大人な櫻坂46の中で、山下瞳月の「不安定な子供」な感じは「やがて来る欅との融合」の伏線なのかも

しづのそこさく企画で見せるぽんこつさは、3期が入ってきた当初は「うんうんダンスメンにあるらしいどんくさだね」みたいな感じで運動能力テストの走り高跳びから見ていたものだった。

あの頃(って、昨年の頭くらいの話なんだ)はまだみんな未知数の子供だったので「そういう子なんですね」で見過ごせてた。でも急速度で先輩方と同じ場所に立てるように、みんな大人になっていったように見える。ラヴィットに出てしっかり番組を作ったりしながら、不安げな子供から1年も経たないうちに大舞台で物怖じしない人間に成長した。

あいりは当初から大人だった。ひやひやする新卒の子みたいなゆーづは気がつけばプロジェクトリーダーを任せても大丈夫な大人になり変わった。的野は絵師を目指すオタ学生からスタイリッシュになった。村山は変人ぽい学生から一見他を寄せ付けない雰囲気になっていた。

1年弱で全員が櫻坂らしい大人になった。10代のはずのいとまめもすごく達者で、「そういえば高校生だったっけ」って「真夏に何が起きるのかしら」とかこの前のそこさく企画でようやく思い出すくらい。たぶんbuddiesの方も疑似JK的な意味でグループを見てる人って男女学生おじおば問わず少ない気する。

そんなふうに周囲が大人になればなるほど、3期の代表メンバーであるしづの意味が際立ってくる。ただひとり「不安定な、不機嫌な子供」っぽさが残ってるように見える。

不安定な子供ゆえに周囲とほんのすこしの溝がある感覚を反映するかのようなパフォーマンス。「静寂の暴力」はしづの技術はもちろんだけど、半分くらい本人の気質に依存してる。たぶんこの楽曲を割り当てた種花側はしづの気質も見抜いてある上で起用したんだろうなって思う。

そして「不安定で不器用な子供」イメージの先行者は当然欅坂。そしててちに付与されていたイメージなのだ。しづはその気質を種花に見出され、いまのフロント陣やセンターへの抜擢につながってるんじゃないかな。

ゆいぽん卒業前の3期生面談にて、しづに心配ですよって声をかけたのもなんかわかる。あれは多分、ゆいぽんは欅坂時代のてちが脳裏に浮かんでたはず。はず。って妄想をはっきり書くのもあれだけど。

不安定な子供がそのパフォを期待されて重圧を背負い込む。18歳の天ちゃんは、18歳のてちよりずっと大人と思うが、19歳のしづは19歳のてちより子供に映る。

欅坂のトラウマの多くは簡単にまとめれば楽曲もグループの活動も不安定な子供たちの混乱がすべてだった。その混乱に決着がつかないまま活動が終わってしまい、少なくともグループのパフォのなかでは未完のままだ。

その後、欅・櫻の個々の卒業生が自分自身の活動に身を置き、卒業生が社会で大人として上手くやってる姿を確認することで観客としてはある意味での完結を見届けた気持ちになってる。完結は卒業生ごとにある感じ(なんだかギャルゲーや乙女ゲーのマルチエンドみたいに)。菅井様や理佐、土生ちゃんの活動は綺麗な完結だった。(そんな中でもぺーちゃんがパン屋をやって海外を巡ってるなんて、けやかけを考えたら大どんでん返しな完結だよ!)

なんとなくだけど種花側からしたら、結局パフォで欅坂物語を完結させられなかった悔いとかあるのかもしれない。不安定な子供がもたらすトラウマは運営側にもトラウマを残していたには違いなくて、櫻坂の初期はとにかくセンターに負担がかからない体制が模索されてたなと思い出す。

そこで不安定な子供たるしづによって、長らく未完だった「パフォによる、未完となっていた欅坂テーマの完結」ってところは種花的にはあるのかもしれないなって思う。

そういう意味で「自業自得」は大人メンバーに鳥籠みたいに囲まれたしづという感じで、まだ不安定な子供の成長とかそういう雰囲気じゃなかった。むしろ、楽曲やMVの主役はほにょやれなぁといった完成された大人たちだった。

しづの役割は主人公というよりも周囲の大人が無意識化に抱え込んでいる不安定な子供の危うさ、解決しなかった幼い時代の問題を象徴化してるみたいだ。ホラー映画にしばしば登場人物に警告する謎の存在の子供、あれに似ている。というかしづセンターはいつもそんな感じで、主人公というよりも消えることのない不安定さのフラッシュバックみたいな感じなのだ。

昨年の新参者にて「語るなら未来を」を演じさせたし、今度の3期生ライブもすでに欅曲をやる可能性が予想されてたりする。多くの不安定な時期の子供が「あの頃は、そんな感じだったな」で忘れていくけど、問題の深い不安定な子供はどんな完結をパフォで見せるんだろうか。その先にどんな成熟や、安定の姿があるのだろうか。

そして来るべき4期生の登場は、グループを「確かな大人」のままにするのか、それとも別の気質の子供に引き戻すんだろうか。

(おまけ・村井優ちゃんはそういえばあれは大人なのか子供なのかどーなんだろ??よくわかんないけどああした方がいるとハッピーな感じするので私は推しです。推しほど語ることがないんだが)