な、何じゃこりゃ!?
去年の年末付近の話になるのだが、実はタイトルの写真のように、ガムテープでグルグル巻きにされた自転車が、マンションの一階の廊下に放置されていた。
思わずスマホを取り出し、撮影をしてしまったのだが、よく見ると玄関のドアまでガムテープで目張りされており、「こ、これ、どうやって外に出るの!? というか寧ろ中に入るの!?」と思いながら、ぼくは買い物で出掛けたのだが、買い物から帰って来ても、まだこの状態だった。
とはいえ、剥がしてあげているところに、住人が帰ってきて、万が一鉢合わせになっても、面倒なことになりそうなので、ここはお決まりのスルーである。
我関せず……
エレベーターで自分の住んでいる階に上がりながら、状況を整理してみる。
たとえば、住人が中に居る状態でドアが封鎖されたパターンだ。
この場合、家主は家の中にいるはずなので、ドアを封鎖するためには、一度ベランダから家を出て、自分の家のドアをガムテープで目張りしなくてはならない。そもそも自分でやるメリットはどこにもないわけだし、そんなバカなことをするようなヤツは居るはずがないので、この場合はほかの容疑者がいると考えるほうが、話は自然だろう。
となると、どう考えても住人とまったく関係のない他人が犯行に及ぶとは考えにくいため、酔っ払った友だち連中が悪乗りして悪戯に及んだのか、それとも恋愛での縺れで、女性(彼女)が腹いせのために嫌がらせを行ったのか、ということも考えられるだろうが、このマンションはオートロック付きの物件のため、カギを持っていない部外者は、中の住人の家のインターホンを鳴らして、自動ドアの解錠をしてもらった上で敷地内に入るか、それか、ちょうど同じタイミングで帰ってきた住人と一緒に自動ドアを潜ってくるしかない。
ただ、住人が自動ドアの解錠をしなければ、入ることができないのであれば、わざわざガムテープで自転車をグルグル巻きにしたり、ドアを目張りされると判っているのに、自動ドアを解錠するとは思えないので、この線の可能性は低いだろう。
となると、残りはマンションの住人が帰ってきたのを見計らって、同じタイミングで敷地内に侵入するか? マンションの合鍵を使って侵入するか? のどちらかになる。
まずはマンションの住人と同じタイミングで自動ドアを通過するパターンだ。この場合はマンションの住人が帰ってくるのを待って、しばらく敷地外で待機しておかなくてはならない。それに犯行に使うガムテープも用意しておかなくてはならないわけだし、はたして酔っ払った人間がそこまでして悪戯に及ぶだろうか? まず犯行に及ぶために、ガムテープを用意しなくてはいけないし、たとえ家にあったガムテープを持参してきたとしても悪戯をするためには、今度はマンションの敷地内に侵入しなくてはならないので、しばらくマンションの前で待ちぼうけを食らうことになる。たとえ運良くちょうどいいタイミングで敷地内に侵入できたとしても、その待たなくてはいけないという可能性が、少しでもある以上、ぼくであればそこまでして悪戯をしたいとは思わないし、酔っ払っているのであれば、尚更面倒臭いと考えるだろう。
そこまでするってことは、それなりの動機が必要だと考えるのが、話の流れとしては自然ではないだろうか?
となると残るは一つだ。
恋愛での縺れ一択だろう。
浮気だの痴話げんかだの、金銭の揉め事でも、犯行動機としては十分だし、その腹いせにガムテープを準備してまで犯行に及ぼうと思えるほど、鬱憤が溜まっていたと考えたとしても、何も不思議ではない。マンションの住人が帰ってくるまで外で待機し、ちょうどいいタイミングで一階の自動ドアを通過して、マンションの敷地内に侵入する。もしくは半同棲のような形で、何度も家を行き来しているのだとすれば、そもそもマンションの合鍵を持っていたとしても、何も不自然ではない。
そして、その上で溜まっていた鬱憤を晴らすために、深夜住人の男性が寝静まっているときに犯行に及び、住人の男性を家の中に閉じ込めてしまう。その上でそれでは、まだ腹の虫が治まらなかったと考えれば、さらに男性の愛用している自転車をガムテープでグルグル巻きにしたと考えれば、あり得ない話ではない。
まあ、すべてはぼくの妄想であり、推測の域を出ないのだが、概ねそういった経緯で、部屋のドアはガムテープでガッチリと目張りされ、自転車もガムテープでグルグル巻きにされたのではないだろうか?
ちなみにその部屋の住人が男性ということが判っているのは、前に何度か住人の男性と一階のエントランスですれ違っているからだ。そのころから「まったくマンションの廊下に自転車置かないで、ちゃんと駐輪場があるんだから、そこに停めればいいのに?」と思っていたので、記憶に残っている。
ちなみのちなみに、マンションの住人の犯行だと疑わなかったのは、その隣の部屋が〝会社〟であることを確認していたし、会社であれば日中以外は家に居ないわけだし、住人の男性も昼間は仕事に出ているため、自転車が廊下を封鎖していても、そこまで邪魔になっていないからだ。
そう考えると、今回の一件は、
『恋愛の縺れ』の一択
という結論になるわけだ!!
とはいえ、住人の男性も、自転車や部屋のドアを、あんな状態にされるまで、いったい何をしでかしたのだろうか?
彼の恋愛事情のほうが心配になる……。