政治(経済・金融)講座ⅴ1981「薄氷を歩くような中国経済、砂上の楼閣、張子の虎であった」
日本が進出した企業は中国の企業と合弁会社として運営される。そのことから考えても中国の世界の工場としてのGDPは不動産投資(全体の3割)を除いた半分(3割5分)は海外企業が稼いだGDPである。
2023年度の実際の公表されたGDPは、19,243,974(単位10億USドル)×0.35=6,735,539となる。
これが中国のGDP 6,735,539 であると推測される。
日本企業や海外企業は中国から撤退しており、さらに、中国のGDPは低下すること間違いなし。海外投資資金も撤退し出している。
GDPの算出根拠の付加価値に対しても、不動産マンションは将来売れる可能性の低い不良在庫化しており、GDPに寄与するどころではなく、不良在庫の貸倒引当金に該当し、年数が経つにつれて、価値が減り出すなどの会計処理として減価償却の必要が出てくる。
これで、国家ぐるみでの不良在庫処分や倒産引当金などの措置が必要である。そして、問題は調達した資金、つまり過剰債務の対応であろう。もう、資金調達出来ない段階と考えられるのである。金融用語に「銀行預金には信用創造機能があると言われる」しかし、銀行の融資機能が低下して、経済低下する悪循環に陥ているのである。
公表されていないが、マンションを購入した住宅ローンの焦げ付き(不良債権化)の段階と思われる。しかも、担保物件の評価額の下落により競売による資金調達も難しいことが考えられる。もう、共同富裕ではなく、共同貧困の極致に入っているのである。
旧ソ連の国家破綻と同じ道を歩みそうである。
今回はそのような報道記事を紹介する。
皇紀2684年10月21日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
報道記事紹介
うかつな経済対策で予期せぬ事態に、「愚民政策」の結果に苦悩する中国政府
川島 博之 によるストーリー
(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)
9月下旬、中国政府が金融緩和、財政出動、国有銀行への資本注入などの経済対策を実施する可能性があるとの情報が流れると、誰もが驚くほど中国株が急騰した。だがしばらくすると、規模が噂されていたほどではなく、また具体策に乏しいことから反落した。中国株は乱高下している。
この件について中国の金融関係者から面白い話を聞いた。以下は、彼と私が話し合ったことを私の言葉でまとめたものである。
民衆の反応を探っている中国政府
彼の周囲で株を買った人はいない。もちろん彼も買わなかった。この程度の対策では役に立たない。金融のプロは冷めた目で見ていた。その一方で株価がこれほどまでに乱高下したことに驚いたと言う。
彼は、この小出しの経済対策は政府による威力偵察と見ることもできるとも言っていた。民衆の反応を探っているのだ。そして政府は民衆の反応に恐怖を覚えた。
欧米や日本のエコノミストは中国政府に金融緩和や財政出動などを求めている。ブルームバーグ、エコノミスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなど欧米のメデイアはそのような記事を繰り返し掲載している。中国国内でもそれに賛同する人々がおり、今回の一連の対策はその要望に応えたものといえよう。
ただ知人は、中国の不良債権問題はこの程度の対策では到底解決できないと、あきらめ口調で語っていた。エコノミストたちは中国の実態を知らない。中国も先進国と同じような社会であると思っている。しかし中国社会は欧米や日本とは全く異なる。だが彼らはこの事実を理解しようともしない。
中国の不良債権問題は「解決不能」
知人に言わせると、中国では不良債権の額どころか、空き家の数も明らかになっていない。いくつかの推計があるが、どれが本当か分からない。金融機関に勤める人であっても、不良債権について具体的な数字を知ることができない。肝心なデータが隠されている。それが現在の中国である。
ここで空き家の数について簡単な推計を行ってみよう。
現在、中国の都市人口は5億人、農村に住む人は9億人である。我々が見ているのは都市に住む5億人に過ぎない。中国の経済規模は日本の約3倍だが、それは中国の人口が5億人と考えれば理解しやすい。我々は中国の都市部を見て、それが中国だと思っている。
ここで一戸のマンションに3人が住んでいるとしよう。そうすると都市に必要なマンションは1.6億戸になる。中国では最盛期には年間2000万戸ほどのマンションが造られており、今も数百万戸のマンションが造り続けられている。21世紀に入ってから造られたマンションの総計は4億戸ほどであろう。現在2.4億戸ほどのマンションが余っていることになる。
その半分は建ててから一度も人が住んだことないマンション、もう半分は新しいマンションに移り住んだ人々が、それ以降も元のマンションを所有しているケースだ。価格が上がりし続けると考えていたために、多くの人が住んでいたマンションを保有し続けている。
そして人々は、マンションの価格は一戸が2000万円から3000万円はすると思っている。一級都市の中心部では1億円以上すると考えている。その金額を当てはめると、人の住んでいないマンションの時価総額は単純計算で4800兆円から7200兆円になる。それは住宅ローンなどを通じて金融機関につながっており、不良債権を生む原因になっている。
一戸に3人が住むと仮定すると、農村部に住む9億人の中の7.2億人がこのマンションに越してくれば、中国の空きマンション問題は解決する。だが中国の奇跡の成長が農村に住む人々の犠牲の上に成り立ってきたことを忘れてはならない。農村に住む人々の年収は日本円で100万円に満たない。生きて行くだけでやっとだ。貯金はほとんど持っていない。そのような人々がどうやって2000万円から3000万円もするマンションを買うことができるのであろうか。
そして農民が都市部に移り住んだとしても職がない。現在、大学を出た若者でも就職に苦労している。つまり今後、都市部の空き家に人が住むことはない。そう考えれば、空き家の価値はゼロだ。知人は、将来取り壊しの費用が必要になるので、実質価値はマイナスだと言って笑っていた。
欧米のエコノミストは、住宅価格が下落すれば不動産市場において需要と供給が均衡し、経済が再び成長軌道に乗ると考えるが、中国ではそのようなことは起きない。ここに中国の不良債権問題の本質がある。つまり解決不能なのだ。知人はため息をついた。
不良債権の山を現在も築き続けている地方政府
日本では報道されないが、もう一つ重要なことがある。それは今もマンションが造り続けられていることだ。
地方政府は農民から土地を取り上げて、マンションを建設しなければ生きて行けない。もちろん以前のような調子ではないが、それでも建設している。現在も不良債権の山を築き続けている。それについて中央政府は見て見ないふりをしている。
GDP全体に占める不動産部門の割合が3割と言われた国である。地方政府が土地開発を行うことを完全にストップさせると、今以上に街に失業者が街にあふれ出す。また地方政府と組んで不動産開発や建設業を営んできた人々は強い力を持っており、中央政府はそのコントロールに手を焼いている。財政出動や金融緩和は彼らを生き返らせることにつながる。
国慶節の連休中、新たな口座を開設したいという人の要望に応えて、一部の証券会社は休日返上でフル操業した。儲け話があれば、金融機関が休日を返上して対応する。それが中国という国である。
多くの人が、これをチャンスと見てレバレッジをかけた投資を行った。だが実態経済は回復していない。そんな投資は半年もすれば、すべてが失敗に終わるだろう。それが分かり切っているのに、証券会社の人はなにも言わない。株式評論家はもっと上がると囃(はや)すだけだ。
最後は習近平がなんとかしてくれると思っている中国の民衆
恐ろしいのは財産を失った人々が自暴自棄な行動に出ることである。深圳の日本人小学生殺害事件、上海のスーパーマーケットでの無差別殺人。これらは失業者が起こした事件である。報道されていないが、現在中国では類似の事件が多発しており、社会に暗い影を投げかけている。
中国は、歴史的に太平天国の乱や義和団の乱のような反乱、動乱が起きやすい国である。それは民衆に教育が行き届いておらず扇動されやすいためだ。現在も、共産党の統治下で民衆はなにも知らされていない。
そんな民衆は不満を口にしながらも、心の底では中国共産党を頼っており、不況も最後は習近平がなんとかしてくれると思っている。知人は、今回の株価急騰はそんな民衆の心理がよく表れた現象だと言う。
一度上がった株が下落すると共産党への信頼が落ちる。共産党は株が上がったことを喜ぶよりも、下落した際に民衆が暴徒化することを恐れている。
政府が少しでも動くと民衆が反応して、今回の株の急騰のようなことが起きる。中国の民衆は敏感で、反応がいつも過剰である。コントロールが難しい。急騰した株式市場は、当局にそのことを思い知らせることになった。
各国の国内総生産
各国の名目GDP順リスト
米ドル(US$)建ての名目国内総生産における上位10か国。
中国の輸出不調、貿易障壁が長期的に影響する恐れ―独メディア
Record China によるストーリー
独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは15日、「中国の9月の輸出は市場予測を大きく下回った。貿易障壁が長期的に影響する恐れがある」とする記事を掲載した。
中国税関総署が14日発表した9月の輸出は前年同月比2.4%増の3037億1000万ドル(約45兆4800億円)だった。
記事は、「伸び率は市場が予測した6%および8月の8.7%を大きく下回った」と指摘。輸入についても「前年同月比0.3%増の2220億ドル(約33兆2400億円)で、輸出と同様に市場予測より低かった」とし、ロイターは約0.9%、ブルームバーグは0.8%とみていたことを伝えた。
輸出の伸びが鈍化したことについて、税関総署の報道官は同日の記者会見で「短期的な正常なデータ変動」「主にいくつかの短期的、偶発的要因の影響を受けた」とし、長江デルタを襲った台風や世界的な輸送の不順、コンテナ不足などを挙げた。
一方、キャピタル・エコノミクスのエコノミストの黄子春(ホアン・ズーチュン)氏は輸出量が2桁のスピードで伸びていることに言及しつつも「増え続ける貿易障壁がますます大きな制約になるだろう」との考えを示し、「中国の金融緩和政策への移行が貿易相手国の需要を支えるのに役立つかもしれないが、中国の輸出の成功は他国に貿易規制強化を促す。長期的な輸出の伸びが抑制される可能性がある」と指摘したという。
記事はまた、「米国やカナダが対中貿易規制を続ける中、内部に意見の食い違いがあるとはいえ、欧州連合(EU)は今月、中国の電気自動車(EV)に最大45%の関税を課すことを決めた」と伝えた。
記事はこの他、東方金城国際信用評価の首席マクロアナリストの王青(ワン・チン)氏が「中国の第4四半期(10~12月)の輸出はプラス成長を維持するだろう」とする一方、「外需の鈍化を背景に輸出の下振れリスクは比較的大きい」と述べたことを紹介した。(翻訳・編集/野谷)
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