【謎日本語】 がっぷり
去る9月27日、自由民主党総裁に石破茂氏が選出されたことを受けて、立憲民主党の野田佳彦総裁は「がっぷり四つに組んで、どっちが押し切るかという論戦をやってみたい。腕が鳴る」とコメントした。
さあみなさん。心のなかでイメージしてください。
石破さんと野田さんがまわし姿でがっぷり四つに組んでいる姿を。
いやまあ、正直想像したくないです…。
ということで今回取り上げる【謎日本語】はこの「がっぷり」という言葉。辞書によれば
とのことで、動詞の「組む」にかかる副詞なのだが、私自身は相撲の「がっぷり四つに組む」以外に「がっぷり」の用例を見聞きしたことがないのだ。
似たような語感の「◯っ□り」というカタチの副詞は世の中にごまんとある。例えば
「たっぷり」「どっぷり」「しっかり」「すっかり」「さっぱり」「うっかり」「ばっちり」「あっさり」「がっちり」「きっちり」「にっこり」「はっきり」「ほっこり」「まったり」「みっちり」「めっきり」「やっぱり」「ずっぽり」そして「もっこり」(笑)などなど、それこそ枚挙にいとまがないし、どれもわりとポピュラーに(さまざまな動詞にかかって、という意味で)使われている。いや、「もっこり」はわりと限定的か?(笑)。
しかし、こと「がっぷり」に関しては「がっぷり四つに組む」以外に使われているケースを見たことがない。ただし、私は相撲についてはまったくの門外漢なので、「がっぷり」が動詞の「組む」にかかる副詞だということから考えると、もしかすると「四つ」以外にも相撲の「形」があってそれに適用されることがあるのかもしれない(がっぷり「もろざし」に組む、とか?)。あるいは「がっぷり」は副詞ではなく「がっぷり+四つ」で「がっぷり四つ」というひとつの名詞なのかもしれない。よう知らんけど。
ということで、とりあえずの暫定的な結論としては「がっぷり」は単独の副詞というよりは「がっぷり四つ」あるいは「がっぷり四つに組む」という相撲の世界の定型句というか決まり文句ということにしておこうと思う。
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なお、余談ではあるが「がっぷり」と似た単語に「がっつり」という言葉がある。比較的新しい言葉のようで、当初は若い人たちの間で使われていたようだが、文化庁「国語に関する世論調査」によれば、「がっつり」を使うことがあると答えた人の割合は、2011年調査 では21.8%だったが、直近の2023年調査では46.3%に増加し、一方で他の人が「がっつり」を使うことについて「気にならない」と答えた人が85.1%となっており、すっかり世間に定着した感がある。
なお、「がっつり」はどこから来たかについては北海道の方言が起源という説があるが異論もあるようだ。ご興味のある方は古い記事だがこのあたり↓をご参考に。
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