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政治講座ⅴ2094「世界一のエンターテイナー。強い大統領を演出するトランプ大統領。今後の政治的パフォーマンスを期待する」

 あらゆる面の話題や自己破産まで披露する手法は一種の天才と言えるのである。見方・聞き方によっては「大言壮語」と言って非難するが、しかし彼には天分が或るのである。
そして、人生で「戦い」が好きなのであろう。ドナルド・トランプ 氏は、そのビジネスキャリアにおいて過去に4度の自己破産申請を行っています。 この破産申請は個人としてではなく、彼が関与する企業が行ったものです。
そして、暗殺未遂の危機からも臆することなく大統領に返り咲いたのである。先進爛漫なアメリカ人のサクセスストーリである。

顔から血を流し、群衆に向かってこぶしを突き上げるトランプ氏。シークレットサービス(大統領警護隊)の要員がトランプ氏の体を支えている/Evan Vucci/AP

今回は彼の人生が醸し出す政治信念の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年1月10日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

報道記事紹介

トランプ氏「経済緊急事態」宣言検討か、米報道 関税引き上げめぐり

朝日新聞社 によるストーリー

 米CNNは8日、トランプ次期大統領が関税の一律引き上げの法的根拠として、「国家経済緊急事態」の宣言を検討していると報じた。同宣言下では、関税にかんする大統領権限が大きく広がるためだ。

 トランプ氏は選挙戦で、全ての輸入品に10~20%の関税をかける方針を表明していた。ただ、どのように実施するかは明らかになっていない。引き上げが実現すれば、自動車などを多く米国に輸出している日本にとっても大打撃になる。

 CNNは複数の関係者の話として、トランプ氏が関税引き上げの根拠として、「国際緊急経済権限法(IEEPA)」の活用を検討していると報じた。

一律関税へ「緊急事態」宣言検討 トランプ氏、安保理由に権限拡大

共同通信 によるストーリー

トランプ次期米大統領=8日、ワシントン(AP=共同)© 共同通信

 【ワシントン共同】米CNNテレビは8日、トランプ次期大統領が、輸入品への一律関税を実現するため「緊急事態」の宣言を検討していると報じた。安全保障上の脅威を根拠に、関税を課す広範な権限を得られるという。関係者の話として伝えた。

 第1次政権時に続き、トランプ氏が関税強化に重点を置いている姿勢が改めて浮き彫りとなった。

 米国では関税措置の一部は大統領に権限委譲されており、法的根拠が複数ある。このうち「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を使うと、大統領が緊急事態を宣言することで、安全保障上の理由を説明する厳格な要件を必要とせずに関税を課すことができるようになる。

仏独、トランプ次期米大統領に警告 グリーンランド支配の発言めぐり

BBC News によるストーリー

仏独、トランプ次期米大統領に警告 グリーンランド支配の発言めぐり

アレックス・テリエン、 BBCニュースドナルド・トランプ次期米大統領がデンマークの自治領であるグリーンランドを軍事力で奪取する可能性を否定しなかったことを受け、ドイツとフランスは8日、トランプ氏に対して警告を発した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、「国境不可侵の原則は、非常に小さな国であろうと非常に強力な国であろうと、すべての国に適用される」と述べた。フランスのジャン=ノエル・バロ外相は、「欧州連合(EU)が他国に主権を侵害されることを許すことはあり得ない」と語った。トランプ氏は7日、グリーンランドを取得したい意向をあらためて表明し、この北極圏の島がアメリカの国家および経済の安全保障にとって「重要」だと述べた。
トランプ氏は大統領1期目の2019年にグリーンランド購入の意向を示して以来、繰り返しその関心を表明している。
アメリカの長年の同盟国であるデンマークは、グリーンランドは売り物ではなく、その住民に属するものだと明言している。
グリーンランドのムテ・エーエデ自治政府首相は、デンマークからの独立を推進する立場だが、同じくグリーンランドが売り物ではないと明確に述べている。エーエデ氏は8日、デンマークの首都コペンハーゲンを訪問した。

「弱肉強食の時代に戻った」

ドイツのショルツ首相は、次期米大統領の発言には「ある種の理解しがたさ」があると述べた。
そして、「国境の不可侵の原則は、東西を問わずすべての国に適用される」と強調した。
デンマークは、ドイツやフランスと同様、アメリカ主導の北大西洋条約機構(NATO)の一員。
ショルツ首相は、「NATOは我々の防衛にとって最も重要な手段であり、また大西洋を越えた関係の中心だ」と強調した。
フランスのバロ外相は、同国のラジオ局アンテルに出演した際、「アメリカがグリーンランドを侵略すると思うかと問われれば、答えはノーだ」と述べ、こう続けた。
「だが、我々は弱肉強食の時代に戻ったのかと問われれば、答えはイエスだ」
「だからといって、我々が脅されて不安に打ちひしがれるべきかと問われれば、明らかにノーだ。我々は目を覚まし、力を蓄えなければならない」
ドイツとフランスは、EUの主要な推進力とされる二大国だ。
しかし、EUが潜在的な攻撃をどのように防ぐかを想像するのは難しい。EU自体には防衛能力がなく、27加盟国のほとんどがNATOに所属している。

「軍事活動に重要」とトランプ氏

トランプ次期大統領は7日、米フロリダ州の私邸「マール・ア・ラーゴ」での記者会見でこの発言を行った。1月20日の就任宣誓式まで2週間を切っている。
グリーンランドやパナマ運河を手に入れるために軍事力や経済力を行使することを否定するかと問われた次期大統領は、「どちらについても保証はできない」と答えた。
「しかし、これだけは言える。我々には経済的な安全保障のために、それらが必要だ」
グリーンランドには冷戦時代からアメリカのレーダー基地があり、アメリカ政府にとって長い間、戦略的に重要な場所となっている。
次期大統領は、中国やロシアの船舶を追跡するための軍事活動にとってグリーンランドが重要だと示唆し、「彼らはそこらじゅうにいる」と述べた。
「私は自由世界を守ることについて話している」とも、次期大統領は語った。
デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は7日、デンマークのテレビに出演し、「グリーンランドはグリーンランド人のものであり、その未来を決めるのは地元の住民だけだ」と述べた。
一方で、デンマークにはアメリカとの緊密な協力が必要だとを強調した。
グリーンランドのクノ・フェンカー議員はBBCに対し、住民はトランプ次期大統領からの「大胆な発言」を予期していたが、島の「主権と自決権には交渉の余地がない」と述べた。
グリーンランドの与党連合の一員であるシウムート党に所属するフェンカー議員は、地元当局は「アメリカや他の国々との建設的な対話と、相互利益のあるパートナーシップ」を歓迎すると述べた。
フェンカー議員は、デンマークとアメリカの両方を含む自由連合を排除しなかったが、「これはグリーンランドの人々が決めるべきことであり、一人の政治家が決めることではない」とした。
グリーンランドの人口は5万7000人ほど。広範な自治権を持っているが、その経済は主にデンマーク政府からの補助金に依存しており、デンマーク王国の一部であり続けている。
また、バッテリーやハイテク機器の製造に不可欠なレアアース(希土類)の埋蔵量は世界有数の規模を誇る。
グリーンランドの首都ヌークで取材しているデンマーク放送協会のステフェン・クレッツ国際担当上級特派員は、話を聞いたほとんどの人が、トランプ次期大統領が軍事力を行使して領土を掌握する可能性を否定しなかったことに「ショックを受けた」と述べたとした。
また、グリーンランドの大多数の人々は将来的な独立を望んでいるが、デンマークが現在提供しているような公共サービス、防衛、経済基盤を提供できるパートナーが必要であるという認識が広まっていると述べた。
「グリーンランドがアメリカのような外部の大国の植民地になることを夢見ている人にはまだ会ったことがない」
クレッツ氏はBBCに対し、デンマーク政府はトランプ氏との対立を「ささいなことだと思わせようと」しているが、「舞台裏では、この対立がデンマークの現代史における最大の国際危機になる可能性があると認識しているように感じる」と述べた。
7日には次期米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、住民たちと話すための「個人的な日帰り旅行」だとして、グリーンランドを訪問した。
トランプ・ジュニア氏はその後、バーでトランプ氏支持の帽子をかぶったグリーンランド人のグループと一緒に撮った写真を投稿した。

トランプ氏、領土的野心あらわに カナダ以外には軍事力行使も排除せず

AFPBB News によるストーリー
• 20 時間 • 読み終わるまで 1 分

トランプ氏、領土的野心あらわに カナダ以外には軍事力行使も排除せず© JOSH EDELSON/AFP


【AFP=時事】ドナルド・トランプ次期米大統領は7日、太平洋と大西洋を結ぶ交通の要衝「パナマ運河」の管理権を得るために軍事力の行使を排除しない姿勢を示した。一方、隣国カナダに対しては軍事力の行使を排除し、「経済的圧力」をかけると明言した。米国の同盟国であるパナマとカナダからは冷たくあしらわれた。
米議会が昨年11月の大統領選でのトランプ氏の勝利を承認した後、トランプ氏は南部フロリダ州の自邸で記者会見し、アラブ首長国連邦企業が米国のテクノロジー関連事業に200億ドル(約3兆1570億円)を投資すると発表したが、話題はすぐさま選挙戦でも繰り返し言及した内容となった。
トランプ氏は今後4年間の施政方針を説明しながら「われわれが大統領選に勝利して以来、世界が私たちを見る目が一変した。外国の人々が電話をかけてきて『ありがとう、ありがとう』と言ってくれた」と語った。
さらに、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改名する意向を表明し、不法移民の国境通過を止めなければ、高い関税を課すとメキシコを脅した。
長年切望してきたデンマーク領グリーンランドとパナマ運河の取得については、軍事力を行使する可能性を排除せず、最近死去したジミー・カーター元大統領が在任時にパナマ運河の管理権引き渡しを認めたことを批判した。
カナダを服従させるのにも軍事力を行使するかと問われると、「ノー。経済的圧力だ」と回答する一方、「人為的に引かれた」米国とカナダの国境線の抹消は、国家安全保障に恩恵をもたらすとの認識を示した。
トランプ氏の他の多くの発言と同様に、冗談や誇張と純粋な政策を切り離すのは難しいが、今回のコメントは領土拡張をめぐる発言のエスカレーションと見なされ、否定的な反応を引き起こした。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、同国が米国に併合される「可能性はゼロに等しい」と一蹴した。
パナマのハビエル・マルティネスアチャ外相も「パナマ運河の主権に交渉の余地はない」と一蹴。パナマ運河が中国軍によって運営されているとのトランプ氏の主張については、「運河を運営しているのはパナマ人だけであり、今後もそうあり続ける」と述べた。(c)AFP/Chandan Khanna with Frankie Taggart in Washington


【バイデン大統領を提訴】日本製鉄「USスチール買収」拒否判断に「米国内から批判の声」が出る理由 橋本英二会長が見据える“トランプ氏とのディール”

マネーポストWEB によるストーリー

厳しい表情で会見に臨んだ日本製鉄・橋本英二会長兼CEO(1月7日)


 約2兆円という巨額の買収案件は、異例の訴訟へと発展した。アメリカ合衆国大統領を向こうにしながら全く物怖じする様子を見せなかったのは、社長から会長になった2024年4月以降で初めて会見の場に姿を見せた日本製鉄の橋本英二会長である。同氏が主導する「USスチール買収」は正念場を迎えているが、その成否は日本製鉄のみならず、日本企業が今後の生き残りを図るうえでも重大な意味を持つはずだ。ノンフィクション作家・広野真嗣氏がレポートする。
【写真】ブリンケン米国務長官と握手する岩屋毅外相
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 日本製鉄とUSスチールが買収計画実現の構えから、1月6日、計画中止を命じたバイデン大統領を相手取る異例の提訴に踏み切った。2023年12月に買収計画をぶち上げた橋本英二・会長兼CEOは7日の記者会見で、「決して諦めることはありません。諦める理由も必要もない」と語ったが、その姿勢にはトランプ2.0の世界に臨む日本の企業が成長を探るヒントがある。
 日鉄が提起した訴訟は2つある。1つはバイデン大統領と対米外国投資委員会(CFIUS)を相手に「国家安全保障でなくバイデン氏の政治的レガシーを達成するという目的のために審査された買収中止命令」の無効を訴える行政訴訟。もう1つは、買収で競り負けた米鉄鋼最大手クリーブランド・クリフスのCEOのロレンゾ・ゴンカルベス氏が、全米鉄鋼労働組合(USW)のデビッド・マッコール会長ら執行部と結んで日鉄の買収計画を妨害し、政権に不公正な働きかけを行ってきたと訴える民事訴訟だ。
 訴訟を通じて日鉄は、バイデン氏が「法の支配を無視したこと」を明らかにするという。アメリカ大統領へのこうした強い言葉は、トップの橋本氏の不退転の覚悟も感じさせるものだ。

本当に「日鉄の計画は無理筋だった」のか?

 今回の日鉄の計画をめぐって日本の世論が盛り上がりきらない理由の一つは、日本の識者らから「労組の反対が強い買収は最初から無理筋だった」「買収時期を考えるべきだった」といった指摘があるからだ。しかし、本当にそうした“達観した解説”が的を射ているのだろうか。この1年半の計画の推移をウォッチし、橋本氏への取材も行った私は釈然としない。
 そもそもFOXテレビのインタビューや日経新聞の現地取材の記事によれば、USスチールの一般組合員からは日鉄の投資を心待ちにする発言が続き、地元のペンシルベニアの町の首長たちからも熱烈に歓迎されているからだ。
 識者の解説の中には、「米国人が運営する鉄鋼企業があることが米国にとっての安全保障だ」という指摘もあった。確かにバイデン政権の説明に則ればそういうことになる。

 しかし、そもそも米国の高炉メーカーは2社のみで、仮に日鉄がUSスチールを買収しても、米国最大手のクリフスが存在している。1番手のクリフスが2番手のUSスチールを買収したり、買収阻止でUSスチールを弱体化させて独占状態を生み出すことが、健全な市場形成につながるのか。軍事や自動車といった戦略物資の基礎となる鉄鋼市場に健全さが失われれば、それこそ安全保障の根幹を揺るがす懸念がある。
 それを「米国の安全保障だ」というのはハッタリで、背景には後ろめたい「別の政治的動機」――特定の企業や団体への利益誘導による票固めがあり、安全保障というもっともらしい言葉で糊塗していると理解したほうがわかりやすい。
 実際、1月7日付のワシントンポスト紙の記事(How Biden betrayed union workers by giving them what they wanted)によれば、バイデン側近の1人は匿名で、「(中止命令の)結論は政治とレガシーから下された」と述べている。安全保障ではなく、トランプに切り崩されかねない「労組票へのアピール」という政治目的のために下された可能性を示唆している。
 この記事を含め、アメリカのリベラルメディアは今回のバイデン大統領の判断に批判的なトーンが目立つ。日本側の解説が、大統領による阻止が発表された段階で“諦めムード”だったのとは対照的だ。日米の論調を見比べると、むしろ「無理筋」だったのはバイデン氏の側ではないかとの思いが強くなる。

アメリカの鉄鋼業界から競争が消える

 そもそも、この買収阻止は日本ではなくアメリカにとって打撃となるはずだ。
 日鉄の買収阻止に動いたクリフスのゴンカルベス氏は、成功のためには手段を厭わない鉄鋼界のイーロン・マスクの異名を持つブラジル出身のやり手だ。2014年のトップ就任時に46億ドルだった売上高を230億ドル(2022年度)に、83億ドルの赤字だった損益を14億ドルの黒字にまで好転させている。
 ただ、その手段は国内企業の相次ぐ買収による規模拡大で、その強引な姿勢にはアメリカ国内からでさえ批判がある。日鉄の6日の発表によれば、ゴンカルベス氏は今回の日鉄の買収阻止の帰結としてクリフスが特定の電磁鋼板の唯一の供給者となる旨を強調し、「価格引上げを行うのです。それ以上行けなくなるまで行きます」と発言したという。
 独占による恩恵をクリフスは受けるだろうが、競争が失われることで打撃を受けるのはほかならぬ、アメリカの消費者であり、日米関係そのものだ。

「詐欺的」「嘘」…日鉄が異例の強い言葉で応戦

 さらに日鉄の発表資料によれば、クリフスの出身でもあるUSW会長のマッコール氏は、2024年2月の電話インタビューで「本買収(日鉄による買収)を潰したい」と公言。日鉄側が送った買収後の雇用維持の提案も「空約束だ」とつっぱねるなど聞く耳を持たない姿勢を貫いてきた。2024年4月のバイデン氏による「USスチールは完全に米国企業であり、米国人が所有し、米国の鉄鋼労働者が運営する米国企業であり続けるべきだ」という発言を引き出したのだ。
 こうしたゴンカルベス、マッコール両氏の姿勢について日鉄は、「CFIUSの審査結果やバイデン大統領の本買収阻止の決定に不当な影響を与えるため、虚偽または詐欺的な発言を行った」と激しい言葉で非難している。
 官僚的な体質から「日本の鉄鋼庁」と揶揄されもしてきた日本製鉄から「詐欺的」「嘘」といった強い言葉で構えるファイティングポーズが示されることは異例だ。提訴を受けマッコール氏は「(日本には)中国以上に有害なダンピングの歴史がある」と反論する声明を出したが、現在の鉄鋼価格の低迷の原因は市場の5割を占める中国勢の攻勢によって引き起こされている。中国と同盟国の日本を混同する、かなり不可解な弁明に終始するのは、「大人しく引き下がる日本人」像を抱いてきたがゆえの戸惑いの裏返しではないかとすら思える。
 確かに、そもそもUSスチール買収という決断自体が、これまでの日本の鉄鋼業では考えられなかったことなのだ。
 かねてから世界の鉄鋼業には、欧州の鉄は欧州の企業が、アジアの鉄はアジアからといった大まかな棲み分けがあり、日本でも、国家的産業と結びつく性格から、国内でつくった粗鋼を加工して海外に輸出することをスタンダードとしてきた。2019年にトップに着任後、新風を吹き込んだのが橋本氏だ。

交渉の場で「それは捏造だ」――橋本氏の戦い方とは

 橋本氏以前の歴代社長10人のうち9人が東大卒という超エリート集団。今井敬氏や三村明夫氏ら日本の戦後を代表する経済人を輩出してきた日鉄において、一橋大学卒の橋本氏、弘前大学医学部から東大法学部に転じた森高弘副会長が主導するUSスチール事業は、これまでの日本の経営に一石を投じる野心的なチャレンジだった。
 上司にも直言する性格が災いして左遷された経験も持つ橋本氏は、傍流とみられていた海外部門で実績を上げて社長に抜擢された。豪腕の真骨頂は2014年、ブラジルの鉄鋼大手ウジミナスの経営再建をめぐる実績だ。
 共同運営する南米企業テルニウムとの主導権争いのなか、交渉に備えて相手を厳しく非難する英単語を手帳に書き留めて臨み、交渉を成功させている。
 筆者が昨年11月末にインタビューした際、橋本氏に当時のことを質問すると、橋本氏は、「恥ずかしながら、そういう言葉を使わざるを得ない局面だった」と述べた。
「相手側が私の発言を捻じ曲げて“こう言った”と述べた時、“それは捏造だ”と言わざるをえない。中南米の会社は文化も違うし、向こうは必ず弁護士もついてくる。日本で普通に鉄を売り買いする時には使わないような強い言葉をしょっちゅう使わざるをえなかったから、勉強したのです」
 奇しくも今回の相手の一人は南米出身の一筋縄ではいかない経営者だ。大統領を相手にする訴訟に勝算が大きいとは言い難い。正論で突き進んだ買収工作に課題はなかったかなど、検証すべき点はあるだろうが、もともとブロック化が進行する世界情勢を先取りしリスクをとったチャレンジなのだ。訴訟という“延長戦”に万が一勝てるならば、トランプ新政権下でCFIUSの再審査が行われる。そこで再び交渉が始まる可能性もある。
 リスクをとってチャレンジしなくても会社が倒産せずに済んだデフレ時代は過ぎた。小さくとも冷静にチャンスを見出して挑む橋本氏の日鉄のような企業があちこちで生まれなければ、日本に未来はない。「無理筋だった」と醒めた目で眺めている場合ではないのだ。
■取材・文/広野真嗣(ノンフィクション作家)
 * * *
 現在、「マネーポストWEB」では、昨年12月に公開した橋本会長のインタビュー記事4本を全文掲載している。『【独占インタビュー】日本製鉄・橋本英二会長「USスチールの買収チャレンジは日鉄の社会的使命」、社内の賛否両論を押し切った決断の経緯』などで、海外に打って出て成長にチャレンジする必要性が語られている。

メキシコ大統領「北米はメキシカン・アメリカ」 トランプ氏に反論

毎日新聞 によるストーリー

記者会見するメキシコのシェインバウム大統領=メキシコ市で2025年1月8日、ロイター

 

「(北米大陸を)メキシカン・アメリカと呼びましょう」。メキシコのシェインバウム大統領は8日、トランプ次期米大統領がメキシコ湾を「アメリカ湾」に名称変更することを提案したことへの反論として、17世紀の地図を示しながら、そう冗談交じりに提案した。AP通信などが伝えた。

 シェインバウム氏は記者会見で、17世紀の地図の前に立ち、メキシコ湾という名称は古くから使われ、国連や国際機関に認識されてきたと指摘。当時の地図には、北米大陸の広い地域がスペイン語で「アメリカ・メヒカーナ」と表記されていることなどを示し、北米大陸を「メキシカン・アメリカ」と呼ぶことを提案。「いい響きだよね」などと笑顔で述べた。

 トランプ氏はメキシコに対し、不法移民や麻薬の流入に対応するよう求め、取り組まない場合は25%の関税を課すと脅している。7日の記者会見では、米南部に接するメキシコ湾を「アメリカ湾」に改称すると主張。メキシコは実質的に麻薬カルテルによって支配されているなどと語った。

 シェインバウム氏は会見で、麻薬カルテルに支配されているという主張についても「メキシコでは人々が統治している」と反論した。【ワシントン西田進一郎】


「1平方メートルたりとも譲れない」運河の管理権問題を巡る激しい対立…トランプ次期大統領の軍事的発言にパナマの大統領が冷静に対応

佐藤美穂 によるストーリー

「1平方メートルたりとも譲れない」運河の管理権問題を巡る激しい対立…トランプ次期大統領の軍事的発言にパナマの大統領が冷静に対応


パナマ運河の管理権を巡り、軍事力行使の可能性を示唆したドナルド・トランプ米国次期大統領に対し、パナマのホセ・ラウル・ムリーノ大統領が「当面は反応しない」姿勢を示した。
ホセ・ラウル・ムリーノ大統領は7日(現地時間)、パナマ運河返還に関するトランプ次期大統領の軍事力行使発言について、「(トランプ次期大統領が)20日に大統領に就任するまで反応しない」と述べたと、現地紙「ラ・エストレージャ・デ・パナマー」が報じた。国際法上、パナマの領土主権に争いの余地がないとの判断に基づくものとみられる。
ムリーノ大統領は先に記者会見とパナマ運河譲渡の25周年記念式典で、「パナマに運河を贈与した者はいない」、「我々が領土を金で買ったわけではない」、「1平方メートルたりとも譲れない」、「返還要求は、歴史的な無知の表れだ」などと述べ、トランプ次期大統領の威嚇的な発言に強く反発した。必要なら国際司法裁判所に米国を提訴する可能性も示唆していた。
トランプ次期大統領は同日、大統領選勝利後2回目となる記者会見を開き「パナマ運河は現在、彼ら(パナマ側)と協議中だ」とし、「彼ら(パナマ政府)は協定のあらゆる面で、そして道義的にも違反している」と主張した。さらに「中国がパナマ運河を運営している」と述べた。「パナマ運河とグリーンランドの管理権確保のために、軍事的または経済的な圧力を排除するか」との質問には「どちらの案件についても断言できない」と答えた。
トランプ次期大統領はまた、パナマ運河とグリーンランドが、米国の経済安全保障と国家安全保障にとって重要だと指摘した。また「(経済的・軍事的な圧力の不使用を)約束しない」と明言し、パナマ運河の管理権確保に向けて、軍事力行使の可能性を排除しなかった。
皮肉にも、ムリーノ大統領はこの日、パナマ駐在の米国大使館を訪れ、最近逝去した米国のジミー・カーター元大統領を追悼する言葉を残した。大使館がX(旧ツイッター)に投稿した写真によると、ムリーノ大統領は「世界の人権擁護者だったカーター元大統領は、パナマ運河譲渡条約に署名した」とし、「パナマ政府と国民を代表して、心からの哀悼の意を表する」と記した。カーター元大統領とパナマのオマル・トリホス元大統領は1977年、パナマ運河を通過する船舶の規制や運河の管理、運営、改善、保護、防衛など、米国政府が握っていた運河管理権をパナマ政府に完全移譲する「新パナマ運河条約(トリホス・カーター条約)」を締結した。
これを機に、1914年からパナマ運河を建設・運営してきた米国は、1999年12月31日正午をもって運河の管理権をパナマに完全移譲、数十年にわたり運河に駐留していた米軍も撤退した。


トランプ氏の破産歴に隠された勝利の秘密

トランプ氏の破産歴の概要

過去4度の破産申請とは

 ドナルド・トランプ氏は、そのビジネスキャリアにおいて過去に4度の自己破産申請を行っています。この破産申請は個人としてではなく、彼が関与する企業が行ったものです。これらの破産申請は主にカジノ業界に関連しており、ニュージャージー州アトランティックシティにあるカジノ・ホテルが経営破綻に追い込まれたことが、主な理由とされています。具体的には、トランプ・タージ・マハルやトランプ・プラザホテル・カジノなどが破産保護を申請しました。トランプ氏の破産歴は、そのビジネス戦略に影響を与えるだけでなく、彼の経営手腕を評価する際の一要素ともなっています。

破産申請の背景と経緯

 トランプ氏の破産申請に至った背景には、複数の要因が絡んでいます。まず第一に、1980年代後半から1990年代初頭にかけての過剰投資があります。この時期、トランプ氏は野心的にカジノやホテルを建設・買収して拡大を図りましたが、市場環境の悪化や競争激化により収益が伸び悩みました。また、カジノ業界の規制強化やインフラ整備の遅れも影響し、収益性が低下しました。さらに、金融機関からの高額な借入金が重荷となり、経営が行き詰まったのです。これにより、トランプ氏は経営再建を図るべく、破産法第11章に基づき再建型の破産手続きに入ることを選択しました。こうした背景と経緯を通じて、彼は自分自身のビジネス戦略とリーダーシップについて、重要な教訓を得たことでしょう。

破産歴がもたらした影響と結果

経営手腕に対する世間の反応

 ドナルド・トランプの自己破産歴は彼の経営手腕について複雑な評価をもたらしました。世間では、破産という言葉がしばしばネガティブなイメージと結びつきがちですが、一部の人々はこれを彼の大胆なビジネス冒険の一環と見なしました。トランプ氏の各破産申請は、彼の企業の再編や新しい戦略を模索するための手段であったと主張する声もあります。経済界では、トランプ氏のこのような対策が持続可能なビジネス成長を目指した戦略的な選択であると評価されることも少なくありません。

破産が与えたビジネスへの影響

 トランプ氏の自己破産は、彼のビジネス帝国に紆余曲折をもたらす一方で、結果的に新たな展開を生み出す契機ともなりました。破産手続きによって生じた一時的な信用不安は、慎重な財政管理と再投資戦略によって克服されました。破産後、トランプ氏はインフラ投資や新しいビジネスベンチャーに力を入れ、ビジネスの多角化を進めることで影響を最小限に抑えました。このように、破産を乗り越えることで得られる経験と教訓が、彼のビジネス手腕をより一層磨き上げたと言えるでしょう。

トランプ氏の破産からの復活

破産後のビジネス戦略

 トランプ大統領ことドナルド・トランプ氏は、自己破産という厳しい局面を乗り越えた後、独自のビジネス戦略を駆使して再び成功を収めました。彼の新たなビジネス戦略は、よりリスクを抑えた投資と、インフラ整備を重視する方針に基づいています。これは彼の経済政策とも一致しており、インフラ投資の増加による新たなビジネスチャンスを模索する一方で、過去の失敗を教訓にリスク管理を徹底することで、持続可能な成長を目指しています。

破産を乗り越えるための方策

 ドナルド・トランプ氏は、自己破産の経験から学び、再び頂点を目指すためのいくつかの方策を実行しました。まず、過去の投資判断を見直し、失敗の原因を徹底的に分析することで、より確実な判断を下せるようになりました。さらに、信頼できるチームを形成し、専門家の意見を取り入れることにより、経済的リスクを分散させました。また、自身のブランド価値を最大限に活用し、マーケティング戦略を強化することで、ビジネスの魅力と影響力を再構築しました。これらの方策により、困難な状況からの脱却と飛躍的な復活を遂げました。

破産歴に隠された勝利の秘密

成功に繋がる教訓と戦略

 ドナルド・トランプがその破産歴から得た教訓には、リスク管理と柔軟な対応策が重要です。自己破産を経験した後でも、新しいチャンスを見つける能力と大胆な戦略を駆使して、再び成功を掴むことができました。トランプ大統領は、破産を恐れることなく、逆にそれを学びの機会と捉え、成功に向けた新たな道を作り出しています。このアプローチは、ビジネスにおけるイノベーションや創造性を加速し、彼の独自のビジネススタイルを築く要因となったといえるでしょう。

トランプ氏のリーダーシップと影響力

 トランプ大統領のリーダーシップは、彼の破産歴によって形作られた部分もあります。自己破産という逆境を経験したことで、彼のリーダーシップはより一貫性を持ち、危機への迅速な対応や持続可能な戦略の構築に繋がったと言えます。大統領選挙での勝利も、その影響力を象徴する出来事でした。トランプ氏は破産を経て培った決断力と影響力で、ビジネス界だけでなく、政治の世界でも多くの支持を集め、ドナルド・トランプというブランドを一層確固たるものにしました。

トランプ大統領 誕生

トランプ大統領誕生により世界中に新たな風をふかせてくれることでしょう。

破産した人に勇気と希望を与えてくれる側面があるはずです。

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