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政治講座ⅴ1443「人民元国際化?魅力が失せる人民元」

 世界中が経済を政治に絡めてくる中国の醜態をみている。最近の出来事では「処理水」を「汚染水」と言い、科学的根拠もなく、海産物の輸入規制をするやくざ紛いの恫喝をしてくる。各国にも同様な輸入規制(石炭・メロンなど)をして、嫌がらせをするのである。
「一帯一路」で行う「人民元建て融資契約」は、新植民地政策の典型であろう。
発展途上国のインフラ工事の人材・機材・資材を中国で調達して、相手国にはびた一文の銭も落とさず、その国に経済効果をもたらさずに人民元建てで融資した資金は、すべて、吸い上げる
発展途上国には収益性の無いインフラ建築物借財(人民元建て融資)だけが残るのである。人民元建てなので中国にとってはいくらでも「人民元」の通貨発行ができる。
踏み倒されても中国にとっては、帳簿上の操作で解決できることになり、自国の経済のGDPには寄与する仕組みなのである。可哀そうな悲惨な目に合うのは発展途上国の「人民元建てでの融資」が焦げ付いたときである。中国に売る商品が必要になるのであるが、そこはしたたかな中国の事であるので、鉱物資源(レアメタル)を「人民元」で購入するなどの下心があるので、市場価格より安く買いたたかれる運命にある。これが「ドル建て融資」ならば、他国に高値で鉱物資源(レアメタル)などを売却できる選択肢を持てるが、そのような選択肢は失せるのである。これが、アフリカなどの資源国への一帯一路による囲い込み(新植民地政策)である。中国の強かな「債務の罠」に掛からないようにいのるばかりである。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年10月22日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国、「一帯一路」で人民元国際化を強化

Reuters によるストーリー •41 分

10月19日、中国政府は、広域経済圏構想「一帯一路」の下で合意した融資契約を通じて人民元の国際化を進めている。写真は人民元紙幣と中国旗のイメージ。2017年5月撮影(2023年 ロイター/Thomas White)© Thomson Reuters

[上海/シンガポール 19日 ロイター] - 中国政府は、広域経済圏構想「一帯一路」の下で合意した融資契約を通じて人民元の国際化を進めている。

北京で18日終了した「一帯一路フォーラム」では中国の政策銀行が複数の海外金融機関と人民元建て融資契約に調印した。

同フォーラムに参加した130カ国の多くはグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国。ロシアのプーチン大統領もフォーラムに出席した。大半の西側諸国は距離を置いている

ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、Alicia Garcia Herrero氏は「貿易決済で基本的に人民元を利用している国は、大半が北京を訪れたか、中国と戦略的な協定を結んでいる」と指摘。

一部の国では、戦略地政学的な緊張米国の高金利人民元の受け入れを促す要因となっている。

18日公表のSWIFT(国際銀行間通信協会)のデータによると、9月の世界の決済額に占める人民元の割合は3.71%と過去最高を記録。1月の1.91%からほぼ倍増した。ただ、人民元のシェアはドルの46.6%には遠く及ばない。

一帯一路プロジェクトへの資金提供も、一時停滞していた人民元国際化の再活性化に寄与している。

中国国際金融(CICC)は「世界的に通貨のボラティリティーが高まる中、一帯一路は人民元の国際的影響力を高める好機となる」と指摘した。

中国の政策銀行である国家開発銀行は、一帯一路のプロジェクトを支援するため、マレーシアのメイバンク、エジプトの中央銀行、BBVAペルーと人民元建て融資契約を締結。

中国輸出入銀行もサウジ・ナショナル銀行と人民元建て融資契約を締結したほか、中国銀行はエジプトによるアフリカ初のパンダ債(人民元建て債券)発行を支援した。

中国政府は一帯一路プロジェクトを推進する「シルクロード基金」にも800億元(109億4000万ドル)を追加拠出している。

ナティクシスのエコノミスト、Haoxin Mu氏は「ドルの借入コストが一段と上昇しており、多くの借り手が資金調達や借り換えのために人民元を利用するようになった」と指摘。ウクライナ戦争後の「ドルの武器化」も人民元の利用を増やす一因になったとの見方を示した。

ただ、ナティクシスのGarcia Herrero氏は、圧倒的なシェアを持つドルに人民元が挑戦にするには長い時間がかかると指摘。石油取引でのシェアが小さいほか、外国人が中国株・債券の保有を減らしていると指摘した。

同氏はブロック化した経済で利用されている通貨が準備通貨となる可能性は低いと指摘。一帯一路に参加する国と協定を結んでも、人民元が真の国際通貨となることはないだろうとの見方を示した。

人民元国際化の加速を目指す中国

2021年05月27日 関辰一


米中対立下、中国政府は人民元の国際化を重要視しており、クロスボーダー取引における人民元の使用率向上に向け、資本取引の自由化を進めること、人民元の為替レートの柔軟性を高めることに前向きである。

■重要視される人民元の国際化
4月28日、米バイデン大統領は就任100日に合わせて実施された議会演説で、中国との競争に全力を尽くす姿勢を鮮明にした。一方、中国では、米中対立の激化を受けて、半導体や食糧の自給率を引き上げるための政策が講じられてきたほか、人民元の国際化を加速させるべきであるとの声が高まっている。

たとえば、中国証券監督管理委員会の方星海副主席は2020年6月、「中国の金融機関や企業の海外業務は主にドルによる決済に依存しており、そうした決済が安全かどうか大いに疑問を持つべきである。今後10年間、人民元の国際化を加速させなければならない」と述べた。

中国国際経済交流中心の黄奇帆副理事長は2019年10月、「ドルを使った貿易で欠かせない国際的な決済ネットワークSWIFT(スイフト)や、米国の決済システムCHIPS(チップス)を、中国企業が使用することはリスクである」と指摘したうえで、「デジタル人民元の実用化を通じて人民元の国際化を進めることで、こうしたリスクを回避することができる」と主張した。

中国人民銀行も人民元国際化の加速に注力する構えである。同行の朱ジェン国際局長は2020年10月、複雑な国際情勢を踏まえ、人民元の国際化に向けた戦略を中国人民銀行が再検討しており、一段の政策支援を計画していることを明らかにした。例として、資本取引の自由化を着実に進めること、人民元の為替レートの柔軟性を高めること、債券市場の流動性を高めることなどを挙げた。

こうしたなか、中国人民銀行は2020年10月、人民元基準値の設定方法を変更し、為替の安定を図るために設けられたカウンターシクリカルファクターの利用を停止した。

本年5月6日には、香港、マカオ、広東省の一部地域を合わせたグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)で金融商品の相互取引を解禁し、香港とマカオの個人投資家が中国本土の金融商品に投資できる制度案(ウェルス・マネジメント・コネクト)が発表された。これは、資本取引の自由化に向けた政策であり、人民元の国際化に向けた施策と位置づけられる。
通貨の国際化とは、一般的に国際通貨体制における当該通貨の役割の上昇、および経常取引、資本取引、外貨準備等における当該通貨のウエートを上昇させることを指す。経常取引とは、主に貿易取引や海外旅行などのサービス取引である。資本取引とは、主に直接投資や債券・株式などの証券投資のことである。「人民元の国際化」とは、中国が各国との取引におけるドルの使用比率を引き下げ、人民元の使用比率を高めることを指すことが多い。

■人民元の使用を規制してきた中国政府
中国政府はクロスボーダー取引における人民元の使用を規制していた。人民元建て貿易取引は2009年まで禁止されていた。人民元建て対中直接投資と対外直接投資は2011年まで禁止されていた。人民元建ての直接投資規制は段階的に緩和されつつあるが、現在も外資出資比率の上限規制や外国人による不動産購入規制などは緩和されず、人民元建て対中直接投資の抑制要因になっている。人民元建て証券投資についても、中国国債の高い利回りにより海外投資家の需要は高まる一方で、中国政府による投資規制が残る。中国の資本取引規制、これに深くかかわる金融システムにはなお改革の余地がある。

中国政府がクロスボーダー取引における人民元の使用を制限してきた狙いは、「国際金融のトリレンマ(独立した金融政策、安定した通貨、自由な資本移動のすべてを満たせないとする説)」の観点から、自由な資本移動を制限する代わりに、金融政策の自由度や為替の安定を確保することだといえよう。

中国政府は、ドル安で大きな損失を被ったリーマン・ショック以降、人民元の国際化に向けた施策を段階的に進めてきた。しかし、2015~16年に急激な人民元安(チャイナ・ショック)に直面したため、再び資本取引規制を強化した。その後、人民元の国際化に向けた政策は乏しい。

■人民元建て資本取引が拡大
人民元の国際化の現状をみると、2019年の人民元建てクロスボーダー取引受払金額は合計19.7兆元であった。人民元建て貿易取引、サービス取引・その他経常取引の受払金額が全体に占めるシェアは、それぞれ22%、9%であった。人民元建て対外直接投資、対内直接投資、証券投資・その他投資のシェアは、それぞれ4%、10%、55%であった。
とりわけ、人民元建て証券投資・その他投資の受払金額は、2016年の2.2兆元から2019年の10.9兆元へ大幅に増加したことが注目される。2017年に海外投資家が香港経由で中国本土の銀行間債券市場で売買を行うことができる制度(ボンド・コネクト)を導入したことをきっかけに、日米などの海外機関投資家による中国国債に対する投資が急拡大した。
人民元建て貿易取引の受払金額については、取引の解禁人民元高の進展により、2009年の20億元から2015年の6.4兆元へ大きく増加した。しかし、2015~16年には急激な人民元安が進み、2016年には4.1兆元へ減少した。その後も元安傾向を受けて伸び悩み、2019年時点も4.2兆元にとどまっている。

各種クロスボーダー取引の受払金額における人民元の使用率をみると、貿易取引は13%にとどまった。サービス取引、直接投資の人民元使用率もそれぞれ24%、20%であった。他方、証券・その他投資は70%と、他の取引に比べて高水準であった。経常取引と資本取引を合計すると、人民元の使用率は38%であり、中国が各国との貿易や投資においてドルに対する依存度は高い。

従来の人民元の国際化に向けた施策は、周辺国・地域との人民元建て貿易決済を進めることによって、中国企業の為替変動リスクを回避することを主な目的としてきた。一方で、このところの人民元の国際化を重視する動きには、世界経済や国際金融における発言力強化、地政学的影響力・プレゼンス向上という狙いが大きいとみられる。このような違いから、今後、中国政府が大方の想定を上回って、資本取引の自由化や人民元レートの変動を容認する可能性もある。


参考文献・参考資料

中国、「一帯一路」で人民元国際化を強化 (msn.com)

人民元国際化の加速を目指す中国|日本総研 (jri.co.jp)

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