争をした」って?支那人や朝鮮人のエビデンスのない妄言は、ご遠慮願いたいものだ。
5. に続く部分は、大日本帝国臣民として、戦地や職場で命を落とした人や、その遺族について考えると、「五内(ごない・ごだい)」つまり「五臓」(心臓・肝臓・肺臓・腎臓・脾臓)が張り裂けそうだと言っている。よく「断腸の思い」と言うが、そんな生易しいモノとは比較にならない、すごい喩えであることが分かると思う。
さらに続く文章では、戦傷を負い、災禍をこうむり、家業を失った国民の今後の生活を心配する内容となっている。
最後に6. だが、日本の国体について述べている重要な箇所だ。日本人が「国体」と「天皇」をどう考え、それをどう護持するのかが問題となる。ハッキリしているのは、国体を護持し得ている以上は、天皇陛下は常に我々日本人と共に存する、ということだ。
戦後日本を占領した
GHQは、東京裁判で一方的に日本の戦犯を認定して断罪・処刑し、そして「大東亜戦争」を「太平洋戦争」に改めさせた。東アジアの開放の意味があるから、アジアに植民地を持つ戦勝国側としては非常に都合が悪い。
戦後教育も、
GHQによる「日本に二度と戦争をさせない」のが目的の、自虐史観での歴史教育であるから「開戦の詔書」も、今回取り上げた「終戦の詔書」も、その内容について義務教育では一切やってない。多分、今もやっていないだろう。

参考文献・参考資料

なぜ日本はこれほど歪んだのか…ぜったいに「米軍」にさからえない「日本の悲劇」 『知ってはいけない』 (msn.com)

政治講座v48「日米地位協定」|tsukasa_tamura|note

今こそちゃんと読んで知りたい【終戦の詔書】全文・現代語訳 | SEの良心 (dajya-ranger.com)

なぜアメリカ軍は「日本人」だけ軽視するのか…その「衝撃的な理由」(矢部 宏治) | 現代新書 | 講談社(1/5) (gendai.media)

矢部宏治 - Wikipedia

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