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Vol,3 モヤモヤ。②

吉田焼の特徴は「様式に囚われず、自由なモノ造りができる産地です!」と答えてきたことに対して、400年以上続いてきた産地の特徴としてこの答えでいいのか?と考えるようになりました。

私はここ数年、年に1、2カ所、全国の焼き物の産地を見学に行くようにしていて、唐津の中里太郎右衛門先生とお話しする機会がありました。

私のような若輩者に対しても、とても丁寧に優しくお話しして頂きました。それなのに失礼にも「先生にとっての唐津焼とは何ですか?」というプロフェッショナルや情熱大陸でも聞かないような質問をしてしまい、それでもゆっくりと丁寧に答えて頂きました。

「唐津の土で生地を作り、唐津の灰で釉薬を作り、唐津の薪で窯を焚く。これが唐津焼です。」


私は約20年間、なぜ目を向けなかったのだろう。


私は吉田焼のアイデンティティに目を向けていなかったのです。

400年前は嬉野、吉田で採れる原料で焼き物を造っていたから今の場所に産地があるわけです。
400年後の今現在、実際のところ、土は熊本の天草陶石で、釉薬や絵の具の原料も国内や海外の原料を使っています。

つまり、嬉野、吉田にある原料は全く使っておらず、ただ、吉田で焼き物を焼いているので吉田焼である、ということです。

これは400年かけて生産方法や生産品質の向上や維持、効率を追求した結果であり、先人たちの努力によって今の自分が造りたいものを造ることができるようになりました。

私が造りたいものを造るのは東京ではおそらく難しい。

吉田にいるからこそできるのです。

とはいえ、やはり思うところがあり、

本当の吉田焼とは何なのか、吉田焼にアイデンティティはあったのか、

私はそれを知りたくなったのです。

いや、知る義務があるとすら思えたのです。


続きはまた次回に。


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