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まもなく本番!うまくいかない成功体験
暗い時間が長く腰を据え始め、冬の準備がはじまりましたね。
一年という区切りすら人間の決めたもので、「狂ってきてる!」なんて当たり前のことなのでは?と思ってしまうひらたです。今や地球のほとんどで日々生き方を変え環境を変え続ける人間たち。私たちの生活がこれだけ変わって、環境が変わっているのだからそりゃあ季節だって変わりますよね。春や秋が長くなるためにはどうしたらいいのか、教えてください地球さん。その辺を研究している方を全力で応援したい気持ちです。
…というよくわからない前口上から始まってしまいましたが、まもなく今年の6月に誕生したばかりのオリジナルミュージカル『キルタとぶきみなアパート』の再演である学生公演の本番が近付いて参りました。
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去年の秋頃から私の頭の中にあり、徐々に姿を変え色々な登場人物がやってきては引っ越していったりを繰り返し、6月のトライアウト公演で完成したミュージカルです。
12月に上演するS&Dはアマチュアの大学生たちのインカレサークル。
プロでなくとも、感動できる舞台を作れる。演劇を楽しめる。
そう信じてここまで指導をしてきたので、本番直前の心情でも記録しておこうと思います。
8月18日 はじまり
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ミュージカル『キルタとぶきみなアパート』学生公演の稽古が始まりました。
出演者は82名。プロの公演ではあり得ない出演人数です。笑
しかし我々は最初から「100人出ても大丈夫」を目指して台本書いて振付を作ってますので、この人数も想定内。むしろ喜ばしいことです。
まだまだワクワクだけがあったこの日から、台詞や歌詞や音楽を覚え、振付を覚え立ち位置を覚え練習し、衣装を用意して道具を作ってという外側のことからお芝居の内面のこと。チケットのこと、ほか公演に必要な業務のこと。やるべきことがだんだん積み重なって、頭はぐるぐる体はクタクタになっていきます。
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わたしのシゴト
作・演出である私が演出をし、演技指導をします。
演技を教えるというよりは…想像させる、考えさせる、自分の体と向き合わせる、コミュニケーションをとらせる、仲間たちと協力させる…というようなことを経て、それが演技に繋がっていくように指導をしています。
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最終的な答えのところまで、ひとつひとつパンの欠片を落として「次はこれ」「次はあれ」と課題を与えてそれをクリアできているか・できていないかをジャッジする。そうすると知らぬ間に演技が上手くなっている。というのが私の理想です。(プロ育成となると話は別ですが)
みんな人間で、かつ多感な大学生ですからなかなか上手くはいきませんが、だからこそ味わい深い日々です。
うまくいかない
「うまくいかない」ということが大事なんですよね。
うまくいかないから頑張る必要があるし、
頑張ったのにうまくいかないから頑張り方を考える。
考えてまた頑張ってみるを繰り返してちょっとできるようになる。
それで手に入れた成功体験こそ、本当の「自分の力」になるんだと思います。
だってラッキーで成功したことは再現性がないもんね。
それを教えているような気持ちです。
それを経験するのに、演劇ってのはとても最適なんです。
稽古場は失敗を重ねて完成に向かう場所ですから。
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そんなこんなを経て、まもなく12月。
本番は12月7日(土)・8日(日)です。
私の手持ちのパンもずいぶん小さくなってきました。
もちろん言えることは山ほどあるんですが、あと2週間。「完成させる」ことを目的にシフトチェンジする時期です。
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物語になっていく
3ヶ月かけて覚えてきたものを忘れる時期です。
コンプレックスを捨て去り、自身の課題も捨て置いて、今・物語の中で起きた一瞬のことだけを考える。
書き込みでグチャグチャな台本を握りしめて、険しい顔をしている学生たち。
サークルを引退すればもう仲間たちと共に舞台に上がることはないかもしれないという刹那と、登場人物たちのドラマチックな一瞬がないまぜになってどちらともつかぬざわめきが彼女たちを包み込んでいます。
これが何よりも私のインスピレーションを掻き立てるのです。
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こうして頑張った若者が、生きやすい世界になってほしいと願わずにはいられない。
これから社会に出ていく彼らの未来で、「あの時は大変だったけど頑張れたし、楽しかったから」とお守りになるような稽古・本番になってほしい。
そうして立ち上がった子らがまた頑張りたいと思える社会、膝をついてもまた立ち上がれる社会であってほしいとそんな祈りを込めて、また私はお芝居を書く。
私も頑張りたい。できることを。
うまくいかないことばかりだけど、宝物のようなみんなの未来が輝くためにも。
厳しい社会の前では演劇や物語は役に立たないことも多いけど、何よりも役に立つこともある。力をもらえる魔法になるって私自身が信じているので。
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さあ、みんなは春を呼ぶミュージカルを作れるのでしょうか。
ダメダメだったら私のせいです、私を叱ってください。笑
公演情報
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ひらたでした!
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