政治講座ⅴ1930「米国の虚偽報道と移民増加がもたらす米国の変質」
独裁政権の中国の場合は都合の悪い事実はひたすら隠蔽する。
方や民主主義と言われる米国はひたすらマスコミが「虚偽の主張」と全力で否定する構図が見えてくる。
歴史を俯瞰すると民主主義国家が独裁国家に変質したナチスドイツがある。米国も一部の権力者によって独裁政権に変質しそうである。米国民の良識に期待するが、現在の米国の分断化により内戦の勃発を危惧する次第である。
今回は米国の大統領選に絡む報道記事を紹介する。
皇紀2684年9月15日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
いったい誰が得するのか…日本製鉄の「USスティール買収」阻止に動いている「犯人」と「思惑」
朝香 豊(経済評論家) によるストーリー
全くの愚策
日本最大の鉄鋼メーカー・日本製鉄が、かつては世界一の鉄鋼メーカーとして名を馳せたUSスティールを買収しようとしている件について、米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が認めないという判断を出していたことがわかった。
CFIUSは、この買収がアメリカの鉄鋼生産能力の削減につながり、輸送やインフラなどに必要な鉄鋼の供給に支障をきたす可能性があり、国家安全保障上のリスクを生じさせるとのレポートをまとめ、8月31日に日本製鉄とUSスティールに送付した。
日本製鉄はこれに対抗し、9月3日に拘束力のある国家安全保障上の協定の締結をアメリカ政府に提案した。つまり、CFIUSが懸念しているような事態は絶対に起こらないようにすると、アメリカ政府に約束したのだ。
しかしながら、バイデン大統領は大統領権限を行使してでも買収を阻止する構えを示した。民主党の正式な大統領候補となったハリス副大統領も、USスティールは「米国内で所有され、運営される企業であるべきだ」との立場を示し、買収に背を向けた。
この動きは、目下大統領選挙が戦われる中で、ナショナリズムを傷つけない方が選挙にとって有利だという、実にくだらない理由以外考えられない、全くの愚策だと言わざるをえない。
市場独占狙うクリーブランド・クリフス
この買収阻止に動いているのは、全米鉄鋼労組(USW)に加えて、クリーブランド・クリフスという鉄鋼メーカーだ。
鉄鋼メーカーには鉄鉱石から鉄を作る高炉メーカーと、鉄スクラップをリサイクルする電炉メーカーがあるが、アメリカには高炉メーカーは、USスティールとクリーブランド・クリフスしかない状態となっている。
高炉メーカーと電炉メーカーは同じ製鉄業だといっても、必ずしも競合になるとはいえない。
安価な製造という点では電炉メーカーの方が有利なので、近年は電炉メーカーのシェアが上がって、アメリカの粗鋼生産量の7割が電炉メーカーという状態になっているが、鉄スクラップとなる鉄製品はもともと製品用途に応じた混ぜものになっているので、鉄スクラップを溶かしても、そこからどんな鉄製品でも作り出せるということにはならないからだ。
鉄製品には製品用途に合わせて、炭素、ケイ素、マンガン、リン、硫黄、クロム、ニッケル、モリブデン、タングステン、コバルトなどが混ぜ合わされて作られており、鉄スクラップは最初からこうした混ぜものがあることが前提になる。
最適なバランスを持つ鉄製品を作り出すには、純度がほぼ100%の鉄を準備し、そこに混ぜたいものを混ぜたい量だけ用意して、適切に組み合わせる必要がある。こうした精密な鉄製品を作るには、高炉メーカーでないと対応できない。
クリーブランド・クリフスからすれば、競争力を失ったUSスティールが、今の弱い状態のまま残ってくれたり、クリーブランド・クリフスによって買収できたりすることが、望ましいことになる。クリーブランド・クリフスがUSスティールを買収できれば、高炉生産を100%独占できる。国内に競争相手がいなくなるのだ。
高炉でないとうまく作れない鉄製品の場合、この市場支配力を使って、クリーブランド・クリフスが鋼材価格を値上げする可能性もある。少なくとも値下げのインセンティブ、製造工程の革新のインセンティブが弱くなるのは確実だ。
日本製鉄が先進の生産技術をUSスティールに持ち込んで、クリーブランド・クリフスとの間で競争が生じることは、クリーブランド・クリフスには嬉しくない話だ。
アメリカの鉄鋼製品には25%の関税が課されており、アメリカの製鉄業はかなり強固に保護されている。ここで独占体としてあぐらをかくことができれば、クリーブランド・クリフスとしては願ったり叶ったりなのだ。そしてこのぬるま湯状況は全米鉄鋼労組(USW)にとっても都合がいいことになる。
それでクリーブランド・クリフスとUSWは、日本製鉄によるUSスティールの買収に反対しているのだ。
日本製鉄を阻止してUSSを買い叩け!
なお、クリーブランド・クリフスは、149億ドル(2兆1000億円)とされる日本製鉄の買収話が頓挫したら、日本製鉄の提示額の半値以下でUSスティールを買収する意向である。日本製鉄の買収が頓挫すれば、USスティールには身売りの相手はクリーブランド・クリフス以外に存在しなくなるから、安くてもいいだろうということなのだ。
これはUSスティールの株主にとっては冗談ではないだろう。
ここで理解しておくべきは、鉄製品は大半の製造業にとってなくてはならない基礎材料だというところだ。基礎材料としての鉄製品の価格が高くなってしまうと、アメリカの製造業全体の競争力にダメージが加わることになる。むしろこの分野で健全な競争が起こって、鉄製品の価格が下落してくれることを、一般の製造業としては求めている。このため、アメリカの産業界全体としては、この買収をむしろ支持している状態だ。
アメリカの自動車メーカーの業界団体である自動車イノベーション協会のジョン・ボゼッラ最高経営責任者(CEO)は、ホワイトハウスに宛てた書簡で「両社(クリーブランド・クリフスとUSスティール)の統合は、自動車向けの鉄鋼の65~90%を1社が掌握することになる」とし、「国内鉄鋼生産を1社に集中させる案件を検討対象にすべきでない」と釘を差した。
ところで、現在バブルが崩壊した中国では、鉄の過剰生産が生じており、これを中国は洪水的な輸出によって乗り切ろうとしている。中国の粗鋼生産量は全世界の半分に達しているが、これに加えてバブル崩壊によって国内需要が消滅している状態となっており、鉄製品を洒落にならないレベルで輸出に充てている。
日本製鉄に限らず、世界中の鉄鋼メーカーが、この中国の洪水的な輸出による深刻な打撃を受けている。南米のチリでは、同国最大のウアチパト製鉄所が操業停止に追い込まれ、2200人分の雇用が失われて社会問題になっている。
こうした中、日本製鉄はUSスティールを買収し、高い輸入関税に守られた米市場において利幅を確保することが、自社の生存戦略にとっても役立つと考えてきた。中国に対抗しようとした場合に、この日米企業連合が生まれることは、経済安全保障上むしろ重要なのだ。そしてアメリカの製造業の競争力の強化のためにも、この日米企業連合は重要な役割を果たす。
にもかかわらず、バイデン政権はこれに背を向けた。この動きがいかに不合理なものかが、わかるのではないか。
ヒラリーはウラン企業を売り渡したのに
さて、オバマ政権の時に、アメリカのウラン鉱脈の5分の1を保有するウラン生産・販売大手の「ウラニウム・ワン」が、ロシア関連企業に売却されるということが起こった。核兵器開発にも関わるアメリカのウランをロシア側に渡すのは、国防上の観点から絶対にあるまじき話だったのではないか。
この国防に関わる重大案件を承認したのは、当時国務長官だったヒラリー・クリントンだ。
なお、このロシア関連企業の経営者などからクリントン夫妻が運営する慈善団体「クリントン財団」に235万ドル(3億3000万円)の寄付があり、ビル・クリントン元大統領はモスクワでの講演に招かれ、その謝礼として50万ドル(7100万円)を受け取っていたことが明らかになっている。
こうしたことの見返りとして「ウラニウム・ワン」の買収が許されたのではないかという疑惑もある。
それはともかくとして、アメリカのウラン鉱脈に関わるウラン生産企業をロシア側に売却することには安全保障上の重大な懸念はないとしながら、日本製鉄によるUSスティールの買収には重大な懸念があるというのは、納得のいく話なのだろうか。
バイデンと習近平の裏暗い仲
さて、習近平に極めて近い企業経営者に、「万向グループ」を率いる鲁冠球という人がいる。2012年の2月に北京で「米中起業家シンポジウム」が開催された折りに、バイデンは習近平から鲁冠球を紹介された。
なお、2011年の年初からの1年半で、習近平とバイデンは8回会い、通訳だけの同席で25時間一緒に過ごし、プライベートな食事もともにする仲だった。
この鲁冠球率いる「万向グループ」は、米空軍用のバッテリー開発にも携わっていたリチウムイオン電池の開発企業の「A123システムズ」の買収に成功している。
習近平と極めて近い立場にある中国企業が、米空軍用のバッテリー開発にも関わっているリチウムイオン電池の開発企業を買収することには、安全保障上の問題はないとされたのだ。それなのに、同盟国であるはずの日本の企業である日本製鉄がUSスティールを買収することには、安全保障上の問題があることになるのか。
ちなみに「A123システムズ」のバッテリーを利用してプラグインハイブリッド車の生産に乗り出していた企業に「フィスカー」という会社がある。
「フィスカー」が工場用地としたのは、バイデン家の「裏庭」とも呼ばれるデラウェア州ウィルミントンだが、「フィスカー」は経営がうまく行かず、破産に追い込まれた。
この時に破綻した「フィスカー」に1億5000万ドルという破格の金額を提示して買収を行ったのも「万向グループ」だった。
バイデンと習近平がいかに親密な関係にあるかは、こうした件からもわかるだろう。
それはともかくとして、アメリカ政府にとっては、日本はロシアや中国よりも脅威だということなんだろうか。これは日本や日本人に対する差別ではないのか。
私は日本製鉄は、USスティールの大株主に働きかけて、動いたらどうかと思っている。
ウラニウム・ワンのロシア系企業による買収や、A123システムズの中国企業への売却が、懸念されるほどの安全保障上の問題は生じないとされながら、USスチールの日本企業への売却が国家安全保障上の問題が生じるというのはどういうことか。日本はアメリカの安全保障上の重要なパートナーではなく、むしろロシアや中国よりも危険な国家だとアメリカ政府は考えているということか。これは日本国や日本人に対する合理的な理由なき差別ではないのか。こういう声を株主たちに上げてもらうように働きかけていくことを求めたい。
日鉄のUSスチール買収計画、ホワイトハウス高官「大統領選後まで判断下されない可能性」…米紙報道
読売新聞 によるストーリー
【ワシントン=田中宏幸】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、米紙ワシントン・ポストは13日、バイデン政権が買収計画を阻止するかどうかの判断を11月の大統領選後に先送りする可能性があると報じた。ホワイトハウスの高官が「買収を巡る決定が短期的に行われるとは考えにくく、11月の米大統領選後まで判断が下されない可能性がある」と示唆したという。
カリーヌ・ジャンピエール大統領報道官は13日の記者会見で、買収を審査する対米外国投資委員会(CFIUS)から勧告は受けていないとし、「独立機関である彼らの勧告を受け、大統領が決定を下す」と述べるにとどめた。ロイター通信によると、23日の審査期限を90日間延長する可能性もあるとしている。
米欧メディアは4日、バイデン大統領が国家安全保障上の懸念を理由に買収を阻止する方針を近く発表すると報じたが、その後、米政府高官を含む専門家がこうした懸念を否定するなど批判が相次いでいた。
買収を巡っては、米大統領選の民主党候補カマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領はともに計画に反対し、政治問題化している。
トランプ氏ら(拡散の虚偽)主張「ペット食べる移民」、ハイチ政府が非難
9/12(木) 11:37
【AFP=時事】米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領や同党の議員らが、ハイチ移民が猫や犬などのペットを盗んで食べているという虚偽の主張を広めているのを受け、ハイチ政府は11日、「差別的な発言」だと強く非難した。
【写真】トランプ、ハリス両氏が激突 米大統領選討論会
トランプ氏や共和党の副大統領候補、J・D・バンス(JD Vance)上院議員および同党の議員やインフルエンサーは今週、オハイオ州スプリングフィールド(Springfield)でハイチからの移民が住民のペットを殺して食べているという主張を拡散している。
だが、市当局は、根拠のない風説だと否定している。
ハイチ政府は声明で「残念ながら、国外の同胞が選挙における政治的利益のために利用され、虚偽情報キャンペーンの犠牲となり、汚名を着せられ、人間性を否定されるのはこれが初めてではない」とし、「同胞の尊厳を傷つけ、命を危険にさらし得るこうした発言を断固拒否する」と非難した。 10日の大統領選討論会でも、トランプ氏はこの主張を繰り返し、「スプリングフィールドで、流入してきた彼ら(ハイチ移民)が犬を食べている。猫も食べている。地元住民のペットを食べている。これが今、この国で起きている現実だ」と訴えた。
討論会の司会を務めたABCニュースのデビッド・ミューア(David Muir)氏がこの主張を否定すると、トランプ氏は「愛犬を食べられたと言っている人々をテレビで見た」と言い張った。
実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏も自らが所有するX(旧ツイッター)で、この主張を拡散。全世帯の3分の2がペットを飼っている米国で、マスク氏の投稿はたちまち注目を集めた。【翻訳編集】 AFPBB News
「街が不法移民に乗っ取られた」 トランプ氏が(さらに虚偽)主張
CNN.co.jp によるストーリー
(CNN) 米国のトランプ前大統領は14日、移民が増えている中西部オハイオ州の都市スプリングフィールドについて、街が「不法移民に乗っ取られた」と主張した。
トランプ氏は最近、移民問題をめぐって扇動的な虚偽の主張を繰り返している。
バイデン政権の移民政策を批判するトランプ氏らは最近、スプリングフィールドに流入した移民が住民のペットを食べているとのうわさを広めていた。地元当局者らはうわさを否定してきたが、12日に市庁舎が爆破予告を受けて閉鎖を余儀なくされ、13日には二つの小学校で避難騒ぎも起きた。
トランプ氏は14日、訪問先のネバダ州ラスベガスで記者団に、「爆破予告がどうなったか知らないが、不法移民に乗っ取られたことは知っている。恐ろしいことだ」などと語った。
同氏は13日、「本当の脅威」はスプリングフィールドの爆破予告でなく、「国境で起きている」と主張していた。
スプリングフィールド市当局の公式サイトによると、同市を中心とするクラーク郡には1万2000~1万5000人の移民が住んでいる。市内のハイチ移民は、米国内の移民に家族の呼び寄せを認める制度の一環として、合法的に居住しているという。
参考文献・参考資料
いったい誰が得するのか…日本製鉄の「USスティール買収」阻止に動いている「犯人」と「思惑」 (msn.com)
日鉄のUSスチール買収計画、ホワイトハウス高官「大統領選後まで判断下されない可能性」…米紙報道 (msn.com)
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