政治講座ⅴ1995「ワグネルの後の傭兵北朝鮮「暴風軍団」が邪魔者扱い」
ロシアは自国民を兵士にする正規軍ではなく、以前からワグネルの傭兵を使っていた。ワグネルの反乱などがあり、実戦部隊が機能しなくなり、北朝鮮の「暴風軍団」を傭兵と使う積りである。北朝鮮がロシアのウクライナ侵略に加担に国際法上、根拠はあるのであろうか。
ロシアは自国民だけで軍隊要員を賄えないほど落ちぶれているのか。しかも、同様に北朝鮮も財政危機であり、一人450万円(3万ドル)で出兵とのこと。人間の命の値段が450万円とは安すぎであろう。現地の情報によると北朝鮮軍は逃げ出しているとの話。当たり前である。450万円で命を失うのは損得勘定からも命の無駄遣いであろう。
そして、その出兵の根拠はロシアのクルスク州の攻撃はロ朝条約で軍事援助を明記した第4条を根拠に(自衛のため)であり、他国を攻撃する侵略の派兵ではないという理屈である。そして北朝鮮はロシアの侵略戦争に加担して自滅への道を歩むのである。The road to hell is paved with good intentions. 「地獄への道は善意で舗装されている」
今回はワグネル軍の解説も含めて報道記事を紹介する。
皇紀2684年10月31日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
ロシア派兵の北朝鮮「暴風軍団」が邪魔者扱い⇒最前線が大混乱の天罰
アサ芸biz の意見
米ニューヨーク・タイムズが、数千人の北朝鮮兵士がロシア西部のクルスク州に到着した、とのアメリカとウクライナ当局者の談話を伝えたのは10月25日のこと。
クルスク州は今年8月のウクライナによる越境攻撃により一部地域が掌握されたことを受け、領土奪還に躍起になるロシア軍との間で激しい戦闘が行われている地域だ。
報道によれば、現時点ではまだ北朝鮮兵士が戦闘に参加している形跡はなく、同部隊が具体的にどのような役割を担うかは不明とのことだが、部隊は「暴風軍団」などと呼ばれる精鋭の集まりで、28日までには最大5000人が現地入りする見込みだという。全国紙国際部記者が語る。
「北朝鮮兵士の投入について韓国国防相は24日、『金正恩氏が自身の独裁体制を強固にするために軍隊を違法な侵略戦争に売り渡した』との談話を発表し痛烈に非難しています。その韓国の情報機関、国家情報院によれば、『暴風軍団』は正規軍兵士ではなく、1人あたり月2000ドル、日本円で30万5000円ほどで雇われた傭兵的軍隊である可能性が高いのだとか。その証拠に、ウクライナ軍が公開した北朝鮮兵とされる映像を見る限り、体格は小さくあどけない印象もあり、10代~20代にも見える。そのため単なる“弾除け”として送られてきたとも考えられるものの、国家情報院の発表通り、年内に北朝鮮が1万人の兵士を1カ月間派遣した場合、対価として北朝鮮側が手にする現金は30億円以上。となれば、いかに批判を浴びようがお構いなしで、外貨獲得のため次々と兵士をロシアに投入することは間違いないでしょう」
ウクライナ当局は、大量の北朝鮮兵流入を想定。北朝鮮兵が投降、捕虜になった場合に収容される収容所の動画を早くも公開し、「大きくて暖かく明るい部屋に収容されます。収容所では一日3食を提供。献立には肉・新鮮な野菜・パンが含まれます」などと北朝鮮兵に対し投降を呼びかけている。食糧難が続く北朝鮮の兵士らがこういったPRをどう捉えるかも、今後の戦況を占う上では重要な要素になりそうだ。
また、国家情報院では「兵士らは体力もあり士気は高いと考えられるが、実戦経験が不足しており、戦線に出れば死傷者が多数発生することは明らか」として、そうした情報が北朝鮮国内に伝わる中、金正恩体制への反発や不安定要素が高まっていく可能性は否定できないだろうとしている。
「しかし問題なのは、そもそも両国の兵士がうまくタッグを組んで戦うことができるのか、という点。北朝鮮兵士が数千人派兵されたクルスク州では、すでに両軍兵士の間で軋轢が生じ始めているとの報道もある。そこが最大の問題になるかもしれません」(同)
ウクライナ国防省情報総局によって入手された傍受記録を公開した米CNNの報道によれば、ロシア兵が北朝鮮兵の指揮体制や弾薬、装備品の提供状況を巡って懸念を示しており、傍受された音声には「K大隊」とコードネームが付与された北朝鮮部隊を「クソ中国野郎!」「撤収させろ!」といった罵声がしっかりと収められている。
「この音声は23日夜に、暗号化されたロシアの通信チャネルから傍受されたもの。ウクライナ当局の分析によれば、北朝鮮兵30人につき通訳1人、上級将校3人を付ける計画があるようなのですが、これに対し『どうして奴らにそんな特別待遇するんだ!』と、ロシア兵らが怒りをあらわにしたということでしょう。今後最前線で両軍がうまくやっていけるかは甚だ疑問です」(同)
いかにトップ同士が決めたとはいえ、戦場の最前線は文字通り、一瞬の判断が生死を分ける場所。その前途多難な行方に注目が集まっている。(灯倫太郎)
米「ウクライナが北朝鮮兵に使う米国兵器を制限しない」
newsroom@donga.com によるストーリー
ロシアに派遣された北朝鮮兵士の一部が最近、ウクライナ戦争の最前線であるクルスク州に移動したことが確認された中、米国防総省は、「ウクライナ軍が米国の兵器で北朝鮮兵士を攻撃することに制限を設けない」と明らかにした。北朝鮮がロシアに約1万人の兵士を派遣したことも公式化した。
米国防総省のシン副報道官は28日(現地時間)、記者会見で、「北朝鮮兵士を対象に使用できる米国の兵器に制限があるか」という質問に「ない」と答えた。そして、「もし北朝鮮兵士が戦線に投入されれば、彼らは共戦国だ」と強調した。国際法は、共戦国と規定された国の兵士に対する攻撃は戦争犯罪に該当しないと規定している。
シン氏は、「北朝鮮兵が戦闘に参加すれば、彼らは自国の主権領土のために戦うウクライナ軍と対峙することになる」とし、「米国はウクライナが必要とするものは何でも支援し続けると約束した」と強調した。また、「北朝鮮がロシア東部に約1万人の兵士を派遣した」とし、「今後、数週間のうちにウクライナ国境のロシア軍の戦力に加えられると思われる」と述べた。
米国務省のミラー報道官も同日、記者会見で、「ロシアが北朝鮮兵士をウクライナ国境に近いクルスク地域に配置している」とし、「ウクライナ軍に対する戦闘および軍事作戦支援に北朝鮮兵士を投入しようとしていることは非常に懸念される」と述べた。
当初、米国はロシアに派遣される北朝鮮兵士を3千人程度と推定していた。しかし、派兵規模が1万人に増え、軍事作戦投入の可能性が高いことを明らかにしたのだ。バイデン米大統領も同日、「非常に危険な状況」とし、北朝鮮のロシア派兵について初めて言及した。
米議会でも、北朝鮮派兵に同盟国と共同対応しなければならないという主張が出ている。米上院外交委員会のベン・カーディン委員長(民主党)は25日、声明で「ロシアのプーチン大統領を支援しようとする北朝鮮に対抗するために、米国は同盟国やパートナーと緊密に協力する」とし、「ウクライナでロシアの敗北を確実にする必要がある」と主張した。
一方、トランプ前政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン氏は28日、FOXニュースのインタビューで、ウクライナが要請した北大西洋条約機構(NATO)加盟について、「あまりにも挑発的であり、第3次世界大戦のリスクがある」と述べた。そして、「ロシアに対する制裁が比較的軽度だった」とし、ロシアに対する制裁強化を主張した。Copyright ⓒ 東亜日報. All rights reserved.
ワグネル・グループの解説
ロシアのサンクトペテルブルクに本部を置く、同国の準軍事組織である。
民間軍事会社(PMC)、傭兵ネットワーク、「ウラジーミル・プーチンの私兵」とも表現され、ロシア系PMCの先駆けである。
創設者はエフゲニー・プリゴジンとドミトリー・ウトキン。
ロシア連邦政府(以下、ロシア政府)は長年存在を否定していたが、シリア内戦やアフリカにおける複数の内戦、ウクライナ侵攻等において、ロシア政府の「裏部隊」としてロシアの権益拡大のために活動してきたとされている。
プーチンは2023年6月、ロシア政府がその支援者であったことを認めている。
2023年6月23日、プリゴジンはロシア連邦内において武装蜂起を宣言した(ワグネルの反乱を参照)が、ロシア連邦軍(ロシア国防省)との戦闘を避けるため引き揚げにロシア軍と合意した。
プリゴジンはワグネルの活動が7月1日に停止しなければならなくなったと述べているが、以降の活動などは不透明な情勢である。
8月23日に発生したトヴェリ州エンブラエル・レガシー600墜落事故によってプリゴジンと実戦部隊司令官のウトキンらが死亡した。
ロシアでは民間軍事会社の設立が禁じられているため、法の枠を越えて活動している。特定のイデオロギーに基づいている訳ではないが、さまざまな要素がネオナチや極右の過激派と強く結びついている。
同社が世界的に注目されるようになったのは、ウクライナのドンバス戦争において、2014年から2015年にかけて、ドネツクおよびルガンスク人民共和国の分離主義勢力を支援したことがきっかけだった。同社の請負業者は、シリア内戦、リビア内戦、中央アフリカ共和国内戦、マリ内戦(英語版)などの世界中のさまざまな紛争に参加し、しばしばロシア政府と連携する勢力の側で戦っている。
ワグネルの工作員は、派遣先で数多くの戦争犯罪を行っているとされている。市民に対するレイプや強盗、契約違反を犯して脱走した兵に対する拷問などがその例である。
ワグネルはロシアの利益のために活動することが多く、ロシア国防省(MoD)から軍事装備を受け取り、訓練のためにMoDの施設を使用しているため、しばしばMoDまたはロシアの軍事情報機関であるGRUの事実上の部隊と見なされている。
このグループは、特定の紛争において、ロシア政府が「もっともらしい否認」を行うことを可能にし、ロシアの海外介入による犠牲者の数や財政的コストを国民から隠すために利用されていると推測されている。
2022年のロシアのウクライナ侵攻では重要な役割を果たし、他の活動の中でウクライナの指導者を暗殺するために配置され、前線の戦闘のために囚人や受刑者を広く徴用していると伝えられている。
2022年12月、米国防総省のジョン・カービーは、ワグネル・グループはウクライナに1万人の契約者、4万人の受刑者を含む5万人の戦闘員を擁していると主張した 。
しかし、他の人々は、徴用した囚人の数を2万人以上とし、ウクライナに存在するPMCの全体数は2万人と推定しているこのグループは、プーチン大統領と密接な関係を持つ実業家プリゴジンが所有または資金提供していると認識されてきた。プリゴジンは、ワグネル・グループとの関係を長年否定してきたが、2022年9月に準軍事グループを「創設」したことを認めた。また、2023年6月にはプーチン大統領自身もロシア政府からワグネルおよびプリゴジンの関連企業に資金提供を行ってきたとする演説を行っている。
2023年6月には首都モスクワに進撃を開始し、一時はモスクワまで200kmまで迫った(ワグネルの反乱)。
しかしその後蜂起を停止し、プリゴジンの居所は不明となった。ロシア国防省はワグネルの戦闘員の多くが国防省と契約を結んだとしているが、海外の部隊などの処遇は明らかになっていない。
起源と指導者
元々、中東やアフリカには2010年初頭からロシアの民間軍事会社が数社進出していたものの、その時点でワグネルはまだ参戦していなかった。
ワグネル・グループは2014年にウクライナに初めて登場し、クリミア併合に参加した。また、2014年にはウクライナのルハンスク地方で、ロシアが支援する分離主義者とともに戦闘を行うなど、活発な活動を行っていた。
第一次、第二次チェチェン紛争の兵役経験者、ドミトリー・ヴァレリエヴィチ・ウトキンがこのグループを設立したと伝えられている。ウトキンは2008年か2013年まで、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の特殊部隊である第2独立旅団第700独立スペツナズ分遣隊の中佐兼旅団長を務めていた。
退役後、2013年からロシア軍の退役軍人たちが設立した民間企業「モラン・セキュリティ・グループ」で働き始め、世界中で警備や訓練任務に携わり、海賊に対する警備を専門に行っていた。同年、モラン・セキュリティ・グループの上級管理職は、内戦下のシリアで「油田やパイプラインを守る」ために請負人をヘッドハンティングする香港のスラヴ軍団の立ち上げに関与していた。
ウトキンはスラヴ軍団のメンバーとしてシリアに派遣され、悲惨な任務から生還した。その後、ロシア連邦保安庁は、スラヴ軍団の一部の隊員を違法な傭兵行為で逮捕した。
2021年、フォーリン・ポリシーの報告書は、「ワグネル」の名前の由来は不明であると指摘した。また、グループの名前はウトキン自身のコールサイン「ワグナー」に由来するという説もあり、ドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナーにちなんで、ウトキンがナチス・ドイツへの情熱から選んだとされる(ワグナーはアドルフ・ヒトラーのお気に入りの作曲家である)。そのため、彼をネオナチと考える人もおり、エコノミスト誌は、ウトキンがナチスのタトゥーをいくつも入れていると報じている。ワグネル・グループのメンバーは、ウトキンがスラブ土着の信仰者であるロドノヴェリエであると言っている。Radio Libertyは内部関係者の話を引用し、ワグネル・グループの指導者は現代異教徒の新宗教運動であるスラヴ・ネイティヴ・フェイスの信者であると述べている。
2017年8月、トルコの新聞Yeni Şafakは、ウトキンは同社の図式的な存在で、ワグネル社の本当のトップは別の人物である可能性があると推測している。
ワグネルの様々な要素が、白人至上主義やネオナチの極右過激派と結びついており、例えばワグネルの公然たる極右・ネオナチのルシッチ部隊や、ワグネルのメンバーが戦場にネオナチの落書きを残していることなどが挙げられる。
しかし、国連大学政策研究センターの上級政策顧問であるエリカ・ガストンは、ワグネル・グループはイデオロギーに基づくものではなく、「ロシアの治安国家と結びついた」傭兵のネットワークであると指摘する。ロシアはこのつながりを否定しており、公式にはこのグループは存在しないとされていた。
しかし2023年6月には、プーチン大統領が軍当局者への演説において2022年5月から23年5月にかけて860億ルーブル(約1450億円)余りの資金を政府から提供していると述べ、ワグネルの資金源がロシア政府であったと認める形となった。
これらワグネルの活動を裏から国費で支え、アフリカ諸国から得た報酬の一部をキックバックさせていたのがプーチン自身であったと見られている。
戦争への参加
2013年にはウクライナ紛争で「ロシア軍がウクライナ領内で活動していない状況を作るため」投入され、2015年シリア内戦においてアサド政権への支援の為に本格的に介入し、ロシア連邦軍が直接介入する前に要員を派遣していた。これらの海外での活動において、GRUより支援・調整を受けているといわれている。
2017年には北アフリカのリビアに部隊を派遣し、東部を支配する「リビア国民軍」を支援。その後はスーダンやモザンビーク、中央アフリカ、西アフリカのブルキナファソなどに部隊を出し、軍隊の訓練や警備のほか、時には反政府勢力との戦闘に加わるなど大きな役割を担ってきた。
2018年以降、ワグネル社は反政府ゲリラとの紛争が発生した中央アフリカ共和国にて政府軍の訓練と支援を行っている。これらの活動は、2016年10月に撤退したフランス軍の役割を埋めるものであった。また、ワグネル社は軍事支援だけでなく複数の子会社を通して鉱山採掘や伐採、輸送船の警備、税関の提供、さらにはウォッカやビールを生産するなど中央アフリカのインフラ事業に介入している。
2020年以降、ワグネル社が軍事クーデターとイスラム勢力の攻勢に揺れるマリ共和国で活動していることが判明。
マリ政府とロシア政府は否定しているもののアメリカアフリカ軍(AFRICOM)の司令官は、インタビューにて「ワグネルはロシア軍の支援を受けている。ロシア空軍機が彼らを現地へ移送している」とロシア政府が関与していると示唆。また、フランスの外相は、ワグネルの傭兵がイスラム過激派との闘いを口実にマリ暫定政権を支援していると非難するとともに、「ロシア機で移送されてくる傭兵について、ロシア当局が知らないとしたら驚くべきことだ」と言及している。
2022年ロシアのウクライナ侵攻には、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめとするウクライナ指導者の暗殺作戦(斬首作戦)に投入されたと伝えられている。
全体では8,000人が投入されたと見られ、イギリスの調査報道機関ベリングキャットは、作戦失敗により3,000人が戦死したと報じた。同年3月の時点では内戦が続くシリアなどで戦闘経験が豊富な人材の募集が行われたほか、消耗戦の展開となった同年7月には、キルギスなど旧ソビエト連邦構成国などで警備員の求人を装い、月給24万ルーブルの条件で戦闘員を募集していることが伝えられた。同月にはロシア国内の刑務所で囚人を戦闘員として募集していることも伝えられている。
また、セルビアやノルウェーなどヨーロッパの極右が少数参加している。セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領はワグネルが国民を勧誘して武力紛争に参加させることを「違法行為」として抗議した。
同年8月の時点で、ワグネル社はルハーンシク州セヴェロドネツィク地区ポパスナに拠点を置いていた。ウクライナ側は同月16日までにこの拠点を攻撃して破壊したと発表し、一時はプリゴジンが死亡した可能性も報じられたが、プリゴジンはその後声明を発表し生存が確認された。
同年12月、ワグネル社が北朝鮮から歩兵用のロケットやミサイルを購入したことが報じられた。
2023年4月、プリゴジンは東部ドネツィク州バフムートの戦いで、今後は捕虜を取らずに、ウクライナ兵は全員殺すという方針を発表した。
ワグネルの反乱
2023年6月、ワグネルは任務完了としてバフムートから撤退を開始したが、プリゴジンはロシア国防省がワグネルの退避ルートに数百個の地雷を仕掛けていたと発表し、国防省を非難した。
6月23日、プリゴジンがSNSに投稿した動画で、以前より批判していたセルゲイ・ショイグ国防相やワレリー・ゲラシモフ軍参謀総長を念頭に「軍幹部の悪事を止めなければならない。抵抗する者はすぐに壊滅させる」と述べ、武装蜂起を宣言した。これに対し、ロシア国防省は「情報による挑発だ」と反発。これに対してロシア連邦保安局(FSB)は、武装反乱の扇動に該当するとして捜査を始めた。
ワグネルの部隊はモスクワまで200kmの地点まで迫り、ロシア軍所属の航空機を撃墜するなどしたが、24日に進軍は停止され、占拠していたロストフ・ナ・ドヌからも撤退した。
6月26日、プリゴジンは「(ロシア国防省などの)陰謀と思慮不足の決定により、7月1日に消滅しなければならなくなった」と述べた。 プリゴジンはベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介のもとでベラルーシ国内に移ったとされていたが、7月6日にルカシェンコ大統領はプリゴジンがサンクトペテルブルクにいると声明した。
ショイグ国防相はワグネル部隊の構成員の多くは国防省と契約を結んだとしており、ワグネルグループ自体も7月2日から一ヶ月間、戦闘員の新規募集を停止している。
中央アフリカで戦闘に参加しているワグネル戦闘員の間でも動揺が広がり、中央アフリカ政府が否定しているものの、帰国準備を開始したという噂が広まっている。
またロシア国防省はアフリカと中東で活動する新たな民間軍事会社を設立し、ワグネルの戦闘員の引き抜きを開始している。
プリゴジンとウトキンの死
8月23日、プリゴジンと実戦部隊司令官のウトキン、ワグネルの輸送部門と民間プロジェクトを担当していたヴァレリー・チェカロフらが乗っていたジェット機が墜落、乗客乗員10名の死亡が発表された。
アメリカのシンクタンク戦争研究所(ISW)はロシア空軍が保有するS-300地対空ミサイルによる撃墜だとしており、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)などでもロシア政府が関与した暗殺事件であるという見方をしている。
8月24日、プリゴジンと親しく、反乱以降姿を見せていなかったセルゲイ・スロヴィキン空軍総司令官がプーチン大統領によって解任された。
英国王立防衛安全保障研究所のマーク・ガレオッティ上級アソシエイト研究員は、協定の仲介や資金の流れを掌握していたプリゴジンの死によってワグネルが長期的に存続する見込みはなくなったとしている。同日にはポーランドのモラヴィエツキ首相がプリゴジンの代わりにプーチン大統領が指揮を執るようになれば大きな脅威となると指摘した。
国家軍への併合
英国防省の調査によると、反乱以降ロシア政府はワグネルに対し直接的な統制を行うようになり、10月下旬の時点でワグネル構成員の多くがプリゴジンの息子パヴェルが指揮するロシア国家親衛隊の師団に吸収され、また、チェチェン共和国の特殊部隊「アフマト」に170人が加入した。それ以外は「ルドュート」という他のPMCに移籍し、「ルドュート」の兵力は7000人に拡大したという。また、ワグネルのアフリカでの事業を引き継ぐロシア国防省傘下の「アフリカ部隊」に加入した者もおり、ブルキナファソに最初に派遣されたメンバーの100人中半数は元ワグネルとされる。
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