櫻坂で山下瞳月の連続センターにするのは、グループを「(少し賢しらな)不安定な子供」の枠に戻すのでは。

10thフォーメーションでしづがふたたびセンターを務めるというのは、予告の歌詞を含めると「これはグループの"不安定な子供"戻しになるのか…?」という雰囲気が強い。

不安定さ。それはフォメの並びにも現れているような。フロントが的野とるんちゃんシンメって、一見したシルエットのアンバランスさが想像つく。

フォーメーションが全体的に対照的な存在感のメンバーを配置するかたちじゃなくて、過去の表題より混沌とした感じがある。天ちゃんとあいりの身長差シンメとか、種花はわざと安定ではなく不調和さをbuddiesに伝えようとしている。

その不調和さは、おそらく振り付けや楽曲に反映されるんだろうなと。なんとなくこれまでの表題より不気味なアプローチで、公開直後に賛否がばらばらに散らばるものになりそう。(もう、フォメ発表でTwitterはそうなってるけど)

この不安定さが、前回の欅坂の末路をある種、批判的な感じだった「自業自得」の内容と比べて早くも印象に残る。そして不安定さこそ、しづを主役にして表現する世界にふさわしい。

「自業自得」でしづはまるで大人のメンバーたちが目撃する、不安定な子供時代のトラウマみたいだと私は前に書いた。

センターなんだけど、真の主役はフロントと2列目中盤の五皇にあるみたいな。センターはまるでホラー映画の主人公たちだけが見える結論を出せなかった幽霊のような、受け身の存在感だったと思う。

そこで今回のフォーメーションから想像できるのは、いよいよ楽曲の主人公としてのしづがはっきり登場するということ。その意味で、不思議に2連続センターでグループの顔役になるというのとは違う印象がある。

で、それが大人の不安定を予感させず、不安定な子供の不安定な世界観をすでに予想させるという感じ。

それにしても、楽曲世界としてはやっぱ大人の不安定に着手することは難しいのかなーという感がある。このあたり、アイドルの限界なのかもという気もする。

これから4期生が加入して、またグループが若返ってゆくのを考えると、不安定な子供の物語に戻っていった方が都合が良いんだろうかとは思う。

とはいえ、3期やたぶんこれからの4期も過去とは段違いにパーソナリティもパフォを洗練されてる子供たちで、過去と違うのは社会に適応した子供の物語性の強さ、という感じ。

(イメージとして)早熟な才能ある子供が見せる破綻みたいな物語性が、これからの櫻坂が見せるものになるんだろうか。楽曲とMVが出たらまたゆっくりこの続きを考えよう。