幸せの花屋 ‐オリーブ‐
登場人物
主人公♀(名前は決めてあげてください):
花屋の青年♂:
父♂:
母♀:
♣♣♣
主人公: いつからだろう、我が家で毎日のように怒号が飛び交うようになったのは。
母: 「あんたが悪いのよ!施工会社をちゃんと選ばなかったからでしょう!?」
父: こうなったのは、家族3人で住むはずの家を建てる土地を買った頃からだろうか。
母: 幸せな生活を夢見ていたはずが、夢半ばで私たちは離れ離れになってしまうような気さえしていた。
父: 「お前が予算を抑えろとか言うからだろう!!」
主人公: 狭いアパートの中での口論に私はいつしか、何も言わずに耳をふさぐようになっていて、
家族の間で深くなっていく溝を埋める方法が、私にはもうわからなくなっていた。
花屋: 「こんにちは。…なんだか、浮かない顔をしているね」
主人公: 「…あ、はは…そう、ですかね。とういか…こんな所にお花屋さん…」
花屋: 「あれ、気づかなかった?君、毎日この店の前を通るんだよ。でも最近、なんだかいつも浮かない顔をしているから心配してたんだ。もし俺でよかったら、話を聞くけれど」
主人公: 「うーん…。じゃ、じゃあ、聞いてもらっても、いいですか?」
花屋: 「勿論。お店が終わるまで駅前のカフェで待っててくれるかい。終わったらすぐにいくから」
主人公: 見覚えのあるようなないような花屋の穏やかそうなお兄さんに、声をかけられてしまった。
そんなにやつれたのかな、私。しかもなんだか、お話することに、なっちゃったし。
お腹は空いていなかったのでアイスティーだけ頼んで、私は彼を待った。
花屋: 「はい、おまたせ。ここのチーズケーキ、すごく美味しいんだ。これ、お兄さんからの奢り」
主人公: 「あ…すみません。いいんですか…?ありがとうございます」
花屋: 「あはは、そんな顔しないで食べて食べて。心をほっとさせるには、美味しいスイーツが効果的なんだから。食べ終わったら、話、聞くよ」
主人公: 「…ほんとだ…。美味しい…」
花屋: 「そうでしょ。...良かった。やっと笑ってくれたね」
主人公: 「ありがとうございます。お兄さん、私、私ね…」
主人公: ほろりと解けるチーズケーキの甘さが、固く閉ざした心を溶かしていくみたいだった。
溶けた心が涙になって、私はぼろぼろ泣きながら家族のことをお兄さんに話した。
花屋:「話してくれてありがとう。お父さんとお母さんに仲良くなってもらいたいね。それなら、いい手があるかも。お家、春に完成するんでしょ?」
花屋: 「そしたら、木を植えるのはどう?」
母: それはよく晴れた春の日。
様々な問題をなんとか解決して、完成した新居の前に私たち家族は立っていた。
今日は久しぶりに主人と娘も穏やかな顔をしている。
玄関先に、見覚えのない木が植わっているのに気がついた。
母: 「あら、こんな木、私注文してないわよ。もしかしてまたあなた…」
父: 「違うぞ、俺じゃない。また言いがかりを…」
主人公:「もうやめようよ、お父さん、お母さん!」
主人公: わたしは初めて心の底から大声を出した。
主人公: 「この木はね、オリーブ!平和を象徴する木よ!私が植えたの!もう、お父さんとお母さんに喧嘩してほしくない!せっかく新しいお家に住むんだから、もうやめよう…。私は、前みたいに仲のいい家族に戻りたいよ…」
父: 「〇〇…。ずっとお前を悩ませいたんだな。すまない。そうか、平和の木か…、いいじゃないか」
母: 「そうね、綺麗な木だわ。〇〇、選んでくれてありがとう。私たち、ずっとピリピリしていて、貴女に辛い思いをさせていたのにも気づかなかった。ごめんね」
父: 「これからは、また3人で仲良く暮らそう。この家と、この木と一緒にな」
主人公: 「うん、うん!…ありがとう。お父さん、お母さんっ」
花屋: 「あの子なら大丈夫。だって俺が育てたオリーブが、見守ってるんだから」
花屋: この街には、皆の幸せを祈り続ける花屋があるという。
その花屋で植物を買ったものには、幸せが訪れるのだとか。
その花屋の場所は、
主人公: 「あれ、私…どこでこの木を買ったんだっけ…?」
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