ひとりぼっちじゃなくなった -ひとりぼっちの夜2022終演-
ひとりぼっちだと感じなくなることなんて、ないのかもしれません。
それでも私たちは、これからもずっと「ひとりぼっちの夜」という作品を上演し続けたいと思っています。そして最後に「ひとりぼっちじゃなくなった」とヨシュカがポツリと呟ける一瞬のために、稽古をし続けるのかもしれないなあ。
ミュージカルサークルS&D本公演「ひとりぼっちの夜」にご来場いただきました皆様、お心を寄せてくださった皆様、ありがとうございました。
12/24・25 東村山中央公民館にて、無事幕が上がり、そして幕がおりました。
学生たちは毎年公演を通して、舞台芸術というものは一人では完成しないこと、出演者だけでも完成しないことを身をもって実感し、全ての人に「役割」があることを実感します。
だからこそ、日々の小さなことへの「ありがとう」や「よろしく」
「おはよう」「おやすみ」「さようなら」「またね」…
当たり前になっているそういう言葉を、心をもってやりとりする。
なんだかこれだけ伝えると説教くさいから、公演期間にそれらを身をもって自ら感じていけたらいいなと思い、8月末からの稽古期間を過ごしてきました。
本当にあっという間の稽古期間でした。
先日打ち上げがあったのですが、メインキャストたちから毎週2回の芝居稽古のお礼をもらい「毎回、全部、本当に楽しかったです」と言ってもらえたのは嬉しかったな。
(S&Dの打ち上げはノンアルコールで、我々講師や各係、ナンバーリーダーにお礼を言い合うなんとも健全でのほほんとした打ち上げです。笑)
涙を流したらハグして笑い飛ばして、楽しいことや失敗を誰よりも楽しんで、そしてみんなの成長を誰よりも喜んで。そんな風に過ごしていたら、いつだってすぐに12月の本番がやってくるのです。
そして私の手を離れていく、劇場入りの瞬間。
私は客席にいて、みんなは舞台上で照明に照らされて。
積み重ねた努力を自信に変えて、しっかりと舞台に足をついて笑っているみんなが本当に誇らしく思えるのです。
「私が育てました!」なんてふざけて言ってるけれど、本当に演者の耳と、心と、努力あっての姿だと思っています。私の言葉を聞いてくれなければ、心を読み取ってくれなければ、そこから稽古をしてくれなければ…こうはなってないのですから。
アンサンブルのみんなも素敵でした!
「ひとりぼっちの夜」は何度だってアンサンブルの大事さを教えてくれます。
「さかさまの住人たち」はそれぞれにこの世界を作るための役割をもっていて、その役割をみんな各自で考えてくれるのですが、本当に小さな仕事をしている人がたくさんいていつも「へえ〜!」と面白くなります。
マジョリティもマイノリティも、同じように役割があり、自分に誇りを持っていいんだ。と、これまたこれだけを言うとなんだか説教くさいというか「はいはい」と思ってしまうことを、作品を通して、自分自身を通して演じることで実感できる。
わたしは宮沢章夫さんの「演劇は道具だ」という本が大好きで、読んだ時ものすごく感動しました。趣旨はちょっと違うかもしれませんが、俳優を目指す人だけでなく 多くの人たちが演劇を使って!何かについて考えたり、新しい視点を持ったり、そして自分の体を使って演じることで心を動かしていく。
全て虚構かもしれないけれど「身をもって体験していく」この経験の素晴らしさと馬鹿馬鹿しさを、広めてゆけたらと思うのでした。
2023年も「ひとりぼっちの夜」は続きます!
これを読んでいる元・さかさまの住人のみんなは勿論、まださかさまの町に来たことがないあなたも。ぜひ一緒に「ひとりぼっちの夜」を作ってみませんか?
来年はオーディションもありますので、またお知らせさせていただきます。
ひとまず!ミュージカルサークルS&D本公演「ひとりぼっちの夜」
ご来場誠に、ありがとうございました!