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政治講座ⅴ1916「外交と事件から垣間見える中国を敵視する北朝鮮」

 北朝鮮の核開発とミサイル発射実験は表向きは米韓軍事同盟に反発しているように見せているが、米韓の脅威より中国の朝鮮半島への侵略を懸念しているのである。その証にロシアとの新条約「包括的戦略パートナーシップ条約」がそれである。朝鮮戦争のときに中国共産党の解放軍が軍事支援と称して朝鮮半島に侵攻してきたが、それは朝鮮半島を中国共産党が支配する目的の侵略を見抜いた金日成は解放軍の指導者を粛清して主体性を保った。その息子の金正日はやはり侵略の意図を持つ中国を信用せずに中国の言うことは聞かなかった。金正恩のときには中国に肩入れした後見人の叔父の張成沢を処刑し、中国の庇護下にいた異母兄弟の金正男を暗殺したのである。

今回は中国と北朝鮮の報道記事と事件を紹介する。

     皇紀2684年8月31日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

さらに「息苦しくなった」北朝鮮住民…中国のドラマ・映画も「禁止」措置

wowKorea によるストーリー

さらに「息苦しくなった」北朝鮮住民…中国のドラマ・映画も「禁止」措置© wowKorea

北朝鮮当局は最近、中国の映画やドラマを「不純録画物」に指定したことがわかった。

28日、米国ラジオ放送局“自由アジア放送(RFA)”によると、北朝鮮は5月末~6月初めに指定した不純録画物のリストに、韓国の歌・映画・ドラマだけでなく、中国・インド・ロシアの映画とドラマも加えた。

視聴禁止リストには、香港・中国で製作された映画やドラマがあげられていた。これらは、北朝鮮で視聴しない人がほとんどいないほど人気の作品である。

消息筋は「韓国の映画ではないため大丈夫だと思っていた中国の映画やドラマが “不純録画物”に指定されたことには驚いた」とし「新型コロナウイルス感染症事態がおさまってからだいぶ経つが、いまだ中国国境の税関が完全に開いていないことをみると、中国との関係がよくないのではないか」と語った。

また「中国の歴史観に関する講演録画物を聞いたり、流布してはならない」という北朝鮮当局の指示も下されていて、この指示はキム・ジョンウン(金正恩)総書記が直接下したものだという。

消息筋は「数日前に軍の関係者たちの対話を通じて『中国が朝鮮の歴史を歪曲(わいきょく)している』という内容を初めて聞いた」とし「中国は高句麗を『中国の少数民族の地方政権だ』と主張するなど、歴史を歪曲する東北工程の動きを続けている。

ロシア・北朝鮮「軍事同盟」が復活…条約全文、戦争発生時に軍事介入義務付け「すべての手段提供」

2024/06/20 14:27

  • 【ソウル=小池和樹】北朝鮮の朝鮮中央通信は20日、ロシアのプーチン大統領と 金正恩キムジョンウン 朝鮮労働党総書記が19日に締結した新条約「包括的戦略パートナーシップ条約」の全文を公表した。露朝のいずれかが武力侵攻を受ければ、遅滞なく軍事的援助を提供することが明記された。冷戦時代の軍事同盟の復活を意味する。

条約は計23条からなり、このうち軍事に直接関わるものは2条あった。第4条は、露朝いずれかが武力侵攻を受け、戦争状態に陥った場合、「遅滞なく、保有するあらゆる手段で軍事的、その他の援助を提供する」とした。戦争状態になれば直ちに軍事介入することを義務づけた。

 1961年に旧ソ連と北朝鮮が結んだ、軍事同盟に該当する「友好協力相互援助条約」にほぼ同じ条文があった。同条約は、旧ソ連崩壊後の96年に失効しており、28年ぶりに、有事の軍事支援義務が復活することになる。東アジアなどの安全保障環境に重大な影響を及ぼすことになる。
第3条では、「武力侵略の直接的な脅威」が生じれば、脅威を除去するため直ちに露朝の交渉ルートを稼働させることを定めた。

 条約の前文では、「覇権主義的で一極的な世界秩序を押しつけようとする策動から国際正義を守る」ことを目標として確認した。米国への対抗を念頭に置いたとみられる。貿易や経済、科学技術などの分野での協力も盛り込まれた。条約は両国での批准を経て発効し、効力は「無期限」とされた。

 プーチン氏は19日、24年ぶりに北朝鮮を訪問し、正恩氏と首脳会談を行った。会談後の共同記者発表で、新条約は「一方が第三者の侵略を受けた場合に、相互に支援する条項を含む」と説明していた。正恩氏は「両国関係を同盟という新たな高い水準に引き上げる。両国関係の歴史上、最も強力な条約が誕生した」と強調していた。

北朝鮮、張成沢氏を処刑 「国家転覆の陰謀行為」

2013年12月13日 11:16

9日、北朝鮮の朝鮮中央テレビが放映した、8日の党政治局拡大会議の場から連行される張成沢氏=聯合共同

【ソウル=加藤宏一】北朝鮮の朝鮮中央通信は13日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔父で、失脚した張成沢(チャン・ソンテク)氏が処刑されたと伝えた。「国家転覆の陰謀行為」を働いたとして、特別軍事裁判で12日、張氏に死刑判決を下して即日執行した。張氏処刑で金第1書記の「1人独裁体制」がさらに固まる見通しの一方で、国家転覆の未遂が事実なら北朝鮮の体制が不安定化している可能性もあり、朝鮮半島情勢は不透明感が増してきた。

同通信は、張氏が「金第1書記の絶対的権威に挑戦した」と指摘。「一切の犯行は審議過程で100%立証され、被疑者によって全面的に認められた」と強調した。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」電子版は、国家転覆の陰謀行為で処刑された張成沢氏の写真を掲載した=共同

北朝鮮で最高指導者の親族が失脚するのはこれまでもあったが、処刑されるのは極めて異例だ。張氏が2人の軍服姿の要員に抱えられ、軍事裁判所で手錠をかけられてうなだれる写真なども同時に配信された。韓国国家情報院は13日、国会に「張氏の処刑は銃殺刑のようだ」と報告した。

韓国政府は13日、金章洙(キム・ジャンス)国家安保室長が主催する安保政策調整会議を緊急招集し、対応を協議した。統一省報道官は声明を発表し「一連の事態を深く憂慮している。あらゆる可能性に備えて万全を尽くす」とした。

北朝鮮は8日、張氏も出席した労働党中央委員会政治局拡大会議で、張氏のすべての職務を解き、党から除名する決定書を採択していた。

金正男暗殺の「実行犯」が、いよいよ語り始めた「真相」

2020.12.22
本当に「イタズラ」だと信じ込んでいたのか
乗京 真知 朝日新聞記者

「真相」は、忘れたころに、語られる。

世界を揺るがした暗殺事件の謎に切り込む映画「わたしは金正男を殺してないが、今年10月から日本各地の映画館で公開された。初めて公になる音声記録や文書を詰め込んだ本作の魅力は、その資料的な価値の高さだけにとどまらない。映像を見れば見るほど、実行犯に仕立てられた女性2人の転落劇が、他人事とは思えなくなってくるのだ。

事件直後意識を失っている様子


事件直前、空港の出発ホームを歩く金正男(右の丸)と、それを柱の陰から確認していたシティ・アイシャ(左の丸)

事件は2017年2月13日午前9時前、マレーシアのクアラルンプール国際空港で起きた。

出発ホールを歩く金正男の顔に、女性2人が猛毒VX入りの液体を塗りつけた。金正男は救命処置を受けたが、激しくけいれんして2時間後に死亡。地元警察は監視カメラの分析などから数日後に女性2人を逮捕したが、指示役の北朝鮮工作員たちは既に出国済みで逮捕できなかった。

スパイ罪での拘束は「当局のさじ加減」 中国で6年服役の鈴木氏訴え

2023年8月8日 20時35分

 中国でスパイ行為の疑いをかけられ、6年余りの服役を経て帰国した鈴木英司さんが8日、東京都千代田区日本記者クラブで会見した。7月に施行され取り締まり権限が強化された改正反スパイ法について「個人で捕まらないようにするのは大事だが限界がある」と述べ、日本の外交力を強める必要があると訴えた。

 鈴木さんは、1980年代から日中交流事業に関わり、200回以上中国を訪問日中青年交流協会を設立したり、北京の大学で客員教授を務めたりしたこともあった。

 しかし2016年7月、帰国する前に北京の空港で国家安全当局に拘束され、7カ月間、常時監視つきの個室に監禁された

 中国外務省当局者と北朝鮮情勢について会話したことを、日本政府関係者に伝えたと認定され、17年2月にスパイ罪で起訴。鈴木さんはスパイ行為自体を否認していたが、懲役6年の実刑判決を受けて服役し、昨年10月に帰国した。

 鈴木さんはこの日の講演で、当局者と話した内容は、北朝鮮の張成沢(チャンソンテク)・元国防委員会副委員長の処刑報道に関するもので、「すでに日本で報じられていた。自分がスパイをした自覚はない」と主張。摘発は「当局のさじ加減で、何が対象になるのかわからない」とした上で、日中関係が悪い時に日本人を拘束し、外交カードとして使われる可能性はある」と話した。

 また中国がスパイ行為に関する通報を国民に奨励していることについて、中国人従業員などと働く日本人駐在員を念頭に「いつ告発されるかわからない状況だ」と懸念を示した。

 こうした状況下では、会話に気をつけるといった個人の対策は、「小手先に過ぎず、根本的な解決にはならない」と指摘。捕まった後にどう対応するか「外務省などが考えないといけない」と訴えた。さらに、取り締まり権限を強める中国に対して、「言うことは言う、是々非々の議論ができるリーダー同士の対話が重要だ」と首脳レベルでの外交も強めるべきだとした。

【北朝鮮】金正恩が習近平を見限ったか 中国ドラマ・映画を突如「不純録画物」扱いで視聴禁止の謎

アサ芸biz の意見

【北朝鮮】金正恩が習近平を見限ったか 中国ドラマ・映画を突如「不純録画物」扱いで視聴禁止の謎© アサ芸biz

北朝鮮には、韓国の映像物流布者を死刑に処し、視聴者は最大懲役15年の刑を受ける、と規定した「反動思想文化排撃法」(2020年12月制定)という法律がある。そのため、ここ数年、韓国の図書や歌、写真などを閲覧、所持、さらにはそれを広めたとして、多くの国民が当局によって処罰されるという事案が続出。直近では今年7月、韓国の脱北者団体が飛ばした対北朝鮮チラシの中のUSBに入った韓国ドラマを閲覧したとの理由で、北朝鮮の中学生約30人に対し、大規模な公開処刑にが行われたと韓国のTV局「テレビ朝鮮」が報じ、世界に衝撃が走った。北朝鮮ウォッチャーの話。

「実は北朝鮮では6月にも、同様の理由で17歳前後の少年ら約30人に死刑と無期懲役を言い渡したと報じられています。ただ、これはあくまで韓国メディアが把握しているだけの事案。5月から始まった大規模風船攻撃で、おそらく処罰対象は、その数倍、いや数十倍に膨れ上がっている可能性もある。なかには、対北朝鮮団体が海に流した『コメ入りペットボトル』を拾い、それを炊いて食べたことがバレて即刻収容所送りになり労働教化刑を下された男性もいるのだとか。この法律には『南朝鮮語調や唱法を使えば2年の労働教化刑(懲役)に処する』との条項があり、『アパ(パパ)』『セム(先生)』と口走っただけで、2年間刑務所暮らしをしなければならないというんですからね、本当に恐ろしいかぎりです」

むろんこの法律制定の裏には、韓国の文化流入を防ぐ目的があるのだが、近年はインドなどの映像物も含まれるようになり、5月末には、これまで年締まり対象になっていなかった中国の映画・ドラマなどの録画物にも突如、この法律が適応されることになった、と28日付のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じ、波紋が広がっている。

RFAによれば、北朝鮮当局によって視聴禁止目録に加わったのは、中国の「梁山伯与祝英台」「男の魅力」ほか、「上海に来た男」「武芸戦」「刑事警察」などの人気作品。

「これらの映画やドラマのほとんどは、中国国内か香港で制作された作品で、以前は北朝鮮国内でも普通に鑑賞可能だったものばかりです。これらの作品が突如、韓国映画やドラマ同様『不純録画物』に指定されたことに、市民の間では動揺が広がっているようです」(同)

いったいなぜ、北朝鮮は突然、中国映像物締め出しすることになったのか。理由の一つには、「自国にはない、きらびやかな映像を見せることで市民に憧れ持たせ、脱北したいという気持ちを促すかもしれない危険を排除したいからでは」との専門家の声もあるが、

もう一つが、やはり昨年来のロシアとの蜜月ぶりにあるとする専門家もいます。これまで北朝鮮は中国というバックボーンがなければ国として成り立たなかった。ところがロシアとの関係が深まったことで、中国に100%依存しなくてもいいようになり、言えなかったものが言えるようになった。そんな現れの一つが今回の映像物締め出しなのでは、といった指摘もあるようです」(同)

さらに憶測として飛び交う情報の中には、金正恩総書記が、政治的求心力の低下が噂される習近平国家主席との間に距離を取り始めたのでは、という仰天説も浮上している。

「実は、習氏は8月19日に訪中したベトナムのトー・ラム共産党書記長との会談で、久々表舞台に登場したものの、7月30日からの20日間、一切公の場に全く姿を見せなかった。そのため国内では健康不安説が囁かれていました。というのも、習氏には以前から脳動脈瘤説があり、事実であれば悪化した場合、脳内出血で大変な事態に陥る可能性も否定できない。しかし、一説には多忙を極める習氏は頑なに手術を拒否、漢方薬のみの治療で凌いでいるというんです。ただ、近年はカメラの前で転びそうになったり、顔色が明らかにすぐれないことがあるのも事実で、さまざまな憶測が広がっているようです」(同)

そんな憶測が、正恩氏を「ポスト習近平」探しに動かしているというのだが、さすがにそれは飛躍し過ぎの感もある。ただ、これまで完全スルーだった中国の映像物を、所持すれば死刑という法律の対象にしたことの意味は大きいはず。真相は不明だが、ロシアとの蜜月で北朝鮮と中国との間に微妙な距離感が生まれていることだけは間違いなさそうだ

(灯倫太郎)

参考文献・参考資料

さらに「息苦しくなった」北朝鮮住民…中国のドラマ・映画も「禁止」措置 (msn.com)

ロシア・北朝鮮「軍事同盟」が復活…条約全文、戦争発生時に軍事介入義務付け「すべての手段提供」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

北朝鮮、張成沢氏を処刑 「国家転覆の陰謀行為」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

金正男暗殺の「実行犯」が、いよいよ語り始めた「真相」(乗京 真知) | 現代ビジネス | 講談社(1/4) (gendai.media)

スパイ罪での拘束は「当局のさじ加減」 中国で6年服役の鈴木氏訴え:朝日新聞デジタル (asahi.com)

【北朝鮮】金正恩が習近平を見限ったか 中国ドラマ・映画を突如「不純録画物」扱いで視聴禁止の謎 (msn.com)

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