【13回落ちた話】失敗から学ぶ効率的な勉強法
自己紹介
新卒で入った会社で法人営業を3年半経験したのち、未経験でデータサイエンティストになった人です。
Xでデータサイエンスのことや勉強の様子を発信してるのでぜひフォローしてください!
この記事の要約
統計検定準1級は普通にむずい
ワークブックは隅から隅まで読み尽くせ
Notionで効率的に勉強しよう
なんでこの記事を書こうと思ったか
数多の不合格を叩きつけられ続け、先日漸く準1球に合格したわけですが、振り返ってみると、このまま「合格したー!やったー!」で終わらせるわけにはいかないくらいの時間と受験費を注ぎ込んでしまいました(苦笑)
巷では「統計検定準1級に1ヶ月で合格した」みたいな素晴らしい体験談をしばしば見受けますが、安易に手を出すと「過去問と傾向が違う」、「公式のワークブックの説明むずすぎ」、「範囲広すぎ」などいくつものトラップに延々と沼ってしまうので、これから受けようか迷ってる人、これから受ける人に向けて気をつけてほしいポイントを自分の反省を踏まえてまとめていきたいと思います!
この記事の想定読者
特に以下のような方を想定して書いていきます!
統計検定準1級を受けようか迷ってる人
現在学生/社会人でデータサイエンティスト職に就職/転職を狙ってる人
現在データ分析職で統計検定準1級がどんなもんか知っときたい人
現在統計検定準1級の勉強をしている人
筆者のバックグラウンドは?
私のバックグラウンドはざっくり以下のような感じです
理系学部出身(機械系の学部だったので統計の勉強はしたことなかった)
約1年半前に独学で統計検定2級に合格
約1年前にデータサイエンティスト職に転職、準1級の勉強開始
準1級ってそんなむずいの?
統計検定自体の詳細な説明は省き、難易度に焦点を当てて語っていきます。
客観的な数字としては合格率35%前後と結構低めです。
百聞は一見にしかず。実際の問題は↓のような感じです。
むずそ〜〜〜〜!!!!
って思いません?自分は勉強始める前はむずそうって思っていましたが、実際に勉強してみるとちゃんと難しかったです。
完全に自分の主観ですが、各級の難易度/世間の評価は以下のような感じだと思います。
1級:統計のプロ、大学数学をちゃんと理解し統計学の専門家と名乗れるレベル。
準1級:データサイエンティストなどの統計を扱うデータ分析専門職ならとっておきたいが、業務で直接使える知識はそんなに多くない(扱う分野が広すぎる)。非データ分析職にとってはオーバーワークかも。一方、新卒、未経験転職でデータ分析職を目指す方は、ここまで取れるとめっちゃ差別化できる。
2級:データサイエンティストならほぼマストで必要な知識レベル。逆に2級レベルがわかっていればとりあえずデータ分析業務は大体できる。新卒/転職でデータサイエンティスト職を目指すなら取っておくとアピールになる。
自分はデータサイエンティストの肩書きに箔を付けたいな〜くらいの気持ちで勉強を始めましたが、終わってみると取得にめっちゃ時間がかかってしまったので、取得自体が目的(就活/転職活動でアピール材料にしたい人など)だとタイパ/コスパはそこまで良くない(良くなくなるリスクが高い)かもなあと感じました。
また、統計検定準1級は2021年まではPBT方式(紙の筆記試験)だったのですが、現在はCBT方式(パソコンで受ける試験)になっています。PBTの時は一年に1回しか受けるチャンスがなかったのに対し、CBTでは自分の好きなタイミングで1年に何回でも受験できるようになり、合格しやすくなったように見えますが、全くそんなことはなく、むしろ部分点などをもらいにくい分、難化していると思います。
自分の勉強方法を振り返ってみる
ここからは自分がどんな感じで勉強したか振り返っていきたいと思います。
まずは過去の受験時の得点遷移を見ていきましょう。
落ちすぎじゃね?
こうやって改めて見てみると落ちすぎてて笑えてきますが、恐ろしいのは3回目で58点を取り、もう少しで受かりそう!ってところからめっちゃ沼ってるところです。想像以上に60点の壁を破れず、途中めっちゃ迷走していることがわかります。
それではその謎に迫るべく、時系列順にさらに深掘って振り返っていきます。
◾️過去問に付箋ペタペタ期(勉強開始〜受験1回目)
・使ってた教材:ワークブック、過去問
・勉強方針:過去問とワークブックの解いた問題に付箋を貼ってく
みんな大好き最もプリミティブな勉強管理方法「付箋」。ワークブックや過去問の問題を解いたら付箋をペチペチ貼って管理してました。当時はワークブックより過去問に力を入れており、過去問の解けなかった問題を重点的に練習してましたが、今振り返るとマジで効率悪かったですね。
過去問の問題集は問題自体は良問ですが、問題の出され方や出題されやすい範囲が現在のCBT方式の試験と傾向が違いすぎており、試験対策として過去問ばかりをやるのはネテロもびっくりするくらいの超悪手でした。
◾️スプレッドシートで管理期(受験2回目〜6回目)
・使ってた教材:ワークブック、過去問、とけたろうさんのnote
・勉強方針:とけたろうさんのnote+ワークブックの章末問題を解く
過去問と付箋での管理に限界を感じ、次に始めたのがスプレッドシートで勉強管理をしていく方法。問題を解いた日、正誤を問題番号ごとに記録していき、関数で次回復習予定日を算出し、忘れかけそうな頃合いで間違えた問題を復習していました。
教材もワークブックだけでは全然理解できなかったので、とけたろうさんのnoteに課金し一気に理解が進んだ時期でした。とけたろうさんのnoteは結局最後まで何回も読み返してたくらいお世話になりました。
ただこの頃の1番の失敗は「とけたろうさんのnoteを過信しすぎた」こと。いかんせんワークブックの範囲が広すぎるがために、最低限の労力で合格したいという甘い考えを持った私はとけたろうさんが(当時)取り扱ってた20個程度の分野ばかり勉強して、他の分野はほぼ捨ててました。
(参考:ワークブックは32章まである)
準1級はマジでワークブック全部が範囲です。なんか参考程度に書いてあんな〜みたいなとこから問題出してきます。ワークブックの各章の章末問題だけ解ければいいや〜という考えは今すぐ捨ててください。
また、スプレッドシートの管理にも弱点が見えてきました。例えば、苦手な問題を抽出するために、一つの列で各問題にタグ付け(例:重回帰分析、主成分分析、etc…)をして管理したくても、実装が難しかったり、表形式(横持ち)で管理すると解いた日付が増えるほど列が増えていってしまうなど、使えば使うほど不便なところが露見してきました。
◾️Notion移行期(受験7回目〜14回目)
・使っていた教材:ワークブック、とけたろうさんのnote、多変量解析法入門、(マセマ演習 確立統計)、ChatGPT o1-preview
・勉強方針:ワークブックの章中の例題含め、できる限り全部理解する。
この頃から、意識を変えないと一生合格できないことを悟り、他の参考書などを買って読んでみたり、ワークブックの今まで良くわからない(試験には出なさそうと勝手に思っていた)ところを丁寧に読み込んでみたりと、ひたすら理解できてない箇所を丁寧に潰す作業をしていました。
公式もできるだけ導出から理解し、面倒そうな行列などの計算も粘り強く手を動かして計算し、わからないところがあれば、ググるより先にChatGPTにわからないところを聞きまくっていました。(特に01-previewモデルが出てからは、ほぼChat-GPTに質問していました。)
おかげで時間はめっちゃかかりましたが、この頃から試験問題を見て「どう解くんだ?」となることはほぼなくなった気がします。
そして、なんといっても勉強管理をNotionに移行したことがめちゃくちゃ大きかったです。
スプレッドシートで管理していた時に感じていた不便さはなくなり、記録方法もボタンを押すだけで記録できるようにして、平均正答率などを常に表示させ圧倒的に見やすい画面にこだわった結果、モチベーションを高く学習を続けることができました。
これだけ落ちても途中で心折れず最後まで走り抜けたのはこのツールのおかげです。
結局どうやって勉強するのがよかったの?
ワークブックから逃げるな
とにかくワークブックです。難しいし演習問題の解説も少ないですが、いかにワークブックから逃げないかが超重要です。章末の例題だけでなく、章中の例の問題も含めて、しっかり解けるようにしていきましょう。ただ、ワークブックだけで勉強しろということでは決してありません。ワークブックに書いてあることを理解するために他の教材やツールは惜しみなく使いましょう。
以下におすすめの勉強方法を紹介するので参考にしてください!
◾️おすすめ教材・サイト
書籍
ワークブック(必須)
多変量解析法入門(おすすめ度:★★★)
過去問(おすすめ度:★★☆)
マセマ 演習 確立統計(おすすめ度:★☆☆)
ウェブサイト・ブログ
とけたろうさんの「統計検定準1級講座」(おすすめ度:★★★)
あつまれ統計の森(おすすめ度:★★★)
◾️ツール
Notionテンプレート「統計検定準1級進捗管理」(おすすめ度:★★★)
ChatGPT o1-preview(おすすめ度:★★☆)
1.勉強初期(ワークブック1周目)
統計検定2級の範囲をまずは完璧にしましょう。2級の範囲を学習し終わったら、ワークブックをまず1周読むことを目標に進めます。1周目はわからないところは飛ばしながらで大丈夫です。まずは1周読んで雰囲気を掴みましょう。
ワークブックは各章ごとに別々の著者が執筆しているという性質上、そこまで体系的には書かれてはいないです。ある程度どこの章から読んでも大丈夫ですが、以下の順番で読み進めるのがおすすめです。
とけたろうさんのnoteを購入された方は、とけたろうさんのnoteの順番でワークブックを読んでいくのがおすすめです。
▽確率と確率分布
第1章(事象と確率)→第3章(分布の特性値)→第2章(確率分布と母関数)→第5章(離散型分布)→第6章(連続型分布と標本分布)→第29章(不完全データの統計処理)→第4章(変数変換)→第7章(極限定理、漸近理論)
▽統計的推測
第13章(ノンパラメトリック法)→第8章(統計的推定の基礎)→第9章(区間推定)→第10章(検定の基礎と検定法の導出)→第11章(正規分布に関する検定)→第12章(一般の分布に関する検定法)
▽多変量解析法
第24章(クラスター分析)→第16章(重回帰分析)→第30章(モデル選択)→第17章(回帰診断法)→第18章(質的回帰)→第19章(回帰分析その他)→第20章(分散分析と実験計画法)→第21章(標本調査法)→第22章(主成分分析)→第25章(因子分析・グラフィカルモデル)→第28章(分割表)→第23章(判別分析)→第26章(その他の多変量解析手法)
▽種々の応用
第14章(マルコフ連鎖)→第15章(確立過程の基礎)→第27章(時系列解析)→第31章(ベイズ法)→第32章(シミュレーション)
2.ワークブック2周目以降
演習問題を解きながらわからないところを丁寧に潰していきましょう。
わからないところや苦手な問題は過去問などの類題を解いてみたり、他の参考書やWebサイト、ChatGPTなどのAIを活用するなどワークブック以外の教材で理解を深めましょう。
ワークブックの演習の解説は「あつまれ統計の森」がおすすめです。
ワークブックのすべての問題をカバーしてるだけでなく、ワークブックの解説では省かれているような途中式などがあり、とても参考になります。
多変量解析法のうち、回帰分析、主成分分析、判別分析、多次元尺度法、因子分析、数量化1,2,3類、クラスター分析は「多変量解析法入門」が初学者向けに非常に丁寧に、そして体系的に書かれているので非常におすすめです。
そして大切なのが解いた演習問題は解きっぱなしにはせず、しっかりと記録すること。
私が作ったNotionテンプレート「統計検定準1級進捗管理」を使えば、簡単に解いた問題を記録できるだけでなく、過去問の問題などがワークブックの章に紐づいて記録されているので、苦手な分野の問題を簡単に抽出でき、効率的な学習が可能です。ぜひこちらも使ってみてください。
余談
参考までに自分がどれくらい勉強したかご紹介します。
自分が使っていたNotionの学習管理ツールは勉強開始から約半年ほどから使い始めたのですが、問題を解いた総数は650問でした。
合格までに約1年間を要したのでトータルで少なく見積もっても1,000問ほど解いていると思います。
ワークブックの演習問題が全てで137問あるので、ワークブック約7.3周分くらいしたのではないでしょうか。
おそらく自分は相当合格までに時間がかかってしまった方だとは思いますが、下手に勉強するとこれくらいかかってしまうので、早く合格されたい方は、上記でご紹介した方法や失敗談を参考に、ぜひ効率的な学習で合格を目指してください!
最後に
自分が統計検定準1級に費やした時間とお金は当初想定していた10倍くらいかかってしまいましたが、それでも統計検定準1級の勉強を粘り強く続けたことで、Xで見かける難しそうな統計のポストや、業務で使われている理論を結構理解できるようになったので、勉強してよかったなと思っています。
これから勉強される方、現在勉強されている方は、簡単な試験では決してないですが、最後まで諦めず合格目指して頑張ってください!!!!
大丈夫!!!!13回落ちても14回目で受かりますよ!!!!!!