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「綾羅錦繍」とかいう漢字テスト向けの四字熟語

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 こんにちは。家にいる時間も増えたので漢検準一級の勉強をしていたら見事漢字の魅力にハマってしまいました。以前から漢字そのものは好きでしたが、改めて大人になってから勉強すると面白いことが沢山見えてきます。

 今回は「綾羅錦繍」という四字熟語についてです。この「綾羅錦繍」という漢字には綾絹と薄絹と錦と刺繍をした布や、美しい高貴な衣服という意味があります。「綾」も「羅」も「錦」も「繍」も全部美しいものという意味を持っています。突然ですが、じっくりこの漢字を見てください。

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 書き取り問題で引っかけにできそうな部分があることにお気づきいただけましたでしょうか。そう「錦」です。綾羅錦繍の中で「錦」だけ金偏なんですね。仲間外れ!他の三つ全部糸偏なんですよね(正確にいえば羅の部首はあみがしらですが)。勢いで書くと全部糸偏で書いてしまいそうです。しかし「錦」は糸偏です。良い引っかけ問題ですね。漢字テストで出すのにぴったりではないでしょうか。2割くらいの人はついうっかり他の漢字につられて糸偏で書いてしまいそうです。

 ところで綾絹とか薄絹とかって何じゃらほいって感じですよね。「綾羅錦繍」それぞれの漢字の意味も一応漢字源や大辞泉を用いてで調べました。いかがでしたか系のまとめみたいなわかりませんでしたが今後に期待ですねみたいなことはしませんのでご安心を。

…浮き出た感じに模様を織りこんだ薄い絹布。光る部分と光らない部分をつくり、模様を織り出している絹織物。(『漢字源』より)
(参考)綾織り…縦糸・横糸を数本おきに交わらせて、斜めの模様を織り出すこと。(『明鏡国語辞典』より)

…うすもの。目のすいたうすい絹織物。(『漢字源』より)
絡み織りの一種。網目のように織られた薄地の絹の織物。うすもの。(『大辞泉』より)
(参考)薄物…薄く織った織物。紗や絽、麻の上布の類。また、それで作った単。(『大辞泉』より)
(参考の参考)紗…細糸で織った軽くて薄い絹織物。また、ひろく目のすいた薄い織物。(『漢字源』より)
生糸を絡み織りにした織物。布帛面にすきまがあり、軽くて薄いので、夏物の着尺・羽織地とする。(『大辞泉』より)
(参考の参考②)絽…しま模様の連なる織物。しまおり。縦または横に小さな透き目がならぶように織った薄い絹織物。(『漢字源』より)

…金糸や色糸を織り込んだ美しい模様の織物。あや織の生地。(『漢字源』より)
種々の色糸で地色と文様を織り出した織物の総称。縦糸で文様を表わした縦錦と、横糸で表した横錦のほか、唐錦・大和錦などがある。(『大辞泉』より)

…細い糸で色模様をぬいこむ。またはぬいとりをした布。(『漢字源』より)

 調べてみると綾羅錦繍ってめちゃくちゃ豪華ですね。でもこの「錦」が金偏から糸偏に変わると「綿」になってしまいますね。綾羅綿繍…。綾絹と薄絹を使ってさらに刺繍をほどこした中に綿を入れておくんです。暖かそうですね。それはそれで良さそうです。絹100%!綾織で薄織で刺繍まで施しましてなんとこの価格!(なお実際には綿素材も含まれていた)みたいな詐欺商品にすらも見えてきましたね。急に安っぽくなってしまいました。

 字面だけ見ると「綾羅錦繍」よりも「綾羅綿繍」の方が統一感があって、こうなんというか四人組ヒーローみたいな感じしますね。「綾」はクールな実力者で「羅」がちょっとクセの強いキャラクター、「綿」が最年少でガンガンいこうぜ的なキャラ、「繍」はみんなを取りまとめる年長者的な。

 そんなことはいっても意味を考えると「綾羅錦繍」は「綾羅錦繍」でなくてはならないんですよね。「綿」では仲間に入れません。多分高貴で美しいものとして「綾」「羅」「錦」「繍」の四人が招集されて高貴な衣服チームを組まされることになったんでしょうね。「綿」は残念ながら落選してしまいました。また、この「綾」「羅」「錦」「繍」の四人は一人だけ見た目が違っていてもそれぞれの美しさを認めて尊敬し合っているため、些細な違いで仲間外れにしようなどとは一切思わないのでしょうね。お互いの美しさを認め、互いに高め合う関係。それが「綾羅錦繍」の四人なのです。これが美しく高貴な者の余裕ということでしょうか。ノブレス・オブリージュ。

 



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