POOLOで見つめ直した旅人と世界の関わり方/卒業制作
「旅」と聞いてどんなことを思い浮かべるだろうか?
絶景を観に行ったり、アクティビティを楽しんだり、買い物をしたり、プールでゆっくり寝てみたり。旅の仕方は人それぞれ。
ただ、旅をするときにちょっと頭の片隅に置いておきたい視点がある。
今回POOLOに参加していろんな講義を聞く中で、自分と世界の関わり方を考え直してみた。
POOLOって何?
僕は、旅の魅力を広める会社「TABIPPO」が始めたプログラムに第一期生として参加している。グローバルな人材とは何か、旅の経験を活かした自分の働き方とは……を考えていくコミュニティ。
話をしてくれる講師の方々は世界を舞台にいろんな分野で活躍している方々。そして参加メンバーは講師にも負けない年代も職種も多種多様の本当にある意味ぐっちゃぐちゃの人たち(笑)
「旅が好き」という共通点で繋がっていて、知りたいことややりたいことを深めて形にしていく場。
それがPOOLO。
旅先の実情
冒頭に戻るが、旅と聞いたときどんなことを思い浮かべるだろうか?
結論として、旅はどんな形があってもいいと思ってる。ただ、みんなが行く旅先で起こっている問題をどれだけの人が知っているだろうか。ちゃんと考えたことはなかったという人は多いのではないか。
まぁ僕がそんなタイプだった。
例えば人が特定の場所に集まりすぎて公共機関が大混雑。
例えばゴミが増加、そしてその土地、巡りめぐって海も汚染される。
人がたくさん入ることで生態系が変わってしまうことなんかも……
遺跡に記念の落書きしちゃう人がいることは残念極まりないこと!
それだけじゃない。
絶景が近い場所では観光客が写真だけ撮って帰ってしまうことも、現地の人からしたら大きな問題。その場所を管理するには何かしらのお金がかかっていて、観光に来た人にお金を落としてもらうことで初めて維持ができるようになる。
みんなが行きたいと思っている場所、行ってよかったと思っている場所を持続させるにはお金がかかるんだという話。
国内、国外という関係の話ではない。
家を出てどこかに行ったことがある人なら誰もが関係している問題。
SDGsはグローバルな取り組みか
POOLOの講義やメンバーの会話では、「Sustainable(サステナブル)」という言葉がよく出てくる。持続可能でより良い世界を目指すためにつくられた国際的な目標「SDGs」が、このコミュニティの大きな軸の一つに盛り込まれているから。
恥ずかしながら僕はPOOLOに参加するまでSDGsという言葉を知らなかった。どこかであのマークやカラフルな目標一覧はみたことがあった気はするけど、自分に関係していることだという認識はこれっぽっちもなかった。
SDGsは自分たちが、そして次の世代みんなが平等に幸せに生きていくために必要なことを「達成目標」として示してくれている。
内容を見て、綺麗事のように感じたり国や企業が動いてくれたらと考える人もいるかもしれない。
でも、SDGsって個人レベルで「軸」にすることを見つけて、それぞれで動き出すことが大切なのだ。目標全てを意識するのは大変だけど、自分ができる形で進めて行くことが求められている。
何が言いたかと言うと、SDGsはただの「国際的な取り組み」ってだけではなくもっと身近なものだってこと。
僕が見たSustainableな世界
SDGsの話を聞いてから海外に出ると、旅先で気付くことがたくさんある。
僕がPOOLOに参加していたこの一年で訪れた国は7カ国。
旅の中で見つけた、世界を持続していくヒントになりそうな事例を紹介。
■POOLOの聖地「ハワイ」
POOLOのハワイキャンプが夏に行われた。
ハワイがSDGsにそった活動が行われているということもあり、ハワイ州観光局の協力で実際に話を聞き、体験させてもらうことができた。
オアフ島の街中にはゴミ箱がたくさん置かれていた。そのおかげで道端にポイ捨てされたゴミはほとんど見かけない。
ゴミのポイ捨て問題はどこの国も抱えている。日本だって観光客に限らずそこで生活している自分達でも汚してるくらい。
また別の例。ハワイではFishpond(フィッシュポンド)という養殖池を使った昔ながらの漁業法を見直し、復活させ始めていた。土地の形や川と海の性質をうまく利用した生態系を壊さない養殖の形。
ハワイキャンプではFishpondを囲う石(岩?)運びをお手伝いさせていただいた。
ハワイでは漂流プラスチックもとても深刻な問題で、ビーチでのゴミ拾い活動も定期的に行われている。世界中から海流に乗って集まってきているたくさんのゴミが、海を汚し海洋生物を危機にさらしている。みんなが大好きなハワイのきれいな海も、このままでは見られなくなってしまうかもしれない。
現地でのゴミ拾いが積極的に行われても、そもそも流れてくるゴミを減らしていかなければいつまで経ってもキリがない。
このことを僕たちは改めて考えなければいけない。
■清潔で安全な国「ルワンダ」
プラスチックゴミを深刻な問題として捕らえているのはハワイだけでない。アフリカの国でも様々な取り組みが行われていた。
僕が行ったルワンダでは、プラスチック袋の持ち込みが禁止されていた。空港では実際に荷物を開けて確認することだってある。もちろん現地で買い物をしてもプラスチック袋はもらえない。
紙袋がもらえることもあるが、最近はどこの国に行ってもマイバックが重宝する。
プラスチック袋は2008年に禁止され、ストローやカップなどの使い捨てプラスチックも2019年に禁止の対象になったようだ。
だんだんと意識は高く広くなっているんだなって事例。
■エコもファッション「オーストラリア」
所変わってオーストラリアで僕が見たのは、コーヒーショップでの様子。
店内でフラットホワイトというコーヒーを飲んでいると、通勤前の人たちがみんなマイボトルを持ってコーヒーを買いにやってきていた。いろんな色や形のマイボトルがめちゃめちゃお洒落だった。
調べてみると、部分的に好きな色に変えてオリジナルカラーがつくれるブランドがあったり、ファッションとして楽しむ姿もあるようだ。さらには利便性を追求したクレジットカードチップが入ったボトルなんてものもあるらしい。とても最先端。
余談だが、オーストラリアの「フラットホワイト」はコーヒーが苦手な方も一度飲んでみていただきたい代物。
■文化を丸ごと楽しめる「ラオス」
最近海外に行った時のマイブームは料理教室。
ルアンパバーンに行ったときも現地で料理教室を探してみると、いろんなタイプの教室が見つかった。そんな中で僕が選んだのは伝統的な家庭料理を学べる教室。
日本にはない調理道具を使ったりちょっと馴染みのない味付けをしてみたり、驚きと発見がいっぱいの時間だった。
象使いの免許取得ツアーも人気のアクティビティ。ルアンパバーンの街にはエレファントキャンプがいくつかあって、象の生態についての勉強から、象に使う言葉や指示の出し方についての実技講習がある。
象使いの免許とは言っても、免許という名の参加証をもらえるだけなので、講習も楽しみながら行うことができる。
この象使いには賛否両論があって、動物虐待という声もある。
ただ、昔から象と共に生きている人たちがこれからも象と共に生きるために象についての知識を伝えてることを目的としてやっているという思いを持った場所もあり、僕はなるべくそういったところを選びたいと思っている。
こういったアクティビティは昔から土地に根付いている文化を教えてくれる。その土地を知るということは、最終的にはその土地を守ることに繋がると思っている。
その国、その土地を知るという提案
僕が海外に行った時にオススメしたいのは土地に根付いた文化を知る体験。大袈裟に言っているけどよく考えるとそれって旅の定番の楽しみ方なのだ。
もともとあるものを使ったり、伝える文化の体験は、何を壊さずに維持し続けることができる。
■土地を知るには「地酒」
地酒には土地の様子が色濃く出る。酒を作るために必要な作物、地質、気候なんかを教えてくれる。
例えばワイン一つとってみても、地域によって育つぶどう品種も違うし、地質が違えば味の特徴も変わってくる。これは「ワインは難しい」という言葉に凝縮されててみんな知っているはず(笑)
■文化を知るには「工芸品」
工芸品にはその土地の人たちの生活が現れる。なぜそれを作り始めたかという背景を知ることができ、逆にその背景を知ることでより工芸品の価値を感じることができる。
オーストラリアで人気の「アボリジナルジナルアート」はただの芸術品ではない。もともとは文字の代わりに世界観や歴史を伝えるために使っていたものに価値を見出したものらしい。描かれている物語がわかると「オシャレ!」以外に感じるものがある。
■日本を知るには「現地の人との会話」
どこの国からも愛されている日本。カタコトでもなんでも話かけてみると、最初は怪訝な顔をしていた人でも日本人だとわかるとみんな笑顔になって答えてくれる。
「日本が橋をつくってくれた」「日本が乗り物を持ってきてくれた」
意外と日本はいろんな国の支援をしているらしく、現地の人の笑顔はすぐ近くにある。
他国の話を聞くと意識していなかった自分の国を知ることもできる。
伝える力
さて、POOLOには旅に出掛けまくっている人が多いわけだけど、実際みんながみんな自由に旅ができるわけではない。
でも旅に出ない人が「日本にいるからいいや」「そんな遠くに出かけることがないからいいや」と世界と距離をとって終わっていてはもったいない。
旅をした人がなかなか行けない人に伝え、迷っている人の後押しになるように発信していくことがとても重要なんじゃないかと思う。
実は僕がこれからやっていかなきゃと思っているのはこの部分!
世界は同じ空で繋がっているし、思っている以上に近い。
世界は他人事ではなく、自分が関係しているところに存在している。
旅をした一時的な場所ではなく、これからずっと関わっていく場所であるという見方で世界と関わっていこうと思う。
最後に
僕がPOOLOに入った理由は、旅人としてのスキルアップを求めてだった。旅の経験を活かした活動ができないものかと思っていた時に募集を知り、講師の方々の話を聞いてヒントにしたいなと思って参加を決めた。「インプットの旅」から「アウトプットの旅」へ、それが当初からの目標。
実際に1年間参加してみると、スキルの話だけでなく「マインド」を伝えてくれる講義が多かった。どんなゴールを持っていて、何をモチベーションにしているか。講義の後に個人的に質問ができたりと講師と近かったこともあって、思っていた以上に得られるものは多かった。
そして何より、卒業後もいろんなことを一緒に学んで一緒に実現していくことができる仲間に出会えたことに本当に感謝している。POOLOメンバーは好奇心旺盛で行動力があって、何事も楽しんでしまう人が多い。誰かが思いつきで言ったこともいつの間にか人が集まって形になってしまう。そんな自然にイベントが生まれていくこのコミュニティは凄く居心地がいい。
オンライン卒業式をしてはや1ヶ月。お別れどころか、これからみんなでやることが今もなお計画され続けている。
まだまだPOOLOは終わらないようだ。