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20240128 イラストエッセイ「ぼくが住んでいる漁村(新潟県胎内市村松浜)」8 天照皇太神宮

 ぼくが住んでいる漁村には三つの神社があります。
 金毘羅神社、小鷹神社、そしてこの天照皇太神宮です。
 普通、天照皇大神宮と書きますが、わが集落のものは、「大」ではなく、「太」と書きます。どちらも同じ意味だと思いますが、天照大神を祭る神社ですね。

 ぼくは神社についてはこんな風に考えています。
 もともと日本には神様がたくさんいた。自然信仰、アニミズムですから、それこそ無数の神様がいらっしゃった。
 大きな樹、岩、立派な体格をした動物。みな、神様です。
 神様には善悪はなく、人間に恵みをもたらすと同時に、災害ももたらす。自然と同じです。
 よく、パワースポットと言われますが、そういう「場の力」というものもあるような気がします。そういう場所も信仰の対象になったのでしょう。例えば、大きな洞窟とか、山とか、森の奥の沼とか。

 よく大同二年(西暦807年)問題というのが語られますよね。
 坂上田村麻呂が東北に遠征した時、多くの神社が建てられました。
 大和朝廷が支配領域を東北に拡大する時、地元の神々を神社に統合していったという説です。
 ぼくもこの説に傾いていて、神社のある場所は、日本という国家ができる以前から人々に信仰されていた神々や、場を祭る場所だったと思うのです。
 それで、ぼくは神社を訪れるときには、体系の中に組み込まれた神社というよりは、より古い時代に信じられていた神々を訪問する、そんなつもりになるのです。

 わが集落の天照皇太神宮は、普通の家と家の間に参道があります。この狭い参道に、お祭りのときには屋台も出るんですよ。
 参道から見ると、神社の向こうに山が見えます。
 新発田市にある、二王子岳です。
 本当に真正面に見えるんですよね。
 ぼくは、この神社は大昔、あの二王子神社の神様を拝む場所だったんじゃないかなって思っているのです。
 きっと昔の人は、山と漁業の関係を深く認識していたんじゃないかなーって。

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