政治講座ⅴ1040「スーダン内戦の裏にはロシアがあり」
世界は繋がっている。スーダンの裏にはロシアが関係している。諸悪の根源はロシアか。今度の内戦に関する報道記事に関しては予断を持たずに公平に紹介する。それは、スーダンで起こっている内戦の根源にまで掘り下げた報道記事である。
皇紀2683年4月25日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
首都で戦闘 アフリカ スーダン なぜ軍内部で衝突?いったい何が?
軍とその傘下にある準軍事組織が激しく衝突しているアフリカのスーダン。これまでに400人以上が死亡、各国の政府が自国民を国外に退避させる動きが進んでいます。スーダンでいったい何が起きているのか。なぜ軍内部で衝突しているのか。(カイロ支局記者 スレイマン・アーデル/国際部 小島明)
スーダンってどこにある?
アフリカの北東部に位置するスーダンは人口4500万あまり。
世界最長のナイル川が流れ、国土は日本のおよそ5倍。アフリカの中では3番目に大きな国で天然資源も豊富です。
そもそもスーダンってどんな国?
スーダンでは長年、独裁的な政権が続いてきました。しかし、2019年4月、パンや燃料の値上げに抗議する市民のデモをきっかけに、軍がクーデターを起こして独裁的なバシール大統領は失脚しました。
クーデターの後、暫定統治を続けていた軍は民主化勢力と共同統治を行うことで合意。
軍のトップのブルハン氏が統治機構を率いながら、経済学者のハムドク首相のもとで民政への移管を進めることになりました。
スーダンの民主化は進んだの?
民主化への模索が続いてきましたが、その歩みは逆行してしまいました。軍と民主化勢力の対立が表面化し、2021年10月、軍が再びクーデターを起こして実権を握ると、ブルハン氏をトップとする統治のもと、抗議デモへの弾圧が続きました。
その後、国連などが仲介に入り、民政移管に向けての協議が進められてきましたが、この中で、軍の再編などを含む内容に強く反発したのが、今回軍と衝突している準軍事組織のRSF=即応支援部隊でした。
準軍事組織 RSFって何?
RSFの前身は「ジャンジャウィード」と呼ばれた民兵組織です。2003年に勃発し「世界最悪の人道危機」といわれ、およそ30万人が死亡した西部のダルフール紛争が組織立ち上げのきっかけとなっています。
当時のバシール政権が反対派を弾圧するために全面的に支援し設立したとされ、その後、準軍事組織として軍の傘下に。10万人が所属し、各地に基地を持つなど大きな影響力を持ち続けました。
RSFは、ブルハン氏に次ぐ統治機構のナンバー2になったダガロ司令官が指揮をとっていて、軍の再編をめぐってはブルハン氏との確執も取り沙汰されていました。
そうした中で起きた今回の軍内部での衝突。
現地でいったい何が起きているのか。なぜこうした事態になったのか。スーダンの現代政治に詳しい千葉大学の栗田禎子教授に話を聞きました。※以下、栗田教授の話
いまスーダンで何が起きている?
民主化に向けた移行期間の中で、国軍とRSFの完全一体化を進める過程での勢力争い、権力闘争が起きていると言われています。
軍がいま、国軍とRSFの二重状態になっているのを統合して、単一の国軍にしようという取り決めがあって進めていたところで、権力闘争が起きて、それがなぜかこの数日爆発したという状態です。
RSFはもともと西部出身の民兵組織ですが、今は都市部での治安、デモを弾圧するときにも使われているので各主要都市に基地を持っています。
それが一斉に立ち上がり、ここ数日、大統領官邸を襲ったり、空港やラジオ局・テレビ局を占拠したりしているのです。
衝突で懸念されることは?
人道支援がストップしてしまうというのが、一番深刻な、直接的に懸念されることだと思います。
これまでクーデターや政治的な不安定化がある中でも、ずっと人道支援を続けてきた団体なども活動できなくなっています。ましてや、もともと人道状況が深刻な低開発地域、内戦の舞台になってきたような地域は大変な状況にあると思うので、早く戦闘を停止して人道支援ができるようにすることが大事です。
また、今後、首都ハルツームなどで国軍が主導権をとる一方、RSFが一番追い詰められた場合でも、彼らの出身地でありネットワーク・地盤があるダルフールを拠点にして内戦が続くということはありえます。
その結果、国軍とRSFの間の戦闘に巻き込まれる形で、ダルフールの人たちが民間人を含めて難民となり、近隣諸国に流入するということもあるかもしれません。
これからスーダンはどうなる?
今回の衝突は、直接的には国軍とRSFのどちらが利権を握るか、どちらが軍のトップのポストを得られるかという具体的な利害が絡んだ権力闘争だと思います。
ただ、どちらも反動的な軍事組織なので、両者が軍事衝突を起こすことで、それぞれの共通の敵である市民を政治の場から排除してしまうことになります。
利害の共通性でいうと、どちらも暗黙のうちに、これをやることで民主化をストップするということに共通の利益を見いだしているということだと思います。
表面的に一番問題になっているのは軍事衝突ですが、長期的に見た場合、結局はこれを名目に民主化・民政への完全な移行をストップしてしまう動きになっていると思うので、それをどう避けていくかが重要です。
2019年4月のバシール政権を退陣に追いこんだあと、ずっと粘り強くスーダンの市民が民主化を求めてきた事実があるわけで、あくまでも民主化を求めるスーダンの市民の側に立って、民主化を少しでも応援する方向で行動することが大事だと思います。
スーダン 軍内部で激しい戦闘 混乱に国際社会から懸念の声
2023年4月16日 4時34分
軍が統治の実権を握っているアフリカのスーダンの首都で15日、軍とその傘下にある準軍事組織との間で激しい戦闘が行われ、これまでに3人の市民が死亡しました。スーダンでは軍の統治から民政移管への協議が進んでいただけに再び混乱が起きることに国際社会から懸念の声が上がっています。
スーダンではおととし10月、クーデターによって軍が統治の実権を握りましたが、その後、民政移管に向けて協議が進められていました。
こうした中、15日、首都ハルツーム市内や国際空港の周辺などで、軍と、傘下にある準軍事組織、RSFとの間で激しい戦闘が行われました。
現地の医師会によりますとこれまでに3人の市民が死亡し、けが人も出ているということです。
現地に駐在するアメリカの大使は「大使館スタッフとともに避難している。軍内部での緊張が高まることは非常に危険で、軍の指導者たちに戦闘を止めるよう求める」と投稿しました。
また日本大使館も在留邦人に対してメールで「外出は控え、室内の窓から離れた場所ですごすようにしてください」と呼びかけています。
RSFは民政移管の進め方に反発しているとされ、戦闘の終結は不透明な状況でスーダンで再び混乱が起きることに国際社会から懸念の声が上がっています。
スーダンで新たに72時間停戦合意、米国発表 順守できるかが焦点
ヨハネスブルク=遠藤雄司2023年4月25日 7時42分
国軍と準軍事組織の戦闘が続くスーダンをめぐり米国のブリンケン国務長官は24日、両者が同日の真夜中から72時間にわたる全国的な停戦に合意したと声明で明らかにした。ただ、15日の戦闘開始以降、両者はこれまで3度にわたって停戦を発表してきたものの実際に戦闘が完全に収まったことはなく、今回の合意による停戦が順守されるかは不透明だ。
声明によると、米国は今後、国際パートナーやスーダンの文民関係者らと協力し、スーダンでの恒久的な敵対行為の停止や人道的取り決めの交渉、締結、実施を監督する委員会の設立を支援するとしている。
スーダンは「長期内戦になる」 民政めざした国でなぜ、専門家に聞く
聞き手・遠藤雄司2023年4月21日 14時00分
アフリカ北東部のスーダンで、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が激しい戦闘状態に陥りました。首都ハルツームを含む各地で銃撃戦や砲撃戦が行われており、日本政府は約60人いる在留邦人を退避させるため、自衛隊機の派遣に向けた準備を始めました。民政移管をめざしていたはずの国で、なぜ戦闘は起きたのでしょうか。今後、どうなるのでしょうか。スーダン出身で東洋大学国際共生社会研究センター客員研究員のモハメド・アブディンさんは「長期の内戦になる」と言います。
――国軍とRSFはなぜ戦闘を始めたのでしょうか。
直接の引き金は、北部メロウェの空軍基地に隣接する土地をRSFが購入し、基地を造ろうとしたことです。スーダン空軍がエジプト空軍と共同演習を行ったことがある空港で、エジプトの将校もいます。RSFの土地購入に軍が反発する中、4月にRSFがいきなり100台ほどのピックアップトラックを含む部隊で基地を包囲し、さらに部隊を追加しました。
これに対して15日の朝、首都ハルツーム周辺にあるRSFの基地を軍側が包囲し、そこから衝突が始まりました。
――(17日時点の)戦況はどうですか。
(ハルツーム周辺のRSF基地については)普通は軍に包囲されたら負けるでしょうが、互角に戦っていますから、このシナリオをRSF側が元々想定していたのではないかと思います。一方、(RSFの基盤の)西部ダルフール地方では、かなり国軍が劣勢を強いられており、主要な軍基地がRSFによって次々と奪還されました。
軍は前のバシル政権時代に、クーデターを起こせないように無力化されてきました。優秀な将校は早い段階で退職に追い込まれたり、トレーニングも受けていなかったりしました。軍人への給料の支払いも遅れています。
RSFは軍の天敵
――RSFの前身は、西部ダルフール地方で2003年から始まった紛争で、黒人系の反政府勢力に対抗したアラブ系の民兵組織「ジャンジャウィード」だと聞きました。
スーダンで軍事衝突 国軍と争う準軍事組織「RSF」とは
ヨハネスブルク=遠藤雄司2023年4月16日 5時58分
アフリカ北東部スーダンの国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘が始まった15日、少なくとも市民3人の死亡が確認された。AP通信が医師会の情報として報じた。RSFの軍への統合をめぐって両者は対立しており、双方とも相手が先に攻撃を仕掛けたと非難し合っている。
報道によると、死亡した3人のうち、2人は首都ハルツームの空港で、残る1人は北コルドファン州で、それぞれ犠牲になったという。戦闘はスーダン各地で続いており、犠牲者が増える可能性がある。
RSF側は声明やツイッターへの投稿で、ハルツームにある大統領府や国際空港のほか、北部メロウェ空港とそこにいたスーダンとエジプトの両空軍も制圧したなどと主張した。国軍側はすべての空港が支配下にあると訴え、RSF側の主張を否定している。
国際社会からは即時停戦を求める声が相次いだ。国連のグテーレス事務総長は報道官を通じ、戦闘が起きたことを「強く非難する」との声明を発表した。「これ以上の戦闘の激化は、民間人に壊滅的な影響を与え、すでに不安定な同国の人道状況をさらに悪化させる」などとして、双方に即時停戦を呼びかけた。
アフリカ連合や米国も停戦を呼びかけた。スーダンを長年支援してきたサウジアラビアやUAEも懸念を表明し、対話による解決を求めた。
同国では、2021年10月に軍トップのブルハン氏がクーデターを起こし、民政移管を巡る協議の先行きが不透明になっていた。協議は今年、最終段階を迎えつつあったが、議題になっていたRSFの軍への統合について両者が折り合わず、緊張が高まっていた。
RSFとは何者か=独裁者が保護した第2の軍隊―強力な資金源、頼みは「外部」・スーダン
昨日 12:40
スーダンで軍と戦闘を繰り広げている準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は、イランの革命防衛隊と同様、軍がクーデターを起こしても、それを迎え撃てるよう想定された「第2の軍隊」だ。軍と互角に戦える装備や訓練を施されている。
◇総兵力10万
RSFの最近の総兵力は10万人と報じられてきた。スーダン軍は陸軍の10万人が圧倒的で、空軍は3000人、海軍は1000人。兵力数を見れば両者は互角のはずだった。
2019年まで30年に及んだバシル独裁政権が構築した「カウンター・クーデターのための暴力装置」だったが、最後は軍と手を組み権力を奪った。この協力をきっかけに、RSFは軍から大量の「出向者」を受け入れ、スーダン全土へ急速に膨張する組織を整えた。双方の総兵力数には重複があったとみられ、15日の戦闘勃発の翌日、軍はこうした出向者に「原隊復帰」を命じた。現在の正確な勢力比は分かっていない。
13年に発足したRSFの源流は、西部ダルフール地方で住民弾圧を担った民兵組織「ジャンジャウィード」だ。03年から激化したダルフール紛争で「スーダン解放軍(SLA)」や「正義と平等運動(JEM)」など反政府勢力に対し、軍の先兵となって戦った。軍による空爆の援護を受けつつ、ジャンジャウィードはダルフールの町や村を略奪し蓄財した。バシル大統領の個人的な保護を受け、RSFを率いるダガロ司令官の一族は今やダルフールの金鉱の利権を握り、幾つも企業を経営する富豪となっている。
◇他国の内戦で稼ぐ
さらに、RSFは過去10年、海外との関係を強化した。サウジアラビアのムハンマド皇太子が介入し15年から激化したイエメン内戦に数万人のスーダン人傭兵(ようへい)を送り込み、サウジを支えた。
リビア内戦では、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」と関係を深め、リビア東部のハフタル派のため傭兵を送り込んだという。イエメンやリビアの最近の内戦沈静化はこうした「RSFの資金源」に影響を与え、ダガロ氏に焦りが生まれていた可能性もある。
ロイター通信は19日、軍の空爆を受けたRSFは市内の拠点を放棄し「住宅街に紛れ込んでいる」と伝えた。ダルフール紛争以来磨いてきたゲリラ戦で軍に対抗する構えだ。
しかし、兵力も資金も「第2軍隊」であるRSFは、国庫を握る軍に対し、時間の経過とともに不利になる。サウジやリビア、ロシアなどこれまで培ってきた「外部勢力の支援」が頼みの綱だ。
ロシアがスーダン内戦に関与か、露ワグナーがRSFに地対空ミサイルを供給?
米国のCNNは21日「露ワグナーがスーダン軍と戦う準軍事組織(RSF)にリビア経由で地対空ミサイルを供給している」と報じており、ロシアのIl-76が4月13日からシリアとリビアの間を何度も往復しているのが衛星写真で確認されたらしい。
参考:Exclusive: Evidence emerges of Russia’s Wagner arming militia leader battling Sudan’s army
正規軍とRSFの武力衝突に「ロシアが深く関与している」という疑惑は事実かもしれない
スーダン暫定政権の主導権を巡る「ブルハン議長が率いる正規軍」と「ダガロ副議長が率いる準軍事組織(RSF)」が武力衝突は現在も続いており、世界保健機関は21日「7日間の戦闘で3,964人(20日発表と比較して434人増)が死傷した」と発表、さらに興味深いのはCNNが「ロシアのワグナーがRSFに地対空ミサイルを供給してスーダン軍との戦いを支援している」と報じている点だ。
米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は19日「RSFを支持するハリファ・ハフタル司令官(リビア反政府組織の軍事部門を率いる最高責任者)は軍事物資を支援している」と報じていたが、CNNの取材に応じたアフリカ地域の外交筋も「ロシアのワグナーがRSFに地対空ミサイルを供給してスーダン軍との戦いを支援している」と証言、さらに衛星画像の分析でも4月13日から「シリアのフメイミム空軍基地」と「リビア反政府組織が支配する空軍基地」のあいだをIl-76が何度も往復しているのが確認されたらしい。
最終的にマーテン・アルサッラ空軍基地からスーダン北西部のRSF軍事キャンプに地対空ミサイルが空輸され、航空戦力を持たないRSFがスーダン空軍の活動を抑制するのに役立っている可能性(20日にスーダン軍のヘリを2機撃墜したと主張)がある。
ロシアがワグナー経由で何を供給したのかは不明(携帯式防空ミサイル?)だが、正規軍とRSFの武力衝突に「ロシアが深く関与している」という疑惑は事実かもしれない。
ロシアがスーダンで奪う金、ウクライナ侵攻を後押し
2022.08.07 Sun posted at 20:30 JST
CNN記者、スーダンにあるロシア事業のスタッフと対峙
スーダン・ハルツーム(CNN) ロシアがウクライナに残忍な戦争をしかけてから数日後、赤茶色の砂に囲まれたスーダン首都ハルツームの滑走路にはロシアの貨物機の姿があった。積み荷目録にはクッキーと記載されている。スーダンからクッキーが輸出されることは、仮にあったとしても、ごくまれだ。
ハルツーム国際空港のバックオフィスでは、職員の間で激しい議論が繰り広げられていた。機内検査をすることで、親ロシア色が強まりつつあるスーダン軍指導部の機嫌を損ねるのを職員たちは危惧していた。これまで何度か怪しいロシア貨物機の出発を阻止しようとしたこともあるが止められていた。だが最終的に、職員は機内に乗り込むことに決めた。
貨物室の中には、色とりどりのクッキーの箱がずらりと並んでいた。箱の真下に隠されていた木箱には、スーダンでもっとも貴重な資源が納められていた。金だ。ざっとみて1トンはあった。
この1年半、アフリカ第3の貴金属産出国スーダンからロシアが金を密輸したのは、わかっているだけでも16回。そのうちの1回が、スーダン当局筋がのちにCNNに語った今年2月のこの出来事だ。
スーダン政府高官や米国政府職員との度重なる取材や、CNNが検証した山のような文書から、ロシアの巧妙な策略が浮かび上がってくる。厳しさを増す西側諸国からの制裁に対抗し、ウクライナでの戦争を支えようと、スーダンの富を略奪しているのだ。
ロシアが苦境にあるスーダン軍指導部と手を組んで、スーダンの国家機構を迂回(うかい)して数十億ドル相当の金を持ち出し、貧困国の歳入となるはずだった数億ドルを奪っていることも証拠から示唆されている。
それと引き換えに、ロシアは次第に人望を失っているスーダン軍指導者に政治的・軍事的支援を提供している。そして軍指導部は同国の民主化運動を暴力で制圧する。
重要地点の説明。スーダン中部にある首都ハルツームの空港は金の密輸に使われる。北東部アルイバイディヤには周辺から集まった金を処理する工場があり、制裁対象企業メロイー・ゴールドのダミー会社が所有している。紅海に面するポートスーダンの空港からは国外に金が密輸され、ロシアの運営する便がロシア軍の大規模基地があるシリア・ラタキアに飛ぶ。陸路では南西にある隣国中央アフリカに金が運び出される。中央アフリカではロシアが関係する民間軍事会社ワグネルが政権を後ろ支えする/Source:Official Sudanese sources, the Dossier Center and Gerjon
米国政府の現職および元職員がCNNに語ったところでは、ロシアは2021年にスーダンで起きた軍事クーデターを積極的に支援していたという。暫定文民政権を転覆させたこのクーデターは、その2年前にオマル・バシル大統領を失脚させたスーダンの民主化運動に壊滅的な痛手を負わせた。
「ロシアがスーダンの天然資源を搾取していることは、ずいぶん前から知っていた」と事情に詳しい元米国職員はCNNに語った。「こうした資源へのアクセスを維持するために、ロシアは軍事クーデターを支援したのだ」
「全世界が(ロシアを)包囲する中、ロシアがスーダンの将官とこうした関係を結び、彼らが権力の座に居座れるよう力添えをすることで得られるものは大きい」と元職員は続けた。「そうした『力添え』は、軍事訓練や諜報(ちょうほう)支援に始まって、奪ったスーダンの金の利益配分に至るまで多岐にわたる」
このようなロシア政府とスーダン軍事政権による持ちつ持たれつの関係の中心にいるのが、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)でウラジーミル・プーチン大統領の重要な協力者であるエフゲニー・プリゴジン氏だ。
厳しい制裁を科されている61歳のプリゴジン氏が牛耳る怪しげな企業ネットワークには、準軍事組織ワグネルもある。シリアや中央アフリカなど戦争により荒廃した国々で、拷問や大量殺戮(さつりく)、略奪に関与したとみられる組織だ。プリゴジン氏はワグネルとの関係を否定している。
スーダンにおけるプリゴジン氏の足がかりとなっているのがメロイー・ゴールド社だ。同社はプリゴジン氏が所有するMインベスト社の子会社で、米国の制裁対象にもなっている。CNNが確認した請求書によれば、同社は金採掘を行う一方で、スーダン軍や民兵組織に武器や軍事訓練を提供している。
「プリゴジン氏はメロイー・ゴールドや自社従業員とゆかりのある企業を通じてアフリカ諸国に介入し、現地政府を支援する見返りとして、これらの国々の経済資源を略奪する戦略を作り上げた」。こう語るのは、ロンドンに拠点を置くドシエセンターの調査員デニス・コロトコフ氏だ。同センターではロシア政府と関わりのある様々な人物の犯罪活動を追っている。創設者のミハエル・ホドルコフスキー氏はかつてロシア最大の富豪だったが、現在はロンドンで亡命生活を送っている。
CNNはドシエセンターの協力を得て、ワグネルの上級工作員のうち少なくとも1人、アレクサンドル・セルゲービチ・クズネツォフ氏が、ここ数年スーダンの主要な金採掘地や加工・搬送地で操業の監督をしていることを突き止めた。
「ラチボア」や「ラジーミル」の呼び名で知られるクズネツォフ氏は誘拐の前科があり、隣国リビアでは戦闘に参加し、14年にはワグネル最初の攻撃偵察隊の指揮を執った。ロシアの勇敢勲章を4度授与され、17年にはプーチン大統領やワグネルの創設者ドミトリー・ウトキン氏と並んで写真にも写っている。21年には、欧州連合から制裁対象とされた。
スーダン軍指導者とロシアの癒着が深まることで、複雑な金密輸ネットワークが生まれた。スーダン当局筋の証言や、飛行機の運航を追跡するツイッターユーザーGerjonの協力でCNNが検証したフライトデータによれば、昨年スーダン当局は少なくとも16本のフライトを阻止しようとしたが、それはいずれもロシアの主要空軍基地があるシリアの港町、ラトキア発着の軍用機だった。
複数のスーダン当局筋やドシエセンターによれば、金の輸送は陸路でも行われ、ワグネルが圧政政権の後ろ盾となっている中央アフリカに運ばれる。ワグネルは中央アフリカで国民に対する残虐極まりない戦術を実施したと報じられている。
CNNはロシア外務省、ロシア国防省、プリゴジン氏が運営する企業グループの親会社にコメントを求めたが、いずれからも返答はなかった。
CNNの調査結果に対し、米国務省の報道官は「こうした問題は我々も注意深く監視している。これにはメロイー・ゴールドや、ロシアが支援するワグネルグループ、スーダンやこの地域、金取引を通じた他の制裁対象者の報道された行動も含まれる」と述べた。
「人権を尊重し、民主的で繁栄した国を追求するスーダン国民を我が国は支援する」と報道官は付け加えた。「スーダン軍関係者には、ワグネルやメロイー・ゴールド、その他人物が及ぼす悪影響に対する我々の懸念を今後も引き続き明言していく」
裏に消えていくロシアの取引
スーダンの金にロシアが本格的に干渉を始めたのは14年、クリミア侵攻で西側諸国から相次いで制裁を科された後だった。金の輸送は富の蓄積と移動に効果的な方法であることが証明された。国際金融監視システムを回避しながら、ロシア政府の懐を潤すことができた。
「金の欠点は物体であるため、使用の際は国際送金よりもはるかにかさばるという点だ。だが裏を返せば、不可能ではないにしても、その凍結や押収はずっと困難なものになる」と、制裁に詳しいシラキュース大学政治学部のダニエル・マクドウェル准教授は語った。
ロシアを積極的に批判しないアフリカの怨念ロシアと中国はアフリカの真の独立を支援してきた
2022/06/24 7:40
今回のロシアのウクライナ侵攻に対して、意外と多くの国々がロシアの方を支援していることに、日本人は気づくべきかもしれない。積極的な支持から消極的な支持とさまざまだが、注目すべきはEUと日本、アメリカ、そしてその関係国を除く多くの国がその中に含まれることだ。
例えばアフリカ諸国は、ウクライナへのロシアの侵攻を是認しているわけではない。むしろ非難しているのだが、それはアメリカのイラク侵攻が許されているのに、ロシアだけがことさら批判されることへの暗黙の抗議でもあるのだ。いわゆる国連のダブルスタンダードへの批判である。
アジア・アフリカが西欧諸国に抱く恨み
BRICsの国々は、G7の先進国連合に対して敵意をむき出しにしている。上昇してくる新しい勢力と旧い勢力との戦いはつねのことである。これまでは、圧倒的な力でG7の国が世界を支配してきた。しかし、最近ではその様相が変わりつつあることに注目すべきだ。
確かに世界地図を見るとわかることだが、よく狭い西欧地域がこれまで広いアジアやアフリカ地域を支配できたものだと、不思議に思わざるをえない。これにアメリカやカナダを入れたとしても、人口や面積でみて、西側は小さな地域である。
2022年2月24日にウクライナで戦争が勃発したとき、インド人や中国人、アフリカ人の留学生がポーランドなどとの国境付近で入国について差別されたことが報道された。もちろんウクライナ人がポーランドに自由に入国できるシステムがあったことから起こる問題であり、即差別ということにはつながらない。しかし、積年の差別意識によって、厳しい抗議がそれらの国から寄せられたのは事実である。
積年の差別とは、19世紀から始まる植民地支配である。今回ロシア側を支援している国のほとんどがかつて西欧に植民地支配された国々であることが、重要な意味を持っている。
参考文献・参考資料
スーダン 軍内部で激しい戦闘 混乱に国際社会から懸念の声 | NHK
スーダンで新たに72時間停戦合意、米国発表 順守できるかが焦点:朝日新聞デジタル (asahi.com)
スーダンは「長期内戦になる」 民政めざした国でなぜ、専門家に聞く:朝日新聞デジタル (asahi.com)
スーダンで軍事衝突 国軍と争う準軍事組織「RSF」とは:朝日新聞デジタル (asahi.com)
RSFとは何者か=独裁者が保護した第2の軍隊―強力な資金源、頼みは「外部」・スーダン (msn.com)
ロシアがスーダン内戦に関与か、露ワグナーがRSFに地対空ミサイルを供給? (grandfleet.info)
ロシアがスーダンで奪う金、ウクライナ侵攻を後押し(1/3) - CNN.co.jp
ロシアを積極的に批判しないアフリカの怨念 | ウクライナ侵攻、危機の本質 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?