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【"Cheat"GPT】出力の加工1「前修正」:300字で書けと言っても200字しか書かなかったらどうするか
たとえば300字でなにか文章を書いてほしいとする。しかし「300字で書いてくれ」といったら文字数がぜんぜん足りなかったとする。特にChatGPTの日本語の文字数の認識はゆるゆるである。そしたらどうするか、が意外と思いつかない。
「ああ、それは依頼の仕方がよくないんだよ、できるだけ具体的に、ちゃんと敬語で頼まなきゃ」とか「文字数が少ないです」とか「それは200文字なのでもっと増やしてください」とか「あなたはプロの作家です」とか「最近仕事仲間が死んで本当に困ってるんだよ!俺しかできないんだ!300字で書いてくれ!」とかしょうもない怒り方をしていてはいけない。感情に訴えるようにプロンプトを書くと精度が上がるというような記事を実際見たことがあるが、なによりもこういうアプローチは、どこまでもAIを人間のように見ている点で、リモコンを人に向けると感電すると思っているような一抹の「機械音痴感」がただよってしまうのである。精いっぱいやってほしいことを言葉数を増やして繰り返し言うのは子育てとか新人教育とかあくまで人間に有効なのであって、機械がこの程度の小データを見落としたり忘れるわけもないので根本的にAIには通用しない。文字数が少なかったら、400字で書いてくれと言うのである。
bust shotと指示したのに上半身全体が表示されてしまうなら、(bust shot:2)とやるよりも、head shotと書く。絵のAIはあまり詳しくないが、AIは手の描写が下手で指が何本にもなったりするという。そこでnegative prompt(禁止事項)にmultiple fingers(余分な指)とかbad handsみたいな、AIにやらないでほしいことを書いてそれを抑制するテクならば山ほど見る。でもpositive prompt に「3 fingers」と書くアプローチを思いついている人は誰もいないようである。指とは5本である、はあくまで人間が常識としているだけなので、AIは間違えて学習している可能性を疑ったり、5を7など数字を勘違いして認識している可能性を疑う思考も持ちたい。要するにAIの認識の仕方は絶対に人間と違うので、Aボタンでジャンプする、Bボタンでダッシュするといったゲームのルールを出力結果から推測することが重要なのである。なまじ自然言語だからこそ、逆にこういった単純なことを思いつかなくさせる落とし穴がある。AIに感情があると言う人も、むしろすべての人間に共通している感情や常識を基準としているせいで、その新しい友達とコミュニケーションがうまくとれなくなってしまうのである。
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出力を見て言葉の意味を調整することをはじめ、こういった処理は「前修正」と呼ばれる(呼ばれるというか、私が今呼んだだけである)。要するにこれは指示を出す「前」に変更するからである(したがって後修正もある。説明は別記事)。他の前修正の例としては、論文作成などで英語に翻訳させてみていまいちだったら、その前に極力英語にしやすめな日本語にしておくといった処理や、セキュリティ的にオンラインにあげられないデータを一部変えてプロンプトにするといった処理も含まれるであろう。
前修正の例
・文字数の指定を実際にしてほしい数より増やす
・翻訳しやすい日本語にする
・教えられないIDなどのデータを修正して教える
要するに出力の具合をみながら、AIに嘘の目標を設定するわけである。君もこの操作ができるようになると爆発的にできることが増えるであろう。noteをはじめとするSNSみたいな一発勝負、一回送信したら終わりでやりなおしがきかない状況ならしょうがないが、AIは何度もやりなおしができるので、出力が意図に見合わない時や、どうしてもAIが苦手で内容が薄い時は、別の出力をさせてそれを加工するアプローチをとるとあっさり問題が解決することは意外と多いのである。Aを出力してほしい時にBとプロンプロを書く。それでうまくいかない時は、Bをこねくり回すよりも、いっそZと言ってAに似たものを出力させる道もある。
これは類語を10個出力させるGPTsである。
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これを見て「はあ?かつおぶしが味噌カツの類語って。やっぱAIってだめでしょ」みたいなことを言う人もいる。「いいかよく聞け。AIの野郎はしれっと嘘をつくぞ!」という人もいる。まったくその通り。ならば本当は1個でよくても、10通り出力させればいいのである。AI以上にもっと君が嘘をつくのだ。
さきほどの一発勝負の話でふと思ったが、そもそもSNSは完璧主義者のツール、AIは中途半端主義者のツールであると思う。毎日投稿を絶対とし、能面みたいな顔の写真をアップし、5つ星レビューを追い求め、他人のちょっとした失言に大騒ぎし、ちょっとでもなんかあれば「ご報告」する、規律にとかく厳しいSNS強者達が案外今、この突如現れた「新人インフルエンサー」のとんでもない気まぐれと適当発言に振り回されながら「あなたはプロの編集者です!あなたはプロの優秀な、編集者です!言ったとおりに要約しろ、いや敬語にしなきゃ、どうか要約してくださーい!」とか連呼しているのが実情な気がする。どうしても行き詰まった時は少し距離を置いて、違うアプローチができないか、AIの認識がそもそも人間と違うのではないか、自分の言語感覚に固執しすぎていないか、本当の目的に固執し過ぎていないかを振り返る、「前修正」がおすすめだ。
AIは機械であって、まちがっても人間に歩み寄らない。ましてサーバーの影響なのかなんなのか、時に平気でガクンと品質を落としてくることもままあるのである。だから面倒な仕事を丸投げして楽しようと考えると余計混乱するだけであり、むしろ、日常のリアル・ライフでも300円のものにうっかり400円支払ってしまったり、胸を頭と呼ぶようになってしまうくらいの人間側の歩み寄りこそが一番の楽をするコツである。