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言葉が好きだから言葉になりたい
新しいバイト先で働き始めた。
まだ始めたてだから何もできない。前のバイト先でも初日は何もできなくて、それは当たり前なことなのに謎に凹むという内容の日記を書いた記憶がある。
今回はそこまで凹んでいない。できないに決まってんだろと思っている。
何もできないから仕事を教えてくれる人がずっと横にいる。そっちの方が正直しんどい。ずっと監視されていることが苦手だから。
監視されていると緊張して普段できることもぎこちなくなり、頭も上手く働かない。自分が自分じゃない感覚になり、アイデンティティクライシス。早く脱獄したい。
あとマルチタスクな業務内容になった。私は一つひとつ課題を解決する仕事しかしたことないし、ミスしないことばかりを念頭に置いているし、先を想像して効率的に動いたりできず失敗からしか学ばない。いつかクソデカミスを起こす確率は100パー。
そして些末なことで…と思うかもしれないが、休憩室がない。デスクか外食かの2択。人が目の前、または後ろを通りすぎる環境で飯を食べることが苦手だし、外食は緊張するうえにそんな状態で胃に食べ物を詰め込むと消化不良を起こす。苦手なことがいっぱい。
本屋で「繊細さんが図太くなるために」みたいなタイトルを見かけて、別に図太くなりたいわけじゃないんだよなと思った。
今泉監督の映画『こっぴどい猫』で「傷つけるより傷つく方がいいよ」というセリフがある。自分が生きやすくなるために人を傷つけることはしたくないし、傷つく人の気持ちに気付いてあげられなくなるくらいなら繊細でいいと思えるようになった。
でも生き抜くことが第一優先だから、図太くなることで生きやすくなるならそうした方がいいとは思う。人による。
私は私でいることを何よりも大切にしたい。「私以外私じゃないの」とは上手いこと言いましたな、と今さら気付いた。
緊張の1週間を過ごし、そんなときに私の支えになるのは音楽ひいては言葉なのだ。
今週はスピッツのアルバム『醒めない』をずっと聴いていた。優しさに目が霞む。好きなところを書いていきます。
みなと
ギターで弾きたいから改めて歌詞を読む機会があり、知っていたけどあったかくてあったかくて…。全部そうだからどこを引用したらいいのやら…。「君ともう一度会うために作った歌さ」で毎度新鮮に涙腺が働く。悲しみに自分が壊されないようにしなきゃいけないと思う。あと私はスピッツの体言止めが大好きなので「汚れてる野良猫にもいつしか優しくなるユニバース」で大歓喜。学校の授業で習う言葉の効果って本当なんだと思う。
コメット
「君に出会うまでの世界がどんなだったか忘れてしまった系」の世界観が好きなのでド直球に好き。加えて金魚が恋して人間になるなんて、かわいすぎやしないか…。この曲のBメロを嫌いな人はいないと思う。人間みんな好きなんじゃないか?って本気で思っている。「押し寄せる人波に流されないように 夕暮れホームに駆け上がった」「擦りむいた胸の奥に痛みはあるけれど 可愛らしい戯言に救われた」のところね。BUMP OF CHICKENは『supernova』で「本当のありがとうはありがとうじゃ足りないんだ」と言うが、スピッツは「ありがとうって言うから 心が砕けて 新しい言葉探してる」でどっちもあったかい。
ハチの針
中毒性のある『トンガリ’95』とか『メモリーズ・カスタム』とか、私の中ではそれ系の曲。Aメロ→サビの構成のギターロックという共通点があるね。サビの「どうしたらいい?これでもいい?ハニー」「凄いよ 泳げるの?ハニー」が癖になる。こういう突飛な歌詞書けるの本当に大好き。でもしっかり応援歌で奮い立つ。
ガラクタ
これは私の好きな要素が何個も入っている曲。体言止め、中毒性を感じる構成、突飛な歌詞。圧倒的なセンスで一生全盛期なのか!とテンションあがる。「素敵になってジェラシー」とか「燃えあがってランナウェイ」とか、聴いていても歌っていても語感が気持ちいい。「粟 稗 コーリャン 対象外のオーラ」の怒涛の名詞並列が最高。言葉フェチの皆さんは分かってくれるはず。「夢うつつで聴く 風鈴気持ちいいな」で風鈴買いたくなった人は私だけじゃないでしょう。
ブチ
年上だからって全員素晴らしい人間というわけではないじゃないですか。でもこの曲を聴くとスピッツを見習いたいし、目指したい大人だなと思う。本人たちはそんなつもりまったくないと思うけど、こういう曲があるだけで救われるときがある。「しょってきた劣等感 その使い方間違えんな 空見上げれば南に鶴が千羽」「ムエタイの女の子みたいな蹴り食らって 足りないもの自問してさらにヤバくなって」とか、メッセージ(と私が勝手に受け取っている)の前後に変な言葉入っていて嬉しい。言葉好きの生きるの下手人間に刺さる。
雪風
『劇場版 優しいスピッツ』でこの曲を演奏していて、生きていくことを願ってくれるのが嬉しくて嬉しくてすすり泣いた。それもすべて優しい言葉で。なんでこんな優しいこと他人に向けて書けるんだろう。どうしたらこんなに優しくなれるんだろう。いいな、スピッツ。「お願い 夢醒めたら 少しでいいから 無敵の微笑み見せてくれ」のバランス感が好き。大切な人に「笑っていて」と思っていてもクサくて言えないが、「無敵の微笑み」って入っていることで思わず言われた方も笑っちゃうような誇張と本音は伝わるバランス。軽やかに優しい。
こんにちは
初出勤の前日に繰り返し聴いた。この先仕事で失敗したり、また夢を思い出して現実と比較したりしてしまうときに、「心に生えた足でどこまでも歩いて行けるんだと気が付いて」という歌詞に助けてもらえる気がすると思った。言葉が私のよりどころなんだと改めて思った。言葉は人を支えることができる。誰よりも強く倒れないように支えてくれる。そう思ったら言葉に携わる人になりたいと夢見てるけど、もはや言葉になりたいと思っちゃった。どうしたら言葉になれるだろうか?
今週はさすがに頑張った自分を褒めたい。逃げることもできたのに逃げなかった。言葉に支えられながら。いつか自分も他人も愛せるようになりたい。真っ直ぐになりたい。あと早くリラックスして仕事したい。
もし最後まで読んでくれた人がいたら、写真も何もなくてすごく読みにくいのにありがとうございます。嬉しいです。