Adoの歌声を受けて踊る大人の平手、という風景
この文の終わりにAdoとてちのコラボの可能性についてかいたけど、クラウドナイン5周年記念番組で早々に実現することになった。
久しぶりに歌番組でパフォーマンスするてちに、まず思ったのは「ずいぶんブランクが空いたな」ということ。
やっぱり現役でがんがんライブを重ねている櫻坂うさぎねこを見た後だと、てちはここ数年は演技仕事がメインだったこともあって、ダンスの勘がやや落ちてる感じがある。
リズムの気持ちいいタイミングに身体がキレよく動いてくれてないのはしょうがないかな、と思いつつ、やっぱり楽曲世界に入れ込んだ表情やたたずまいはいいなと思う。
それより、戦々恐々として見たAdoとのコラボはブランクのあるダンスというのを差し引いても、想像よりなんだか変な温かみがあった。
てちが人の楽曲でコンテンポラリーダンスするのは初めてじゃないけど、これまで年上の男性の歌や、同年代のトップの歌だった。
年下の乗りに乗ってるアーティストの歌をライブでコラボするのははじめてなんだろうなと思う。そこで見えた、後輩のお願いをしっかり引き受ける先輩感はわりとはじめてみる感じでよかった。
USJのcmに使われた楽しげかつ不安定さもある曲を、そんな印象のままに踊ってみせるのは、楽曲世界に入れ込みすぎるあまり自滅していた往年のパフォとは違ってた。
なにかこのメンタルの余力にも思えるパフォに、時間の経過とか成熟のひとつとかいろんな思いがあった。結局欅坂後期に先輩としてのてちとか、卒業後に成人したあとのてちというのが見られなかったままだったので。
ただ、「bleeding love」のパフォがバンドスタイルでダンスが限定的だったのは残念。やっぱてちをシンガーとしてあんまり意識してなくて、バックバンドに囲まれて間奏でだけ踊るのは狭苦しそうだ。
MVレビューのときに「このままコンテンポラリーダンス路線を極めてほしい」と書いたけれど、クラウドナインはどうするつもりなのだろうか。
MVの方針や今回のAdoコラボを見る限り、てちの一番の才能の部分をわかってるとは思うけど、「実はアイドルソングやJpopシンガーに擬態したコンテンポラリーダンスのアーティストなんです」というピーキーな存在なので、本当に売り出し方は難しいところはあると思う。
欅坂時代は主要なファン層がパフォと同じく不安定な子供を狙ったものだから、コンテンポラリーでも切実な感じがだせたけど、今はそういう感情移入先はない。(だからこそ、いまのてちのほうが純粋なコンテンポラリーをできる感じがして注目してるのだが)