政治講座ⅴ1331「リテラシーの低い人民は騙しやすい、扇動しやすい。国際社会に『中国はバカです』って宣伝しているようなもんだ!」
独裁政権と民主政権のどちらが国民にとって良いのであろうか。共産主義と資本主義はどちらが良いのであろうか。両者は一長一短があると言われている。日本は修正資本主義といわれており、両者の良いところを取り入れた社会主義制度の成功した国と言われている。
今回は『処理水』を『汚染水』と言い換えて、『汚染水』という悪いイメージを作り、海に垂れ流すという中国共産党の報道を、過去の『コロナウイルス』の中国の対処を俯瞰してみる。通称:武漢ウイルス(正式名称は「COVID-19」 )は、ウイルス蔓延した時点から情報の隠蔽とSNS情報発信者の医者を拘束したり、感染者数の発表を捏造して少なく公表していた。人民や世界への情報発信の遅れと隠蔽があった。その結果パンデミックによる医療崩壊へと繋がった。そして、都心封鎖などの物理的措置で対処した。それが、中国の経済と世界の工場の役目も機能せずに各国のサプライチェーンが崩壊した。そして、中国から海外の企業が逃げだしたことで、中国への海外投資も止まった。それと相まって、習近平氏は、中国の不動産セクターに対する締め付けを進めた。中国恒大集団を巡る危機がここ数カ月おおむね封じ込められてきたものの、習氏が不動産市場の行き過ぎを抑制したのが、リーマンショックを乗り切るための胡錦濤・温家宝政権の政策の失敗が現在表面化しているのである。
翻って科学的な根拠なしに「処理水」を「汚染水」と言って人民の反日感情を煽っているが、中国から海外投資家が逃げ出している原因(民衆感情を煽って理不尽な攻撃を仕掛ける)を理解していないようである。表題の「国際社会に『中国はバカです』って宣伝しているようなもんだ!(地元の漁業組合幹部の発言)」はまさに的を得ている発言である。この「処理水」と「COVID-19」も、リテラシーの低い中国共産党の政策が起こしていることである。
皇紀2683年9月4日
さいたま市桜区
政治研究者 田村 司
「核汚染水でラーメンを作って欲しい」中国から“迷惑すぎる電凸”が殺到…処理水海洋放出に抗議する“新世代の反日中国人”の実態
山谷 剛史 によるストーリー •1 時間
「(日本語)もしもし!(以下、中国語)核汚染水を海に流すのですか!?」
地図アプリを使って適当な店を見つけて電話をかけ、言うだけ言って電話を切る中国人の若者の動画が話題になっています。
スマホで日本に“迷惑電話”をかける中国人の若者(中国のSNSより)© 文春オンライン
また、福島県会津市から取り寄せた材料を使用しているラーメン店に“迷惑電話”をかけた中国・四川省の23歳無職の男性は、ニュース番組で「なんでラーメン屋に電話かけた?」という問いに対し、「核汚染水を使ってラーメンを作って欲しくて」と答えていました。
ほかにも、「事件です! 今新宿にいますけども、なんで(居酒屋は)中国人に対して『当店の食材は福島産です』と書いているのですか!?」と110番通報し、“バズ狙い”をする中国人インフルエンサーの動画も、SNSを騒がせています。
電凸、投石、店舗破壊…過激な行動の中心は?
「日本料理店を中華料理屋に変える!」と自ら開いた日本料理店の内装を壊す中国・貴州の若い中国人オーナーなど、福島第一原発のALPS処理水(福島第一原子力発電所で発生した放射性物質を含む水を浄化した処理水)の放出に抗議して過激な行動を取る中国人が増えています。中国在住、日本在住、無職から経営者まで、共通しているのは若い人という点です。
2012年以来、11年ぶりに反日の雰囲気が中国を駆け巡っています。中国のネットメディアや、「微博(Weibo)」「微信(WeChat)」「抖音(中国向けTikTok)」といったSNSで処理水の海洋放出に抗議する声や悲しむ声が目立っています。現地では、中国から日本への抗議の電凸(電話突撃)だけでなく、日本人学校への卵の投げ込み・投石まで起きています。在中国日本大使館や日本総領事館は、在留邦人に対して、抗議や嫌がらせに十分に注意するよう促しています。
もちろん現地中国人の誰もがそういった行動をしているわけではありません。アクションを起こしているのは、一部の若い人ばかりです。地域によって多少の差はありますが、多くの日本料理店で利用客が食事を楽しんでいることも報告されています。
とはいえ、中国メディアやSNSでは、処理水放出に反対する中国政府の意見に同調するような発信が続いています。多くの現地中国人の間では「日本は有害な海洋放出をしている」という前提を共有した上で、「排出を仕方ないと思うか否か」「日本に抗議するか否か」を議論するという状況になっています。
2012年以前の反日活動と今回の“違い”
中国の反日活動は今回が初めてではなく、11年ぶり数回目となるわけで、筆者は最初「またか」と見ていたのですが、11年前とは前提が変わっていることに気づきました。それがひいては、今回の反日活動の特徴に繋がっていると感じています。
まずこの11年で中国が強くなった。ご存知の通り経済力が上がり、それだけでなく日本でも中国製品の存在感が高まってきました。この11年で中国人観光客の爆買いがあり、中国製のスマートフォンやゲームが世界で台頭。さらに、中国のITやチャイナコスメなど、様々なジャンルで中国を過剰に褒める「中国スゴイブーム」が起こり、それをインフルエンサーが宣伝し、日本の若者が中国に惹かれたわけです。
中国製スマホのシャオミ、ファーウェイ、OPPOなどは世界的に有名で、日本でもよく売れています。反中感情の強いインドでも中国製スマホは売れていて、使われています。コスパは良いし性能は悪くないし撮影クオリティも高い。
対して、2012年以前の反日デモではスマートフォンが普及していなかったので、中国人が日本のデジカメや業務用ビデオカメラで日本製品不買を訴えるデモを撮影していました。反日なのに日本製品を使うことは、当時ずいぶん話題になったもので、デモをしていた人は矛盾と屈辱を感じていたでしょう。
スマホだけではありません。11年前と比べてEVも普及したため、それまで人気だった日本のガソリン車は投資価値がないと判断され、中国で売れなくなっています。中国では、家電も自国のメーカーが席巻。ハイテク産業や車だけでなく、これまで安全でないと思われていた食品分野でさえも、「HEYTEA」などのティードリンクをはじめ、多くの“中国ブランド”が売れるようになりました。
中国では、自国の伝統的な文化と現代のトレンドを融合させる「国潮(グオチャオ)」と呼ばれるブームが起きて、ベンチャー企業が資金を調達しては奇抜なデザインの商品を次々と出すようになり、中国製や中国ブランドが特に若い世代から信頼されるようになりました。「国潮」という大きなブームの中、様々なジャンルで中国的なモノが次々と登場し、流行して、あっという間に廃れていったのです。
今回の反日電凸を行う若い世代は、自国のトレンドの流行り廃りを経て「他人とは違う自分でありたい」とオリジナル志向を示すようになった、と様々な調査結果で言われています。
「スマホはアヘン」と注意喚起が出るほどネット漬けの中国人
しかし、中国人にとって日本は無視できる存在になったかというと、そうではありません。日本への旅行は身近になり、爆買いをするだけでなく、生の日本を感じるために来日する人が増えたのはご存知の通り。この10年で、日本のグルメドラマ「深夜食堂」や「孤独のグルメ」の中国版が製作されて人気を得たり、中国の大手ゲームメーカー・ネットイースが開発した、日本の平安時代を舞台にしたゲーム「陰陽師」も大ヒットして若者に支持されました。日本の様々なアニメが中国の小中高生のハートを掴んで、日本語も身近になりました。
「ガチ中華」の逆版ともいえるリアル日本料理志向も進み、焼き鳥と日本酒のバーが中国で人気になっています。
さらには日本料理や日本旅行ブームに乗っかって、日本のネオン街をそのまま中国国内につくり、ニセ江ノ電車両やニセ和歌山電鐵車両が置かれ、「映えスポット」として中国の若い世代に注目されています。日本らしいものに多くの若い世代が関心を持つようになったわけです。
そうした中国のブームを下支えしたのが、爆発的に普及したスマートフォンと、動画系を含むSNSです。中国のネットユーザーは、2012年末で5億6400万人だったのが、2022年末には10億6700万人まで増えました。しかも情報取得方法がパソコンからスマホに変わったことで、ユーザーは四六時中ネットの情報を見るようになり、「スマホはアヘンだ」と注意喚起が出たほどなのです。
昔に比べて圧倒的に情報が多くなり、バスや列車内も含めてテレビなどの公式情報を見るのではなく、スマホを使ってSNSで情報を得て、それを発信するようになりました。その代わりに、習近平体制下でさらにSNSの規制が強化され、前向きな中国情報ばかりが配信されるようになりました。
今回の福島第一原発のALPS処理水海洋放出の件でも、日本やIAEA(国際原子力機関)の情報や、ガイガーカウンター(放射線量計測器)を買って調べたら中国国内のほうが放射線量が高かった、といった情報をSNSに投稿したら、爆速で消されるように。中国で無数に雇われているネット検閲員は、近年にないブラック労働を強いられて、さぞかし大変ではないだろうかと推察します。
一過性のブームだという指摘も…それでも日本叩きがなくならない理由
日本料理店の店長から無職、インフルエンサー、“電話ガチャ切り”の名もなき若者まで、今回の反日活動は、勢いのある中国を見て育ち、なおかつスマホと動画に強い若者が参加しています。しかし、「国潮」ブームの瞬間的な盛り上がりを踏まえると、今回も一過性のブームだと思います。バズりを狙い、新しいストレス解消を求める若者が湧いて出てきて、新たな嫌がらせで集中的に盛り上がって引いていく動きは、今後もあるかと思います。しかも「他人と違う感じがいい」という若者の風潮から、予想だにしない嫌がらせの手法が生まれるかもしれません。
迷惑電話をはじめとする今回のアクションを起こした20代は、まだ結婚や子育てをしておらず、養育費やローンを抱えていません。それより上の世代のアクションがほとんどないあたり、若気の至りでやっているように思えてなりません。中国でも20代は夢見る世代で、30代以上になると落ち着くものです。活動に加わった若者も30代や40代になれば、今回のような行動は取らなくなるでしょう。
しかし、結局また下の世代が憤って行動を起こしてしまうわけで、今後も反日活動は何年かに1回発生するのではないかと思います。日本車や日本施設の破壊、日本への電凸は、これまで政府がぴしゃりと禁止すれば最終的に鎮まったので、今回も早く日本への嫌がらせを禁止してほしいものです。ただ、9月3日の「抗日戦争勝利記念日」や、9月18日の「柳条湖事件式典」、9月23日から杭州ではじまるアジア競技大会もあるので、まだまだ反日活動は続きそうです。
(山谷 剛史)
福島絡みで中国で放射線測定器が「バカ売れ」、ただし対象が何であっても警報音
Record China によるストーリー •56 分
中国政府は、日本の福島における処理水の海洋放出は「極めて危険」と主張し続けており、メディアも自国政府の論調に基づいた報道を続けている。中国人は一般に「自分の健康は自衛するしかない」と強く思う場合が多いため心配する人も多く、家庭向けの放射線測定器が大いに売れるようになった。ただし実効性は極めて疑わしく、測定対象が何であっても警報音を出す場合があるという。
上海在住の女性の徐さんは8月29日夜、自宅で上海ガニを調理した。そして、しばらく前に通販サイトで購入した放射線測定器で、蒸しあがったカニの放射線を測定したところ、警報音が鳴り響いた。その場にいた全員がパニック状態になってしまったという。
ところが徐さんが翌日、自分の娘の腹部にこの測定器を向けたところ、やはり警報音が鳴り響いた。そのことで、徐さんは警報機の性能を疑うようになった。
徐さんによると、放射線測定器を買ったのは8月で、価格は368元(約7400円)だった。通販サイトでは放射線測定器は極めてよく売れているらしく、すでに品切れになったショップもある。さらに価格も上昇しており、徐さんが購入した測定器と同じ商品が、現在は458元(約9200円)で売られている。
徐さんはさらに、同じ測定器を起動して机の上に置いた。すると2分後には、測定値が基準の3倍以上の毎時3.33マイクロシーベルトに跳ね上がった。
同件についてアモイ大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長は、「海産物を対象とするこの種の被ばく試験は、これまで実施されたことがなかった。少なくとも中国ではなかった」と指摘。林院長はさらに、メーカーがどのような指針で製造したのか分からないと述べた。
専門家は家庭における放射線測定は「基本的に役に立たない」と指摘している。仮に本当に被ばくした場合でも、自宅で薬を服用して治療できるわけではなく、病院で科学的な方法で診断と治療を受けるしかないからだ。
中国には「智商税商品」という言い方がある。日本語に訳せば「知能指数税商品」で、知識や判断力が欠如していたために、雰囲気や宣伝に影響されて必要がないのに購入してしまい、後悔しつつ「要するに授業料を払わせられのか」と思うしかない商品のことだ。中国では、最近になって大いに売れている放射線測定器についても、「智商税商品の一種」との意見が見られるようになった。(翻訳・編集/如月隼人)
中国で放射線測定器が売れ筋商品に 専門家「あまり役に立たない」
8/30(水) 22:09配信
【8月30日 CGTN Japanese】日本が24日から放射能汚染水の海洋放出を開始したことで、中国の各大手オンラインプラットフォームでは放射線測定器が売れ筋商品になっています。中国最大のショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」の人気商品検索データによると、放射線測定器など関連商品の検索件数はここ1週間で232%増加したということです。 関連商品の価格は200元から1000元(約4000円~2万円)までさまざまです。これら商品の説明には、食品、化粧品、海鮮、鉱石、大理石などを対象に、X線、ベータ線を含む放射線を測定できると表示しています。複数の店舗のカスタマーサービスによると、最近は注文が集中して在庫がなく、出荷までには時間がかかりそうだということです。 これに対して、専門家は「放射線の測定には機械による検査だけでは不十分で、サンプルの採取やサンプルの前処理、対応する検査方法の確立も必要だ」との考えを示しました。 華南理工大学環境・エネルギー学部の張永清(Zhang Yongqing)教授は、測定に当たってはサンプルに含まれる物質ごとに測定方法が異なると指摘しています。
例えば、魚の放射性を測定するには、
まず非食用部分を取り除き、
次に細かく刻んで蒸発皿に置き、
加熱して炭化させ、
マッフル炉に移して
灰化してから測定する必要があります。
そのため、一般の人々にとっては、専門知識を持たずに通常の機器で放射能汚染を発見するのは実に困難だということです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News
上海の自宅で放射線量を測定したら東京の976倍に!?―台湾メディア
Record China によるストーリー •4 日
中国・上海市の自宅で放射線量を測定したところ東京の976倍の数値を記録したとの情報について、専門家から「日本の処理水海洋放出が中国不動産市場の危機を加速させる」との見方が出ている。台湾メディアのNewtalkが伝えた。
日本が24日、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を開始したことが中国の強烈な反発を招き、中国各地では不安を感じた人々が塩を買い占める現象も発生している。そうした中、中国のあるネットユーザーが先日、「ガイガーカウンター(放射線測定器)で自宅を測定してみたところ、数値は福島の3.0マイクロシーベルトよりもひどく、最高で9.7マイクロシーベルトになった。本当に驚いた。中国中央テレビ(CCTV)のニュースによると東京の数値は0.01マイクロシーベルト。うちは東京の976倍になる」とし、「カウンターは半年前に購入したが、まさか自宅で(数値が)爆発すると思わなかった。もう頭が痛い」とつづった。投稿された場所は上海だった。
カナダのヨーク大学の沈栄欽准教授は「中国国民は放射能汚染された物を避けるためにガイガーカウンターを購入して水産品を検査しているが、多くは汚染を発見できなかった」と指摘。その上で、「中国の建材には広く基準値を超える放射性物質が含まれるという問題が存在し、このことは多くの中国国民を非常に驚かせている。各都市が相次いで検査を行っているが、初歩的には中国の建築物の放射能汚染状況はおそらく珍しいことではないと示された。人々は不動産業者に不満を言い始め、中には政府当局との癒着を疑う人もいる」と説明した。
同氏はまた、「恒大から碧桂園、SOHOに至るまでの財政危機は、もともと中国の不動産バブルを崩壊させるものだったが、今では放射能汚染は海からではなく、自宅やオフィスから来ており、毎日基準値を超える放射能汚染にさらされていることが分かったのだ」と指摘。「この発見は墜落しつつある(中国の)不動産市場に追い打ちをかけるようなもので、中国経済をさらに困難に陥れるものだ」と論じた。(翻訳・編集/北田)
中国で線量計の購入増える 中国メディアは冷静な対応呼びかけ
テレ朝news によるストーリー •1 日
処理水の海洋放出以降、中国で線量計を個人で購入する人が相次いでいますが、中国メディアは冷静になるよう呼び掛けています。
上海メディアなどによりますと、先月29日夜、上海で旬の上海ガニを食べた家族が中国国内の処理水の報道を見て不安を覚え、ネットで購入した線量計で娘のお腹を測定したところ、基準値を超えたことを示すアラームが鳴ったということです。
上海ガニは淡水性で川や湖に生息する期間が長いとされています。結局、アラームが鳴った原因は機器の故障などによる可能性が高いということで、市民の困惑ぶりが反映しています。中国メディアは市販の線量計で得られるデータは正確でない場合もあると指摘しつつ、「一般市民が線量計を購入する必要性は低い」と冷静になるよう呼び掛けています。
【福島現地ルポ】漁師たちが処理水放出に反発する中国に冷静反論「食いたくねぇなら結構」「自分の首締めてるのがわかんねえのか」
NEWSポストセブン の意見•2 時間
処理水の放出により反日ムードが高まる中国から、日本各地に様々な嫌がらせが届いている。バッシングの中心にいる福島の漁港では、怒りを抱えながらも“その先”を冷静に見据える人々がいた。ジャーナリストの西谷格氏がレポートする。
福島第一原発から半径50キロ圏内に位置する相馬市の松川浦漁港。大ぶりの鯛の下処理をしていた男性は中国について吐き捨てるように言った。
「俺たちも大変な思いをしているのに遊び半分でこんなことされてさ。一生恨むよ」
男性が憤るのは、処理水放出とほぼ同時に始まった中国からの集中的な迷惑電話だ。飲食店やホテル、公共施設など、“電話攻撃”の対象は多岐にわたる。福島県庁には1日で500件もの着信があり、職員たちは暴言を吐かれたり、大声でまくし立てられたりした。
地元の特産品などを扱う「浜の駅 松川浦」を訪れると、店長が困惑した様子で語る。
「1日100件ぐらい鳴る日もありました。電話に出ても何を言っているか訳が分からず、一方的に切れてしまうんです」
今も迷惑電話に悩まされている相馬市内のホテルの女将も言う。
「午前0時とか深夜3時とか、とんでもない時間にかかってきます。職業柄、寝る時は枕元に携帯電話を置いているので、睡眠不足になってしまいました。うちに言われても……と思いますし、やり方が汚いですよ」
ホテルの電話に残された中国の番号に筆者が折り返すと、若い男性が出て、「スマホの調子が悪くて、たまたま間違えてかけてしまったんだ。ただの偶然なんだよ。本当だ」と繰り返すのだった。
匿名を条件に地元の漁業組合幹部が語る。
「処理水の放出に反対の立場は崩せない。万が一、日本のどこかで海産物から基準値超の放射性物質が検出されたら、福島が悪者にされかねないからな。ただ、政府と真っ向から対立するつもりはないよ。国の支援のおかげで船も修理できて港もきれいになったんでね」
中国の対応には怒りを覚えつつも、冷静だ。
「禁輸は長くは続かねぇよ。ほとぼりが冷めたら徐々に緩むだろう。中国に言いたいのはさ、あんたらは自分の首絞めてるのがわかんねえのかってこと。こんなに大騒ぎして何の健康被害も起きなかったら恥をかくのはそっちだぞ。国際社会に『中国はバカです』って宣伝しているようなもんだ」
別の漁業職員も同じ意見だった。
昨今、中国では空前の日本食ブームが続いており、とりわけホタテなどの海産物は日本産の人気が高い。彼らもまた、好んで食べていた日本の海の幸を自ら手放している。
禁輸措置に対して慌てたり頭を下げたりするのは禁物だ。安易に譲歩すると、かえって解決が遠のくのが中国である。
漁師たちが心配しているのは、あくまで風評被害。ならば、福島産の食材を皆で「食べて応援」すれば、地元の不安は払拭されるはずだ。
「全人類的罪人」
日本国内よりも苛烈な「反日嫌がらせ」が横行しているのが中国国内だ。青島の日本人学校は投石され、別の日本人学校でも卵が投げ込まれた。北京の日本人学校では校門にバリケードを設置することになった。
ネット上で日本産の海産物は〈核海鮮〉と呼称され、日本人に対しては〈大核民族〉〈全人類的罪人〉といった言葉が並ぶ。〈放射能ブランド〉と称して日本の化粧品メーカーリストが出回り、不買運動も呼びかけられた。
一方で「処理水は問題ない」とする書き込みは続々と削除されており、中国当局は“意にそぐわない”投稿に神経を尖らせているようだ。
街中でも時折不穏な空気が流れており、「日本料理店で中国人と日本人が処理水の問題で口論になっているのを見ました」(上海の日本人駐在員)との声もある。
広東省では日系企業で働いていた中国人が「福島の放射能のせいで健康被害が出た。治療費を払え」と会社に要求する事案もあったようだ。
SNS上には日本叩きの「動画」も大量にアップされている。たとえば、中学校の女性教師が電子黒板の前に立ち、生徒にこう声を張り上げる。
「日本人というのはまったく恥知らずです」
「汚染水の排出は人道に反しており、国際法にも違反しています」
黒板には岸田首相の顔面の写真が大きく引き伸ばされており、憎悪対象として教師は何度も指を差す。日本がいかに自己中心的かつ非人道的であるかを滔々と説明すると、生徒たちは「畜生め!」「人間じゃない!」と怒りのボルテージを上げた。
「みなさん日本を罵りたいと思いませんか? 日本を批判しましょう!」
こうして教師は作文の授業で子供たちに岸田首相への手紙を書かせるのだった。動画の投稿者は「この先生は素晴らしい!」と絶賛した。
中国貴州省からは、自身の経営する日本料理店を自らの手で破壊する男性の姿が投稿された。
「俺には中華民族としての思いがある。日本に関するものはすべてぶっ壊すことにした!」
店内の壁に貼られていた日本アニメのポスターをビリビリと破り、暖簾や装飾品を乱雑に引き裂いていった。今後は中華料理店としてリニューアルするという。
上海の日本料理店では、「日本産不使用」を宣言する店も現われ、事態は混沌としている。
中国からの圧力は始まったばかり。福島の漁師たちのように、動じることなく対応したいものだ。
【プロフィール】
西谷格(にしたに・ただす)/ライター。1981年、神奈川県生まれ。地方紙『新潟日報』記者を経て、フリーランスとして活動。2009年に上海に移住、2015年まで現地から中国の現状をレポート。著書に『香港少年燃ゆ』『ルポ 中国「潜入バイト」日記』など。※週刊ポスト2023年9月15・22日号
蛇足と蘊蓄
「核兵器の放射線被害は軽視された」 原爆を調査した米医師孫の思い
2022年11月16日
ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用の脅威が高まっている。壊滅的な被害をもたらす兵器も肯定する考え方の源流には、広島・長崎における放射線の影響を隠蔽(いんぺい)した米軍の活動があると米ウィリアムズ大のジェームズ・L・ノーラン Jr.教授は指摘する。核兵器を正当化するような言説にどうあらがえばいいのか。
――著書「ATOMIC DOCTORS」の翻訳「原爆投下、米国人医師は何を見たか」(藤沢町子訳、原書房)が7月に出ました。
「祖父は米国の原爆開発『マンハッタン計画』に参加し、1945年9~10月、広島・長崎に調査に入った医師でした。83年に亡くなり、資料は父が引き継ぎました。父の死後、10年ほど前に母が資料の入った箱を見つけました。大変驚いたことに、祖父の日本滞在中の写真や、計画の科学者を率いたロバート・オッペンハイマーとのやりとりが記された文書などが入っていたのです。これを本にしようと思ったのは、祖父が関わったという個人的な側面のほかに、極めて重要な歴史のことがらだからです」
――原爆では多くの人が亡くなり放射線の被害を受けました。
「この本は祖父の個人的な物語であるとともに、原爆を開発して使用し、いまも実験を続けている歴史についての物語でもあります。祖父は原爆投下後の広島・長崎を訪れた最初の米国人グループの一員として、破壊力や放射線の人体への影響を調べました。被爆者らが放射線の影響を激しく受けていることを確認したのです。軍からは放射線の影響を軽視した言説をつくるようにとの圧力を受けていました。計画の軍トップだったレスリー・グローブスに対して、医師らは残留放射線があると報告していました。しかし、グローブスは45年11月の連邦議会で、報告に反して放射線の影響を隠蔽したのです。祖父らは広島・長崎の人々が放射線の影響で亡くなっているのを目撃し、自分たちにも放射線による症状が起きていました。なのにグローブスは、残留放射線は全くなく急性放射線障害は最小限だと議会で発言しました」
――医師らは残留放射線について報告したのに軍が隠蔽して、広島・長崎は安全だと宣言したのですね。
「その通りです。これは核時代の黎明(れいめい)期から続いているパターンなのです。たとえば、広島・長崎への原爆投下前、米ニューメキシコ州のトリニティ・サイトで世界初の核実験が行われたときにも、医師らは放射性降下物の影響を心配し、周辺住民を避難させるよう進言していました。グローブスは避難によって原爆開発の秘密が漏れることのほうを心配していました。計画の医師らのトップだったスタッフォード・ウォレンはグローブスに、核爆発後に兵士らが立ち入ると激しく被曝(ひばく)すると文書で警告したのに無視されました。戦後、太平洋のマーシャル諸島で核実験を行う際にも医師らは警告しましたが、軍は軽視するか、無視したのです。これは繰り返されてきたことなのです」
――グローブスは医師らの権威を利用した調査をしつつ、原爆使用を正当化するための広報活動をしたということですか。
「そう言ってもいいでしょう。グローブスは放射線の影響を軽視することに重要な役割を果たしました。そもそも45年9月に医師たちを日本に派遣する際に、『君たちには放射線がないことを証明してほしい』と言っています。日本に行く前にテニアン島でのミーティングで、調査団の軍の副責任者だったトーマス・ファレルも『放射線がないことを証明するために我々は日本に行くのだ』と語りました。軍は広島・長崎における残留放射線の被害はないことにしたかったのです。議会で証言したグローブスは放射線の影響を軽視してこう言いました。『ごくわずかな人々が放射線によって死んでいます。医師たちは私にとても安らかな死に方だと言いました』。医師たちが言ってもいないことを彼は証言したのです。まさに、医師たちを利用して放射線の重大な影響を軽視することを補強したわけです」
1962年生まれ。米ウィリアムズ大教授(社会学)で研究分野は法と社会など。原爆開発の「マンハッタン計画」に参加したジェームズ・F・ノーラン医師の孫。
――現在まで続く広島・長崎の放射線被害の過小評価につながっているように見えます。広島では放射性降下物を含む「黒い雨」にあった人たちが、ようやく被爆者と認められました。長崎では同様の「被爆体験者」はなお対象外です。放射線の長期的影響や、呼吸や飲食によって放射性物質を体内に取り込む内部被曝の危険性が考慮されていないという人もいます。
参考文献・参考資料
「核汚染水でラーメンを作って欲しい」中国から“迷惑すぎる電凸”が殺到…処理水海洋放出に抗議する“新世代の反日中国人”の実態 (msn.com)
福島絡みで中国で放射線測定器が「バカ売れ」、ただし対象が何であっても警報音 (msn.com)
中国で放射線測定器が売れ筋商品に 専門家「あまり役に立たない」(CGTN Japanese) - Yahoo!ニュース
上海の自宅で放射線量を測定したら東京の976倍に!?―台湾メディア (msn.com)
「核兵器の放射線被害は軽視された」 原爆を調査した米医師孫の思い [核といのちを考える]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
中国で線量計の購入増える 中国メディアは冷静な対応呼びかけ (msn.com)
日本はなぜ貧富の差が少ないのか? その理由は?=中国メディア (2019年12月19日) - エキサイトニュース (excite.co.jp)
【福島現地ルポ】漁師たちが処理水放出に反発する中国に冷静反論「食いたくねぇなら結構」「自分の首締めてるのがわかんねえのか」 (msn.com)
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