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孤育てが子育てに変わった話。

わたしは北海道うまれ、北海道育ちの生粋の道産子である。
そんなわたしは転勤のある人と結婚したので、
縁もゆかりもない地で子育てを始めた。
夫は多忙を極めていたので6〜23時まで不在であった。
乳児は生後2ヶ月を過ぎると怒涛の予防接種ラッシュが始まる。
わたしの住む自治体には予防接種説明会があった。
わたしはそこでママ友を作ろうと目論んでいたのである。

いざ会場へ行ってみると、説明に耳を傾ける母親たちは皆どこか上の空。
慣れない育児、寝不足の毎日、マミーブレイン。
説明を一通り聞いていると、ベビープログラム講座という言葉が聞こえた。
なにそれ。
配布された資料を眺める。
第一子である2〜5ヶ月の月齢の子の母親のための講座だそう。
支援センターで行われるイベントなのでデビューにもってこいではないか。
わたしは自宅に帰り、申込みの電話をした。
わたしが一番目の申込者であったらしく喜ばれた。

全4回のプログラムで週に1回同じメンバーで集まる。
講座は赤ちゃんをごろんと寝かせて、母親はその隣に座って行う。
授乳してもよいし、抱っこして寝かせてもよい。
わたしは完全ミルク育児だったので、哺乳瓶とお湯、湯冷ましを持参する。
途中でオムツを替えたりミルクを飲ませたりと、自宅にいるのと変わらない。
それに加えて、育児をしながら話ができる大人がいる。
ここは天国なのか。
内容は子育てについての悩みを話したり、さほど難しいものではなかった。

毎週顔をあわせるメンバーはすぐに仲良くなった。
子どもが1歳になった頃には毎日のように支援センターへ通い、
子どもはよく遊びお昼ごはんを食べて、帰りの車で疲れて眠った。
子どもを遊ばせながら、ああでもないこうでもないと母親たちと話した。
これから行く幼稚園の情報を聞いたり、支援センターの畑で収穫体験をしたり、
自然のものを使って遊んだり、新茶の時期には茶摘みをしたり。
地域の方がいろんなことを教えてくれて、春夏秋冬いつでも貴重な体験ができた。

相変わらず夫は多忙で家におらず、出張も多い。
支援センターに行くことがわたしの息抜きになっていた。
子どもも楽しそうに遊んでいるので一石二鳥。
同じ時期に同学年の子どもを育てる戦友は心強い味方だ。

そういうわけでわたしの孤育てが子育てに変わっていった。

産後のメンタルは脆い。
精神面にかなり自信のあったわたしでさえ、
このまま車に飛び込んだらいなくなれるかなぁと考えたりした。
急に涙が出たりもした。
どうかそのような人に届いてほしい。

看護師や保健師などの専門知識を持った人は、
時に正論を振りかざして母親たちを苦しめてしまうことがある。
産後訪問などで相談しても無駄だなと思ってしまうこともある。
だから「仲間」を探してほしい。

話のできる大人とつながることは自分の心を満たすこと。
コンビニでもいい。スーパーでもいい。
でも、できれば支援センターなどの安全なところがいい。
支援センターには同じような境遇の人がたくさんいる。
話をしたい人がたくさんいる。

少しでも楽しく子育てができますように。

つぐみ

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