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モラハラ父へ

母などと話すとき普段は呼び捨てにしているけれど、誰かが読むかもしれないこういう場で本名さらすのもかわいそうなので呼んだこともない「父」としておきます。

生前はなんて呼んでいたかな。
父さん、だったかな。

でも、「父さん」も「父」も、「親父」とかすらも。父親を指す言葉のどれも、自分の中では「石」とかと同じにあたたかみも親しみも伴わない言葉です。

あなたは父だったけど、私の中ではそういう存在ではなかった。支配者だった。

モラルハラスメントを知ったのは、ここ数年のことです。たくさん当てはまって乾いた笑いがもれたよ。

あなたにとって、家族は自分の所有物だった。
思い通りにしたかった。予定通りに生活したかった。予定が狂うと不機嫌になった。

うちの家は不機嫌に支配されていたよね。

私は、まともな会話なんてほとんどしたことがないし、命令と否定と怒鳴り声ばかり覚えている。

とても嫌いだった。

根深い恐怖と差別意識を植えつけたあなたのことがいまも嫌い。

でも憎しみはもうない。
もういいんだ。

あなたのせいだけではないけれど、人生が粉々と言ってもいいほどに壊れて苦しんで、やっといま、憎しみは手放すことができたよ。

私の人生にそれはもういらないんだ。


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