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政治講座ⅴ2067「近代法治国家ではない韓国」

 驚かない。韓国のよくあることである。近代法治国家ではないからである。だから、戒厳令も驚かない。罪刑法定主義を無視して遡及法(事後法)で裁くのである。権力の座から降りた人物に対する仕打ちは遡及法(事後法)で裁くのである。だから歴代の韓国の大統領は殆ど報復されて事後法(遡及法)で獄中へと送られるのである。三権分立などの理想論は通用しない。憲法をも超越する国民情緒法があるからである。今回はそのような韓国の報道記事を紹介する。

     皇紀2684年12月16日
     さいたま市桜区
     政治研究者 田村 司

報道記事紹介

中央日報「李在明代表無罪判決の判事逮捕指示」報道巡り韓国大法院「事実であれば重大な司法権侵害」


▲ソウル市瑞草区の大法院の様子。/ニュース1

 韓国大法院(最高裁に相当)が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が非常戒厳宣布後に現職判事を逮捕しようとしたのであれば、それは司法権の重大な侵害だ、と表明した。

 大法院は13日、「『非常戒厳宣布当時、李在明(イ・ジェミョン)代表に無罪を言い渡した判事を逮捕しようとした』という報道があった」「もし事実であれば司法権に対する直接的かつ重大な侵害で、深刻な懸念を禁じえない」とコメントした。

 さらに「これは法治国家で絶対に起きてはならないことであって、この件についての速やかな事実の究明と厳正な法的責任が伴うべき事案」と指摘した。

 この日、中央日報は「韓国警察庁国家捜査本部の特別捜査団が趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長の事情聴取の過程で、尹大統領が非常戒厳宣布当時、李代表の偽証教唆事件で無罪を言い渡した現職判事を位置追跡しようとした、という供述を確保した」と報じた。この件で大法院が公式声明を出したのだ。

 併せて大法院は同日、「法院行政処長はさる6日、国会法制司法委員会で『非常戒厳宣布当時の逮捕対象に前任の大法院長(最高裁長官に相当)と元大法官(最高裁判事に相当)が含まれていた』とされる件について、もし事実であれば到底納得できない不適切な措置であることをはっきりと表明した」と強調した。

国民情緒法(国民感情法)の解説

 国民世論次第で司法判断が決まるなど罪刑法定主義・法治主義・法の支配崩れがちな大韓民国の政治・社会体質を皮肉った言葉である。

 国民情緒に合うという条件さえ満たせば、行政・立法・司法は実定法に拘束されない判断・判決を出せるという意味である。韓国国内でも用いられる。

皮肉を込めて「 -法」という名が付くが、大韓民国における法律の類ではなく、不文律であり、法律や条例、条約、大韓民国憲法さえも超越する法の軽視風潮を揶揄した言葉である。
 一部の市民団体(圧力団体)や学者の私見によって具体化され、大衆世論によって成否が判断され、これを韓国メディアが後押しすることで、国民情緒法は(比喩的に言って)「制定」される。

 法の支配時効法の不遡及といった近代法の原則すら時に無視され、国民情緒という揺らぎやすい世論に迎合して、いかなる裁定をも下すことができるとされる。
 この風潮の最たる例が「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」で、この法律は「日本統治時代の朝鮮で財産を得た当時は合法だったとしても、親日行為を通じて得た財産を子孫からでも没収できる」という法律であり、この時には「法令の効力は過去の行為に遡及して適用されない」という、法の一般原則をも否定した。韓国憲法にも遡及法(事後法)を禁止の規定があるにもかかわらずである。

 国民情緒への偏重は下級の地方法院、高等法院の判決で多く見られ、大法院(最高裁)ではこれらの判決が覆ることもあった。中央日報によると「数十年前の偽装転入、半世紀を超えた父親の親日などの問題で、国民情緒に背いた(ある)公職者は現職から退く『恥辱刑』を受けた」。
 被告は「通貨危機の直後、国民の憂憤に押されて『政策も司法的審査の対象』と」されたが、結局は「最高裁で無罪が宣告された」と言う。無罪確定まで6年を要しており、当事者は長く不当な苦難を甘受しなければならなかった。

 罪刑専断主義との違いは、権力者の恣意性が必ずしも働かないという所で、逆に言えばポピュリズムに支配され、国家の法的安定性やコントロールができなくなる恐れがある点である。

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