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政治(法律)講座ⅴ1116「近代法治国家から遠のく中国」

韓国も遡及法(事後法)で裁くなどの近代法治国家から逸脱する法律を作って適用している。通称「親日罪」がそれである。とうとう、中国も罪刑法定主義から逸脱するなど、なんでも裁ける「反スパイ法」とやらで容疑者を拘束している。
近代法治国家の体裁をとっているが刑法の本質、つまり、罪刑法定主義を理解していない。今回はそのような刑法について紹介する。

     皇紀2683年5月28日
     さいたま市桜区
     政治(法律)研究者 田村 司

罪刑法定主義とは

 ある行為を犯罪として処罰するためには、立法府が制定する法令において、犯罪とされる行為の内容、及びそれに対して科される刑罰予め明確に規定しておかなければならないとする原則のことをいう。対置される概念は罪刑専断主義である。
   律令をはじめとする日本も含めた近代以前の東アジア諸国の法体系においては、刑罰は法律の条文に基づいて行われることにはなっていたが、その一方で社会秩序の維持を名目として、法令に該当しない犯罪を裁く規定である「断罪無正条」や、法令に該当しない軽犯罪の裁判を行政官の情理による裁量に委ねる「不応為条」が必ず設けられており、類似の犯罪行為の規定からの類推適用が許されており、「法律なくして犯罪なし」とする罪刑法定主義の主旨とは対極に位置していた。これは東アジアの法体系における刑罰は厳格な絶対的法定刑(固定刑)を原則としており、こうした類推適用国家や官吏の擅断によって刑罰が行われる危険性を持つ一方で、「法の欠缺補充機能」及び「減刑機能」によって絶対的法定刑を原則とする刑事法の弾力的運用を図るという側面を有していた。このため、こうした類推適用を排して罪刑法定主義を導入するためには法定刑の仕組を見直すなどの法体系の抜本的な変更を必要とした。
ただし、ヨーロッパで罪刑法定主義思想が主張される以前の徳川期の刑法でも、類推や拡張解釈については厳重な拘束があり、裁判官の自由に委ねられていたのではないことが指摘されている。
罪刑法定主義が日本で制度的に確立されるのは明治時代の旧刑法施行以後のことであり、大陸法の影響を受けた明治憲法(第23条)にその趣旨が規定されている。現行の日本国憲法では、第31条と第39条が主な根拠条文とされ、73条6号による、法律の委任以外の政令による罰則設定禁止と41条の国会中心立法から、慣習刑法の禁止は当然と解される。現行刑法には罪刑法定主義について直接触れた条項は存在しない。

ニュースの核心 〝何でもあり〟中国「反スパイ法」で出国禁止を乱発 200人以上の米国人を拘束か 日本人も標的の危機 「親中派は用済み」切り捨ても

3 時間前

広島でのG7(先進7カ国)首脳会議は、中国に断固たる姿勢を示した。首脳声明には、「東・南シナ海情勢に深刻な懸念を表明。中国による『力や威圧による一方的な現状変更』の試みに強く反対」「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認」「中国の人権状況に懸念表明」などが並んだ。自由主義諸国が中国を強く警戒する背景には、軍事的な覇権拡大路線とともに、外国人を相次いで拘束している事実がある。米誌は「200人以上の米国人が中国に拘束されている」と報じた。日本人も標的になっている。ジャーナリストの長谷川幸洋氏による緊急リポート。

中国が「反スパイ法」を改正した。その名の通り、中国国民や外国人のスパイ活動に対する取り締まりを強化する狙いだが、この法律によって公安当局は事実上、誰でも「スパイ」とみなして、身柄拘束が可能になった。

公式には7月1日からの施行だが、実際には他の法律も動員して、外国人を含めて「出国禁止措置」を乱発している。一体、中国で何が起きているのか。

2014年に制定された反スパイ法は、4月に初めて改正された。第4条でスパイ行為を「外国の機関や個人などが国家機密や情報、文書、データなどを盗んだり、提供する行為」と定義しているが、それは建前にすぎない。末尾には「その他のスパイ活動」と記されている。

つまり、定義を同義反復しているだけで、「何でもあり」という話である。

恐ろしいのは、第33条だ。そこには、「国益に重大な害を及ぼす可能性がある中国人の出国を承認しない」「スパイ行為の疑いがある人が国外に出ることを許可しない」と記されている。国民はもちろん、外国人も出国禁止にしてしまうのだ。

実例は、いくつもある。

中国の「非公式警察署」問題を初めて世界に告発したスペインの非政府組織(NGO)、「セーフガード・ディフェンダーズ」は5月2日、出国禁止措置に関する新たな報告書を発表した。それによれば、2015年時点で約1400万人もの中国人が当局によって出国を禁止されていた。

中国は反スパイ法だけでなく、少なくとも14本の法律を総動員して、国民や外国人の出国を禁止してきた。外国人について、報告書は「2019年までに128人の外国人が出国を禁止されている」と記している。

だが、これは「氷山の一角」にすぎない。

2月5日付の米「ニューズウイーク」誌は、「200人以上の米国人が中国に拘束されている」と報じている。

米メディア「ニューズネーション」によれば、ある米国人は商用で中国を訪れた際、ホテルで通訳兼運転手とともに、麻薬所持の疑いで逮捕された。彼は麻薬を持っていなかったが、持っていた通訳兼運転手が「彼のものだ」と言い張ったのだ。

スパイ気球撃墜され中国は腹くくったか

こんなことがまかり通ってしまったら、われわれは現地の中国人と接触できない。日本の製薬会社「アステラス製薬」の日本人社員が先日、中国でスパイの疑いで拘束されたが、その後も韓国人サッカー選手など、外国人の拘束が相次いでいる。いつなんどき、スパイや犯罪者に仕立てられるか、分からない。

法改正された4月は、中国の「スパイ気球」が米国上空で撃墜され、米中関係が一挙に悪化していた。中国は「米国と戦ってもいい」と腹をくくったかもしれない。中国が最近、スパイ行為で終身刑を宣告した中国系米国人は「親中派」として有名だった。もはや「親中派は用済み」として切り捨てた可能性がある。

米国務省はホームページで、「中国は出国を禁止して、家族に帰国を促す圧力をかける」「民事紛争を有利に解決しようとする」「外国との交渉を有利に運ぼうとする」「ほとんどの場合、空港で突然、出国できないと分かり、異議を唱える法的メカニズムはない」などと、旅行者に警戒を呼びかけている。

日本人の拘束は増えることがあっても、減ることはないだろう。中国の強権化はわれわれの想像をはるかに超えている。十分な警戒が必要だ。

■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア―本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。


参考文献・参考資料

ニュースの核心 〝何でもあり〟中国「反スパイ法」で出国禁止を乱発 200人以上の米国人を拘束か 日本人も標的の危機 「親中派は用済み」切り捨ても (msn.com)

罪刑法定主義 - Wikipedia

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