見出し画像

政治講座ⅴ1328「中国共産党はゾンビー企業を量産している」

無駄な・費用対効果無視した公共工事・鉄道路線の拡張、これではGDPは大きくなっても負債が増えるだけである。
北斗の拳の主人公ケンシロウが相手に対して「お前はもう死んでいる」と死を告げる際の決め台詞を思い出す。ゾンビ(英語: zombie)は、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称である。多くはホラーやファンタジー作品などに登場し、「腐った死体が歩き回る」という描写が多くなされる架空の存在である。
通常の企業活動にこける企業会計において債務超過に陥ったならば、破産手続に入ることになるが、企業会計の概念の乏しいのが国営企業である。親方日の丸の「国鉄」も赤字垂れ流しもそうであった。日本と同じ轍を踏んでいるのが中国の赤字垂れ流しの高速鉄道である。インドネシアに代表される工事予算額超過なども、計画のずさんさが招いた結果であろう。安く受注した後に徐々に工事費用を上げていき、キャンセルできないような契約内容で縛り付けるとされているなどの秘密契約があるらしい。中国の赤字垂れ流しの高速鉄道などを俯瞰したら「債務の罠」に陥ることが分る。多分、インドネシアの高速鉄道の運営権は中国が支配するのであろう。今回は中国の経済の報道記事を紹介する。
蛇足:大きすぎて潰せない企業、これが恒大集団であり、碧桂園であろう。破産させると不動産関連企業や金融機関や融資平台などのシャドウバンクなど中国経済を揺るがす重大事件になることは確実である。だから政治的にも潰せないのである。このような債務超過の企業を清算しないと信用収縮が起こりどこの海外投資家も見向きもしない国家になるのであろう。中国はゾンビ国家となり「お前はもう死んでいる」と言われるのであろう。

     皇紀2683年9月3日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

中国経済は本当のところどこまで深刻なのか 秋以降の日本経済に影響が及ぶのは必至だ

かんべえ(吉崎 達彦) の意見•2 時間

中国経済の不振はやはり不動産市場にありそうだ。どこまで深刻なのだろうか(写真:ブルームバーグ)© 東洋経済オンライン

ちょっと記憶にないくらい暑い8月がやっと終わった。この夏は今年限りの異常気象なのか、それともこれが「ニューノーマル」であって、これから先、夏はこれくらい暑いのが当たり前になってしまうのか。台風や線状降水帯による被害も多かっただけに、来年以降の夏がちょっと心配である。その前に、9月も暑そうだけどねえ。

今年のアメリカの成長率は景気後退どころか上方修正へ

他方、7月末時点と8月末時点を比べると、世界経済を見る目がずいぶん変わったような気がしている。

端的に言えば、1カ月前まではこんなにアメリカ経済がスゴいとは思っていなかったし、こんなに中国経済がヤバいとも思ってはいなかった。

論より証拠、7月25日に公表されたIMF(国際通貨基金)の世界経済見通しを振り返ってみよう。

ほんの1カ月前、IMFのエコノミストたちは日米中の経済を以下のように見ていたことになる。

(成長率) 2022年 2023年 2024年

アメリカ  2.1%  1.8%  1.0%

中国    3.0%  5.2%  4.5%

日本    1.0%  1.4%  1.0%

何しろアメリカ経済は、昨年3月以降で5%以上もの利上げを行っているのだから、年後半には景気後退局面に陥るだろう。とまあ、それは市場のコンセンサスであった。大統領選挙の日程を考えると、むしろ早めにマイナス成長に陥って、年末くらいから回復するくらいの方がいいんじゃないか、なんて見方もあったくらいだ。

ところが2023年の同国経済は、第1四半期は2.0%成長、第2四半期が2.1%成長(8月30日発表の改定値)であった。

そして第3四半期(7~9月期)はまだ期中であるけれども、アトランタ連銀が提供している「GDP Now」を参照すると 、なんと5.6%の高成長と試算されている(8月31日公表分)。これらを足し合わせると、どう考えても2023年の同国経済が2%以下の成長で収まるとは思われない。10月にIMFの新たな予測が登場するときには、おそらくは上方修正されることになるだろう。

それでは一体、いつになったら同国経済は後退局面を迎えるのか。ひょっとすると、「ソフトランディング」どころか、このまま「ノーランディング」で突っ走ってしまうのではないか。こんなに利上げの「効き」が悪いということは、中立金利(景気に対してニュートラルな金利水準)が上昇しているのではあるまいか。

いや、それではFRB(連邦準備制度理事会)はなかなか利下げに転じてくれないから困ったことになる、などと妙な思惑まで生じるに至っている。

中国経済はリベンジ消費どころか物価が下落中

これとはまったく対照的なのが中国経済だ。去年は「ゼロコロナ政策」の結果、低成長に甘んじていたわけだから、今年は当然、良くなるはずである。政府目標の5%成長くらいは軽いだろう、と思っていたら、どうも調子が違うのである。

公式発表では、今年の中国経済は第1四半期4.5%、第2四半期6.3%成長である。ただし中国政府発表の場合、これは前年同期比であるから、去年のロックダウンの時期に比べて高く出るのは当たり前。普通の先進国の統計のように「前期比」に置き換えてみると、第1四半期は2.2%、第2四半期は0.8%と減速していることになる。

さらに驚くのは、7月のCPI(消費者物価指数)が前年比▲0.3%とマイナスに転じていることだ。おいおい、世界中で物価が上がって皆がヒイヒイ言っているときに、中国では物価が下落しているぞ。どうなってるんだ、これは。

世界中が「コロナ明け」となり、過去3年間に積み上がった家計貯蓄を使って、ここぞとばかりに「リベンジ消費」をエンジョイしている。外食やツーリズムは当然だが、エンタメ関係はとくに目覚ましい。超人気ポップ歌手、テイラー・スウィフトさんのコンサートは、チケットが最低価格4万ドルで転売されるばかりか、ホテルを満杯にして宿泊料金を吊り上げ、行く先々でインフレを招くから「スウィフトフレーション」と呼ばれているという。

「人が大勢集まっちゃダメ」という時期が続いた反動があるだけに、この勢いはしばらく止まらないだろう。どちらかといえば消費性向の低い日本人でさえ、この夏は「4年ぶりの夏祭り」や「花火大会」を楽しんでいるではないか。ところがなぜか中国では、コロナ明け後も人々は消費を手控えて地味に貯金を増やしているのである。

その謎解ときは不動産市場にあり。中国の1級都市、つまり北京や上海ではなおも住宅価格は上がっている。2級都市(重慶など)ではおおむね横ばいである。問題は3級都市と呼ばれるその他の地方都市だ。この「その他大勢」の住宅価格が盛大に下げている。

中国における不動産は、家計が保有する最大の財産である。GDPに占める不動産業のウェイトは12%と言われるが、波及効果を加えると25%にもなるという。

そして中国では、初めて住宅を取得する平均年齢が27歳と言われている。日本では40歳前後であるから、タイミングが極めて早いのだ。これは「男が家を用意しないと、嫁が来てくれない」から。なにしろ今の中国の20代人口は、男性が9100万人で女性が7900万人。「あぶれる」男が出ることは確実な情勢で、年頃の男の子がいると、親族郎党が寄ってたかって家を買わせてしまうのだそうだ。

もっともすでに人口減少が始まっている中国においては、27歳人口も今後は減り続けることになるから、不動産業の未来はもともと明るくはないのである。

恒大集団が債務不履行になっても、銀行経営は揺るがず

この問題がいかにややこしいか、例の恒大集団の内情から説明するのがよさそうだ。8月28日付の日本経済新聞に、「中国恒大、22兆円の開発用地が重荷 債務超過拡大も」という記事がある。ここに今年6月末時点の恒大集団のバランスシートが掲載されていて、その中身がまことに興味深いのだ。

恒大集団は総資産が1兆7440億元で、総負債は2兆3882億元。締めて6442億元の債務超過であり、普通の企業ならばこの時点でゲームセットである。1元=20円なので、総資産が34兆円で総負債が48兆円、バランスシートに14兆円の穴が空いている!と考えるとわかりやすいだろう。

それでは総負債の内訳はどうなっているのか。借入金は6247億元だから、せいぜい13兆円程度である。この程度であれば、恒大集団がデフォルト(債務不履行)したとしても、中国4大銀行(すべて国有銀行)の経営が揺らぐことはあるまい。

福本智之大阪経済大学教授によれば、中国は1990年代の日本における不動産バブル崩壊の過程を研究していて、「住宅価格の下落が不良債権問題を通じて金融不安を招く」怖さをよく理解している。だから不動産デベロッパーも、銀行からの借り入れは少ない。それは結構なことである。

だったらどこから金を借りているのか。まず、未払い金が1兆0565億元もある。これすなわち20兆円である。つまり恒大集団から、金を払ってもらえないカスタマー(たぶん建設会社や製鉄会社や運送会社など)が存在していることになる。普通だったら、果てしない連鎖倒産を生みかねない規模である。

ところが、である。おそらくは恒大集団に対して売掛金を立てている企業群は、ほとんどが国有企業であって、たぶん党本部から「余計なことするな」というお達しが出ているのであろう。ゾンビ企業を助けるために、周囲も一緒にゾンビになる、という恐怖のメカニズムである。これが20兆円規模だというから恐れ入る。

もっと罪深いのは、6039億元の「契約負債」があるということだ。この正体は何かといえば、中国では家が完成する前に3割程度の手付金を払うことになっている。ところが恒大集団に仕事を発注した消費者の多くは、金は払ったけれども家はできていない。それが12兆円規模、と考えるといかにも恐ろしい。

いくら中国が民主主義国家ではないとはいえ、さすがにこの問題をスルーするわけにはいかないだろう。ちゃんと家を完成させて買い主に引き渡すか、あるいはお金を返すべきである。とはいえ、そんなややこしい話が簡単に進むはずがない。

バブル崩壊の被害を企業と個人がもろにかぶるのが中国

どうも中国経済は、「金融システムに累が及ばないように」制度設計したのはいいけれども、バブル崩壊の被害を企業と個人がもろにかぶるようになっているのではないか。いくら日本の経験に学んでいても、バブル崩壊はやっぱり容易なことではないのである。

普通の資本主義経済とは違い、中国の場合は政府が不動産供給を絞ることができる。財政的な余力もあるので、いざとなれば打つ手はある。とはいえ、もともと「共同富裕」を掲げる習近平政権が、「住宅は住むものであって投機対象ではない」とバブルつぶしを始めたのが発端だったという経緯もあり、対応はついつい後手に回っているように見える。

ともあれ、「スゴすぎ」アメリカ経済と「ヤバすぎ」中国経済のコントラストは、秋以降の日本経済にも確実に影響してくるだろう。引き続き注視していこう(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

ここから先は競馬コーナーだ。いよいよ夏競馬もオーラスを迎える。新潟競馬場の長い直線も、しばしの見納めということになる。

9月3日に行われる新潟記念(第11レース、芝2000メートル、ハンデ競争、G3)では、4歳馬のサリエラと3歳馬のノッキングポイントが人気になっている。

新潟記念は7歳馬のマイネルウィルトス本命

しかし筆者が狙っているのは、7歳馬のマイネルウィルトスだ。長期休養明けの函館記念で、4着に入って地力を見せた。勝てば重賞初制覇だし、「サマー2000シリーズ」の優勝も転がり込んでくる。ここはひとつ、見せ場を作ってほしい。

鞍上はミルコ・デムーロ騎手。なんと新潟記念では、過去10年で1着2回、2着3回と好成績を収めている。新潟競馬場は実はコーナーがキツイ。しばしば大外枠の馬がコーナーリングを利かせて勝利するが、これを得意としているのがデムーロ騎手というわけ。

対抗にはプラダリア、穴馬にイクスプロージョン。とっても暑かった今年の夏競馬、これで有終の美をりたいものである。

(本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

中国初の時速350キロの海をまたぐ高速鉄道が試運転を開始

AFPBB News によるストーリー •14 時間


中国初の時速350キロの海をまたぐ高速鉄道が試運転を開始© CGTN Japanese

【9月1日 CGTN Japanese】中国南東部の福建省の省都である福州市と同省アモイ(厦門)市を結ぶ、中国初の設計時速350キロの海をまたぐ高速鉄道「福厦高速鉄道」が8月31日、試運転を開始しました。

 試運転では、列車運行に関する数値の確認、故障シミュレーション、緊急救援の訓練、ダイヤに基づく運行のテストなどの各種テストを行い、正式な運行状況をシミュレーションして高速鉄道の輸送組織、列車の発着、運行間隔、設備状況などを総合的にテストし、正式な開通と運営に向けた科学的な根拠を取得します。

 福厦高速鉄道は全長277.42キロで、湄洲(びしゅう)湾、泉州湾、安海湾などを渡ります。着工は2017年9月で、現在までに全線の駅舎の建設も完了し、年内に開通する予定です。開通後には福州-アモイ間では「1時間の生活圏」、アモイ、漳州、泉州では「30分の交通圏」が形成されます。(c)CGTN Japanese/AFPBB News

中国版新幹線、負債120兆円 広がる赤字路線のリスク

国有鉄路集団、経済対策で止まらぬ延伸

2022年7月5日 19:30 
【大連=渡辺伸】中国版新幹線「高速鉄道」を運営する国有企業、中国国家鉄路集団の路線延伸がとまらない。景気底上げを目指す政府の意向をくみ、2035年に路線を現在より7割増やす方針だ。ただ、無軌道な拡大で不採算路線が増え、足元の負債総額は120兆円の大台に達した。今後さらに70兆円超の建設費がかかるとみられ、巨大国有企業が抱える「国の隠れ債務」が、中国経済のリスク要因となる懸念がある。

中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か 需要不足で負債120兆円


空席が目立つ、北京と河北省張家口を結ぶ高速鉄道の列車内=7月14日、北京北駅(共同)~~

中国の経済発展の勢いを象徴していた〝中国版新幹線〟の高速鉄道網が、中国経済の時限爆弾となるかもしれない。

採算性を無視した路線拡大により、高速鉄道を運営する国有企業、中国国家鉄路集団の負債総額は約120兆円に上る。巨額債務で経営危機に陥った中国不動産大手「中国恒大集団」が抱える負債の3倍近い規模だ。専門家は鉄路集団の巨額負債が重大な金融リスクになるとして、警鐘を鳴らしている。

今年2月に開催された北京冬季五輪では、北京市中心部と同市郊外の延慶区、河北省張家口市崇礼の3会場を結ぶ高速鉄道が整備された。自動運転システムを採用し、最高時速は350キロ。約180キロの距離を50分で結ぶ。総投資額は580億元(約1兆1600億円)を超える。

しかし共同通信が7月中旬に報じたところでは、需要不足のため1日1往復だけの運行となっているという。筆者が高速鉄道の予約サイトで確認したところ、7月下旬から8月上旬にかけては1日5往復が運行されていた。夏の観光シーズンに合わせて増便したのかもしれない。ただそれでも、日本のローカル線より低密度なダイヤだ。しかもほとんどの便でチケットに余裕があった。

すでに五輪開催時に、需要不足の兆しは感じられた。当時は1日十数往復が運行されたが、筆者が利用した際は1両に乗客が数人で、ときには1人ということもあった。コロナ対策のため車両の連結部分を封鎖し、五輪関係者と一般客の接触を厳格に遮断していたが、一般客の姿はほとんど見当たらなかった。

総延長は日本の新幹線の10倍超

中国の高速鉄道は世界トップの総延長4万キロ超を誇る。1999年に河北省と遼寧省を結ぶ路線が着工して以降の20年余りで、日本の新幹線の総延長(約3300キロ)を10倍以上上回るまでに拡大した。

特に2008年のリーマンショック以降は、輸出が低迷し生産過剰となった鉄鋼やセメントを消費するために高速鉄道の路線延伸が加速された。北京と上海・広州を結ぶ〝ドル箱路線〟に刺激され、各地方当局が高速鉄道の誘致合戦を展開。雇用の創出や地方経済の活性化、沿線の不動産開発などを期待したためだが、官僚にとって地域の経済成長は自らの実績となるため、採算度外視の整備計画も少なくなかった。

北京と河北省張家口を結ぶ高速鉄道の列車前で記念撮影をする乗客ら=7月14日、北京北駅(共同)

北京交通大学の趙堅教授は19年、中国のニュースサイト「財新網」に「高速鉄道の『灰色のサイ』を防げ」と題した論評を発表。人々は高速鉄道の、世界に冠たる総延長やスピードばかりに目を向けがちだが、「債務と赤字も世界一」であることに注意を払うべきだと主張した。

灰色のサイとは市場において高い確率で大きな問題を引き起こすと考えられるにも関わらず、軽視されがちな潜在的リスクを指す。巨獣のサイは普段はおとなしいが、暴走を始めると誰も手を付けられない破壊力を持つことから、こうした比喩に使われる。

趙教授は中国の高速鉄道について、一部のドル箱路線以外は輸送能力が大量に遊休状態になっており、深刻な損失を生んでいると指摘する。新疆ウイグル自治区の区都ウルムチと甘粛省の省都蘭州を結ぶ区間(1786キロ)は一日160往復の輸送能力があるにも関わらず、実際は4往復しか運行されておらず「旅客収入だけでは電気代すら賄うことができない」。

趙教授の試算では、高速鉄道のすべての旅客収入を充てても負債の利息支払いが追いつかない状態だという。すでに19年の時点で、借金をして借金を返すという自転車操業になっていた可能性が高い。

稼ぎ頭の路線も低迷

しかも20年1月に新型コロナウイルスが湖北省武漢で感染拡大して以降は、高速鉄道の稼ぎ頭だった路線も収益が低迷。鉄路集団の20年の最終損益は555億元の赤字、21年も498億元の赤字となった。中国メディアによると、21年9月末時点で負債総額は5兆8400億元(約116兆円)に達している。

民間企業の恒大集団とは違い、国策企業である鉄路集団がデフォルト(債務不履行)の危機に陥ることはないだろう。鉄路集団の前身は鉄道行政を担っていた旧鉄道省だ。多くの人々は、最後は政府が巨額債務をなんとかするだろうと考えている。しかし、高速鉄道の建設に投資した地方当局もすでに多額の負債を抱えている。高速鉄道の巨額債務は最終的にインフレなどの「国家的な金融リスクを引き起こすかもしれない」(趙教授)のだ。

さらに高速鉄道の野放図な拡大は、中国の交通システム全体を悪化させる恐れがある。高速鉄道は貨物輸送ができないため、高速鉄道の建設に偏ると貨物輸送の能力低下につながるからだ。しかも鉄路集団は貨物輸送の価格を上げて高速鉄道の赤字を埋めようとしているため、鉄道による貨物輸送のコストが上昇。このため道路輸送を選択する企業が増加して大気汚染が悪化し、社会全体の物流コストも上昇しているという。

それでも延伸は続く

しかし中国当局は、高速鉄道の拡大方針に歯止めをかけるつもりはないようだ。鉄路集団は20年8月に公表した長期計画で、35年までに高速鉄道の総延長を約7万キロまで拡大する方針を示している。

さらに中国政府はコロナ禍で低迷する景気を下支えするため、鉄道建設などのインフラ投資に力を入れる方針だ。
国務院(政府)は5月末、鉄路集団が鉄道建設のため新たに3000億元の債権を発行することを認めた。国務院は21年3月、高速鉄道の債務膨張を受けて新路線の建設条件を厳格化する通達を出しているが、これと矛盾した措置だ。債務抑制よりも景気浮揚を優先する姿勢を示したといえる。

中国の急速な高速鉄道網の拡大は、中国経済の勢いを体現していた。インフラ整備のスピード感を著しく欠く日本から見れば学ぶべき点も多いだろう。ただ中国政府が軽視してきた「灰色のサイ」の破壊力は、想像以上のダメージを中国経済にもたらすかもしれない。

筆者:西見由章(産経新聞編集委員、前中国総局長)

中国高速鉄道、見えぬ収益改善

今年2500キロ延伸、旅客需要なお鈍く

2023年1月27日 0:00 
中国の高速鉄道が膨張を続けている。同鉄道を独占運営する国有企業、中国国家鉄路集団は総延長を2023年に22年末比で約6%延ばす方針を示した。ただ従来から赤字路線が多いうえ、新型コロナウイルス禍で旅客需要も振るわない。22年1~9月期は2兆円近い最終赤字に陥り、改善の見通しはなお立っていない。

35年に7万キロメートル計画

鉄路集団は1月上旬、23年の事業計画を発表した。

中国「国家鉄路」、上半期の赤字1兆6000億円超に新型コロナの流行拡大で旅客輸送人員4割減

新型コロナの局地的流行が中国各地で多発し、地域間を結ぶ鉄道の利用客が激減した(写真はイメージ)

中国の国有鉄道である中国国家鉄路集団(国家鉄路)は8月31日、2022年1~6月期の半期決算を発表した。売上高は4857億元(約9兆7659億円)と前年同期比5.3%減少。純損益は804億元(約1兆6166億円)に上る莫大な赤字に陥り、損失額は前年同期の507億元(約1兆194億円)より6割近く増加した。

赤字拡大の要因は、言うまでもなく新型コロナウイルスの流行の影響だ。2020年に新型コロナの流行が始まって以降、国家鉄路は2020年の通期決算で555億元(約1兆1159億円)、2021年同498億元(約1兆13億円)の赤字を計上した。

憂慮すべきなのは、2022年1~6月期の半年間の赤字額が、2020年および2021年の通期損失を上回る規模に膨らんだことだ。その理由について国家鉄路は、1~6月期は新型コロナの局地的流行が中国各地で多発し、鉄道経営に広範囲な影響をもたらしたためとしている。

新型コロナの打撃の大きさは、国家鉄路の輸送実績に端的に表れている。1~6月期の旅客輸送人員は延べ7億8700万人と、前年同期比42.8%減少。新型コロナの流行が始まる前の2019年には通期の旅客輸送人員が延べ36億人に達していたのと比較すると、落差はさらに大きい。

北京-上海間のドル箱路線も赤字転落

1~6月期には、国家鉄路の最大のドル箱路線である北京―上海間の京滬旅客専用線(京滬線)も深刻な苦況に陥った。上海証券取引所に上場している運営会社の京滬高速鉄道は、1~6月期決算で10億2800万元(約207億円)の純損失を計上。2020年1月の株式公開以降、半期ベースの赤字決算はこれが初めてだ。

京滬高速鉄道の説明によれば、1~6月期は京滬線の沿線にある複数の地域で、新型コロナの局地的流行が頻発。なかでも始点および終点の上海と北京で(外出制限などの)厳しい防疫対策が長期間にわたり実施されたことが、同社の業績にかつてないほど深刻な打撃を与えたという。
本記事は「財新」の提供記事です

激減した旅客輸送とは対照的に、貨物輸送は一定の成長を確保した。国家鉄路の1~6月期の貨物輸送量は19億4600万トンと、前年同期比5.5%増加した。

例えば、山西省大同市と河北省秦皇島市を結ぶ石炭専用線の運営会社である大秦鉄路は、1~6月期の決算で73億元(約1468億円)の純利益を計上した。国内産の発電用石炭の需要増加が、同社の経営を下支えした格好だ。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は9月1日

中国税収、44年ぶり減少 20年、経済成長の鈍化で

中国・台湾

2021年1月28日 22:13

新型コロナが落ち着いても消費の持ち直しは緩やかだった(北京市内のスーパー)

【北京=川手伊織】中国財政省は28日、2020年の税収が前年比2.3%減の15兆4310億元(約246兆円)だったと発表した。文化大革命の最終年で社会が混乱していた1976年以来、44年ぶりに前年実績を下回った。新型コロナウイルス対応で減税したほか、経済成長が鈍った影響が出た。



主な税目では、税率を下げた増値税(付加価値税)が8.9%減の5兆6791億元、法人税(企業所得税)が2.4%減の3兆6424億元だった。財政省によると、減税などによる企業の負担軽減額が2兆5000億元を超えたと見積もった。

一方、株式の取引にかかる証券取引印紙税は44.3%増の1774億元だった。金融緩和と「巣ごもり」で個人投資家の株式投資が活況だったことを示した。

参考文献・参考資料

中国経済は本当のところどこまで深刻なのか 秋以降の日本経済に影響が及ぶのは必至だ (msn.com)

中国初の時速350キロの海をまたぐ高速鉄道が試運転を開始 (msn.com)

中国版新幹線、負債120兆円 広がる赤字路線のリスク - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国高速鉄道網は経済の時限爆弾か 需要不足で負債120兆円 | JAPAN Forward (japan-forward.com)

中国高速鉄道、見えぬ収益改善 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

中国「国家鉄路」、上半期の赤字1兆6000億円超に 新型コロナの流行拡大で旅客輸送人員4割減 | 「財新」中国Biz&Tech | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

北斗の拳 - Wikipedia

中国税収、44年ぶり減少 20年、経済成長の鈍化で - 日本経済新聞 (nikkei.com)

タイ高速鉄道計画 - Wikipedia

碧桂園 - Wikipedia

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?