20240402 イラストエッセイ「北国の春10」 ヒメサユリ
ぼくが一番好きな山野草はヒメサユリです。
五月になると、わが町、胎内市にある日本一短い山脈「櫛形山脈」の中にある鳥坂山にたくさん咲きます。
櫛形山脈は北半分が火山性の岩場が多くて、そういうところを好んで咲くようです。
ニホンカモシカはこの花を好んで食べるみたい。
花の終わるころ、カモシカにかじられた跡を良く見かけます。
鳥坂山の近くには、黒中山という小さな峰があります。
これは、旧黒川中学の生徒たちが学校登山をしたことからついた名前。
胎内市は、旧中条町と旧黒川村が2005年に合併してできた新しい市です。
黒川というのは、この地方に昔から産出する石油のこと。江戸時代には燃える水として将軍に献上されていました。
黒中山にもヒメサユリはたくさん咲きます。
そこから黒川中学が眼下に見下ろせるのですが、ヒメサユリたちは中学生たちの成長を見守るように、ちょっと首をかしげているのです。