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小3男子を泣かせる「帰ってきたドラえもん」【1000字と1枚】
ぼくがはじめて泣いた映画は「帰ってきたドラえもん」です。
小学校3年生のとき、千葉の京成ローザという映画館に父親と兄と3人で朝から出かけました。映画はめちゃくちゃ人気で、ぼくたちは立ち見(!)でした。スクリーンに向かって左側の壁沿いに3人並んで。
ケンカするのび太とジャイアン。がんばるのび太が健気なんです。のび太はドラえもんがだいすきで、ドラえもんものび太がだいすきなんだなあと、ストレートに伝わってきました。
ぼくは泣きました。しっかりはっきりと泣きました。鼻水もでました。でも泣いたらぜったいだめだという価値観をもって小3のぼくは生きていました。父親や兄にバレたら恥ずかしい。手の甲まで引き延ばしたトレーナーで涙と鼻水を一生懸命ふきます。でもふいてもふいても涙も鼻水もどんどん出てくる。こんなことははじめてでした。なにか作品を観たり読んだりして泣くなんて経験したことはこれまでなかった。野球とサッカーとポコペンしかしてない小3男子を号泣させるってすごい作品だよ!
父親と兄にはきっとバレていたけど、泣いていたことを指摘されたりはしませんでした。きっと父親も兄もぼくが泣いてしまう理由がわかったのでしょう。もしかしたらじつは2人も泣いていたのかもしれません。当時のぼくは、泣いてるのバレなかった〜よかった〜と思っていました。
それからちょっと経ってぼくが小4くらいのころかな、テレビで再放送がありました。右の手のひらを頭の支えにして寝っ転がって見ていたら、また涙がでてきました(なんだこの映画は!)。とっさに毛布をかぶってやりすごしました。隣にいた姉と兄には確実にバレていたでしょう。
そういえばぼくは映画「帰ってきたドラえもん」の原作を読んだことがない。急いでKindleで『ドラえもん』6巻と7巻を買ってみました。6巻の最後の話が「さようなら、ドラえもん」で、7巻目の最初の話が「帰ってきたドラえもん」。この2話を合わせて映画化しているんですね。
Kindleを開きます。泣くだろうなあ、泣くんだろうなあ、と読む前から思ってしまっています。だから今回はぜんぜん泣けませんでした、とはならないんです。未来に帰らなきゃいけなくなってしまったドラえもんを、未来に帰る前日に野比家で労います。そのあとの、ドラえもんとのび太が一緒にふとんに入っているコマに目線が移ったときからもう涙がでていました(最後の日だから一緒に寝てるんだ……!)。そこから、「(のび太)ねむれない」「(ドラえもん)ぼくも」「(のび太)朝までお話しよう!」「(ドラえもんが道具を取り出して)ねむらなくてもつかれないくすり」と進んでいくんです。よすぎますよ。
こんなに期待して読んでるのに、感動のハードルが上がりすぎてもはや棒高跳びになってるのに、かるがる泣けました。「最初に泣いた映画だから」と思い出を必要以上に美化したりなんてしてなかった。純粋に、いつのぼくが読んでも心に響く作品でした。6巻と7巻は紙でもぜったい買う。
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