チャンスに満ちた成長産業「通販業界」でキャリアを築こう!(5)〜複数の専門分野を身に付けて価値を高める
当協会は文字通り「通販のエキスパート」を目指す方々に向けた資格「通販エキスパート検定」を実施しています。
前回は「通販の特徴と新たなビジネスモデルの共通点」についてお話しました。今回は複数の専門分野を見に付けて価値を高める方法についてお話します。
皆さんは、キャリアにおける専門性の持ち方についての分類で、I型人材、T型人材、Π型人材という言葉を聞いたことが有りますでしょうか?
通販人材としてのキャリアを築く上でも重要な考え方なので以下説明します。
1)人材の分類
・I型人材
ある特定の分野において極めて高い技術や深い知識を持つ、専門性を極めた人材。
通販で言えば、カタログ・DM制作一筋20年で、媒体制作の生き字引のような人です。
・T型人材
特定の分野を極めたスペシャリストでありながら、多様な知識や豊富な職歴で広い視野を持つ、ジェネラリストの側面も持つ人材。
通販で言えば、商品企画部門でヒット商品を何度も飛ばすなどの活躍をした後、EC運営部門やフルフィルメント部門なども経験し、部門間連携の重要性を理解している、というような人です。
・Π型人材
二つの異なる分野に専門性を持ち、同時に幅広い知識や職歴を持つ人材。 ダブルメジャーと呼ばれ、専門領域が広いため、独創的は発想ができ、希少性が高い。高度なT型人材とも言える。
通販で言えば、マーケティング部門で新規顧客獲得のプロフェッショナルとしての経験を積んだ後、情報システム部で通販基幹システムの刷新プロジェクトを成功に導き、社内の誰よりも各部門のデータ連携の仕組みを把握している。社内で数少ない通販ビジネス全体が俯瞰できている人材。というような人です。
以上、3つの人材のうち、T型人材、そしてΠ型人材へとステップアップしていくことで、人材としての価値が上がっていくことは確かなのですが、最初の前提として、まず「一つの業務の専門性を高める」ことが必要です。
特に新卒で未経験からキャリアを積む日本では、まずは目の前の仕事に全力を尽くし、I型のスタートを切りましょう。概ね、一つの仕事の専門性を極めるには最低3年程度の経験が必要とされています。昔から「石の上にも三年」と言いますが、まさにその通りです。
2)もう一つの専門をどう選ぶか?
私は、これについては、まず「情報システム」あるいは「データ分析」をオススメしたいと思います。商品企画にしても、媒体制作にしても、ECにしても、フルフィルメントにしても、無店舗の通販を動かしているのは情報システムです。
また、顧客とダイレクトにつながっているからこそ蓄積する、膨大な顧客データの活用は、競合と差を付けるための大事な要素です。「データサイエンティスト」という新しい職業が注目を浴びるようになってから数年経ちますが、何か一つの専門分野に加えて、データサイエンティストのスキルも持っていたら、高い相乗効果を発揮します。
また、商品企画、マーケティングのような企画部門と、コンタクトセンターのような顧客接点の部門の両方を経験する、というのも、昨今の顧客提供価値、顧客体験を重視する潮流の中で、広い視野を持つことにつながるでしょう。
以上、皆さんにキャリア形成の参考になれば幸いです。
通販業界では、上記のようなT型人材、Π型人材は非常に希少です。
ぜひ、現在一つの専門分野を習得中の方は、「もう一つ専門を作るとしたら何が良いだろう?」と考えてみて下さい。そして積極的に他部門の人や社外の人と交流し、視野を広げてみてはいかがでしょうか。