政治講座ⅴ1537「どこまでが自衛権の範疇か」
そろそろ憲法改正の時期かもしれない。同盟国を助けることもできずに見殺しにする憲法は改正が必要であろう。米国による押し付けられた平和憲法はその米国も憲法改正の必要性を訴えている。日本を二度と戦争させない国にする目論見も外れて、米国の経済力の衰退の兆しもあり日本を軍事同盟国に引き込みたいのである、米国は。
今回はそのような報道記事を紹介する。
皇紀2683年12月8日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
「ミサイルいきなり飛んできた」日本の自衛艦は撃ち落せる? 米駆逐艦は迎撃 ただ“直接狙われてない”けども
稲葉義泰(軍事ライター) の意見 • 2 時間
護衛艦も活動する中東エリアで高まる緊張
2023年11月15日(水)、アフリカ北東部とアラビア半島に囲まれた紅海において活動中であったアメリカ海軍の駆逐艦「トーマス・ハドナー」が、アラビア半島南端に位置するイエメンから発射されたミサイルを撃墜しました。
じつは、この地域では前月にもアメリカ海軍の駆逐艦「カーニー」が、イエメンから発射された複数の巡航ミサイルなどを撃墜しています。これら攻撃を行っているのは、イエメンで活動している反政府勢力「フーシ派」。彼らは正規軍と同じように各種長射程ミサイルを保有しており、隣国のサウジアラビアなどにもミサイルを撃ち込むなど過激な活動を続けています。
なぜ、そのような活動を行えるかというと、それはイランの支援を受けているからで、最近では武装組織「ハマス」との戦闘を行っているイスラエルを狙ったとみられる攻撃まで行っている模様です。
【見たことある?】これが日本の護衛艦による艦砲&ミサイルの「実射」です(写真)
今回の撃墜について、アメリカ国防総省の報道官は11月16日の会見にて「ミサイルは『トーマス・ハドナー』を直接狙ったものではないが、同艦の針路に向かって飛行し、これがきわめて接近したため、撃墜の決断が下された」と説明しています。つまり、直接狙われたわけではないものの、危険性が高いと判断されたために撃墜した、ということだそう。
いうなれば「正当防衛」といえるような行動ですが、軍艦が飛んでくるミサイルを撃ち落とすのは、やはり武力行使に当たるため、相応の法的根拠が必要になります。いったい、どのような裏付けのもと動いたのか、改めて見てみましょう。
アメリカ軍の法的整理はいかに?
そもそも、海外で活動中の軍艦が飛んでくるミサイルを撃ち落とすというのは、一般的には無制限に認められるものではありません。
事件が発生した中東地域を担当するアメリカ中央軍の声明によると、ミサイルの撃墜は「乗員の安全を守るための措置」であったとされています。この文言からは、艦艇を守るための自衛行動、すなわち自衛権に基づいた行動であったというニュアンスがくみ取れます。
ただ、アメリカ軍では自衛権について次の2つに分けています。1つめは、国家に対する攻撃に対して行使される「国家自衛(national self-defense)」、そして2つめが海外で活動するアメリカ軍や他国軍の部隊に対する攻撃に対して行使される「部隊自衛(unit self-defense)」です。
このうち今回の事例では、後者の「部隊自衛」が関係してくると考えられます。部隊自衛は、部隊の任務遂行などを妨害するような武力行使を指す「敵対行動」や、そうした武力行使の差し迫った脅威を指す「敵対意図」が存在する場合に、部隊指揮官の命令に基づき行使されるものです。もし、今回の事例において部隊自衛が行使されたとすると、ミサイルの接近を敵対行動と捉えて、これを撃ち落とすという決断が下されたといえるでしょう。
なお、アメリカ国防総省の報道官が明らかにしているように、ミサイルは「トーマス・ハドナー」に向かって飛行していたわけではないという点を踏まえると、ミサイルが針路を変更するおそれから、これを敵対意図だと判断した可能性も否定できません。
自衛隊の場合、どう対応?
ところで、もし海上自衛隊の護衛艦が同じような状況に直面した場合は、どのような対応が可能でしょうか。護衛艦が自衛のために武器を使用することが許される場合はいくつか存在しますが、今回の事例では「武器等防護のための武器使用(自衛隊法第95条)」が関わってきます。
字面だけ見ると何ともまどろっこしく感じますが、これは要するに国防(日本防衛)のために必要な物的手段である護衛艦なる「武器」を、実力をもって護ることで、日本の防衛力低下を防ぐという目的のために行う武器使用です。
たとえば、警戒監視にあたる護衛艦の乗員に対して、あらかじめ自艦を守るための武器等防護の任務を付与したとします。すると、回避(回頭)などの手段をもっても避けることができないと判断された場合、接近するミサイルを物理的に撃墜することができます。
ただし、今回のようにミサイルが直接自艦に向かっていないような場合には、これを撃ち落とすことは法理的には難しいでしょう。
なお、この武器等防護のための武器使用には、地理的制限もありません。そのため、仮に台湾有事を警戒して航行中の護衛艦に対し、突如として対艦ミサイルが飛来したという場合であっても、これを撃墜することは可能になります。
日本のシーレーンは長大です。なので、危ない海域というのは、紅海だけでなく、南シナ海や東シナ海にも存在します。
2023年12月現在、中東地域は依然として緊張感が高いままですが、いつ台湾周辺の海域がホットスポットになるかわかりません。もし民間船舶の防護などを目的として海上自衛隊の護衛艦が南シナ海や東シナ海など、中東近辺以外にも派遣される場合は、法律面も含め、万全の態勢がとられることを願うばかりです。
参考文献・参考資料
「ミサイルいきなり飛んできた」日本の自衛艦は撃ち落せる? 米駆逐艦は迎撃 ただ“直接狙われてない”けども (msn.com)
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