政治講座ⅴ1959「短命政権に終わるか『死んだふり解散』と『寝たふり解散』の手法」
ご祝儀相場は手痛い門出となった。前途多難を暗示するようであった。表題の死んだふり解散とは、1986年(昭和61年)6月2日の衆議院解散の通称。寝たふり解散(ねたふりかいさん)とも呼ばれる。まさに、歴史は繰り返される。政治の世界は騙しあいの世界である。歴史は繰り返される。
今回はそのような石破政権の今後を占う報道記事を紹介する。このような腐敗した政権に嫌気がさした国民が政権交代の判断で鉄槌を下すのであろうか。政治が大変面白くなって来た。乞うご期待!
皇紀2684年10月2日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
首相就任から8日後の解散、26日後の投開票は戦後最短 衆院選
毎日新聞 によるストーリー
自民党の石破茂総裁は30日、党本部で記者会見し「新政権はできる限り早期に国民の審判を受けることが重要だ」と述べ、衆院選を10月27日に実施すると表明した。公示は15日。石破氏は1日召集の臨時国会で首相に選出された後、所信表明演説や代表質問などを経て、9日に衆院解散に踏み切る方針。新総裁が選挙日程を明言したことで、与野党は事実上の選挙戦に突入する。
首相就任前の表明は異例で、石破氏は「全国の選挙管理委員会などの選挙準備の観点から表明した」と説明した。
自民派閥の政治資金パーティー裏金事件による逆風を受け、党内や連立を組む公明党からは、新政権発足の勢いがあるうちに早期解散を求める声が強まっていた。自民候補の擁立見送りが決まっている参院岩手選挙区補選が27日にあり、同日選を仕掛けるべきだとの意見も出ていた。
首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短。解散から投開票までは18日間で、2021年衆院選の17日間に次いで戦後2番目の短期決戦となる。
野党は一斉に反発し、予算委員会の開催などを要求している。石破氏は会見で「国民の皆様に判断いただける材料をきちんと整える努力は続けていく」と語り、代表質問後に党首討論の実施などを検討している。
石破氏の会見に先立ち、自民は臨時総務会を開き、幹事長に森山裕 総務会長▽政調会長に小野寺五典元防衛相▽総務会長に鈴木俊一財務相▽選対委員長に小泉進次郎元環境相――を充てる人事を正式決定した。
党四役以外では副総裁に菅義偉前首相▽最高顧問に麻生太郎副総裁▽国対委員長に坂本哲志農相▽組織運動本部長に小渕優子選対委員長▽幹事長代行に福田達夫元総務会長――を起用。平井卓也広報本部長、松山政司参院幹事長、石井準一参院国対委員長の再任も決めた。
小泉氏は記者会見で、裏金問題に関わった議員の選挙公認について「地方組織や党員の思いも踏まえ、総裁、幹事長と執行部で厳正に判断したい」と述べた。
石破氏は30日、公明の石井啓一代表と国会内で会談し、不断の政治改革などに取り組むとした連立政権の合意文書に署名した。【園部仁史、川口峻、森口沙織】
石破内閣が短命なら高市氏はどう動くか 政治ジャーナリストが今後を予想「自民党は分断が進む」
ABEMA TIMES によるストーリー
9月27日に投開票がおこなわれた自民党総裁選は、決選投票によって石破茂元幹事長が逆転勝利した。敗北した高市早苗経済安保担当大臣について政治ジャーナリストが言及した。
第1回の投票結果は高市氏が「議員票72・党員票109で合計181票」、石破氏は「議員票46・党員票108で合計154票」。高市氏がトップだったものの、決選投票では石破氏が「議員票189・党員票26で合計215票」、高市氏が「議員票173・党員票21で合計194票」という結果に。
決選投票は議員票の比重が大きいため、各候補者が獲得した議員票が高市氏、石破氏両候補にどう流れていくのかが焦点に。高市氏との国会議員票の差はたったの16票だったものの、石破氏の逆転勝利となった。
政治ジャーナリストの青山和弘氏は「石破・高市の戦いの帰趨(きすう)を決したのは岸田氏が石破氏に乗ったこと」として「高市氏は1回目で72票という驚くほどの議員票を取ったが一気に逆転されて、石破氏が143票も積み増した」と解説。
さらに「高市氏は石破氏が短命で終わったら『次』を必ず狙ってくると思う」と推測した上で、「自民党内の半分ぐらいが、非協力的な内閣になる可能性もある」と指摘。
今後の自民党について「最初、“戦いが終わったらノーサイド”と言っていたが『どこがノーサイドだ』という雰囲気になってくる。分断が進むことが懸念される状況」とコメントした。(『ABEMA的ニュースショー』より)
慎重論が一転なぜ?“裏金議員”公認は…総理就任前に“異例”の解散宣言 石破新総裁
テレ朝news によるストーリー
衆議院の解散・総選挙が考えられる最速の日程で行われる見通しとなりました。自民党の石破新総裁は、総理大臣指名を前にした30日、衆議院選挙を来月27日に行う考えを表明しました。
■石破氏「早期に国民の審判を」
新しい総裁の誕生で風雲急を告げる永田町。解散表明は、菅新副総裁や森山幹事長、小野寺政調会長、鈴木総務会長ら、新たな党4役を従えた会見の冒頭で飛び出しました。
自民党 石破茂総裁
「10月1日、国会の首班指名で内閣総理大臣に選出されれば、直ちに組閣を行い、政権を発足させたい。新政権はできる限り早期に国民の審判を受けることが重要であると考えており、条件が整えば10月27日に解散・総選挙を行いたい。全国の選挙管理委員会などの選挙準備の観点から、本日表明をさせていただくものであります」
総理就任前の解散表明という異例の展開です。
自民党 石破茂総裁
「(Q.解散権を持つ総理に就任する前だが適切との考えか)今、内閣総理大臣でない者がこのようなことを行いますのは、それはかなり異例なことであると承知いたしております。『(総理に選出)されれば』ということを申し上げました。これが不適切なものだと考えているわけではございません」
■慎重論が一転 石破氏の“変節”
今年中の解散は予見されてはいましたが、石破氏は総裁選の間「解散までには一定の期間が必要だ」と言ってきました。
自民党 石破茂氏(先月24日)
「全閣僚出席型の予算委員会を一通りやって、この政権は何を考えているのか示せたその段階で、可能な限り早く信を問いたい」
報道ステーションに総裁候補として出演した時も…。
自民党 石破茂氏(12日)
「主権者である国民が判断できる材料をきちんと示すのは、それは新政権の責任です。材料もないのに判断してくれという話にはならないんだよ」
ただ、30日は…。
自民党 石破茂総裁
「(Q.予算委などを開催する考えは)衆議院・参議院におきます所信表明、それに伴います、当然のことですが質疑はきちんと行う。その他、予算委員会、あるいは党首討論。これは国会の判断があるので、それに従いたい。いずれにしても国民の皆様方に判断いただける材料をきちんと整えるような努力は続けて参りたい」
しかし、時間はそんなにありません。自民党は来月1日に召集される臨時国会の会期を9日までとする方針を野党側に伝達。この日に解散となれば、総理就任から9日目と戦後最速になります。総選挙は来月15日公示、27日投開票で行われる予定です。
党内からは…。
自民党 柴山昌彦衆院議員
「かなり驚きました。総裁選の間は、しっかりとあるべき政策等について国会での議論が必要だと言っていた。私はてっきり早期解散はないんだと思っていた」
自民党 青山繁晴参院議員
「能登、僕も入ったが復旧自体ができていない。10月末まで政治空白になるというのは、本来の国政のあり方とは違うと考えている。(Q.臨時国会9日間で審議は足りるか)いや足りないです。足りるはずがないじゃないですか」
■過去に石破氏「卑怯(ひきょう)」と批判も
野党も反発を強めています。
立憲民主党 野田佳彦代表
「もろに7条解散だな。ご本人が否定していた解散でしょ」
『7条解散』とは、不信任案の可決などに伴わず、内閣の助言と承認によって、天皇の国事行為として行う解散です。石破氏は、この7条解散について、憲法の趣旨に反するとして否定的でした。
自民党 石破茂氏(2020年7月)
「今なら勝てると思うから解散する。それは卑怯ですよ」
立憲民主党 野田佳彦代表
「これまでの歴代見ても、ご祝儀相場があるうちにとか、大義もないのに野党の準備が整っていない時とか、恣意的にやってきたと思う。その動きに石破さんは今まで警鐘を鳴らしてきたと思う。ご自身がやるとはまさか思っていなかった」
国民民主党 玉木雄一郎代表
「自民党を変えてくれるという期待のなかで石破新総裁が選ばれたんだと思うが、自民党を変える前に自分自身が変わってしまっている」
共産党 田村智子委員長
「党利党略、裏金隠し、疑惑隠し、逃げ切りを狙うというやり方は非常に問題が大きい。そんなにわが党との論戦が怖いのか」
れいわ新選組は「自民党とは詐欺師であり、統一教会であり、裏金泥棒であり、サタンだ」、社民党は「『裏金隠し解散』にほかならず、とても政治への信頼回復にはならない」、参政党は「石破氏が女系天皇、移民拡大、同性婚、緊縮財政に肯定的な立場を示していることに懸念を抱いています」などと、それぞれコメントしています。
■“裏金議員”公認は「厳正審査」
野党は、解散前に予算委員会を開いて、能登半島の復旧・復興に向けた補正予算の編成や、“裏金議員”の国会での説明などをするよう求めることで一致しました。
並行して、候補一本化の調整も急ぎます。与野党一騎打ちの構図に持ち込もうという動きです。
日本維新の会 吉村洋文共同代表
「自民過半数割れを目指していく。今回は元々、政治とカネで裏金問題でこうなっているわけだから。一本化で勝負をかけるのは僕は筋が通っていると思う」
対する自民党。“裏金議員”を公認候補とするかどうかについて、小泉選対委員長は…。
自民党 小泉進次郎選対委員長
「都道府県連に対して、不記載も含めて厳正な審査のうえ、改めて機関決定をしていただき、公認申請をしてもらうように今依頼をかけているところ」
■『石破ショック』株価大幅下落
日経平均株価は、石破新総裁の誕生による円高の進行に加え、金融所得課税の強化などへの警戒感もあって、取引開始直後から急落。30日の取引は先週末から1910円下げて終わるなど、投資家心理の冷え込みが表れていて、市場関係者からは「石破ショックだ」という声も聞かれます。
■石破新体制 船出に“不安”?
藤川みな代政治部長に聞いていきます。
(Q.総裁選を争った高市さん、小林さんにも起用を打診したが断られたと言われています。党内基盤は大丈夫ですか)
藤川みな代政治部長
「最後あれだけ接戦になった高市さんから打診を断られたということで、党内基盤には引き続き不安が残ったままです。もともと高市さんは、石破さんとは路線が違うので打診は受けないだろうとみられていました。この先、石破さんにとって、衆院選、臨時国会、年が明けて通常国会、参院選と真価を問われる状況が続きます。そうしたなかで、高市さんは石破政権と距離を置いて、早くも次のチャンスに備えているということです。周辺によれば『高市さんは完全に戦闘モードに入っている』ということです。実際、自民党内には『石破さんには支持率が高いうちに選挙をやってもらって、もしうまく行かなければ、参院選の前にまた顔を変えればいい』という話も出ています」
総理就任前に解散・総選挙の時期を明言するという異例の対応を取った石破氏。その理由については「全国の選挙管理委員会などの選挙準備の観点から表明した」としています。ただ、ここからの日程はかなり過密です。
10月1日に臨時国会で指名された後に組閣し、副大臣や政務官といった人事が続きます。そして、4日には所信表明演説。週があけた7日から各党の代表質問や党首討論を行う見通しです。その後、9日にも衆議院を解散。その日のうちにASEAN首脳会議のため、ラオスへ向かう日程が想定されています。
(Q.石破さんは『解散は予算委員会をやって議論してから』『すぐ解散しますという言い方はしない』と発言してきました。総裁になった途端に考えを変えた理由はどこにありますか)
藤川みな代政治部長
「自民党内では、森山さんが幹事長を引き受ける条件として、最も早いスケジュールでの解散を進言したとみられています」
(Q.森山さんの進言を受け入れたのはなぜですか)
藤川みな代政治部長
「進言を受け入れざるを得なかった背景には、石破さんの党内基盤の弱さがあるとみています。決選投票で石破さんを支持に回った小泉さん・森山さん・菅さんは早期解散論者ですし、“旧岸田派”にとっても、早期に解散しなければ岸田さんが身を引いた意味がなくなってしまうので、支援に回ってくれた人たちのいうことを聞かざるを得ない状況です。また、石破さんにとっても、内閣に内定したメンバーは初入閣が13人もいて答弁能力は未知数です。石破さんが当初言っていた予算委員会を行うことはリスクが高いです。党首討論であれば、各党代表との一騎打ちも乗り越えられると考えているとみられます」
(Q.裏金問題に関わった議員の公認をどうするか、急いでに決めないといけません。しっかりできるのでしょうか)
藤川みな代政治部長
「短期間で極めて難しい判断を迫られることになります。裏金問題に関わった議員が多い安倍派では、これまでの処分や人事をめぐる不満がたまったままです。そういった安倍派の議員に対して、党内では『反省が足りない』という冷ややかな見方も続いています。世論は一貫して裏金問題に厳しい対応を求めているので、公認をめぐる判断を誤ると、選挙の後まで裏金問題を引きずり続けることになりかねません」
閣僚・党人事で明暗、勝利貢献の旧岸田派・旧森山派を厚遇…旧茂木派・旧安倍派はほとんど起用せず
読売新聞 によるストーリー
自民党の執行部・閣僚人事は、派閥や旧派閥の処遇で明暗が分かれた。石破茂新総裁は総裁選での勝利に貢献した旧岸田派などを厚遇しつつ、「反石破」に回った麻生派への配慮もにじませた。旧茂木派と旧安倍派はほとんど起用せず、「非主流派」を印象付けた。
総裁選の決選投票で、石破氏は岸田首相が率いた旧岸田派の支援を受け逆転勝利した。閣僚人事では同派ナンバー2の座長だった林官房長官を続投させ、党四役にも小野寺五典・元防衛相を政調会長に起用した。小野寺氏は30日の記者会見で衆院解散・総選挙に向け、「政権公約の取りまとめに入りたい」と語った。
旧森山派の重用も目立つ。幹事長に森山裕総務会長が就き、党運営を主導する。森山氏は岸田氏や菅前首相との関係が良好で、党内では存在感が高まるとの見方が多い。
菅氏と近い議員の登用も多い。選挙対策委員長に小泉進次郎・元環境相を充てたほか、閣僚人事では坂井学・元官房副長官らの入閣が内定した。いずれも決選投票では石破氏を支持したとされる。
閣僚・党人事で明暗、勝利貢献の旧岸田派・旧森山派を厚遇…旧茂木派・旧安倍派はほとんど起用せず
党内融和にも工夫を凝らした。麻生太郎・前副総裁を最高顧問としたほか、麻生派から鈴木俊一財務相が総務会長に起用され、閣僚にも2人が内定した。麻生氏は決選投票で高市経済安全保障相を支持したが、冷遇すれば、「党内不和の火種になりかねない」(中堅)と判断したとみられる。
「負け組」となったのは茂木敏充・前幹事長が率いた旧茂木派と、旧安倍派だ。
総裁選で敗れた茂木氏は要職から外れた。一方、茂木氏と距離のある加藤勝信・元官房長官は財務相に内定し、派内では「茂木氏が入り込む余地をなくすためでは」との見方もある。
最盛期に100人を数えた旧安倍派は、幹事長代行に福田達夫・元総務会長の起用が決まったが、入閣はゼロ。今年1~2月に派閥を退会した岩屋毅・元防衛相、福岡資麿参院政策審議会長を含め、内定した閣僚19人のうち11人が無派閥で、対照的な結果となった。
新閣僚、旧統一教会側との接点認めたのは8人 石破首相や加藤財務相
朝日新聞社 によるストーリー
岸田文雄前首相の就任から3年の間に、国会では、自民党派閥の裏金と、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関わりが大きな問題となった。石破内閣では、裏金を受け取った議員の入閣はなかったが、教団側との接点を認めた議員は石破茂氏を含め8人が入閣した。
2022年の安倍晋三元首相襲撃の直後に、教団や関係団体との接点の有無を尋ねた朝日新聞のアンケートでは、今回入閣した20人のうち7人が接点を認めていた。石破首相▽加藤勝信・財務相▽小里泰弘・農林水産相▽武藤容治・経済産業相▽赤沢亮正・経済再生担当相▽城内実・経済安全保障担当相▽伊東良孝・沖縄北方担当相で、教団や関連団体のイベントに出席したり、祝電を送ったりしたことがあるとしていた。
石破氏は、教団側から献金を受けたり、パーティー券を買ってもらったりしたことがあると認め、理由や経緯については「政治活動の自由及びプライバシーの保護の観点から回答は控える」としていた。赤沢氏は教団を「近年特段の問題は指摘されていない宗教法人」だと認識していたとした。
自民党も、朝日のアンケートと同時期に「点検」を実施。朝日に接点を認めた7人のほか、朝日に未回答だった坂井学・国家公安委員長についても、選挙でボランティア支援を受けるなどの教団側との接点があったと公表していた。(浅沼愛、根津弥)
■教団側との接点を過去に認めた石破内閣の閣僚
石破茂・首相
加藤勝信・財務相
小里泰弘・農林水産相
武藤容治・経済産業相
赤沢亮正・経済再生担当相
城内実・経済安全保障担当相
伊東良孝・沖縄北方担当相
坂井学・国家公安委員長
*2022年の朝日新聞アンケートや自民党点検で認めた議員
日経平均急落「石破ショック」、本当の大惨事は2025年夏に…金利ある世界でPB黒字化目指す恐ろしさ、消費増税も?
森永 康平,湯浅 大輝 によるストーリー
9月30日、日経平均株価は石破茂氏が自民党新総裁に就任したことを受けて、大幅に下落した。
石破氏は総裁選後、拙速な金利引き上げに疑問を呈すような発言をしたほか、財政出動にも一定の理解を示したかのように見える。金融所得課税の強化や法人税増にも言及するなど、経済政策には不透明感が漂う。
経済アナリストの森永康平氏は「自民党は国民を見ていない政党だと総裁選ではっきりした」と一刀両断。2025年夏頃に増税の議論が熱を帯びると予測する。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
国民の経済的苦境を全く見ていない自民党
──石破氏が自民党総裁に選出されました。石破氏の財政・金融政策をどのようにみていますか。
森永康平氏(以下、敬称略):彼のマクロ経済観は、総裁選の告示前と告示後で変わっています。告示後や総裁選後のインタビューでは、政策金利の早期の引き上げについて慎重な見方を今のところ示していますし、物価高対策として財政出動の必要性も認めています。
ただ、告示前は「アベノミクスの異次元の金融緩和で、国家の財政と日銀の財務が悪化した」と言っていましたし、企業が負担すべき金利が事実上免除されたことで、いわゆる「ゾンビ企業」が市場から退場しなかった、というような趣旨の発言もしていました。
私は、ネットで広がっている「石破さんが首相になったから、すぐに金利の引き上げ・増税がくる」という見方が正しいとは思いません。ただ、告示前の発言が「本音」だとすると、石破氏は財政健全化路線を肯定する政治家であると言えると思います。
森永 康平(もりなが・こうへい) 1985年生まれ、運用会社や証券会社で日本の中小型株のアナリストや新興国市場のストラテジストを担当。2018年に金融教育ベンチャーのマネネを創業し、CEOを務める。アマチュアで格闘技の試合にも出場している。著書に父、森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など。日本証券アナリスト協会検定会員。経済産業省「物価高における流通業のあり方検討会」委員。
それよりも私は、今回の総裁選を見て「やっぱり自民党は自分たちの論理でしか動かない政党なんだな」という思いを強くしました。
今回の候補者の中ではほぼ唯一と言っていい「積極財政論者」であった高市早苗氏は1回目の投票で1位だったのにもかかわらず、決選投票で負けてしまった。
世論では「『今、利上げするのは“アホ”と喝破した高市さん』であれば、庶民の生活苦を理解してくれる」という声もあったにもかかわらず、決選投票では自民党員の中で「高市さんだけは嫌だ」という論理が働いたのでしょう。
この事実だけを見ていても、少なくとも自民党は国民を経済的に豊かにすることを第一に考えてはいないと言えると思います。ただ一方で、私は高市氏が勝っていたとしても、公約で謳っていたような積極財政を実現する政策は打てなかったと思っています。
なぜなら、真逆の考えを持つ人の協力も必要になってくるからです。言い換えれば、石破氏も党内で真逆の考えを持つ人の協力が必要なので、緊縮財政路線にかじを切りたくても、一気に利上げ・増税路線にシフトできるかというと、そうとも言い切れないでしょう。
──石破氏は「金融所得課税の強化」や「法人税増」の必要性にも触れていました。
「石破増税」のシナリオとは
森永:彼が増税路線を進むとすれば、解散総選挙後すぐではなく、おそらく2025年の夏前だと私は見ています。
いきなり増税路線を明確にすると、相当な反発があるでしょう。一方で、今、日銀の植田総裁は利上げを段階的にしていく方向性で動いているので、しばらく「放っておく」のではないでしょうか。
石破氏としては「日銀の独立性」を強調しつつ、植田総裁の利上げは放っておく。政策金利が上がれば国債の利払い費が増えるため、「これ以上の国債発行は控えるべきだ」という機運が高まります。
石破氏は2025年夏頃に大増税を表明?(写真:共同通信社)
そうなることを待って、2025年6月の「骨太の方針」で、再び「国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化」を明記するわけです。
岸田政権下でもすでにPBの黒字化は明記されていますが、当時はまだ7月31日の日銀の追加利上げ(上げ幅約0.15%)の前でした。これまでのPB黒字化の議論は「金利がない世界」が前提だったということです。ところが、この先、さらなる利上げがあると国債の利払い費が増え、それを増税で賄おうという話になるのです。
現在の税収では政策的費用も十分に賄えていないからこそ、国債発行で補っているわけですが、「金利ある世界」になり、国債の発行も控えつつ、かつ国債の利払いまで増えるとなれば増税は避けられません。
ここから石破氏が温めてきた、金融所得課税や法人税の強化が、いよいよ現実味を帯びてくるわけです。国民としては、そろそろ石破政権にも慣れてきた頃合いになります。増税の議論はもしかしたら、「消費増税」にまで及ぶかもしれません。そうなれば、かなり恐ろしい事態に日本経済は陥ります。
──石破氏当選後の相場の下落を「石破ショック」と表現する論者もいます。
金融所得課税の強化に意味はあるのか?
森永:確かに、日経平均先物の大幅下落は事実ですが、ドル円は総裁選の約2日前の25日から円安傾向に、日経平均先物相場も上がっていたので、市場は「高市トレード状態」にあったのでしょう。それが27日に石破氏が総裁になった後、日経平均先物もドル円相場も「元に戻った」のです。
本当の石破ショックはむしろ、来年以降になると見るべきでしょう。
私は利上げや増税に頭から反対しているわけではありません。今の日本経済の状態を冷静に見た時に、石破氏が言及した金融所得課税の強化や法人税増は、「今、やるべきではない政策」と主張しているだけです。
もちろん、課税対象になるのは富裕層や企業ですが、日本のマクロ経済から見ると「負担増」であることは間違いありません。
実質賃金は6、7月に戦後最長の27カ月連続マイナスからようやくプラスに転じましたが、これは夏のボーナスを反映したもので、夏季賞与を除けば依然として伸びていません。
さらに、経済協力開発機構(OECD)が予想した今年の世界の経済成長予測では、G7諸国は軒並みプラス指標ですが、日本は「マイナス0.1%」です。国内経済は悪いと言わざるを得ません。
そんな状況の中で誤った経済政策を打つと、デフレにもう一度後戻りするリスクがあります。
例えば、賃上げが徐々に盛んになってきましたが、こうした状況で法人税を上げてしまうと、企業は安心して給料を上げられないでしょう。
利上げも増税も、きちんと時期を見て行う必要があります。
石破総理“電撃解散”が「凶」と出れば「高市政権」で自民大分裂
アサ芸biz によるストーリー
10月27日の解散総選挙を電撃的に打ちだした石破新政権だが、一方では早くも逆風にさらされ暗雲が立ち込めている。
まず石破氏が当選後、9月30日の東京株式市場は大荒れの展開となり、日経平均株価は一時2000円以上下落した。証券関係者が嘆息する。
「まさに石破ショックですよ。石破氏は総裁選への立候補を表明したした際、経済対策で日銀の独立性を尊重する立場を示した。そのため石破氏が勝利したことで日銀が追加利上げに踏み切るという見方が広がり、急激に円高が進行したわけです」
加えて石破氏が経済政策で主張していた「金融所得課税の強化」は修正はしたものの、なお不安材料となっている。
この逆風に当面、経済政策で石破氏は岸田路線の踏襲と「賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現」を訴え、迷走する株価などの鎮静化を図る考えだ。
「それでも石破政権がさらに一歩踏み込んだ経済政策を打ち出せない限り、ズルズルと“ショック”状態は続くのではないか。石破シンパ議員からも、新内閣誕生のご祝儀相場のうちに解散総選挙を打っても逆効果になりかねない、との声も聞こえます」
そんな中、早期解散に出た動きについて、自民党ベテラン議員の一人がこう明かす。
「石破さんを説得したのは、森山(裕)幹事長という話。森山さんといえば自民党副総裁に就いた菅前総理とは気脈を通じる中。その菅さんの意向も踏まえた上で、野党との激しい論戦の上に解散という流れは裏金議員のいる自民党にとってプラスにならないと判断、早期解散を持ちかけたんだろう」
ただし、自民党内ではこんなキナ臭い話も。
「総裁選を争った高市早苗経済安全保障担当相に対し石破氏は総務会長を打診したが固辞された。そのため一部メディアでは、高市氏が自民党を分裂させ新党を旗揚げするのではとの見方まで伝えている。そこまではなかったとしても、高市氏は総選挙で議席減ともなれば石破氏に徹底して揺さぶりをかけ、“高市政権”を狙う動きに出るのでは」(夕刊紙記者)
果たして“石破丸”を安定走行に持ち込めるのか。10月27日総選挙で一定の答えは出る。 (田村建光)
石破新内閣、日露関係「改善期待できず」 ロシアメディアが論評
毎日新聞 によるストーリー
石破茂氏の首相指名について、ロシアメディアも速報した。
報道では石破氏について、ロシアが日本による制裁の報復として2022年7月に発表した入国禁止者リストに含まれていることや、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の創設を主張していることなどが紹介された。
また露紙RBKは1日、ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所のワレリー・キスタノフ日本研究センター所長の話として、石破氏が「タカ派」の見解の持ち主であり、対露制裁を科してきた岸田前政権の路線を継続するとの見解を紹介した。
キスタノフ氏は、石破政権が、米国やNATOと協調して制裁圧力を強化するとの見通しを示し、「少なくともウクライナでの『特別軍事作戦』が完了するまでは日露関係に前向きな変化は期待できない」と述べた。【モスクワ山衛守剛】
石破新首相、米新大統領との関係構築が鍵 火だねとなりかねぬ主張も
深掘り小田中大
毎日新聞2024/10/1 17:33(最終更新 10/1 17:34)
自民党の石破茂総裁は1日、衆参両院本会議の首相指名選挙で、第102代首相に選出された。
岸田文雄前首相は防衛費の大幅増額や対ウクライナ支援を進めることでバイデン米大統領との信頼関係を作った。「日米関係は過去最良」(外務省幹部)とされる現状を継続できるのか。石破氏が2025年1月に就任する米国の新大統領と良好な関係を築けるかが鍵となりそうだ。
民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が争う米大統領選は11月5日に実施される。外務省幹部は「石破氏と新大統領はスタートの時期が近いので、信頼関係も生まれやすいのではないか」と期待を寄せる。石破氏も9月29日のNHK番組で「来年1月までに(会談が)できたらいいなと思う」と早期訪米に意欲を示した。
石破外交、対米基軸も持論は波乱要因 初舞台はASEAN 中国に深圳事件説明要求へ
石破茂首相は、中国、ロシア、北朝鮮が日本周辺で軍事活動を活発化させ、安全保障環境が厳しさを増していることを踏まえ、日本外交の基軸である日米同盟のさらなる深化に取り組む考えだ。
ただ、首相は同盟強化に向け、日米安全保障条約や日米地位協定の改定、アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設など、憲法改正も必要になる独自の構想を掲げる。
岸田文雄前首相との間で強固な日米同盟を築いてきたバイデン政権や、来年1月に発足する新政権が、従来の日本外交の路線とは異なる首相の考えに理解を示すかは不透明だ。同盟関係に混乱が生じる恐れもある。首相が対米外交でどの程度持論にこだわるのか、または当面、持論を封印して現実的な対応を優先するのかが注目される。
首相の外交デビューの舞台は10、11日にラオスで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議となる。会議に合わせ、中国の李強首相、韓国の尹錫悦大統領との個別首脳会談も調整する。
李氏との会談が実現すれば、8月に起きた中国軍機による領空侵犯など中国の軍事活動に懸念を伝え、説明を求める構えだ。首相は、中国広東省深圳市で日本人男児が刺殺された事件を巡り、詳細を説明しない中国側の対応を「話にならない」と批判しており、明確な説明や再発防止を強く求めるとみられる。(原川貴郎)
自民党内で「一強」に異を唱えてきた石破茂首相、「熟議」取り戻せるか 政治部長・関口克己
安倍・菅・岸田と12年続いた「一強」体制が何をもたらしたのか。それは、国民の中に不安が残る政策を熟議を尽くさずに決めてしまう、民主主義を軽視する政治手法だと思う。「一強」体制と距離を置いてきた石破茂首相には、民主主義の立て直しが求められる。
安倍内閣は2015年、集団的自衛権の行使を容認する安全保障関連法を成立させた。「違憲」と指摘する世論の反対を押し切り、歴代内閣の見解を解釈改憲で変更する異例の政治手法だった。森友・加計学園、桜を見る会の問題でも、政治の私物化との疑問に答える姿勢を欠いた。その後の菅内閣も日本学術会議の会員候補の任命拒否などで国民の政治不信を高めた。
岸田文雄氏はそんな政治姿勢を「民主主義の危機」と指摘し、「聞く力」を掲げた。だが、アベノミクスで拡大した格差に苦しむ国民が求め、岸田氏自身も強調した「分配」はすぐに影を潜め、高齢者が心配している現行保険証の廃止方針も変えなかった。安全保障では専守防衛を形骸化させる敵基地攻撃能力(反撃能力)保有も決めてしまう。岸田氏も「安倍路線」の踏襲者となっていたのだ。
派閥の裏金事件が決定打となり、自民党政治に対する国民の信頼は地に落ちている。「顔」を替えた石破内閣の発足で負の遺産が清算されるわけではない。
自民党内で「一強」に異を唱えてきた石破氏には、徹底した議論を政治に取り戻す責務がある。賛否は別にして、北大西洋条約機構(NATO)のアジア版構想や防災省創設は、国民の理解と納得が欠かせない。
石破氏は9日に衆院を解散する。国民の信を問う衆院選を否定はしないが、熟議に背を向けた政治姿勢を取るなら、国民から厳しい審判を受けることになる。
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参考文献・参考資料
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