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政治講座ⅴ1360「拳を上げて従わせる中国共産党、国内も海外も従わず逃げ出す有様」

以前、中国は近代法治国家の罪刑法定主義の原則から逸脱している上に、「法治」ではなく「人治」であると解説した。米国リンカーン大統領の「人民の人民による人民のための政治」は、文言を変えると「共産党の共産党による共産党のための政治」となり、それは中国共産党である。国家の法を超越したのが中国共産党の存在なのである。国家の憲法や法律を超越したのが共産党の「人治」である。中国共産党が法なのである。人民を弾圧し、海外に至っては、武力、情報工作、プロパガンダの繰り返し、最近、中国共産党の実力・能力の虚像を見た国民や海外の経済界はドン引きしている。だから、中国に進出した企業は逃げ出しているのである。世界に工場と謳われた中国はもう、そこにはないのである。あるのは破産した廃墟と砂上の楼閣だけである。今回はそのような報道記事を紹介する。

     皇紀2683年9月15日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国】「口約束で信じられない」地方でも不動産企業が経営ピンチ 建設ストップのトラブル相次ぐ

TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー •4 時間
不動産不況が続く中国では、大手だけでなく、地方の不動産会社も経営が危ぶまれています。
11日夜、中国東部の山東省・済南市で撮影されたという映像。平日の夜にもかかわらず大勢の人が地元の不動産会社の前に集まり、マンションが引き渡されないことに抗議警察官に抱えられて排除されるオーナーもいました
中国では工事の下請け会社や資材業者への支払いが滞って建設がストップする不動産が相次いでいます。中国メディアによりますと、“今年2月から7月の間に3回以上支払いが滞った不動産会社は済南市だけで39社に上る”といいます。
中国では不動産大手「碧桂園」の6月末時点の負債総額がおよそ27兆円に上るなど不動産会社の経営危機が相次いでいますが、地方にも苦境が広がっている格好です。
中国経済の専門家は「住宅ローンの緩和など政府が『助け舟』を出したため、北京や上海で一時的に販売が増えた一方で、人口流出が続く都市は回復の動きについていけないかもしれない」と明暗が分かれる可能性を示唆しています。

マスク氏「台湾は中国の不可欠な一部」、売り物でないと台湾反発

Reuters によるストーリー •2 時間
[台北 14日 ロイター] - 米テスラの最高経営責任者(CEO)、イーロン・マスク氏が、台湾は中国の不可欠な部分と発言したことに対し、台湾外相が台湾は「売り物」でないと反発した。
問題となったのは、今週ユーチューブで公開されたロサンゼルスでの会合での発言。
マスク氏は「彼ら(北京)の政策は、台湾を中国と統一させることだ。彼らの立場からすると、台湾は(米国の)ハワイのようなもので中国の不可欠な部分なのだろう」などと述べた。
これに対し、台湾の呉釗燮(ジョセフ・ウー)外交部長は、X(旧ツイッター)がフェイスブックなどとともに中国で禁止されていることを踏まえ、マスク氏が中国政府にXの解禁を要請できるよう期待すると13日夜にXに投稿し「おそらく、彼は禁止が良い政策だと考えているのだろう」とコメントした。「よく聞きなさい。台湾は中国の一部ではないし、売り物でもない」と述べた。
マスク氏の発言が台湾の反発を買うのはこれが初めてではない。昨年10月には、中台間の緊張は台湾が統治権を譲ることで解決できるとの見解を示し、台湾が猛反発していた

中国、EV補助金調査巡り欧州連合を批判-自国企業守ると主張

Bloomberg News によるストーリー •17 分

(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)が中国の電気自動車(EV)に関する補助金の調査を始め、中国が反発している。中国商務省は「強い懸念と不満」を示す声明を発表した。
  EUの行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長は13日、「巨額の国家補助金によって価格が人為的に低く抑えられており、われわれの市場をゆがめている」と欧州議会で述べ、調査の開始を発表。「EU域内に起因するこうしたゆがみをわれわれが受け入れることはない。域外によるゆがみも同様だ」と指摘した。
  事情に詳しい関係者によれば、調査は最長9カ月を要する可能性があり、米国が中国のEVにすでに課している27.5%水準に近い関税率が適用され得るという
  中国商務省はウェブサイトに14日掲載した声明で、EUの動きは世界の自動車産業に深刻な混乱をもたらし、中国とEUの関係に悪影響を及ぼすと主張。
  声明によれば、中国はEUに対しEV産業のために公平で差別のない予測可能な市場環境を生み出すため対話を行うよう求めるとともに、EUによる今後の行動を注視し、中国企業の権利と利益を断固として守るという。

China Clean-Car Sales to Europe Surging | Number of new energy vehicles exported to Europe© Source: China Passenger Car Association
  中国全国乗用車市場情報連合会(乗連会)の崔東樹秘書長は、「中国の新エネルギー車(NEV)輸出が好調なのは、国家から多額の補助金を受けているからではなく、自国の産業チェーンが持つ競争力が高いからだ」と反論。「EUは中国EU産業の発展を客観的に見るべきであり、恣意(しい)的に一方的な経済・貿易手段を用いて」成長を妨げるべきではないとコメントした。
  中国共産党系の新聞、環球時報は論評で、欧州は明らかに「中国との競争を恐れているためゆっくりと電動化に向かう欧州の自動車メーカーを保護する傘として、貿易保護主義を求めようとしている。EUによって不公正な措置が取られた場合、中国には自国企業の法的利益を守る対抗措置として行使し得るさまざな手段がある」と論じた。
  14日の香港株式市場では、中国の大手EVメーカーが売られた。著名投資家ウォーレン・バフェット氏の米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイが出資していることで知られる比亜迪(BYD)は一時3.8%下げた。蔚来汽車(NIO)も安い。

原題:China Criticizes Europe EV Probe as Paper Warns of Retaliation、China Urges EU to Create Fair Environment for EV Industry:Mofcom (抜粋)
--取材協力:Chunying Zhang、Jinshan Hong.
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©2023 Bloomberg L.P.

処理水"猛反発”中国は今…放出から3週間 姿消した“迷惑電話”動画 一方で「核汚染水」批判報道続く

日テレNEWS によるストーリー •3 時間

8月24日から始まった東京電力・福島第一原発の処理水の海への放出をめぐり、中国は政府やメディアを挙げて「核汚染水」と非難。これに呼応して日本の省庁や店舗などへの迷惑電話や、SNS上でデマの投稿が横行した。あれから3週間、自ら火をつけた批判キャンペーンは逆に、中国国内にもじわじわと負の影響を及ぼしつつある。
(NNN中国総局 森葉月)
■中国メディアの報道に呼応し…依然、市民から“怒りの声”
9月11日、東京電力が8月24日から始めた第1陣の処理水放出を終えたと発表すると、中国メディアも即座にこれを報じた。記事では、放出の間に行われた一連のモニタリングで問題のある値は一切出てなかったことには触れず、依然として「核汚染水」という用語を使っている
こうした記事に対し、中国国内では批判のコメントであふれた。「世界から日本はなくなってもいいが、海はなくなってはいけない」「一生、日本を許さない」「あと30年も続くのか…」「断固として日本を排除し、日本製品を排除する。日本産の食品すべてを輸入禁止にしてほしい」…。
■放出前から始まった“対抗措置”  人気の「おまかせ」にも影響
中国は、2011年の東日本大震災以降、福島県や東京都など10都県からの全ての食品の輸入を停止していた。しかし、北京の日本料理店からは処理水の海洋放出が始まる1か月以上前から「北海道のホタテに四国のタイも…なぜか税関検査が通らない」と嘆きの声が聞こえてきた。
実は中国は対抗措置の一環として、水面下で日本全国の水産物の放射線検査を実施し、税関検査に時間を要していたのだ。
近年、中国では、日本料理の「おまかせ」コースが人気を博している。北海道のホタテ、青森・大間のマグロを頰張る写真がSNSに投稿され、日本円で一人あたり4万円の値段設定もお構いなしの人気ぶり。日本の海鮮は「美味・安心・安全」が代名詞だった。
しかし、この日本の海鮮が一気に逆風にさらされることになった。7月、日本から輸入したホタテは、前月に比べ97%も減少した。日本の水産物を輸入する業者は肩を落とした。「手元に届くまでに通常の5倍以上、日数がかかり、注文していた300の魚のうち、販売できる状態だったのはわずか10点。損失は4000万円以上だ」
影響は魚類だけに留まらず、処理水の放出前から中国の市場では“日本外し”が加速した。納豆のたれには「かつおエキス」、アイスクリームには「海洋深層水」が入っていると判明すれば、その時点で税関でストップの判断となり、結局、廃棄処分になってしまったという。
■焦り!?…危険性あおるキャンペーン報道で“孤立回避”に躍起
IAEA(国際原子力機関)は「ALPS処理水は、科学的根拠に基づき安全基準を満たしている」と評価。さらに隣国・韓国の尹錫悦大統領も理解を示したことなどから、気づけば中国だけが突出して批判している構図になっていた。
しかし中国は国営メディアを通じて世界各国が批判しているかのような演出に躍起になった。中でも印象的だったのは、日本から遠く離れたペルーの漁師の声を紹介し、「南米でも放出に反対の声が上がっている」とアピールした動画を放送した、スタジオのキャスターが「“核汚染水”の放出方法をめぐり、日本の世論調査で岸田内閣の支持率が底をついた」と報道した点だ。
また海洋放出が始まった8月24日前後から、中国のSNSではある動画が話題になった。中国の清華大学の研究者らが調査した「核汚染水が240日後に中国沿岸部に押し寄せる」とする研究データだ。
北京の海鮮市場で牡蠣を売る男性でさえ放出翌日にはこの“研究データ”の数字を知っていた。男性は「200数日で中国に到達するなら、商売はもうおしまいだ」と怒りに声を震わせた。中国の官製メディアを通じた宣伝の結果、14億人もの人々が猛スピードで“危険な印象”をすり込まれていく…。私はそら恐ろしさを覚えた。
一方で「処理水を心配する必要はない」といった冷静な意見は、SNS上ですぐに削除処理水の安全性を科学的に説明しようとする声も検閲の対象になっているとみられる。当局の情報操作は徹底していた

■科学的根拠のない嫌がらせが横行…迷惑電話に抗議動画 習近平政権も黙認か
「モシモシ!」。片言の日本語で始まる「+86発信」の迷惑電話は、処理水放出の直後から日本全国で確認された。しかし実は、中国に滞在する日本人なども同様の仕打ちにさらされていた。中国にある日本料理店に「日本の食材を一切使うな」と嫌がらせ電話があったかと思えば、寝具を扱う日系企業にも「日本産の材料を使っているのか」など問い合わせがあったという。
さらにSNS上には「殺すぞ! 爆破するぞ!」などと日本各地へ抗議電話をしたとする動画までが多数、投稿された。検閲の厳しい中国でここまで投稿が広がるということは、習近平政権も黙認しているということになる。
中国では今、若者の失業率が過去最悪となっているほか、SNSでの発信が統制され、自由も制限されるなど、国内のさまざまな不満がくすぶっている。こうした国民の鬱憤(うっぷん)を晴らす場として“日本の処理水放出”を利用したようにも見える。
■相次ぐ“誤算” 「中国経済に裏目に出るとは…」
「8月はジェットコースターに乗った気分だった…」、日本への団体旅行を取り扱う担当者が口にした言葉が、とても印象的だった。8月中旬、コロナ禍で制限していた日本への団体旅行が3年半ぶりに突如、解禁になった。かと思えば、2週間後には処理水放出の影響で日本への航空券の予約はキャンセルが目立つようになる。解禁になったばかりの団体ツアーも、参加人数が足らずにプラン自体が打ち切りに。訪日客の減少は、中国の航空会社や旅行会社に大打撃となる。担当者は「経済の落ち込みを食い止めるために団体旅行を解禁したものの、報道の影響力が想像以上だったのではないか。中途半端に解禁しないでほしかった」と肩を落としていた。
また、中国人の漁師や水産業者へのダメージも大きい。日本の水産物を拒絶するだけでなく、海流に乗り中国産の魚にも影響が出ることを心配した国民の“魚離れ”が加速してしまい、中国各地で魚が大量に売れ残っているという。
当初は処理水への「猛反発」や「キャンペーン報道」で日本にのみダメージを与えるつもりが、結局、自国の水産業にも火の手が及んでしまっている。
■悪質なデマが拡散 自制の呼びかけも“イヤミ節”
中国のSNS上では、処理水放出とは関係のない映像を使ったフェイク投稿や、あたかも関係あるかのように結びつけたデマ情報が次々と拡散された。
「処理水の影響で、日本各地の魚や動物が突然変異した」「放出以降、日本各地で地震が頻発」、さらには『東京のスーパーで刺し身を値引きしたが売れ残る。日本人も海鮮を食べない」といった記事も。しかしその動画を見ると、閉店時間が近づいた際に「値引き」が始まったばかりのタイミングを切り取っているようにも見える。
■迷惑電話やSNS上のデマ いまさら取り締まれば…“弱腰”印象を懸念?
8月31日、東京電力が採取した海水で初めてトリチウムが10ベクレル検出された際、中国共産党系のメディアは「わずか数日で大幅に濃度があがった」と強調した。一方で、それが環境基準値の6000分の1だったことは伝えていない。
さらに日本の水産庁が採取した魚に異常がみられなかったことも「サンプルの魚はたった2匹だった」と対象が少なすぎると強調する表現で伝えられた。これを受けてSNS上では「この2匹を探すのに日本政府は苦労しただろう」と揶揄(やゆ)する声も相次いだ。
ただ、迷惑電話などの行為が大規模な抗議デモなどへと発展していくことを警戒したのだろうか。中国当局も少し、歯止めをかけ始めた。中国共産党系のメディアは8月下旬の社説で自制を促す文章を掲載した。ただしその理由は「日本はいじめの被害者の形を作って、同情を獲得している」という独特なもの…。日本を罰しようという行為が、かえって日本を利することになるからやめよう――という理屈だ。記事では「極端な感情をあおる発言には気を配る必要がある」とも書かれていたが、中国国内の人々の極端な怒りを中国メディアの報道が散々あおってきた現状を見た後だったので、複雑な気分になった。
■放出には反対も…“ばかげた国民と一緒にしないで” 冷静な声も
処理水の放出自体には、依然、およそ8割の国民が反対している印象だ。「安全なら日本人が処理水を飲んでみろ」など批判的な声もあれば、海洋汚染を懸念してスーパーマーケットで食塩が品薄になった際は、取材中、男性客から「日本人のせいだ」と怒鳴られたことがあった。
しかし、何よりも不気味だったのはこの間、当局がわたしたちを先回りする形で取材妨害の手を打ってきたことだ。取材先にインタビューの約束をした後、私たちが実際に訪ねようとすると、その直前に当局者とみられる人物から取材先に圧力がかかるようになったのだ。「日本メディアから何の取材を受ける予定なのか」「あなたの店が入る建物の管理会社の許可がなければ取材を受けてはいけない」といった連絡が取材相手に入ったという。取材の約束は電話などで主に日本語で行っていたのだが、どのように中国当局が把握したのかわからない分、非常に不気味に感じた。当局は日本メディアによる処理水放出をめぐる報道にも神経をとがらせているようだ。
   ◇
中国の友人が処理水について、私にこう語った、「中国人には3つの“あん”がある」。
1つ目の“あん”は「暗示」。メディア報道によって処理水が危険だと暗示にかけられているのかもしれない…と内心分かっている国民もいるという。
2つ目は「安全」。日本人が日本各地でおいしそうに刺し身を食べているから安全なはず…と、どこかで理解しているという。
3つめは「安心」。科学的に問題ないことは頭では理解できても、なんとなく不安な気分は残る。「安全」と「安心」は違うんだとも話していた。
中国の国民に根強く浸透した、処理水への不安。改めて痛感したのは、メディアの影響力の大きさだ。
香港メディアは「日本の国旗が爆売れ! 踏みつけ動画も相次ぐ」といったタイトルとともに、日本国旗を足ふきマットなどに利用する中国国民が増え、販売量が急増したと報道した。しかし実際は中国国内で騒ぎになっておらず、反日運動を助長するかのような動きも一切見られない、事実とは異なるニュースだ。
「岸田首相が食中毒で入院しているんだろう?」と私たちに大真面目に聞いてくる水産業者もいる。そんな彼らの表情を見て、「報じ方1つで、デマもまるで“真実”のように伝わってしまう」と恐怖すら感じた。
多くの中国の人々は連日、洪水のように繰り返された“アンチ処理水報道”によって、漠然とした不安は長く残ってしまう可能性がある。ただ、迷惑電話や不買運動まで支持する人たちは周囲にはいない。街で聞いても「あのような行為は恥ずかしい」と冷ややかな声が多く聞かれた
今も日本料理や日本の商品を好む中国人は多い。せめて処理水の海洋モニタリングの結果などは正しく伝わるようになり、中国の人々が冷静に事象を見ることができるようになる時期が早く来ればと切に願っている。

中国の日本産水産物輸入禁止措置に対し 宮下農水大臣「対策の実施に全力を尽くす」

TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー •2 時間

中国の日本産水産物輸入禁止措置に対し 宮下農水大臣「対策の実施に全力を尽くす」© TBS NEWS DIG_Microsoft
初入閣した宮下一郎農林水産大臣は就任会見で、福島第一原発の処理水放出に反対する中国が日本産水産物の輸入を禁止していることを踏まえて、「対策の実施に全力を尽くす」との考えを示しました。
東京電力・福島第一原発にたまる処理水の海洋放出をめぐっては、先月から、放出に反対する中国が日本の水産物の輸入を全面的に禁止していて、国内の水産事業者への影響が懸念されています。


宮下一郎 農林水産大臣
「科学的根拠に基づかない輸入規制に負けず、漁業者に寄り添いながら対策の実施に全力を尽くして参る」
宮下農林水産大臣は、きょうの就任会見でこのように述べ、「水産業者を断固として守る」と強調しました。
中国政府は7月から日本産水産物に放射性物質の全面的な検査を始めており、この影響で、7月の中国向けの水産物の輸出額は去年に比べ23%少ない77億円と大幅に減少しています。

「処理水放出問題」で国際世論と戦略を読み違えた中国政府の悪手…日本側の勝利はもはや時間の問題となりつつある

林 智裕 によるストーリー •10 時間


国際世論と戦略を読み違えた中国政府

中国国内では日本人学校の敷地に投石や卵投げ込まれる事件が相次ぎ、中国のSNS「微博(ウェイボー)」では、日本の化粧品の利用を避けるべきだという投稿も見られた。

参照)処理水放出【国内外動き】投石相次ぎ中国の日本人学校警備強化 (2023年8月27日 NHK)

また、日本各地には中国から「バカヤロウ」「カク」「ショリスイ」などと片言の日本語でまくし立てたり怒鳴り込むなどの嫌がらせ電話が殺到した。東京都庁にも8月31日までに3万4000件余りがかかってきたという。

飲食店には1000件超...福島県内で中国発の迷惑電話 処理水抗議か(2023年08月27日 福島民友ニュース)

処理水放出以降 都庁に3万件超の中国からとみられる迷惑電話(2023年9月1日 NHK)

その一方で、国内では事前に懸念されていた風評被害がほとんど起こらなかった

当事者は海洋放出による新たな風評被害や偏見差別を強く懸念しており、放出前の6月に福島民報社と福島テレビ共同で行われた第41回福島県民世論調査では、海洋放出で「風評が起きる」と考えていた割合は87%と非常に大きかったにもかかわらずだ。

参照)原発処理水の海洋放出で「風評起きる」は87% 懸念払拭されず 福島県民世論調査(2023年6月19日 福島民報)

福島県産の海産物は放出前と変わらず高値で取引され、消費者からも「気にしていない」との声が目立つ。実際に売上も落ちていない。むしろ処理水放出に合わせて売上が伸びたケースさえ見られ、福島県いわき市では「ふるさと納税」の1日当たりの寄付の件数は放出決定前の8倍近くに上った。

特に人気の返礼品は近海から水揚げされた「常磐(じょうばん)もの」ブランドの海産物だという。

処理水の海洋放出から一週間 ”常磐もの”は放出前と変わらず高値で取り引き<福島・いわき市>(2023年8月31日 福島テレビ)

原発処理水の放出後も「そんなの気にしてない」訪日観光客に海産物人気 築地場外市場賑わう(2023年8月28日 スポニチANEX)

都内の鮮魚店でふくしまフェア始まる(2023年9月8日 KFB福島放送)

福島 いわき市 処理水放出決定後「ふるさと納税」申し込み急増(2023年9月5日 NHK)

福島の地元紙、福島民友新聞社が処理水放出から1週間以上が経過した9月4日~8日に県内の59市町村に取材し影響を調査した結果、中国からとみられる嫌がらせ電話はあったものの、現時点で大半の57市町村で処理水による風評被害などの影響は確認されていないと報じた。

参照)処理水放出、福島県57市町村「影響なし」 嫌がらせ電話は除く(2023年9月9日 福島民友ニュース)

この背景には、国内における処理水の科学的性質と安全性に対する理解浸透がある。世論は海洋放出前から賛成・容認が反対を大きく上回り、放出後は更に鮮明になった。

9月3日に社会調査研究センターが行ったスマートフォンを対象とする調査方式「dサーベイ」による全国世論調査によれば、海洋放出を容認したのは「やむをえない」「妥当」を合わせて83%と大多数を占めた一方、「放出はやめるべきだ」は僅か10%に留まる。

「容認」と答えた割合は各年代に大きな差はみられなかったが、若い世代ほど海洋放出を「妥当」として積極的に肯定する割合は高く、18~29歳と30代では4割、40、50代では3割、60歳以上では2割となっている(2023年9月3日実施 全国世論調査の分析と結果 社会調査研究センター)。

参照)処理水の海洋放出 83%「容認」 世論調査・社会調査研究センター(2023年9月4日 毎日新聞)

対照的に、中国国内では政府が主導した「核汚染水」というデマの喧伝によって消費者の海鮮離れが起こり、自らの首を絞めることになった。さらに、輸出先を失った日本の水産業は中国依存からの脱却へと舵を切り始めている

中国の消費者「海鮮離れ」 習政権の処理水批判で(2023年8月30日 産経新聞)

ホタテなど水産業、200億円規模の追加支援 中国禁輸で(2023年9月2日 日本経済新聞)

前述したように、中国の無理筋な主張は国際社会から全く相手にされていない。日本国内の世論工作にも失敗した挙句、中国の漁業及び関連業にはダメージを与えてしまったのだ。

その一方で、処理水放出開始翌日の8月25日、香港にある日本の寿司チェーン「スシロー」の店舗前には、開店を待つ客の行列まで見られた。

参照)処理水放出しても和食ファン絶えず、香港の「スシロー」前に行列(8月28日 ロイター)

中国政府の思惑は、決して成功したとは言えないだろう。現代中国政治を専門とする小嶋華津子・慶応大学は朝日新聞の取材に対し、「中国は日本の世論を見誤り、日本を揺さぶれると思ったのではないか」と分析する。

参照)中国、日本の世論を見誤ったか 典型的な「わな」に 専門家の見方(2023年9月6日 朝日新聞)

その後9月9日にインドで開催されたG20サミットでは、中国は数日前あれほど強烈に非難していたはずの処理水への言及を止めてしまった。

参照)中国首相が処理水めぐり日本批判せず G20サミット(2023年9月10日 テレ朝news)

毅然とした反撃がもたらした勝利

これまで述べてきたように、処理水問題はさまざまな利害関係や工作が飛び交う外交・情報戦の様相を呈している。その上で、日本側の勝利は概ね時間の問題となりつつあると言えるだろう。

今回の結果をもたらした大きな要因は、主に2つ挙げられる。

1つ目は、従来の行政にしばしば見られた、単にパンフレットやホームページでアリバイ的な告知をするだけに類した「相手が自分から情報を取りに来てくれること、事実や正しい情報さえ提示すれば当然理解してもらえるかのような楽観的かつ受身的な前提に基づく『正確な情報の発信』」に留まらず、こちらから積極的に働きかける周到な説得と根回しを繰り返したことだ。

X(旧ツイッター)で21万人以上のフォロワーを持つ編集者「たられば」氏(@tarareba722)は8月26日、次のように指摘した

〈 今回あまり報じられていない論点として、日本政府(官邸、外務省、経産省、農水省など)は国際社会(特にいわゆる自由主義社会側)からの支持獲得にすげえがんばって固い準備をしてきた、という話がある(中略)

少なくとも今年5月の広島G7サミットできっちり議題に入れて「首脳共同宣言」に処理水放出プロセスへの支持を入れ込ませ、その流れから8/3〜のEU食品輸入規制全廃を勝ち取って、岸田首相訪米から日米韓首脳会談で地固めして(直接の議題には上がらなかったそうだけど)、放出直前(8/16)には米ブリンケン国務長官にも「海洋放出の計画は安全で満足している」と述べさせています 〉

その上で、〈いずれにせよ、日本産食品の輸入規制に関しては、世界標準ではおおむね撤廃の方向で進んでおり(政府一体となった粘り強い交渉の成果)、いまだ処理水放出に反対している国は、環境問題や食品衛生管理上の懸念というよりも、明らかにもうひとつ上のレイヤーでの政治問題である、と、日本国内向けにもうちょっと情報発信したほうがいいと思います〉と発信して、590万回以上の表示と1.2万リポスト、464件の引用、2.5万件のいいねの大きな反響を呼んでいる。

事実、2022年9月の国連総会では処理水放出の計画に「最も深刻な懸念」を表明していたミクロネシアのパニュエロ大統領が、2023年2月2日に出された岸田首相との共同声明で「ミクロネシア連邦が以前に国連総会で述べたほどの恐れや懸念はもはや有していない」として姿勢を転換させた。日本側からの積極的な働きかけがなければ、これは決して実現しなかったはずだ。

参照)原発処理水放出、島嶼国に理解じわり 中露韓は反発強く(2023年3月11日 産経新聞)

そして2つ目の要因は、「情報攻撃に対していち早く、直接言及し、毅然と反撃した」ことだろう。

デマやフェイクニュースには迅速かつ強力な反撃を加え、「割に合わない」状況まで徹底的に追い込むことが最も有効策であることは、拙著『「正しさ」の商人』で数々の先行研究と実例を基に繰り返し訴えてきた知見でもある。

特に外務省は、中国政府などの偽情報に前例がないほど真っ向から強く反論し、SNS上で広がったデマも具体的に取り上げながら何度も否定し続ける「攻め」の広報に転じた。

これまでメキシコ駐箚特命全権大使やブラジル駐箚特命全権大使などを歴任してきた山田彰氏(@akirayamada)は、X(旧ツイッター)上で力強く語った。

〈 風評加害者(著者注釈※何らかの利益を目的として故意に風評を広める勢力)には、科学的根拠を突き付けて厳しく反論していくこと、本来はそれは行政の役割だったはずだが、これまではその対応が十分ではなかった、という反省がある。しかし、今はしっかり反論し、正しい情報を発信する攻めの広報が行われている。

風評加害者の信用は落ち、国内世論は明らかに変わりつつある。中国の嫌がらせを見て、処理水を汚染水呼ばわりする輩も同じ穴の狢と理解するようになった面もあろう。常磐の水産物を食べて応援したいという日本人がサイレントかもしれないが圧倒的なマジョリティだ 〉

「処理水放出問題」で国際世論と戦略を読み違えた中国政府の悪手…日本側の勝利はもはや時間の問題となりつつある© 現代ビジネス

山田氏は昨年、外務省内の複数の後輩に拙著『「正しさ」の商人』を薦めてくださっていたという。この場を借りて重ねて御礼申し上げたい。

外務省の成功事例は、他の省庁の動きも活発化させた。

9月8日には総務省もX(旧ツイッター)上で〈最近、ALPS処理水に関する偽情報がインターネット上で発信されております。インターネット上の偽・誤情報にはご注意ください。総務省で取り組んでいる以下もご覧ください〉と発信し、多くの反響を獲得している。

一連の動きに対し、震災直後から福島復興への尽力を続けてきた自民党の細野豪志元環境相(@hosono_54)は次のように評価した。

〈 総務省も処理水放出の情報戦に参入。私が確認しているだけでも、首相官邸、経産省、復興庁、外務省、環境省、農水省、総務省に加えて自衛隊。かつてない政府をあげての取り組みだ 〉

「処理水放出問題」で国際世論と戦略を読み違えた中国政府の悪手…日本側の勝利はもはや時間の問題となりつつある© 現代ビジネス

このように、政府が一丸となって「情報戦」に果敢に立ち向かったことこそ、今回の勝利をもたらした最大の要因と言えるだろう。

ただし、一部には今も課題が残る。

著者は被災地への数々の差別的言説の実例と共に「ALPS処理水や福島の除染処理土への非科学的な『汚染』呼ばわりが人権侵害やヘイトスピーチに該当するか否か」を法務省人権擁護局に問い合わせた。

もし人権擁護局が該当すると認めた場合、「汚染」呼ばわりのデマやフェイクニュースに対し科学のみならず人権擁護と反差別の観点からの反撃も容易になるはずだった。

ところが、得られた回答は次のような内容に留まった。

「個別具体的な言動が人権侵害やヘイトスピーチに当たるかどうかについては、対象となる言動の文言のみならず、当該言動の背景、前後の文脈、趣旨等の諸事情を総合的に考慮して判断されることとなるため、法務省(法務局)の立場としてお答えすることは、差し控えさせていただきます。

法務省の人権擁護機関では、令和5年度の啓発活動強調事項として『震災等の災害に起因する偏見や差別をなくそう』を掲げ、法務省ホームページでの人権啓発動画の掲載等の各種啓発活動を実施しています。

また、福島地方法務局においては、令和3年6月に東日本大震災に起因する偏見や差別の防止に焦点を当てた人権啓発動画を作成し、法務省YouTube チャンネルで配信しているとともに、当局のホームページのトップ画面においても、人権啓発メッセージを掲載しています」

加害者らが自ら法務局HPを検索して訪れ、動画を閲覧し、反省し、加害行為を止めるのか。

今、目の前で広まっている「汚染水が海洋放出される」との流言飛語は、ちょうど100年前の関東大震災時で広まった「〇〇人が井戸に毒を入れた」の再現とさえ言えよう。

法務省人権擁護局は、X(旧ツイッター)で(特定の民族や外国人に対する)「ヘイトスピーチ許さない」との標語を強く繰り返し掲げて「〇〇人は出ていけ! 祖国に帰れ! それ、ヘイトスピーチです」とまで明言しているにもかかわらず、「『〇〇人が井戸に毒を入れた』には言動の背景、前後の文脈、趣旨等の諸事情を総合的に考慮して判断するべきだった」とでも言うのだろうか。

「処理水放出問題」で国際世論と戦略を読み違えた中国政府の悪手…日本側の勝利はもはや時間の問題となりつつある© 現代ビジネス

当事者の多くは処理水の海洋放出によって「風評」のみならず「土地や人への偏見差別」が起こることも強く懸念していた。専門家が矢面に立たなければ、代わりに立たされるのは当事者だ。前述したように、他の多くの省庁は情報戦に毅然と対峙して戦っている。

法務省人権擁護局も被災地への人権侵害から目を背けず、もっと積極的に対峙し責務を全うして頂きたい。

「ファクトチェック」の必要性が叫ばれる中、なぜ東電原発事故関連の「フェイクニュース」は野放しのままなのか?© 現代ビジネス


豪NAB、香港支店閉鎖へ シンガポールなど選好の見方

Reuters によるストーリー •2 時間

豪NAB、香港支店閉鎖へ© Thomson Reuters

[14日 ロイター] - 豪銀大手ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は14日、香港支店を閉鎖すると発表した。アジア顧客の対応ではシンガポール、東京、上海の拠点が望ましいとの見解を示した。

約50の職務に影響が出る見通しとしながら、閉鎖の影響を確認するのは時期尚早だとした。

同業ウエストパック銀行も6月に香港での業務を終了した。

NABは、支店閉鎖には約1年半かかる見込みとしている。

KCMトレードのチーフマーケットアナリスト、ティム・ウォータラー氏は「海外企業が香港の事業環境を以前のように好ましく思っていないのだろう」と指摘。シンガポールなど他の都市が選好されている可能性があるとの見方を示した。

NABの株価は朝方の取引で一時2週間ぶり高値に上昇。0322GMT(日本時間午後0時22分)現在、0.8%高で取引されている。


参考文献・参考資料

【中国】「口約束で信じられない」地方でも不動産企業が経営ピンチ 建設ストップのトラブル相次ぐ (msn.com)

処理水"猛反発”中国は今…放出から3週間 姿消した“迷惑電話”動画 一方で「核汚染水」批判報道続く (msn.com)

マスク氏「台湾は中国の不可欠な一部」、売り物でないと台湾反発 (msn.com)

中国、EV補助金調査巡り欧州連合を批判-自国企業守ると主張 (msn.com)

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「処理水放出問題」で国際世論と戦略を読み違えた中国政府の悪手…日本側の勝利はもはや時間の問題となりつつある (msn.com)

豪NAB、香港支店閉鎖へ シンガポールなど選好の見方 (msn.com)

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