サンデーステーションって何を伝えたいわけ?&当事者以外が情報を正しく把握することの難しさ【6日待機】インドから日本へ一時帰国【水際対策】(2/3)
トリュフサラミが食べたくてしょうがない......おなじみ団長です。
テレ朝のサンデーステーション
ネットにも上がっていたこの動画(ここにテキストもあります)。空港検疫での検査待機時にTVクルーが入っていて、よく検疫所が許可したなと思ったが、これがテレ朝のサンデーステーションだった。で、トップニュースで扱っていたのが上記の動画。時間の制約はあるにせよ、お得意の片手落ちの(今は放送禁止用語とのことだが、この表現がいくつかの単語を包括していてベストではある)、混乱や人の怒りを伝えてどうするのというような放送内容だと感じた。そんな内容放送するためにあの狭い施設に入って来ないでよ。
●アプリの設定に戸惑う中年女性を映すだけ
アプリの内容や確認頻度には一切言及がない。自己申告とはいえ感染を拡大させないための施策なんだけど、戸惑いを映すことで何を伝えたいのだろう。現場の混乱?このスマホ時代でアプリで入管って普通でしょ。デジタルに付いていけない中年・シニアがいたとして水際対策と関係なくない?
●文句タラタラインド駐在帰国者のインタビュー1件のみを放映
デリーから羽田空港経由で帰国した男性が撮影した風景やインタビューの様子が流れたのだが、
・「検疫の待ち時間が長くて子供が疲れて寝た」
・妻と子と別々の部屋があてがわれ「部屋の行き来は禁止されているので子供と会えない。」
・「3歳、5歳の子供が6日間部屋から外に出ることも許されず、それが耐えられるか耐えられないかは家族連れにはものすごい不安。」
とイライラしながら語っていた。
いやあれだけ感染者数が急増したインドの、しかもデリーから来たんだから一定期間ハードなのはしょうがないでしょ!私の本音も「指定のホテル待機がなんとか6日間でまあ耐えられる範囲か」ではあるけど、日本在住者からしたら潜伏期間maxとされている(WHO)14日間が妥当だと思うよ。
あと「家族連れにはものすごい不安」って、家族連れの意見として一般化ししないでよ。うちだって家族連れだし夫の会社にも家族連れ帰国者はいるけど、6日はそりゃ"大変"だが別に"不安"はない。インドの医療体制が逼迫してるからより安全であろう日本に退避してきたわけじゃん。会社からの命かもしれないけどさ。デリー日本人会からもインドからの帰国者を脅威と感じる人もいるから留意してってレター来てたんだけどね。
で、テレ朝よ。インタビューなんか答えてくれる人いなかったんだろうけど、この意見だけ流さないでよ!人ってこれが多くの帰国者の意見かのように感じてしまうものでしょう。ファクトフルネスとか読んだ?
アナウンサーも「不安が続きますね〜。」ってなんなの?何が伝えたいの?視聴者を不安にさせたいの?テレビ局が情報を補わないと!
●インドからの帰国者の状況に関する説明不足
・なぜ帰国することになったのかの経緯が皆無。
インドのここ1ヶ月の概況すなわちロックダウンとその背景の簡単な説明を入れないと!病院の空き病床数とかICUの空きとか毎週共有されてんのよ。逼迫も逼迫よ。で会社から急遽命令されたことかもしれないんだったらまだ理解できるじゃん。上記インタビュイーの言葉「実は、一歩も外に出ない生活を、1カ月ほど実はやっていた」のみだったよ。
・でこれ『インドから帰国”目線で見る「水際対策」』てタイトルでしょ?ロックダウンで最低限の人との接触しかしないのに検疫待機はさらっと「密です」だったけど、そのギャップに驚くというかこの距離感でもってここで感染しないかが懸念なわけでしょう?具体的に言わないと!
・「さらに不安を感じたのは、様々な国からの入国者が隣り合う状況」とのことだがアメリカから日本に来た外国人がどう不安なのか理由の言及なし。これって他でも見たことある感想なのだが、具体的には何が理由なんだっけ?あなたこそfromインドじゃん。子供の友達ファミリーはバンガロール離れてワクチンの行き渡りつつあるニューヨーク行く検討してたくらいだし。
ま、インタビューだしもちろんそう感じてもいいけどさ、どちらかというと様々な国の人が混ざることより、待機中に人と人とのkeep distanceができていないことの方が問題でしょう。
ネットで見かけた誤った知識や想像
他方、見るもんじゃないヤフコメ(笑)。夫は「芸能ニュース以外ヤフコメ見る必要なくない?」と言っていたが、インド関連でヤフコメ、Twitter、Newspicks、2ちゃんねる(今は5ちゃんねるか)実況を見ていたが、個人の知識量は大変な差があることと当事者以外が情報を正しく把握することの難しさを改めて感じた。月並みな感想〜。
●見かけたコメント「なぜ今の時期に日本に帰国してくるのか。」
この状況下で「自分探しの旅にふらっとインドに出掛けて現地で困っている」的な人がどれだけいると思っているのだろうか。このレベル感の人もいるわな......ま、仕方ない。帰国者の多くは駐在員&そのファミリーか現地でビジネスをしている人だ。グローバルな市場開拓、売上のために会社から命じられて/希望して、あるいは志をもってビジネスをしに行っている人なのだ。
で、さらには会社の命令で帰国することもあるのだ。5月に入って外務省が帰国の注意喚起情報も出したし、夫の会社もそれを受けて一時退避指示を出した。三井物産が駐在員を帰国させるニュースも出てたよね。 JETROのこんな記事もあります。望まずして帰国あるいは帰任しないといけない人もいるでしょう。
そして日本人を保護するのは国/外務省の義務があるからね。詳細は調べてないがオーストラリアも自国民の入国禁止政策をすぐ取りやめたしね。
●見かけたコメント「いまだにインド人を入国させてたの!?」
「インドなど3か国からの入国について、在留資格を持っていても原則、入国を拒否することを決めた」というニュース。
どうもコメントを見ていると、これまで無条件にインド人が入国してきていたのを今しがた止めたと思っている人もいる感じがあるが、インドは2020(令和2)年5/27から上陸拒否の対象国となっている。それがこの度さらに厳格化されたということである。それすら入れるなやという非難ならばよいが。
で、この非常事態には対策は流動的になってしまいがちだから、報道者としては1年前から基本は入国拒否になっているという一言を付加すべきだ。
また、このニュースを見て宿泊予定の貸別荘オーナーからも「政府の入国制限が厳しくなったようだが無事入国しているか?」と問い合わせがあったので情報を補った。本件は日本国籍所有者には無関係である。
しかしこれは私がインドから帰国する立場であるから詳細まで情報を確認するわけで、まったく普通に日本で暮らしている人がニュースを一瞬しか見ないと「またインドからの帰国者への管理が厳しくなったのかな」と感じてしまうことは往々にしてあると思う。私だって自分に関係の薄いことは確認のレベルが低くなっているはず。
他にも、インドからの帰国者の隔離期間を誤って解釈している人もいた。
指定のホテルに待機6日+自宅などで自主隔離8日のところ、6+14の計算をしている人もいた。これは厚生労働省の水際対策強化に係る新たな措置の文章「入国後 14 日間の自宅等待機を求めることとする」をそのまま受け取れば間違えないのだが、ざっと目を通して誤認する気もする。ベンガルール領事館のメールには具体的な事例を補足してたから間違えようがなかったんだけどね、この厚生労働省の文書にも書いてもいいんじゃなかろうか。
そういうわけで、限られた時間や文字量という枠の中でも、極力誤解なきよう記述するのは決定者(政府/省庁)なりメディアなりが留意すべき事項だと思う。あえてミスリードさせたいのなら別だが。