T. Tsugami

現代中国研究家 公益財団法人 日本国際問題研究所 客員研究員 本業、趣味とも中国屋です。

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最近の記事

「ポスト習氏、白紙の危うさ」-Nikkei Asiaのコラムを読んで

11月2日付けの日経新聞に表題のコラムが載っていた(原載は10月17日付けNikkei Asia ”Xi's lack of succession planning risks China's long-term governance”)。 筆者はアンドレイ・ルングというルーマニアの中国エキスパートと紹介されているが、私は初めて知った。 コラムの要旨は次のようなものだ。 この手の話を目にしたり聞いたりする度に思い出すことがある。2年前に出した拙著にも記したのだが、私が北京

    • 昨今中国の厭な流行り言葉「献忠」

      最近、中国のネットで「献忠」という言葉をよく見かけるので、ググってみたら、ヤバイ言葉だった。 そもそも「献忠」は、明末1630年頃に四川で起きた農民反乱から身を起こして、一時は四川に「王朝」を建てて皇帝を名乗った「張献忠」なる人物の名前に由来している。この男が四川で無差別の殺戮を繰り返した(「屠蜀」)結果、人口が激減してしまったという(上掲wikipedia、なお、タイトル写真の原典はココ)。 下表はネットで見かけた最近の「献忠」事件をリストアップしたものだ。こうして見る

      • 【謹告】NHKラジオ「マイあさ!」に出演しました

        お題は「中国のグリーンマーシャルプラン」(10:40あたりから) https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=J8792PY43V_01_4066964 以降数日間、上のリンクから聴き逃しをお聴きになれます。

        • 中国の景気

          過去5年、中国の株価(上海総合)の日中安値が2700を割ったことが二度ある。一度は2020年春の武漢コロナ感染爆発の頃、もう一度は今年初め、中国政府が「2023年のGDP成長率は5.2%、目標を上回った」と発表して、市場が「これほど景気が悪いのに、政府は景気対策を打つ積もりがない訳?!」とドン引きして株価が激下げした(他方、中国の日経225ETFが売り切れた)時だ。昨日の終値は次第にこの二度の安値に近付いている気が…。 習近平政権はどうする積もりですかね? 超長期なんちゃ

        「ポスト習氏、白紙の危うさ」-Nikkei Asiaのコラムを読んで

          【謹告】NHKラジオに出演しました

          4月1日のNHKラジオ「マイあさ!月曜6時台後半 マイ!Biz」に出演しました。 お題は「中国“ハイテク重商主義”の波紋」です。以下のリンクから聴き逃しをお聴きになれます(今週中)6:43AM頃から始まります。 https://www.nhk.or.jp/radioondemand/share/4_19.html?p=5642_01_3959247 #radiru

          【謹告】NHKラジオに出演しました

          日本株は中国人にも大人気w

          今週初め(1月15日)、日経平均が36,000円の大台に乗った。1年前は26,000円台だったんだから、びっくりだ。特に今年に入ってから半月の急速な上げ(2,000円、6%以上)は、投機の匂いさえ漂った。 ちょうどこの日、私は日本に遊びがてら研修(中国では「遊学」というw)に来ている中国人企業経営者何人かとご飯を食べた。日本株が爆上げしてる話になったので、「中国人が買ってる」って噂もあるんだよね」と言ったら、「個別銘柄は分からないから、ETFしか買わないけどね」と真顔で返さ

          日本株は中国人にも大人気w

          金融に対する中国共産党の統制強化

          中国人民銀行や金融監督部門は、党の統制強化によって、みるみる影響力を失っているというFTの記事(China sidelines its once venerated central bank)。 けど、これを読んでも「何故?」なのか分からない。腐敗問題?、(西洋かぶれの)改革志向が嫌われた? 私の(嫌な予感を伴う)仮説はこうだ。 中国経済はいま不動産不況や地方財政危機などのお荷物をどうやって始末するか?という大変な難題を抱えている。 ところが習近平政権(のみならず体制全

          金融に対する中国共産党の統制強化

          【謹告】「疲弊した中国を救う『禁じ手』は?」

          少し前になりますが、金融ファクシミリ新聞のインタビューを受けました。いまの中国経済の問題点に関する私の見方を要領よくまとめてくれているので、ご笑覧いただければ幸いです(無料で読めます)。 「疲弊した中国を救う禁じ手は」

          【謹告】「疲弊した中国を救う『禁じ手』は?」

          マスコミは政治プレーヤーたるべきか

          「また始まった」最近の朝日新聞の政治面を見ていて、そう感じる。時の政権が支持率を落として揺らぎ始めると、「筆圧がかかってペンがしなる」感じ。「(支持率)危険水域」の見出しを早く打ちたい・・・紙面を作る人たちのアドレナリンが分泌されている様が目に見える気がする。 私は以前から、そんな紙面に違和感を覚えてきた。いまの岸田政権のグダグダぶりを見ていると、こき下ろされても仕方ない。けれども、政権批判のペンがしなって、アドレナリンが出るのは、自分たちマスコミ人が「政局の一翼を担うプレ

          マスコミは政治プレーヤーたるべきか

          米中の制裁合戦は世界の半導体産業の発展を根底から阻害しないか

          【謹告】Nippon,comのウェブサイトに寄稿しました。 続きを読む

          米中の制裁合戦は世界の半導体産業の発展を根底から阻害しないか

          日中の「処理水対立」に関する朝日記事に賛同する

          23日付け朝日デジタルに「日中、勝者なき「外交戦」 処理水対立の先に、日本に求められること」という北京駐在斎藤徳彦記者のコラムが載っている。 この問題について僕が感じていることを二つ挙げると; 1.中国の強い反発には「官製」成分以上に「草の根」成分が多く含まれている印象がある。 事態を科学的に理解しているエリート層の間でも、予定していた訪日を取りやめる動きがかなりある。「こんなムードの中で日本に行けば、感情的になっている周囲や世間から後ろ指を指される」のを嫌がってのこと

          日中の「処理水対立」に関する朝日記事に賛同する

          【謹告】「中国の対米政策」と題する論考を発表しました

          防衛次官をされた秋山昌廣さんが主宰する安全保障・外交政策研究会(SSDP)において、「『覇権国』米国はどこへ行くのか」という共通課題のもとで行われた8月の集中研究会に提出した論考です(SSDPウェブサイトに掲載していただきました)。  中国政治に潜むもう一人のアクターとしての「民意」とか、過去数年に起きた中国人の対米観の激変、米国の制裁に対抗する中国の経済安保政策などを論じました。ご関心のある方、請うご笑覧。

          【謹告】「中国の対米政策」と題する論考を発表しました

          【謹告】nippon.comに投稿しました - 中国経済は「日本化」しているのか?

          https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00931/

          【謹告】nippon.comに投稿しました - 中国経済は「日本化」しているのか?

          【謹告】日刊工業新聞「講壇」欄への定期投稿です(8月28日付け)

          【謹告】日刊工業新聞「講壇」欄への定期投稿です(8月28日付け)

          中国の「対日感情」について

          内定していた公明党山口代表の訪中がドタキャンされたという。 たしかに深刻な事態だ。朝日の記事は国交回復前から続く公明党と中国の関係に触れているが、もっと参照すべきは、2012年9月「尖閣国有化」後の騒擾の記憶も覚めやらぬ2013年1月に山口代表が訪中して党総書記に就任したばかりの習近平主席と会見したことだ。 あの時に会えたのに今回は会えないとは、中国国内の情勢は、尖閣後のあの時よりもさらに険しいということなのか。 一つの違いは、あのときは既に事件から4ヶ月経って中国国民

          中国の「対日感情」について

          日経新聞「経済教室」に寄稿しました

          日経新聞「経済教室」に寄稿しました。同欄に寄稿するのは2019年に続いて2回目です。 改めて4年前に書いた経済教室を読み返してみると、「バランスシート不況の始まり」みたいなことにも触れています。「限界資本係数が~」とか、今回まったく同じことを書いているのです。「ブレてない」と胸を張りたいが、「バカの一つ覚え」と言われるかもしれませんなw。 「中国はやがて不採算投資を膨大な量積み重ねたツケを払うことになる」ということは、10年前「中国台頭の終焉」(日経プレミア)を書いたとき

          日経新聞「経済教室」に寄稿しました