政治講座ⅴ1985「ロシアに翻弄される国(モルドバ)と日本を敵国とした忘却の国(モンテネグロ)」
ウクライナと同じような境遇のモルドバ、ロシア帝国時代の日露戦争時に日本に宣戦布告したモンテネグロについて歴史を俯瞰してみよう。今から約100年前に発生した世界恐慌・金融恐慌のような経済状態が地球全体に醸し出されている。そして、それが大戦へと誘う要因であった。ロシアのウクライナ侵略、中国経済へのデカップリングは歴史を俯瞰するとABCD包囲網というものに類似する。ABCD包囲網とは、1930年代後半(昭和10年頃)から大日本帝国の海外進出や紛争に対抗して行われた石油や屑鉄など戦略物資の輸出規制・禁止による米英蘭中諸国による経済的な対日包囲網。
「ABCD」とは、連合国陣営のうち、アメリカ(America)、イギリス(Britain)、中国(China)、オランダ(Dutch)と、各国の頭文字を並べたものである。
歴史は繰り返される。盛者必衰の理を見るようである。旧ソ連の属国だったウクライナとモルドバとモンテネグロについての末路について解説する。
皇紀2684年10月23日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
モルドバのEUとの関わり
2014年6月27日、モルドバと欧州連合(EU)との連合協定が締結され、全ての締約国による批准が完了した。
これに伴い、2016年7月1日、EUとモルドバの連合協定が正式に発効した。
さらに2022年3月3日には、政府が欧州連合への加盟申請文書に署名。これは前月に発生したロシアによるウクライナへの侵攻を踏まえたもので、親欧州路線への転換を加速させる姿勢を鮮明にした。
モルドバ国民投票、僅差でEU加盟が過半数へ 脱ロめざす政権に痛手
朝日新聞社 によるストーリー
親欧米の与党が政権を握る旧ソ連構成国のモルドバで20日、欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票が実施され、開票率99%超の時点で、僅差(きんさ)で賛成が過半数となる見通しとなった。ただ、大差で支持を得ての「脱ロシア」を目指したサンドゥ大統領や欧米には痛手になりかねず、地域での影響力維持を狙うロシアの攻勢が一段と強まる可能性もある。
中央選挙管理委員会によると、開票率99・50%で賛成が50・42%、反対が49・58%。当初は反対が過半数だったが、欧米など在外の開票が進んで逆転した。
サンドゥ氏は21日の記者会見で、「モルドバ国民は、未来を決める最初の厳しい闘いに勝利した」と勝利宣言した。
また、同日未明の演説では、ロシアの選挙介入を念頭に、外国勢力と結託した犯罪集団が30万人の買収を企てたと主張。「前例のない規模の不正で、民主的手法の破壊が狙いだった」と国民に訴えた。
ロシアの「情報工作」に揺れる小国 「第2のウクライナ」と恫喝
キシナウ=中川仁樹2024年8月29日 12時00分
ある小国に、ロシアが「情報工作」を活発化させている。
「大統領や与党は憲法違反を繰り返している」「偽りの選挙を止めよう」
SNSに、そんな主張があふれていた。
別のSNSでは、ロシア国旗が翻るモスクワ・赤の広場の写真が添えられていた。「北大西洋条約機構(NATO)が存在しなければ(各地の)戦争はない」。ロシアのプーチン政権のようなプロパガンダが繰り広げられていた。
10月に大統領選と、欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票を控える旧ソ連の親欧米国モルドバ。
隣国ウクライナへのロシアの軍事侵攻が始まると、政権はロシアとの対決姿勢を強めて欧米への接近を加速させた。同時に、SNSで偽情報を拡散する親ロシア勢力への懸念が強まった。
「ロシア支配」からの脱却 親欧米国のいま
欧州連合(EU)加盟を目指す旧ソ連のモルドバとジョージアでロシアの影が急速に色濃くなっています。飛び交う偽情報やウクライナ侵攻の影響を受けるなか、「ロシア支配」からの脱出への苦闘が続いています。
露骨なロシアの介入姿勢
現地報道によると、詐欺などの罪で有罪となり、ロシアに逃亡してかくまわれている野党指導者イラン・ショル氏と元国会議員の2人は、6月の1カ月間にフェイスブックでの情報工作に約5万5千ユーロ(約900万円)を投じた。直前の1カ月の2倍近くになるという。
こうした動きに、欧米諸国も危機感を抱く。5月に首都キシナウでサンドゥ大統領と会談したブリンケン米国務長官は、偽情報対策などに1億3500万ドル(約200億円)の支援を約束。欧米はモルドバとの軍事協力も進めている。
それでも、ロシアの介入が止まる気配はない。
忘れられていた敵国「モンテネグロ公国」!日本は2006年まで戦争状態?
第二次世界大戦以降、戦争を放棄し交戦を行わないと決めた日本。そんな日本が実は2006年まで戦争状態だったという事をご存知でしょうか?
ちなみに敵国の国名は「モンテネグロ公国」。今ではモンテネグロと名称が変わったバルカン半島の国の一つです。
とはいっても、一般人の知らない所で日本が戦争を継続していたという話ではありません。実は双方の国が戦争状態であったことをすっかり忘れていたのです。
今回はそんな、ちょっと意外な日本とモンテネグロ公国との関係についてご紹介したいと思います。
■100年以上も昔に戦争状態となったモンテネグロ公国
日本が初めてモンテネグロ公国と戦争状態になったのは1905年。
今から数えると100年以上も前の話となりますが、当時のロシア帝国と同盟を結んでいたモンテネグロ公国は日露戦争により日本と戦争状態にあったロシア帝国を支援し共に戦うため日本に対し宣戦布告を行いました。
ただ、日本に戦線布告し戦争状態になったものの、ヨーロッパに位置するモンテネグロ公国は位置的な理由により、日本と直接的な戦闘行為が行われることはありませんでした。
しかし、このことがのちに100年以上も戦争状態となるきっかけとなるのです。
■忘れ去られていたモンテネグロ公国
日露戦争はご存じの通り1905年に日本とロシアの間でポーツマス条約が結ばれた事で終戦を迎えます。
そして本来であればロシアを支援するために参加してきたモンテネグロ公国も講和会議に参加するべきでしたが、殆ど戦争に参加していなかった上、直接的な戦闘も行われなかったことからモンテネグロ公国は講和会議に呼ばれなかったのです。
つまりこの時点で日本とロシアとの戦争は終戦となりましたが、講和会議に呼ばれなかったモンテネグロ公国とは国際法上は戦争がいまだ継続中という状態になってしまったのです。
■戦争していた国が消失……? 2006年にようやく戦争終了。
国際法上、日本と戦争状態となったまま放置されていたモンテネグロ公国ですが、さらなる悲劇が重なり、さらに戦争終結が難しくなってしまいます。
その出来事とはモンテネグロ公国の消失。
実は1918年に隣国のセルビアと合併することとなり、モンテネグロ公国は「セルビア・モンテネグロ」という国に変化します。
国自体が無くなれば自動的に終戦となりそうなものですが国際法上はそうはいかず、国が無くなった後も日本は存在しない国と戦争状態という中途半端な状態になってしまうのです。
そして遂に終戦が成立したのは2006年の6月3日。
セルビア・モンテネグロとなっていたモンテネグロ公国は新たに独立宣言を行い、現在の「モンテネグロ」として生まれ変わりました。
この時、日本もモンテネグロの独立を承認するのですが、その際に同時に休戦協定が結ばれたと言われており、この時点で100年も続いた戦争がついに終焉を迎えたのです。
実際に戦争行為が無かったにも関わらず、国際法上では100年以上も戦争状態にあった日本とモンテネグロ公国。
ただ、こういったケースは他にもまだまだあり、仲が良いように見えて実は国際法上では敵国同士という事例も結構あったりします。
また100年も続いた戦争と聞くと大戦争のようにも聞こえますが、200年や300年続いた戦争も沢山あります。
「モンテネグロってどんな国?」2分で学ぶ国際社会
2022.5.18 2:55 井田仁康
モンテネグロってどんな国?
モンテネグロは西部がアドリア海に面する、福島県ほどの面積の小さな国で、旧ユーゴスラビア連邦を構成した6共和国の中で最小規模です。
北西部はボスニア・ヘルツェゴビナ、北東部はセルビア、東部はコソボ、南部はアルバニアに国境を接します。
旧ユーゴスラビア崩壊後、セルビア共和国とユーゴスラビア連邦共和国が結成されましたが、独立運動が根強く、2003年に両共和国による国家連合セルビア・モンテネグロが発足しました。
2006年にセルビア・モンテネグロから独立し、現在のモンテネグロになりました。
美しい山と海の景色
国土の大半が石灰岩に覆われた山地です。国名のモンテネグロはイタリア語で「黒い山」を意味し、その代表が黒い玄武岩でできた聖なる山、ロブチェン山です。
主な産業は、豊富な観光資源を活かした観光業で、農業ではオリーブやぶどうなどが栽培され、工業ではアルミニウムなどが生産されています。
「アドリア海の秘宝」といわれるコトル湾は、ヨーロッパ最南部の氷河によって陸が削られてできたフィヨルドの湾で、海から切り立った崖や周囲に残る中世の街並みの景観が美しく、国際クルーズ船も寄港します。
また、世界自然遺産のドゥルミトル国立公園の中にあるタラ渓谷は、ヨーロッパ最大規模の渓谷で、全長約80km、最も深いところは高度差が約1300mにもなります。
モンテネグロ
面積:1.4万㎢ 首都:ポドゴリツァ
人口:60.7万 通貨:ユーロ
言語:モンテネグロ語(公用語)、セルビア語、ボスニア語
宗教:正教72.1%、イスラーム19.1%
隣接:ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、コソボ、アルバニア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
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