吾輩はお弁当ペロペロの、常習犯なのである。
吾輩はご主人の作ったお弁当を、ペロペロするのである。
ただ、堂々とペロペロしようとすると、
すぐに見つかってしまい、お弁当を冷蔵庫に隠されてしまうため、
犯行は水面下で実行するしかない。
まずは、ご主人がお弁当を作り始めたら、遠目からその中身を物色する……。
塩気の効いた卵焼きなのか？
大好物のツナは入っているのか？
サラダにマヨネーズが使われているのか？
吾輩の好物が入っていると判かれば、
あとはご主人の隙を窺いつつ、
キッチンにお弁当が放置され、ご主人がお弁当のそばを離れるのを、
虎視眈々と待つのである……。
そして、キッチンからご主人が離れたら、
そのときが、ゴーサインの瞬間である。
一気に畳みかけるように、カウンターキッチンに飛び乗り、
吾輩のペロペロタイムが開始される。
ご主人が戻ってくる前に、一気に好物の具材を舐め回す。
ここからは、時間との勝負である……。
見つかれば、その瞬間にキッチンから摘まみ出される。
一瞬の隙をついて、犯行に及ばなくてはならない。
さすがに常習的に犯行を繰り返しているだけに、
ご主人のガードは固いのである……。
