名探偵左京Season2*第18話「道半ば、泡沫の夢」
■あらすじ
ある日、「DADA」常連のTV番組プロデューサー・内藤すず(浅見れいな)から左京にリサーチャーとしての仕事依頼が舞い込む。取材先はゲノム編集技術の企業・GTech。日本を代表する遺伝子編集技術を持つベンチャー企業だ。創業者で技術者の勅使河原十(大倉忠義)の密着番組を制作するため、そのリサーチを任された左京は、広報担当の安井しおん(臼田あさ美)を訪ねる。
勅使河原は大蔵大学時代の医学部の友人・加茂豊(小林リュージュ)と起業し、そのゲノム編集技術が認められ、現在、GTechは厚労省の認可目前の企業に成長させた。ちなみに、安井も医学部時代の友人だ。
安井の案内で、左京は社内やラボを見学。ラボでは創業者で開発者の勅使河原や部下の研究員が、ゲノム検査を実施している。そこに視察に来ていたのは、ベンチャー投資家の木田翔平(山本圭祐)だった。木田を案内するのは、創業者のひとり・加茂。木田は勅使河原を見ながら、険しい表情で加茂と話をしているようだった。木田は物言う投資家としてメディアにも登場する人物だ。半年前からGTechにも投資しているという。
ラボでの検査を終えた勅使河原は、作業の取材に応じるため、ミーティングルームににやってきた。口数の少ない勅使河原に代わり、ほとんど話していたのは、安井だった。唯一、勅使河原が語ったのは「ゲノム編集は究極の個人情報であり、人々を救うことができる価値あるデータである」ということだった。
勅使河原は研究者気質、そして、金の工面は加茂が行い、広報は安井が担当。完全な分業が行われているようだった。
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その夜、「DADA」で左京はすずに取材内容を報告。ついでに、素人探偵として気になった点も告げた。
・ベンチャー投資家の木田は、勅使河原のことを嫌っている様子だった。
・おそらく、物言う木田がの進言を勅使河原が尽く否定しているはず。
・この先、何か起きそうな予感がする。
取材先にケチを付けられたような気がしたすずは機嫌を悪くしたが、左京の名探偵ぶりを知っているため、もう一度、本当に問題があるのかどうか?を調査するよう、左京に指示。翌日、左京とすずが再度、GTech社を訪れることに。
翌日、GTech社に赴いた2人は、慌てる加茂の様子を目撃する。加茂によると、今日、新たな投資の契約を木田と結ぶ予定だったと言うが、木田と連絡が取れないという。その折、木田の遺体が彼のオフィスで発見されたと、加茂のもとに連絡が入る…。
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左京とすずは現場に向かう。担当刑事は世田谷警部だった。世田谷警部によると、木田は空気を注射され死亡。外傷はまったくなかったという。昨日のスケジュールアプリには、「15時、GTech」とあり、その後は空白だった。死亡推定時刻は、昨日休みを取っていたマネージャーが最後に電話で話したのが20時〜24時まで。
マネージャーによると、木田はその投資家としての姿勢から疎まれることも多く、最近、揉めていたのはGTechの勅使河原だった。勅使河原は、ゲノム編集技術の根本精神を否定され、ひどく憤っていたという。
世田谷警部は、勅使河原を第一容疑者として、左京とすずともに事情を聞きにGTechを訪れる。勅使河原によると、犯行時刻にずっとラボにひとりで籠もっていたという。ラボの入室記録がそれを証明していたが、世田谷警部は偽証は可能と言う。警部が昨夜の研究記録提出を勅使河原に求めたが、記録は全く無かったため、勅使河原の身柄を拘束する。警部は「犯行時間の20時から24時までどこで何をしていたのか?」詰問するが「ラボにいました」としか応えない勅使河原。
安井は加茂に「木田さんがあんな形で亡くなり、今後、ラボはどうなるのかな?」と不安を吐露していた。それを聞いた左京は、唐突に安井と加茂に「昨夜は何をお召し上がりに?」と確認した。安井と加茂は口籠ったあと、パスタと弁当とそれぞれ応えた。
加茂と安井はひとりでそれぞれの自宅にいたため、アリバイはなかった。「この2人、何か隠していますねぇ。ちょっと揺さぶってみますか」と左京はすずに小声で呟いた。
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木田の死去によりGTechの技術への投資は見送られ、さらに、勅使河原の身柄拘束により厚労省の認可も先行き不透明になった。窮地に陥ったGTech社。安井は加茂に金策を請うが、加茂は「会社はもう終わりだ…」と聞く耳を持たない。沈黙に包まれた部屋に入ってきたのは、左京とすず。
左京は、ふたりに唐突に「風船爆弾」と呟いた。「医学部出身のおふたりなら風船爆弾、ご存知ですよね?血管に空気が入り込むと、行き場を失った空気がやがて爆発し、死に至るということを」加茂はその言葉を懐かしがったが、安井は明らかに動揺を見せた。「木田さんはその空気爆弾で亡くなったそうです」そう言って左京は、部屋を出た。そして、すずに「犯人は安井さんで間違いないと思います。あとは、動機と証拠ですね」と言い、ニヤッと笑った…。
左京は安井の犯行を証明できるのか?
勅使河原が嘘のアリバイを証言した理由とは?
そして、学生時代からの三人の夢は叶うのか?
左京とすずが事件の真相に迫る!
■ゲスト
勅使河原十…大倉忠義(★)
加茂豊…小林リュージュ(★)
木田翔平…山本圭祐
安井しおん…臼田あさ美(★)
内藤すず…浅見れいな(★)
■妄想放送日
2024年2月3日(土)23時〜
※通算第36話
■事件の顛末
▼犯人は安井しおん。勅使河原の性志向(勅使河原と加茂はかつて交際。安井は勅使河原が好きだった)をネタに研究内容の変更を迫っていたため、殺害。
※彼女の「あんな形で亡くなるなんて」という言葉で、左京は犯人と目星をつけた。
▼勅使河原は、犯行時刻にゲノム編集技術ノ再現性に不備があったことを見つけ出していた。そのことを加茂から口止めされていたため、アリバイを偽証せざるを得なかった。そて、加茂も再現性の不備を黙らざるを得ず、不審な言動をしていた。
▼左京は、勅使河原逮捕の偽報によって安井に自白させた。「彼を庇っているのでは?」と聞き、安井に物証を出させる作戦に出た。
▼木田からの融資はなくなったが、GTech社のラボは存続が決定。これまで金策していなかった勅使河原は、事件当夜、勘当されていた資産家の親に融資を直訴していた。勅使河原と加茂は安井が出所するまでラボを守ることを決意。