政治講座ⅴ1791「報道記者は不勉強か意図的か、情けない」
日本の報道機関がこのレベルの体たらくである。
というは「処理水」を中国が「汚染水」という科学的根拠も示さずにいう「鹿を指して馬と為す」つまり「馬鹿」の語源であるが、日本の報道記者と中国共産党の報道記者は同類であろうか。
今回はトリチウムの報道に関する記事を紹介する。
皇紀2684年5月25日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
海水からトリチウム検出…共同通信の記事に「ミスリード」の声。取材に「その都度判断」
ハフポスト日本版 によるストーリー
東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を巡り、共同通信が5月7日、「海水からトリチウム検出 原発処理水放出口付近」という見出しで報じたことについて、ミスリードにつながるといった声が上がっている。
東京電力は同日、5回目の海洋放出を完了。6日に福島第一原発の処理水放出口付近の海水から1リットルあたり13ベクレルのトリチウムが検出されたと発表した。
この「13ベクレル」は、世界保健機関(WHO)の飲料水基準である1万ベクレルを大きく下回る数字だが、共同通信は見出しに「トリチウム検出」とのみ記述し、基準値を下回っているという情報を入れなかった。
福島の安全に関する情報は丁寧に扱う必要があるが、なぜ共同通信はこのような見出しにしたのか。ハフポスト日本版は見解を聞いた。
トリチウムは海水にも存在
東京電力によると、5回目の放出は4月19日から行われ、約7800トン分の処理水が海洋に放出された。
福島第一原発から3キロ以内のトリチウム濃度は1リットルあたり最大29ベクレルで、放出停止判断レベル(1リットルあたり700ベクレル)を大きく下回った。
そもそもトリチウムは大気中の水蒸気や雨水、水道水、海水にも含まれており、人間の体内にも存在する。つまり、海水からトリチウムが検出されることは不思議なことではない。
トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に小さく、紙1枚でさえぎることができ、フランスや中国、韓国など世界中の原子力施設から海に放出されている。これまで、周辺からトリチウムが原因とされる影響は見つかっていない。
福島第一原発の処理水も、トリチウムが国の安全基準の40分の1、世界保健機関(WHO)飲料水基準の約7分の1(同1500ベクレル)未満まで薄められ、海洋に放出されている。
安全基準を満たした上、放出する総量も管理して処分されているため、国などは環境や人体への影響はないとしている。
「海水からトリチウム検出」と書かれた共同通信の見出し
共同通信の見解は
5回目の放出が完了した5月7日に、共同通信が公開した記事の見出しは「海水からトリチウム検出 原発処理水放出口付近」となっていた。
記事中に「福島第1原発周辺で6日に採取した海水から、1リットル当たり13ベクレルの放射性物質トリチウムを検出した」や「世界保健機関(WHO)の飲料水基準(1万ベクレル)は大きく下回っている」などと記載したが、その情報を見出しに反映しなかった。
ほかの主要メディアも同日、5回目の放出が完了したことを伝えたが、見出しは「福島第一原発の処理水 5回目の放出完了 東京電力」(NHK)や「福島第一原発の処理水の海洋放出、5回目完了 約7800トン分」(朝日新聞)などとしていた。
ハフポストがネット上を調べた限り、見出しに「トリチウム検出」とだけ書いた主要メディアは共同通信のみで、東京新聞は「原発処理水の海洋放出、5回目を完了 海水から29ベクレル検出に東京電力『放出水が少し高めの数値だった』」と記載していた。
もし、事情がわからない人が共同通信の見出しだけを見た場合、処理水の海洋放出が危険なものだと誤解してしまう恐れがある。
ハフポスト日本版は5月9日、共同通信にメールで質問状を送付。見出しをつけた部署、「基準値を下回った」などの記述を見出しに入れなかった理由、ミスリードを誘う可能性に対する認識など、5つの質問を記載した。
共同通信からは5月17日に回答があったが、5つの質問に答えず、次のようにまとめて記載した。
「共同通信は、東京電力福島第1原発の処理水放出期間中、周辺海域のトリチウム濃度分析結果を、検出できる下限値未満だった日を含めて毎日、短い記事にして配信しています。見出しの取り方についてはその都度判断しています」
同様のケースは過去にも
福島第一原発の安全に関する情報にもかかわらず、ミスリードにつながる恐れがある見出しの記事が配信されたケースは過去にもある。
NHK福島放送局は2023年2月7日、「水揚げされたスズキから基準を超える放射性物質検出 出荷停止に」と書いた記事をTwitter(当時)に投稿した。
同日に福島県いわき市沖で水揚げされたスズキから、1キロあたり85.5ベクレルの放射性セシウムが検出されたことを伝えたが、超えた「基準」はあくまで県漁連の「自主基準」(1キロあたり50ベクレル)で、国の一般食品の基準(同100ベクレル)は下回っていた。
つまり、スズキから検出された放射性セシウムは、そもそも日本の一般食品の基準値を15ベクレルほど下回っていたが、NHK福島放送局はこの情報を見出しに反映しなかった。
厚生労働省は、この1キロ当たり100ベクレルという基準値を「だれが食べても安全」と説明している。県漁連の自主基準も、「万が一にも国の基準値である100ベクレルを超えるものを出荷しないようにするため」で、危険性を示す明確な根拠があるわけではない。
NHK福島放送局はそれから2日後の9日、「『スズキから基準超える放射性物質検出』という見出しをつけていましたが、正確には『自主基準』でした」と再投稿した。
海水からトリチウム検出…共同通信の記事に「ミスリード」の声。取材に「その都度判断」© ハフポスト日本版
「スズキから基準超える放射性物質検出」と書かれたNHK福島放送局の投稿(2023年)
参考文献・参考資料
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?