政治講座ⅴ2038「中国で権力闘争始まる?易姓革命か!」
中国の政変は「易姓革命」と言われる。そして、易姓革命とは、古代中国において起こった孟子らの儒教に基づく、五行思想などから王朝の交代を正当化する理論である。
周の武王が殷の紂王を滅ぼした頃から唱えられ、天は己に成り代わって王朝に地上を治めさせるが、徳を失った現在の王朝に天が見切りをつけたとき、「革命(天命を革める)」が起きるとされた。それを悟って、君主(天子、即ち天の子)が自ら位を譲るのを「禅譲」、武力によって追放されることを「放伐」といった。後漢から禅譲を受けた魏の曹丕は「堯舜の行ったことがわかった(堯舜の禅譲もまたこの様なものであったのであろう)」と言っている。後漢(劉氏)から魏(曹氏)のように、前王朝(とその王族)が徳を失い、新たな徳を備えた一族が新王朝を立てた(姓が易わる)というのが基本的な考え方であり、血統の断絶ではなく、徳の断絶が易姓革命の根拠としている。儒家孟子は易姓革命において禅譲と武力による王位簒奪の放伐も認めた。
ほとんどの新王朝では、史書編纂などで歴代王朝の正統な後継であることを強調する一方で、その正当性を強調するために前王朝と末代皇帝の不徳と悪逆が強調される。典型的な例として、桀・紂の逸話が伝わる。また煬帝のように悪い諡号を贈られたり、諡号や廟号自体を贈られない場合もある。
一方で、明への反逆者である李自成を討って天下を継承した清のようなケースでは、明の末代皇帝崇禎帝は顕彰され、諡号や廟号も贈られている。
このように、易姓革命論は王朝交代を正当化する理論である。またこの理論があったために劉邦や朱元璋のような非支配階層出身者の支配を肯定することが出来たと言える。
今回はそのような易姓革命になりそうな権力闘争についての報道記事を紹介する。
皇紀2684年11月23日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
中国の権力闘争が止まらない…習近平が文革を想起させる地で「軍への逆襲」始める中、李強が打って出た、まさかの「除習」行動
石 平(評論家) によるストーリー
排除された習近平が
11月6日掲載の「中国の『独裁体制』にいったい何が…『習近平の名前』が党中央政治局と人民解放軍の重要文書から消えた!」で、中国人民解放軍が10月30日に公表の重要文書において露骨な「習近平排除」を行ったことを伝えた。それから2週間が経ったころ、習近平主席は早速、軍への逆襲を始めた模様である。
11月4日、湖北省で視察中の習主席は、湖北某所に駐屯の解放軍落下傘部隊を視察した。習主席は地方視察中に解放軍部隊を視察することは往々にあるが、今回の場合、制服組トップの張又侠・中央軍事委員会副主席が習主席を実質上軍から排除して解放軍の掌握に成功したと観察されている中で、習主席の軍視察は大変注目すべき動きである。
10月15日から2日間、習主席は福建省を視察したが、その直前の14日に解放軍がまさに福建省を最前線にして台湾を囲んで軍事演習を行った。にもかかわらず、習主席が福建省視察中に軍の視察も軍との接触もいっさいなかったことは上記記事でも伝えたが、これと比べると、11月4日の解放軍視察はわざとらしくて、何かの特別な政治的意図があることは考えられる。
そこで注目されるのは、習主席の落下傘部隊視察に同伴したのが、中央軍事委員会副主席で解放軍制服組No.2の何衛東氏であることだ。10月30日掲載の「習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で『静かなクーデター』!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握」で伝えたように、何氏は9月13日に北京で開催された安全保障関係の国際フォーラムに参加して以来、9月、10月中には公の場から姿を消して動静はいっさい伝わっていない。
文化大革命前夜と同じく湖北省から
特に、10月中に軍事委員会副主席の張又侠氏が主宰した二つの軍の重要会議・イベントに、同じ副主席の何氏が連続的に欠席したことはもはや異常事態である。つまり、張氏が「静かな政変」を起こして軍からの習主席排除に成功した中で、主席側近の何氏も一緒に排除されたのではないかとの観測も成り立つのである。
しかし今、約50日間にわたって姿を消して何氏が突如現れて、習主席の落下傘部隊に視察に同伴した。そのことの意味するところは、習主席が側近の何氏と共に、張又侠たちの下剋上の「静かな政変」に対し「上からの政変」を起こして、軍への掌握権を奪い返しに奇襲してきたのではないかと見ることができる。
その際、習主席の「上からの政変」は地方の解放軍部隊への視察から始まったことも興味深い。つまり、軍の中央が張氏たちによって掌握される中で、習主席側は地方からそれを打破する突破口を作り、中央への逆襲に打って出た訳である。
かつての毛沢東時代、文化大革命の前夜、毛沢東が劉少奇一派より中央での発言力を排除された時、まさに地方視察を行なって中央への反撃を開始した。そして奇しくも、当時の毛沢東は湖北省視察の直後に、北京に戻って劉少奇一派打倒の文化大革命を発動した。今、「第二の毛沢東」を目指した習近平は、湖北省視察から、軍の掌握権の奪い返しに動き出した模様であるが、それが成功できるかどうかは、まさにこれからの見どころである。
古い休日復活の意味
習主席と解放軍との亀裂が深まる中で、今や政府の長として習主席と対立関係にある李強首相の動向が注目されている。その李強は最近になって再び、「習近平排除」とも思われるような小さな政治行動に出た。
11月12日配信の新華社通信報道によると、李首相は近日、「全国の祭日及び記念日休暇に関する条例を改定する国務院の決定」に署名し、それを実施に移したという。それによって、来年1月1日から、全国の法定休日が2日分増やされる。その中で大変注目されているのは、「除夕」という伝統祭日を法定休日に再び定めたことである。
「除夕」とは、旧正月の元旦の前日のこと、日本の「大晦日」にあたる。それは、中国人にとっては一家団欒の大切な日であって、除夕の夜、家族が集まって「年夜飯」という宴会の食卓を囲むのは遠い昔からの習俗である。従って遠い昔から、除夕の日に(あるいはその前日から)いっさいの仕事をやめて休むのは当たり前のことで不動の習慣であった。そして2008年1月から、除夕は国務院令をもって法定休日にも定められた。
しかし、2014年1月から、除夕はどういうわけか、同じ国務院令をもって法定休日から外された。除夕が休日ではなくなるのはおそらく、中国史上初めてのことであろう。その時、国務院は徐夕の休日外しの理由をきちんと説明しなかった。
「除夕」、その発音の意味するところ
それに関する様々な推測が出ていたが、その中の有力説の一つは、2013年3月に中国の国家主席になったばかりの習近平氏が「除夕」を嫌っているからだ、というものである。
実は中国語では、「夕」という単語は習主席の名字の「習」とは全く同じ発音の「Xi」である。「除夕」は中国語で発音すればそのまま「除習=習近平を除く」となる。だから習主席がそれを忌避して除夕を休法定休日から外させた、ということが、民間での「定説」となっていた。
しかし10年後の今になって、李首相が国務院の決定として「除夕」を再び法定休日に指定して昔の伝統を回復させた。当然、李首相としては「除夕」が習近平政権の下で休日から外されたその経緯が分かっているはずだし、「習主席が除夕を嫌う」という広く流布されている民間の言い伝えを全く知らないとは思えない。
もし、李首相が全てを知った上で日この挙動に出たのであれば、これは李首相による一連の「習近平排除」の政治行動の一環として解釈することもできる。どうやら李首相は何の遠慮もなく、「除習」を着々とやって行くつもりのようだ。今後の展開は楽しみであろう。
中国の権力闘争がさらに激化!習近平主席の猜疑心を煽る…ベトナムが李強首相に与えた「国賓待遇」の波紋
10/26(土) 6:05配信
異例! なんで公安部トップが天津を経済視察
10月16日、中国の新華社通信が次のニュ=スを伝えた。15日、16日の両日、中国公安部長の王小洪氏は、共産党中央書記処書記、国務委員の肩書で直轄市の天津市で「経済の高品質発展」について視察を行ったという。
【写真】「習主席vs李首相」の確執が原因か…上海株崩壊のウラでいま起きていること
視察中、王氏は関連企業を訪れ、当面の経済情勢と経済工作に関する習近平主席の重要講話精神の学習・貫徹を呼びかけた。同時に彼は、内需の拡大、経済構造の向上、全国統一大市場の構築などについて語り、それらの重要性を強調したという。 王氏は国務委員の一人ではあるが、本職が公安部長であって、全国の公安警察の総責任者だ。国務院における彼の役割分担はあくまでも公安や治安維持である。したがって彼の立場と仕事は本来、「経済」とは何の関係もない。公安責任者が地方で企業を視察して「内需の拡大、経済構造の向上」を語るのはまさに前代未聞の大珍事、荒唐無稽でさえある。
習近平人脈の中核中の中核
王氏の経歴をみれば、彼が1984年から2013年までにずっと福建省で公安警察の仕事に従事していたが、習近平主席は1990年から96年までに福州市党委員会書記を務めた時、王氏が福州市公安副局長・局長を歴任し、習氏直轄の部下として仕え、それ以来、習氏の側近の一人となった。 そして2012年秋の習近平政権成立後、王氏はまず河南省公安庁長に昇進し、2015年には北京公安局長に転任、16年からは公安部副部長、2022年には公安部長に昇進して全国の公安警察のトップとなって、習主席の公安警察掌握の要となった。 その一方、王氏は習主席一番側近の政治局常務委員の蔡奇と並んで、習近平の福建省勤務時代からの「譜代側近」として、今や習政権の一番中枢の「福建組」の核心人物の一人でもある。
他に信頼できる側近がいない!?
このような背景からは、公安警察トップの王氏が突如、天津に現れて、畑違いの「経済視察」を行ったことの理由がある程度分かってくる。 つまり、本来は習主席の側近であるはずの李強首相が経済運営の問題上、習主席と悉く対立している中で、習主席は李首相を制する切り札として、国務委員でもある公安トップの王氏に経済運営に関与させることによって、李首相の仕事を邪魔し徹底的に牽制する魂胆であろう。 そしてそのことは、習主席と李首相との信頼関係が完全に崩壊したことを意味する一方、習主席は今、蔡奇や王小洪など数名の福建時代からの「譜代側近」以外に、もう誰も信頼できなくなっていることを意味する。 信頼できる人が数名しかいないから、習主席はやむを得ず、公安一筋の王氏に無理やり「経済」を語らせ、経済運営にまで関与させようとしているが、これほど荒唐無稽なことは逆に、習近平政権は完全に行き詰まって末期症状を呈していることを示している。そして公安警察トップが経済運営に口出しするようでは、中国経済自体は地獄入りする以外にないのであろう。もはやベトナムが李強を「元首」扱い
一方、渦中の人物である李首相の方でも最近、次のような興味深い動きがあった。今月12日と13日の両日、ラオスでの国際会議参加を終えた彼はその足でハノイへ行き、二日間の日程でベトナムに対する公式訪問を行った。訪問での首脳会談の中には特に注目すべきところは特にないが、意外だったのは、ベトナム側の李首相に対する異例な厚遇ぶりである。 012日の夕刻、李首相がハノイ空港に到着した時、ベトナムの副首相兼外相は飛行機の下で彼を迎えた。そしてその晩のうち、李首相はベトナム共産党中央本部へ赴き、ベトナム共産党総書記・国家主席トー・ラムと会談した。 ベトナムでは総書記・国家主席は国家元首の立場であって、中国首相のカウンターパートナーではなく、本来、李首相と会談しなくても良い。たとえ会談があるとしても、李首相の表敬訪問を受ける形での儀礼的な会談で済ませて良い。しかし今回、ベトナム主席は高官たちを率いて李首相をトップとする中国側と長方形のテーブルを挟む形での正式会談を行った。それは普通、対等な立場にある首脳同士の会談の様式である。 そして翌日の13日、今度はベトナム首相は李首相の歓迎式典をとり行った後に首脳会談。午後には、ベトナムの国会主席(議長)が李首相と会談した。 このようして、李首相訪越の二日間において、ベトナム側は党・国家・政府・国会のトップが総出の形で彼と会談したわけである。それは普段、習近平主席やバイデン大統領などの外国元首に対する首脳外交の行い方であって、中国の首相であるはずの李首相に事実上の国賓待遇を与えたのである。
猜疑心の強い習近平は……
習主席と李首相との確執がすでに表面化している中で、ベトナム側は一体どうして、習主席の不興を買うかもしれないことも覚悟の上、李首相に余分な厚遇を与えたのか。 ここに出てくる可能性の一つはすなわち、同じ共産党一党独裁国家として共産党流の権力闘争をよく知っているベトナムは、最近の動向から李首相の台頭が不可避と読んで、将来有望の李首相に恩を売っておく判断となっているのではないか。 つまり、李首相に対する異例な厚遇の背後には、中国中枢部の権力闘争の行方に対するベトナム側の読みと国益からの打算があると思われるが、その一方、ベトナム側のこの挙動は逆、習近平vs.李強の確執に火を注ぐことにもなりかねない。 猜疑心が強く了見の狭い習主席は、子分の李首相がベトナムで国家主席の自分と同様な待遇を受けたことに対し不快ないし嫉妬を感じてしまう可能性が十分にある。そして、その一方、李首相が国際的に評価が高まることに対し、独裁者の習主席はそれが自分の地位に対する潜在的脅威だと捉えて警戒心を強めることもある。 ベトナムが余計なことをしてくれたことで、習主席と李首相との確執がむしろ深まる方向へと向かい、いよいよ「佳境」に入っていく様相である。
一党支配の正統性の由来を問うて考える中国政治支配を説明してきた条件が変わる不確実な時代
加茂 具樹 : 慶応義塾大学教授
2024/11/21 7:00
高度成長と社会安定を達成してきた実績が色あせる中での中国政治の行方を考える。
経済成長や社会安定を支えた国際環境でも中国は試練に直面する (写真:Doug Mills/The New York Times)
中国共産党による一党支配の正統性はどこから来るのか。その支配の安定や存続をめぐる問題を考えるとき、これほど根源的な問いはない。一般的には、経済成長と社会安定の持続、そして国際社会における影響力の上昇といった、執政の実績に対する支持にあると理解されている。
まさに経済成長、社会安定、国際環境の3点は中国政治の行方を考えるに当たっての重要な論点だ。
しかし、実績への支持と支配の正統性は別物だ。支配の正統性とは、その政治権力への服従は道義的に正しい、という人々の観念によって生まれる。指導部の実績を認めたとしても、それが支配に対する同意を意味するわけではない。
摩耗しつつある「実績の正統性」
執政の実績への支持が、その政治権力は自分達の社会にふさわしいという了解を醸成し、結果として支持が正統性に転化することはある。「実績の正統性」という。
ただし支配の正統性があって執政の実績が集まれるのであって、「実績の正統性」という考え方では、実績と支配の因果関係の問題を見落としてしまう。支配の正統性とは、実績が悪くても支配に同意するのはなぜかという問いだ。
石 平(評論家)
習近平氏元政敵の薄熙来氏、息子が台湾女性と結婚へ 規律違反理由に失脚、無期懲役確定
2024/11/15 19:16
中国の習近平国家主席のかつての政敵で、汚職で失脚した薄熙来元重慶市共産党委員会書記の息子の薄瓜瓜氏が台湾出身の女性と結婚することが決まり、13日台湾に到着した。台湾メディアが伝えた。近く台湾で披露宴を開く。
薄瓜瓜氏は父が失脚した真相の一端を知っているとみられる。台湾メディアによると、台湾の情報当局も薄瓜瓜氏の動向に注目している。
相手の女性は北東部・宜蘭県の病院経営者一族の出身で、海外に留学していた。薄瓜瓜氏も留学経験があり、2人は留学中に知り合った。薄瓜瓜氏は女性の実家にあいさつなどをするため台湾入りした。
薄熙来氏は、習指導部が発足する2012年の第18回共産党大会前に規律違反を理由に失脚。13年に収賄罪などで無期懲役が確定した。薄熙来氏と習氏は中国の高級幹部子弟「太子党」代表格としてライバル関係にあり、失脚の背景には激しい権力闘争があったとの見方が根強い。(共同)
中国で抗議活動が劇的に増加-経済運営に対する国民の不満浮き彫り
Rebecca Choong Wilkins
2024年11月22日 9:39 JST
7-9月に公の場で起きた抗議活動の件数、前年同期比27%増加
米人権団体フリーダムハウスの「中国反体制モニター」が集計
中国で7-9月(第3四半期)に抗議活動が劇的に増加したもようだ。国民の間に広がる不満が、政府に追加の景気対策を講じるよう促している可能性もある。
米人権団体フリーダムハウスの「中国反体制モニター」が21日発表したリポートによれば、7-9月に公の場で起きた抗議活動の件数は、前年同期比27%増えた。その大半は経済問題に関連しており、労働者と不動産オーナーの訴えが目立つという。
中国政府は今月、地方政府の財政安定化を狙った10兆元(約213兆円)規模の債務スワップ支援策を発表。長引く不動産不況と成長鈍化に終止符を打とうとしているが、国民のいら立ちは一段と強まりつつある。
米国で第2次トランプ政権が来年発足すれば、米中が再び貿易戦争に入る可能性があり、そうなれば人員削減や賃金カット、景況感の悪化が広がる恐れもある。
危機感
月間ベースの抗議活動件数は10月に、データ集計が始まった2022年6月以降で最多に達したもようだと調査担当者らはみている。
台湾を拠点にして中国反体制モニターを率いるリサーチャー、ケビン・スラテン氏は「経済に関する抗議運動の主因の一つは不動産市況低迷の影響だ。中央政府がこうした問題に投じている資金の規模が、切迫感を反映している」と指摘。
そうした政府の危機感は「不満の高まりと草の根の抗議運動の頻発に対する懸念に一部起因している」と話した。
予想を下回る経済統計が続き、年5%前後という経済成長率目標の達成が危うくなったことを受け、中国共産党の習近平指導部は9月下旬以降に景気刺激策を矢継ぎ早に発表。
政策支援により経済成長は軌道に戻りつつあるが、国民感情の好転は見られない。中国反体制モニターのデータは主に小規模な抗議行動を記録したものだが、世界2位の経済大国を揺るがしかねない根深い不満を反映している。
最近相次ぐ単独犯による殺人事件は深刻な不安を引き起こしており、中国のソーシャルメディア上ではユーザーがそうした暴力と景気低迷を結び付けている。
過去1年ほどの間に記録された1820件以上の労働者による抗議のうち、大半は未払い賃金に関連したもの。
また、未完成のマンション販売を扱う大手の不動産管理会社に対する抗議活動が大きく増え、約3分の1は不当な手数料や公的資金の不正使用に関連している。
情報不足
不動産開発会社が抱える多額の負債を当局が問題視する中で、住宅の買い手は質の劣る建築や長期の工事遅延に悩まされている。
消費者や投資家も抗議行動を起こす傾向が強まっており、そうした不満のほぼ半数が当局の介入を必要としている。ただ、全体に占める割合は4%程度とまだごく一部だ。
中国は08年にこうした事案を巡る統計の公開を中止。また、ここ数年、公式および非公式データを一般に公開しないケースが増え、経済に関する信頼できる情報の入手も困難になっている。
公的なデータが減少する中で、投資家やエコノミストは、政策当局が刺激策の必要性を検討する際に社会のリスクをどう認識しているかを理解しようと政府への不満を追跡する民間のデータベースに注目。
米銀モルガン・スタンレーは中国での政策の変動を予測する上で活用し得る社会的苦痛を示す新たな指標を9月に発表した。
中国反体制モニターはニュース報道や市民の社会組織、本土のソーシャルメディアなどを情報源とし、データの取りまとめには機械学習アルゴリズムも応用している。
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